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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:2
79/184

79列車 解放を見に

 5時00分。これが3日目、8月4日の起床時間(きしょうじかん)である。バスにはあと30分揺られる。周りをざっと見渡し起きている顔ぶれをみる。隣の朝風(あさかぜ)に目をやると、まだ夢の中。右隣りの(はやぶさ)新発田(しばた)に目線を向けても、二人とも夢の中。特に(はやぶさ)はしょうがないだろう。次は前に目を向ける。前の座席の頭が時折動いている。前の席は留萌(るもい)である。ただ、寝ているか起きているのかは分からなかった。しかし、木ノ本(きのもと)が起きているのはすぐに分かった。

永島(ながしま)。起きた。」

と聞いてきたからだ。

 5時30分。仙台(せんだい)駅の駅前近くに到着。全員起きて、バスの外に出る。自分の荷物をバスの荷物室から出して、待機(たいき)する。

永島(ながしま)。今日さぁ、一緒に「こまち」の連結開放見に行かない。」

そうしている間に今日の行動について佐久間(さくま)に聞かれた。

「「こまち」ねぇ。」

と語尾を(にご)らせてから、

「「こまち」はいいよ。「つばさ」見れるし。」

と返答をした。

 「こまち」とは1997年に開業したミニ新幹線と呼ばれる新在直通新幹線(しんざいちょくつうしんかんせん)秋田新幹線(あきたしんかんせん)列車愛称(れっしゃあいしょう)である。東京(とうきょう)盛岡(もりおか)間を東北新幹線(とうほくしんかんせん)の「はやて」と連結をする。この間は時速275km/h(キロ)で飛ばし、盛岡(もりおか)秋田(あきた)間は時速130km/h(キロ)で終点の秋田(あきた)を目指す。

 「つばさ」は1992年に開業した最初のミニ新幹線山形新幹線(やまがたしんかんせん)の列車愛称である。東京(とうきょう)福島(ふくしま)間を「MAX(マックス)やまびこ」と併結(へいけつ)し、福島(ふくしま)山形(やまがた)新庄(しんじょう)間は「つばさ」単独で走る。両者ともども使われている車両はミニ新幹線の顔と言ってもいいE3(イースリー)系である。

 この「こまち」と「つばさ」の一番の目玉は「こまち」は盛岡(もりおか)で。「つばさ」は福島(ふくしま)での連結開放である。「こまち」と「つばさ」は連結開放をする駅まで来ると1・2分ほどの停車を経て、すぐに出発する。この出発、もしくは到着の時に行われる、作業がとても有名なのだ。これを見たいかということであった。

 佐久間(さくま)は自分が駄目(だめ)だということを伝えると、ほかにも一緒に行かないかと誘っていた。最終的に佐久間(さくま)と一緒に盛岡(もりおか)に行きたいと言ったのは諫早(いさはや)夢前(ゆめさき)だけだった。

 バスを降りてから30分くらいたっただろうか。ようやっと仙台(せんだい)駅に移動である。仙台(せんだい)(正式には岩沼(いわぬま))からは東北本線(とうほくほんせん)常磐線(じょうばんせん)に分かれて、目的地である東京(とうきょう)へ行く。この両線の違いは走る場所だけでそれ以外はほとんど違わない。逆を言えばそれしか違わないのだ。ここから常磐線(じょうばんせん)ルートで東京(とうきょう)に行くのはOB・OGのサヤ先輩、善知鳥(うとう)先輩、アヤケン先輩、ナヨロン先輩。そして箕島(みしま)と中学生の新発田(しばた)とアド先生。それ以外はと言うと当然東北本線(とうほくほんせん)ルートである。

 常磐線(じょうばんせん)ルートの人たちとはすぐに別れ、僕たちは腹ごしらえのために駅舎内(えきしゃない)にある立ち食いそば(うどん)屋に向かった。そば屋の前に行くとまだ営業時間(えいぎょうじかん)ではなく、シャッターが閉まっていた。

