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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
7/184

7列車 またまた新入

 いきなりそう聞かれても・・・。僕には入ればいいじゃんと答えるしかない。

「入ろうと思ってるなら、入ればいいじゃん。」

「でも、私女の子だよ。女の子が鉄研(てっけん)に入るってなんか変じゃない。」

「変じゃないだろ。先輩の中でも女子いたじゃん。」

「あの2人は違う。マニアじゃない。・・・あの人たちは旅行ができるからこの部活に入ったって言ってたじゃん。でも私は入るならそんな理由で鉄研(てっけん)に入らない。私は言っちゃえばマニアなの。」

「ならなおさら・・・。」

「でも、女の子が鉄研(てっけん)とかそういう部活に入っていいのかって。」

一度降りた階段をまた上る。

「そんなの関係ないよ。なんに興味持とうが、どんな部活に入ろうがそれはその人の自由だろ。木ノ本(きのもと)が好きなようにすればいい。」

「・・・。」

「もし入りたくないなって思ったら、中学で入ってた部活にでも行けばいいじゃん。もちろん、その部活が自分にとって楽しければの話だけど。」

今度は上った階段を下りる。

永島(ながしま)君。ありがとう。ようやっとどうすればいいか分かったよ。」

「そう。んじゃあサイナラ。」

階段を下りてさっきの勢いで帰っていった。ステージの向こう側にチラッとその姿を捉えて、

(なんに興味持とうがその人の自由かぁ。)

 翌日。

(らん)。ちょっといい。」

「何。木ノ本(きのもと)。入りたい部活でも決まった。」

「うん。私鉄研(てっけん)はいる。」

「・・・。やっぱり。そうだよね。ソフト部来たって木ノ本(きのもと)にはきついだけだもんね。」

「まあね。そういえば、さくらはどうするって。」

留萌(るもい)はソフト部入るだって。まあるもいを辞めて鉄研(てっけん)に行きそうなところはあるけどね。」

「・・・。」

しばらく友達の室蘭友紀(むろらんゆき)を見つめた。

「どうした。あたしの顔になんかついてる。」

「ううん。なんか(らん)はこうなること分かってたのかなぁって。」

「分かったかぁ。分かってたらあたしは神だね。・・・でも、そうなるのかなぁ。木ノ本(きのもと)中学に入ってからだんだん元気がなくなってきたじゃん。だから木ノ本(きのもと)が好きな鉄道でどうにかなるかなぁってね。」

「やっぱり分かってたじゃん。」

「いや、でも女子の入る部活じゃないって敬遠(けいえん)するとは思ってたけどね。最初はマジで敬遠してたし・・・。」

「途中経過はダメダメでも結果オーライだろ。」

「だな。・・・鉄研(てっけん)入るからには楽しんでこいよ。そこでいい彼氏とかもできるだろうし。」

「さぁそれはどうかな。」

「まさか、もういるとか。」

「えっ・・・。い・・・今はいないよ。」

「まあ今はそんな話どうでもいいか。」

話は授業によりここで中断にされた。でも伝えたいことはちゃんと伝わっているだろう。

 その後木ノ本(きのもと)はもう一人の親友留萌(るもい)さくらにも鉄研(てっけん)に入るということを伝え、同日。部活登録届を提出した。

 その頃5組では・・・。

永島(ながしま)。今日は出しといたほうがよかったんじゃないのか。」

「確かにそうかもな。でもどんな奴でも続いて1か月だろ。早い奴は三日坊主で終わるにきまってる。」

「お前の場合はやらずじまいだもんな。」

「だってやりたくないもん。あんなのやるくらいなら家でずっと模型いじってるほうが楽しい。俺がここに来た理由は・・・。」

鉄研(てっけん)やるためであって、勉強は二の次だろ。それは分かってるけど、出さなかったやつお前だけみたいだったから絶対ホームルームの時にたたかれるぜ。」

「たたかれようがどうってことねぇよ。ていうかそれで定期テスト俺の上に行ってくれるやつがいれば俺にとっては大歓迎だけどな。」

「それは、俺か。それとも、また未知の人間か。」

「できれば、お前。」

「ないな。お前の上あきらめたわけじゃないけど、絶望的だと思う。」

 宿毛(すくも)の言ったことは当たった。

永島(ながしま)。お前だけだぞ。ノート3ページ出してないのは。お前はできるんだからこれやってもっと上狙うべきだ。」

(狙い気ないのに。)

