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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:2
66/184

66列車 激怒

 潮ノ谷(しおのや)が入部して6日。5月6日。今日は学校のハイエースに荷物を詰め込み終了。そして、翌日・・・、

「じゃあ、気を付けて帰るように。さようなら。」

2年6組担任鳥栖(とす)先生の短いホームルームを経て、僕は教室の外に出た。

永島(ながしま)。今日は個人個人でクリエイトに行けばいいんだよねぇ。」

木ノ本(きのもと)が聞いてきた。

「ああ。」

僕はその問いに移動しながら答える。一番早く発車するバスは23分。今の時刻は15分。発車まではあと8分あるが、バスはこんなの無視してやってくる。もたもたしてると乗り遅れる。そして、同じ岸川に通っているバスグループで混んでしまう。

 昇降口を出て、門の外までダッシュ。門を出て左手すぐのところにあるバス停に着いた。バス停の隣には今どこにバスがいるのかという表示が出ている。バスは今このバス停の前ととうバス停の間にいる。すぐにその姿も視界にとらえた。

 バスはバス停に止まろうとしているところでドアを開いた。

市役所(しやくしょ)経由(けいゆ)浜松駅(はままつえき)行きです。整理券をお取りください。」

バスで通学している人には聞きなれたアナウンスが流れる。乗ったのは僕を入れて6人。その6人が乗車し終わるのを確認してドアが閉まる。後から来た人はもちろん置いてけぼりだ。

 市役所までコマを進めて、そこで降りる。この次は歩くだけ。目的地のクリエイト浜松は前述したとおり遠州鉄道(えんてつ)遠州病院(えんしゅうびょういん)駅の近く。そこまで行くためにはバスを使ってもいいが、この場合は歩いたほうが早いし、歩くのは別に苦痛なことではない。市役所バス停を降りて右側に歩きだし、最初の交差点を左に曲がる。そのあと道は少し下る。この位置から遠くを見てみると遠州鉄道(えんてつ)の高架橋が見えた。

永島(ながしま)先輩。」

後ろから呼ばれた。その方向を向いてみると見慣れた顔が4つある。柊木(ひいらぎ)たちだ。

永島(ながしま)先輩早いですねぇ。」

柊木(ひいらぎ)は僕によって来るとこう言った。

永島(ながしま)(つばさ)。」

また後ろから呼ばれる。今度は木ノ本(きのもと)だった。言ってなかったが、さっきバスで浜松城公園付近で抜いたのだ。

木ノ本(きのもと)先輩自転車こぐのに必死でしたね。」

「なんだと。そういうこと気づいてたなら、先輩に大丈夫ですかとかって声かけるのが筋ってもんだろ。」

木ノ本(きのもと)はそう言いながら柊木(ひいらぎ)の首を絞めた。

「ちょっと木ノ本(きのもと)先輩やめてください。」

「・・・。榛名(はるな)先輩も冗談はそこまでにして早くいきましょう。」

(はやぶさ)が促して、クリエイトまでの道を急ぐ。木ノ本(きのもと)は先に自転車でクリエイトのほうまで行った。

 ついてみると何とやらだ。確かに遠州病院(えんしゅうびょういん)の近く・・・。遠州病院(えんしゅうびょういん)を降りて、左手すぐ。そこがクリエイト浜松だった。

 荷物の搬入口でハイエースの到着を待つ。今日アド先生の7時間目の授業はない。到着はすぐのはずだ。待っている間に佐久間(さくま)醒ヶ井(さめがい)箕島(みしま)が到着。留萌(るもい)は今日死んで(休んで)いるらしい。そのため来ていない。

 しばらくしてハイエースが到着する。搬入口の奥のほうへつけて、僕たちが荷物をスムーズに中に運び込めるように車を止める。車が止まるのを待って僕たちは運ぶ作業に取り掛かった。この箱はすべてコンテナ輸送のために補強工事を行っている。特に「上野駅(うえのえき)」の入った木の箱とピザ(コーナー)の入った白の箱は横化後ろ側に気の板が貼ってあって補強してある。この前よりも持ちづらくなっているのだ。

 まずその箱を中に運び込む。まず細い通路を通ってその次に建物と建物の間にある入口を通り、ホールらしきところに運び込む。数段の階段があってその中に置くのだ。ここのホールはそんなに広くはなさそうだ。西側はバリアフリー対応のスロープが付いていて、東側の端にはピアノが置いてある。そしてスロープと東側の壁には所狭しに椅子が配置されている。そんなところだった。そのあとは休んでもいられない。木の箱が終わったら次は白いケースの入ったモジュール。それを運び終わったら次は学校で考えた配線をしなければならない。それと並行して、2階から机を運び出す。机の収納頃に乗っかったまま1階のホールまで運び、そこで机を出す。それが完了したら、配線だ。