「しょうがない。()くまでここで()つか。」

シナ先生が言う。

 そう言えば、さっきから柊木(ひいらぎ)の様子がおかしかった。

「どうした、(つばさ)。顔色悪いぞ。」

北石(きたいし)がそんな柊木(ひいらぎ)を心配する。

「ちゃんと酔い止め薬飲んだのになぁ。」

柊木(ひいらぎ)がため息をついた。

「まぁ、()いやすいから仕方ないよ。」

フォローにはなっていないだろう。

「食べ物入れる前にはいてこいよ。」

平然(へいぜん)とそんなことを言えるのは木ノ本(きのもと)である。すると、もう我慢(がまん)できなくなったのか、

「あの、ちょっと・・・トイレ行ってきます。」

と言って、トイレのある方向に走って行った。

 そんな後姿を見送りながら、

柊木(ひいらぎ)ってバスの結構前に乗ってたよな。」

後ろで醒ヶ井(さめがい)の声がする。

(つばさ)先輩どうしたんですか。」

大嵐(おおぞれ)が聞いてくる。事情を知らないから当然だろう。

「ナマで見ると、またすごいなぁ・・・。」

木ノ本(きのもと)の声がした。

 戻ってくると、少しすっきりした顔をしていた。まぁ、ずっと気持悪そうな顔でいられるよりはましである。

 6時30分をまわる。朝御飯(あさごはん)を食べるそば屋が開店し、自分たちが一番乗りでそば屋に入った。自分たちが食券を買っている間に会社に出勤する会社員(サラリーマン)の姿も見られた。朝早い会社員(サラリーマン)にとってはこういう店はとても心強いだろう。そう言えば、木ノ本(きのもと)もこういう店は重宝(ちょうほう)しているらしい。まぁ、彼女の方は車両撮影(しゃりょうさつえい)の時に生じる御飯(ごはん)という障害(しょうがい)をなくすためでしかないようではある。

 そば(うどん)を食べ終わっても佐久間(さくま)盛岡(もりおか)に一緒に行く人を探していた。

永島(ながしま)本当(ほんと)に行かない。(たの)むよ。」

盛岡(もりおか)に行く手の内はだいたい読めている。

「いかねぇよ。「つばさ」だけで我慢できるって。」

と言って盛岡(もりおか)行きを断った。そして、佐久間(さくま)達とは6時54分付で別れた。

 6時55分。普通(ふつう)郡山(こおりやま)()きに乗るため東北本線(とうほくほんせん)のホームに降り立つ。7時02分発、普通郡山(こおりやま)行きはまだ来ていない。このホームの左隣のホームに停まっているはJR東日本の非電化(ひでんか)のローカル線ではたらいている「キハ110」が止まっていた。このホーム右隣りには仙台空港(せんだいくうこう)に乗り入れている私鉄の車両が止まっていた。留萌(るもい)が言うには「SAT7000系」だそうだ。

 少し経つと、自分たちが待っていた電車がやってきた。顔はどこかで見たことがある顔ではある。どこで見たものと似ているかというと青森(あおもり)で見た車両である。「寝台特急(しんだいとっきゅう)あけぼの」の(かたわ)らに停車していたピンクのラインの車両である。

青森(あおもり)で見たやつと()てますね。」

(はやぶさ)がつぶやく。車両知識は何もないのだろうか。

「似てるも何も、この車両ってそれを同じだって。」

留萌(るもい)(はやぶさ)のつぶやきに答える。

「701系ってJR東日本(ひがしにほん)が持ってるローカル線の車両。青森(あおもり)の方を走っているのは秋田(あきた)拠点(きょてん)で、東北本線(とうほくほんせん)を走っているのは仙台(せんだい)が拠点。それぞれ塗装(いろ)が違って、使い分けられてるの。他にも「青い森鉄道(あおいもりてつどう)」や「IGR(アイジーアール)いわて銀河鉄道(ぎんがてつどう)」にも同じ車両があるよ。」

ここまでいくともはやマニアしか分からないだろう。さすがだ。

「でも・・・私は701系より719系の方がよかったなぁ。」

すぐ自分の好みにはしった。

 7時02分。仙台(せんだい)発車。ここから途中の福島(ふくしま)まで揺られる。2両編成の701系が3連呼(れんこ)。6両編成で途中の福島(ふくしま)まで、そこから先は後ろ2両を切り離して4両で終点の郡山(こおりやま)を目指す。(ちょっと外れているから、そんなに客も乗っていないだろう。)そんな考えでいたがそれは大きな間違いだった。6両編成という少なさから逆に立っている客がいた。さすがにそこは仙台(せんだい)という都市の大きさを示していた。

 長町(ながちょう)太子党(たいしとう)南仙台(みなみせんだい)。ゆっくりとコマを進めていく。まぁそこは普通という列車としての本質だろう。南仙台(みなみせんだい)の次、名取(なとり)からは仙台空港(せんだいくうこう)へ向かう「仙台空港鉄道(せんだいくうこうてつどう)」と分かれ、東北本線に進路をとる。東北本線に入って館腰(たてこし)岩沼(いわぬま)槻木(つきのき)船岡(ふなおか)と停まっていく。