「はい。じゃあ、さらっとやって持ってきます。」

とか、適当に返事をしておいた。

「あれ言ったら余計ヤバいんじゃないか。」

「ヤバいな。でも出す気はない。死ぬから。」

「その死ぬっていうのは当たってるな。俺もう9ページやって出してるんだけど、あの9ページだけでもしんどいって思った。あれは永島(ながしま)の言うとおり続く人でも1か月だと思う。」

「だろ。やらないでもそれが伝わってくるんだから異常だって。それならノート代を払わずに自分の小遣いにしたほうがよっぽど賢い。」

永島(ながしま)にとってはそれが賢い選択なんだな。)

「つうか宿毛(すくも)はあれやり続けるの。」

「あれ1冊終わるまではな。それ以降はやれない。つうかやらないと思う。」

「そう。んじゃあ。俺今日も鉄研(てっけん)やってくから。」

「おう。じゃあな。」

その後ろ姿を見送っている間

永島(ながしま)のやつ。鉄研(てっけん)あるっていう日だけ元気だな。坂口(さかぐち)と一緒じゃなくなったからか。いや。そんなことあまり首ツッコまないほうがいいか。あいつの選んだ道だし。)

 その頃宗谷学園(そうやがくえん)では・・・、

(もえ)ちゃん。今日何か部活見てく。」

「それだったら(あや)だけで行けば。私情報部に入る気もないし。」

荷物をまとめて、カバンを背負う。すると、すたすた昇降口のほうへ歩いて行った。その後ろ姿を磯部(いそべ)端岡(はしおか)が見送る。

(もえ)ちゃんどうしちゃったんだろう。情報部にも愛想つかしっちゃったのかなぁ。」

「そうじゃないの。」

「ナガシィ君と一緒じゃないから。」

「それかなぁ。あたしはもっと別な理由だと思うけど。」

「例えば。」

「・・・。すぐには思いつかないって。(もえ)の考えるパターンって永島(ながしま)君でないと分かんないくらいだと思うし。」

「そこまでかなぁ。」

「そこまでじゃない。つか話ズレてる。あたしが思うにもう部活には入りたくないんじゃないの。なんかに専念したいっていうのかなぁ。そんなこと読み取れるんだよねぇ。」

「なんかに専念したいって。何に専念する気よ。ナガシィ君との恋愛。」

「それじゃないと思う。永島(ながしま)君のことはそっちのけじゃないのは分かるんだけど・・・。」

(私ってこれからどうすればいいの。ナガシィと同じ進路に行くためには観光系の専門学校かなんかよねぇ。でも、どの学校に行けばいいの。それが全然分かんない。少なくとも浜松にあるっていう国際観光と大原はなしね。あんなところ言ったってろくなものにはなれない。なんかナガシィには知られたくないし・・・。どうすれば・・・。)

 またその日の放課後。鉄研(てっけん)の部室にさらに3人が押し掛けた。その3人は全員中学生で名前は背が高い順に諫早轟輝(いさはやごうき)空河大樹(そらかわだいき)朝風琢哉(あさかぜたくや)だそうだ。

「じゃあ、あだ名はイサタン、ソラタン、アサタンでいいね。」

「えっ。それはどう・・。」

「新入部員に拒否権(きょひけん)はない。」

ナヨロン先輩が言っていた強制的というのはこういうことか。

「で、みんな何に詳しい。」

「僕は模型鉄(もけいてつ)ですから、それなりに電車のことは分かってますけど。」

まず諫早(いさはや)が口を開いた。それに続いて、空河(そらかわ)がディーゼルに詳しいと言い、朝風(あさかぜ)寝台特急(しんだいとっきゅう)に詳しいと言った。

「みんなそれぞれ詳しいものがあるんだな。」

木ノ本(きのもと)が傍らでつぶやいた。

「なんだ。自分には詳しいものはありませんみたいな言い方してるけど。」

「今はね。昔は寝台特急とか新幹線とかはだいたい分かってたんだけどね。小学校の3年生くらいになった時から女の子がこれに興味持ってていいのかなって考え始めてからはどんどん忘れてって、今分かるのは新幹線の形式か特急の名前だけ。」