 まず「上野駅(うえのえき)」を出す。この「上野駅(うえのえき)」は4枚のモジュール。これの位置を決めて配置を行う。

上野駅(うえのえき)がそこに来たから、その反対側が「青木海岸(おおぎかいがん)」でいいのか。」

箕島(みしま)がつぶやいて、

柊木(ひいらぎ)。そこの白いケースの中に入ってるモジュール出して。」

と指示を出した。でも柊木(ひいらぎ)はどれがどれだかわからないらしい。

「えっと。これと、これと、これと、これ。」

僕が位置を示した。

「はい。分かりまし・・・。」

柊木(ひいらぎ)は何か上のもので頭を閊えていた。

「僕が運びます。」

潮ノ谷(しおのや)が手を伸ばして、言われたうちの二つを運んで行った。

「あとはこれも運んでって。」

北石(きたいし)にも指示を出した。

永島(ながしま)先輩。ちょっとここお願いします。」

(はやぶさ)に呼ばれた。

「何。どうした。」

行ってみるとモジュールとモジュールとつなげる作業をしていた。だが、その高さが違うそうなのだ。

「分かった。まかせろ。」

その場所を変わって連結作業に入る。他のところはモジュールを大体つなげ終わっているか仮置き状態である。ここにはもうフィーダーが埋め込まれていることから作業を進行してもいい。

「はー。」

声を上げて、モジュール同士をつなげ合わせる。だが、一声だけではつながってくれない。

「この野郎。つながれボケー。」

さらに言葉を続ける。しかし、まだつながってくれない。

「こらぁ。物体のくせに。反抗するんじゃねぇー。」

「うるさいだろ。ちょっと黙れ。」

(黙れ・・・。)

その言葉に僕の声が消える。衝撃だった。ふと顔を上げると佐久間(さくま)がこちらをにらんでいる。

「ちょっと黙れよ。ここに来てるのは俺たちだけじゃねぇんだよ。ちょっとは時と場合を考えろ。」

と言ったのはここに他の部活動や生徒会のメンツも来ているからだ。

「ああ。」

僕は佐久間(さくま)をにらみ返す。やっていることは小学生レベルなことも分かっているが・・・。

「なんだよ。それのどこが悪い。」

「悪いじゃなくて・・・。お前も高校生ならわかるだろ。時と場所位わきまえるってことが。」

分からないことはない。だが・・・。

「・・・。」

言い返す言葉が見つからない。しばらく口を強くつぐんでいた。

佐久間(さくま)の言うとおりだ。ちょっとは考えたほうがいい。お前が声出したいのは自由だけど、一緒にいる俺たちが恥ずかしいんだ。そういうことちゃんと考えろよ。」

箕島(みしま)が口を開く。

「・・・。」

「しゃべるななんて言わないよ。でも、しゃべるならもっと声を抑えろって言ってるんだ。」

(しゃべるなら・・・。抑えろ・・・。)

一番聞きたくない。

「やめろ。」

佐久間(さくま)が続けようとしたのかはわからない。いや、分かりたくもないと思った。もし言いだすのなら、僕はその言葉を遮ったことになる。

「分かったのか。」

「・・・。分からないわけじゃない・・・。でも、分かりたくもない。」

「なんでだよ。なんで分からないんだよ。」

佐久間(さくま)は僕の胸ぐらをつかもうとする。

「やめろ。お前の顔なんか見たくもない。それに、いまこんなことやったらダメだろ。」

言葉を続ける。だが、向こうを引き下がろうとしない。何十秒間がそのままいがみ合っている状態が続いた。

 このままいがみ合っていても仕方がない。全員元の仕事に戻って作業を再開する。

(なんだよ。なんでここであんなの思い出さなきゃいけないんだよ。あいつのことは思い出したくもない。)

記憶の中にある古い引き出しが開けかかっていた。僕はそれを必死に閉めようとしている。小さい子にありがちなことらしいが、それはどうでもいい。この後気持ちが乗らないままだった。準備し終わって、今日の部活動は終了。すぐに遠州病院(えんしゅうびょういん)にホームに駆け上がり、電車を待った。すぐに来た車両は1000形。第3編成。朝は2004だったからこれでもいいかと思い乗車する。乗車していつもの位置に行こうとしたが、そこには先客がいる。その人がこちらを向くと・・・。

「よーす。蒲谷(かまたに)。」

と声をかけた。蒲谷(かまたに)は小学校中学の同級生。実際に同じクラスになったのは6年生の時。その時には学年中に僕イコール鉄道少年で通っていた。蒲谷(かまたに)は隠れ女子鉄だった。そのためよく(もえ)と話していたということもあった。