 発車から1時間ほど時間がたつ。今いるところは越河(こすごう)貝田(かいだ)の間。「間もなく、貝田(かいだ)―、貝田(かいだ)です。」という放送が入る。そう言えば越河(こすごう)を発車した直後のアナウンスでこの「貝田(かいだ)」という駅名が流れた時、朝風(あさかぜ)が昨日「スーパー白鳥(はくちょう)」が停車した「蟹田(かにた)」を連想(れんそう)していた。

 そこからまた26分が経つ。3日目いちばん最初の目的地福島(ふくしま)に到着した。福島(ふくしま)で後ろ2両。僕たちがここまで乗ってきた車両が切り離される。その開放を見た後にホームから上がり新幹線の乗り換え口に行く。ハクタカ先輩たちは「つばさ」の連結開放は見ないと言って先に東北本線を南下していると言い別れた。この時間から一番早く見ることができる「つばさ」は8時52分着の新庄(しんじょう)行き「つばさ123号」だ。

「できれば、E3系(イースリーけい)の1000番台がいいなぁ。」

ふと自分の欲求があらわになる。

 それを思いながら、待合室(まちあいしつ)に荷物を置く。全員で新幹線ホームに上がることはできないので誰かが荷物を見ることになった。その役はシナ先生がしてくれることになったので、僕たちは(いさ)んで新幹線ホームに急いだ。長いエスカレーターを1段飛ばしで上がっていく。新幹線ホーム13・14番線に着いたのは「つばさ123号」・「MAX(マックス)やまびこ123号」が到着する3分前だった。

 8時51分。東京(とうきょう)よりの線路上に鋭く光る白いライトが現れた。「つばさ123号」新庄(しんじょう)行きと「MAX(マックス)やまびこ123号」仙台(せんだい)行きだ。列車は「つばさ」を先頭にして入ってくる。白いライトは「つばさ(E3系)」のものだ。

 8時52分。福島(ふくしま)の14番線に入線。「つばさ123号」の福島(ふくしま)停車時間は2分。この間に「つばさ」と「やまびこ」は電気的にも解放される。そして「つばさ」は在来線(ざいらいせん)奥羽本線(おううほんせん)に乗り入れるための準備もこの間に行い8時54分「MAX(マックス)やまびこ123号」を14番線に残して発車する。

 定時着。福島(ふくしま)に「つばさ」が到着する。列車が止まりきるのを見計らいE3系(イースリーけい)E4系(イーフォーけい)の連結部分を携帯(ケータイ)に収める。収めるとすぐにE3系(イースリーけい)の前に急ぐ。車体長は1両20.5m(メートル)。それが7両つらなり編成長は150m(メートル)程。150m(メートル)を全力疾走し、E3系(イースリーけい)「つばさ」の前に躍り出る。この「つばさ」に充当されていたE3系(イースリーけい)は1000番台。E3系(イースリーけい)の中で僕が一番好きな顔である。ヘッドライトは上につりあがりカッコいい。このカッコいい顔も携帯(ケータイ)に収め、すぐに連結部に戻る。戻ると時間は8時54分。「つばさ123号」の発車時刻になっていた。最後にもう一度E3系(イースリーけい)を写真に撮る。そして・・・。

 「つばさ123号」。福島(ふくしま)発車。発車と同時にこれまでタッグを組んでいたE4系(イーフォーけい)MAX(マックス)」と切り離される。E3系(イースリーけい)は14番線から走り去ると同時に連結器を車内に収納し、東京(とうきょう)から開けていた大口を閉じながら走る。この瞬間もカメラに収めた。チャンスは一度しかない。閉まり始める時にシャッターを切る。すると閉まりかけている「つばさ」の口をとらえることができた。

 今度は14番線に置いてかれた「MAX(マックス)やまびこ」に照準が合わさる。このE4系(イーフォーけい)はJR東日本の新幹線としては二代目の全車二階建ての新幹線(MAX)である。座席数は8両で817人。16両で運転されるときには1634人の人を運ぶことができる、日本で一番座席の多い新幹線だ。E4系(イーフォーけい)は両方の先頭に連結器が収納されており、東北新幹線(とうほくしんかんせん)上越新幹線(じょうえつしんかんせん)の需要に柔軟(じゅうなん)に対応できるようになっている。

それから「MAX(マックス)」を見送ってから、僕達は一時、下に待たせているシナ先生のところに戻った。


この頃「つばさ」に使われているE3(イースリー)系には240km/h(キロ)しか出ないということを知りました。


「こまち」が結構飛ばしてたから「つばさ」もやってるって信じてたのに・・・。


どうでもいいですね。はい・・・。

そして、今となってはこの後書きも古くなりましたね。

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