「まあ鉄研(てっけん)に入ってて新幹線が分かんないんじゃ絶望的(ぜつぼうてき)だからな。」

「何。ナガシィ。新幹線分かってなきゃ絶望的か。」

会話を聞いていた善知鳥(うとう)先輩(せんぱい)が自分の頭に手を置いた。そして、強く握る。

「いや、そういう意味じゃなくて、0系とか「こだま」とか。それぐらいは分かってた方がいいってことです。」

「ごめんね、ナガシィ。あたしには0系も「こだま」も分かんないから。」

「いやそれでも「こだま」、「ひかり」、「のぞみ」くらいは分かってた方がいいですよ。日本人として。」

「何。ハルナンもそう思ってるのか。じゃあ、「こだま」とか分かってなきゃ日本人(にほんじん)失格(しっかく)ってこと。」

「まあ、簡単に言えば・・・。」

「言っちゃうの。」

僕はこう答えたが、先輩たち。特に3年生は当然というような顔をしていた。

「・・・まぁ言われてもしょうがないとは思ってるけどね。膳所(ぜぜ)さんや青木(おおぎ)さんにもそう言われたからなぁ。でもね、覚えられれば苦労しないわけよ。どうやったらナヨロンみたいにオタク化できるか分かんない。」

「おい。オタクって言うなオタクって。少なくともマニアの領域で止めといてくれない。」

「だってナヨロン完全にオタクじゃん。SL(エスエル)のボイラーの形とかが違うからこれはなんとかっていうことふつうの人間が解るか。」

「それはお前の出してる例がマニアックすぎるだけ。いくら電車知らない人間でも1964年10月1日に東海道新幹線(とうかいどうしんかんせん)東京(とうきょう)新大阪間(しんおおさかかん)515.4キロが開業したことくらいは分かるだろ。」

今度はアヤケン先輩が口をはさむ。

「あのう。そこのなんていうか分かんない先輩。いくらなんでも総延長は分かんないって。」

諫早(いさはや)も話に入ってくる。

「少なくとも、1964年10月1日に東海道新幹線(とうかいどうしんかんせん)が開業して、東京(とうきょう)新大阪(しんおおさか)間が「ひかり」で3時間。「こだま」で4時間になったっていうは知っとくべきでしょ。」

所要時間(しょようじかん)なんてド素人が解るかよ。だったらまだ総延長のほうがハードル低いって。」

「アヤケン先輩も諫早(いさはや)もやめろよ。1964年10月1日までは一般常識としてその先は2人ともマニアックだ。」

木ノ本(きのもと)が止めに入る。

「だから、開業当時(かいぎょうとうじ)最高速度(さいこうそくど)210km/h(キロ)から始めたって言った方が分かりやすいだろ。」

「やめんか。アヤケンと諫早(いさはや)が話に入ったから話がこじれてるだろ。だから・・・。」

「サヤ先輩まで辞めてください。余計話がややこしくなります。」

僕が止めに入ってようやっと話が収まった。その後はまたまた電車の話で持ちきりにはならず、面白話で持ちきり。6時になるまで部室でバカ騒ぎ。木ノ本(きのもと)の話では先輩達は7時までバカ騒ぎらしい。でも、その時間までこの状態が続いても暇じゃないのはすぐに想像できる。


今回からの登場人物

端岡夏紀(はしおかなつき)  誕生日 1994年2月21日  血液型 O型 身長 164cm

磯部綾(いそべあや)   誕生日 1993年11月3日  血液型 A型 身長 147cm

諫早(いさはや)轟輝(ごうき) 誕生日 1996年11月17日  血液型 O型  身長 159cm

空河(そらかわ)大樹(だいき) 誕生日 1997年2月10日  血液型 O型  身長 151cm

朝風(あさかぜ)琢哉(たくや) 誕生日 1996年5月8日   血液型 AB型  身長 147cm

このやり取りって知ってる人でないとウケないかなぁ・・・。

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