「ナガシィ君。久しぶり。」

彼女はそういうと占領状態にしていた前方を見ることのできるスペースを半分くらい開けた。

「ありがとう。」

そう言って荷物を置く。

「ナガシィ君にいいもの見せてあげる。」

と言って彼女はカバンの中に手を突っ込み何かを探す。目的のものが見つかったらしくそれを取り出した。取り出したのはアルバムだ。

「これ。ナガシィ君ならほとんどわかるよねぇ。」

ぱらぱらとページをめくる。するとその意味が分かった気がする。時折見たことないものが混ざっているだけだ。中には「ドクターイエロー」など分かりやすいものもある。

「あっ。223系だ。」

「それわざわざ選んでとってきたんだよ。ナガシィ君が好きなのって1000番台のほうだよね。」

「ああ。でも、「かもめ」は撮ってきてないんだな。」

「・・・。いくらあたしの名前がかもめだからってそんなギャグにはしないわよ。」

「・・・。」

普段だったら弾む会話なのだが・・・。

「どうした。なんか嫌なことでもあったのか。」

蒲谷(かまたに)は僕の顔を覗き込んだ。

「別に・・・。」

「そんなわけないだろ。(もえ)が言ってたけどナガシィ君はよく顔に出るって。」

「そのつもりはないんだけどなぁ。」

「何あったか吐きなさいよ。」

「・・・。」

しばらくお互い見つめあっているだけになった。言いたくないということを察したらしく、

「昨日さぁ、「さくら」撮ってから学校行こうとしたら遅刻しそうになった。」

と話題を変えた。

「何してから学校いことしたんだよ。」

「いやぁ、だって「さくら」って8時08分でしょ。これくらいしないと撮れないなぁって思って。」

「で、学校には遅刻しそうになったってことは間に合ったんだよなぁ。」

「うん。8時29分に学校に着いた。それから教室に飛び込んだのが8時31分で・・・。」

「完璧遅刻じゃん。」

「でも、先生いなかったから助かった。」

「ふぅん。でも、その写真こんなかには・・・。」

「カメラで撮ったんじゃないって。携帯で撮ったの。見る。」

「うん。見せて。」

写真は見せてもらったが、乗らないというのが本音だった。蒲谷(かまたに)の持っているスマートフォンには他にもいろんな鉄道写真が収められていた。

 翌日。5月8日。クリエイト展。

永島(ながしま)E231系(これ)内回りに出して。」

箕島(みしま)からその箱を受け取る。

「ああ。」

箕島(みしま)からE231系「山手(やまのて)(せん)」の箱を受け取る。気が進まないままに並べる。

 並べ終わるとさっさと走る車両を変えて、今まで走っていた313系5000番台を片付ける。

「・・・。」

(昨日より静かだけど・・・。)

箕島(みしま)はちょっと引っかかっていた。昨日永島(ながしま)は「分かるけど、分かりたくもない」と言ったのだ。分かりたくもない割にはちょっとおとなしすぎる。まぁ、この方が自分たちにとっては都合がいいのだが・・・。

「今日はクリエイトで展示やってるって言ってたなぁ。」

2004を降りて独り言をいう。自分の携帯を開いてみると時間は10時00分。もうやってるよなぁと思い歩みを進める。

 入り口から入って展示を行っているほうに足を運ぶ。

「ナガシィ。」

駅の近くにいた永島(ながしま)に声をかけた。

「ああ。(もえ)。来てたのか。」

永島(ながしま)から返ってきた言葉はそれだけだった。いつもこれぐらいの言葉しか返ってこないが、今日は冷たすぎる。

(絶対何かあった。)

あたりを見回して木ノ本(きのもと)を探す。

(いた。)

彼女は駅の反対側のほうにいた。そっちに回って、

榛名(はるな)。ちょっといい。」

おもむろにそう言った。木ノ本(きのもと)はほかの人に断わって、ついてきてくれた。もちろん呼び出された方としては何か気になる。それを問うと、

「何したの。」

とまず返ってきた。

「ナガシィに何したの。」

強い口調でもう一度言う。このとき坂口(さかぐち)の頭の中には小学校の時のある出来事が思い出されていた。


今回からの登場人物

蒲谷(かまたに)かもめ 誕生日 1993年7月1日 血液型 AB型 身長 168cm

これのルビ機能のルビの付き方に腹が立ちます。

個人的後書きですみません。


永島がすごく子供なのは作者が子供だからです。いつでも子供的考え方って必要なときありますね。特にストーリー考える時とか。

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