表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
58/184

58列車 カオスギャグ

 翌日15日。折尾町(おりおちょう)公会堂(こうかいどう)での展示。この日は折尾町(おりおちょう)のお祭りで鉄研部としてはそれに招待される形で展示を行うのだ。もちろん呼ばれたからには呼ばれたなりのことをしなければならない。その一つが新幹線(しんかんせん)の運転体験である。これは中学生が担当することになった。担当は空河(そらかわ)朝風(あさかぜ)だ。中で新幹線(しんかんせん)の車両の取り換えを行っているのが留萌(るもい)だ。そして新幹線(しんかんせん)を囲むように通している在来線の担当は僕と箕島(みしま)諫早(いさはや)木ノ本(きのもと)醒ヶ井(さめがい)佐久間(さくま)は外回りの担当だ。

「今は373系が動いてるからいいけど、その次には何にするんだ。」

「まだ早いだろ。まだ走らせ始めて10分くらいしかたってない。もう5分10分走らせとこうぜ。それくらいになったら考えよう。」

箕島(みしま)は車両の入れ替えは基本20分単位。だから走らせる車両のバリエーションが減ったのだ。だからいつも持ってきている車両が走らせないまま終わるということもある。特に国鉄車などは肩が狭い。ナヨロン先輩がいたときはよく遊ばれていたのに・・・。それだけナヨロン先輩のほうが進めるのが早かったということなのだろうか。家でいつもゆったりと走っている車両を眺めているが、文化祭の時に退官した速さを見ると今の速さがどうしても遅く感じてしまう。その分何を走らせるのかのイメージをわかせることができるが、その通りにならないというのがふつうになってしまった。

「次は223系と321系でいいだろ。」

(223系ってあの播州赤穂(ばんしゅうあこう)行きだよなぁ。)

「ああ。それでいいよ。」

今日は1000番台(223系)も持ってきていない。2000番台(223系)の後釜はない。走るのかどうかは知らないが、これで走らなかったら・・・。

「じゃあ、それ外回りに入れて。」

「ああ。」

箕島(みしま)に手渡されて、箱を開ける。箕島(みしま)は321系の1号車(クハ320形)を僕がいるほうに向けて並べている。

(編成無視っていうより、方向無視だな。)

心の中でつぶやきながらクモハ223形をレールに置いた。

 それを回して、九州に行って、北海道まで飛んで、東日本に飛ぶ。その次に国鉄に飛んだ。内回りを走っている車両は国鉄のキハ81系。日本のディーゼル特急界の礎を築いた車両で、全国にディーゼル特急のネットワークを広げていった車両の仲間だ。外回りを走っている車両は通勤電車72系。車両は茶色でドアは片開き。窓は3段窓になっている。この3段窓は空襲対策の名残なのだ。

「・・・。空河(そらかわ)。外回りとめて。」

72系がいきなりガリガリガリという音が聞こえるようになった。ガリガリっといっているのは脱線したかで、走っている速度のまま車輪が枕木(まくらぎ)の凹凸にあたっているからだ。すぐに列車が止まり、僕は復旧作業(ふっきゅうさぎょう)に入る。復旧が完了すると「行ってよし。」と合図を送る。だが、また同じ位置に来たところでまた脱線した。同じようにまた復旧作業(ふっきゅうさぎょう)。3周目も同じところで脱線した。

「なんで脱線するんだよ。」

脱線する72系にキレ気味に話しかける。脱線した車両を観察してみると運転室よりの車輪がちゃんとはまっていないことに気付いた。

(なるほど。これで毎回脱線するんだな。)

車輪を書きだすようにして外し、再び元に戻す。ちゃんとはまったことを確認して線路上に戻した。次の周回からは脱線することはなくなり、僕は空河(そらかわ)に原因を話した。

 善知鳥(うとう)先輩たちは子供たちの世話が嫌だと言っていたが、その理由も分かる。暁フェスタの時にはあった車両を抑えつけて脱線させるなどと言った子供もいなかったためここの展示はそう大変ではなかった。

 ここの展示が終わると部活としての活動はほとんどない。ここから3月まではちょこちょこと活動があるだけ。それ以外の日は暇になるのだ。

 そうなってから数日・・・、

「うーん。次は何走らせるかなぁ。」

独り言を言った。こういうときは独り言を言いながら運転をするというのが一番だ。これは半分変人扱いされるかもしれないが、こうしないと少し落ち着かないというのが僕の実情だ。

「そういえばここにコキ50000形のコンテナ貨車あったよなぁ。」

車両庫のほうに行って父の箱の中から該当するものを探す。コキ50000形というのは皆さんが駅で見たりすることがある貨物列車(かもつれっしゃ)の荷物が載せてあるほうだ。1両に40t位の荷物を載せることができ、それを機関車により100km/h(キロ)で高速牽引される。

「うーん。こいつの牽引って言ったらEF510(レッドサンダー)なのかなぁ。ナヨロン先輩そっちのほうがいいって言ってたし。」

今度は機関車が入っている箱を探す。EF510(レッドサンダー)が入っている箱は駿(しゅん)兄ちゃんの箱。その中からEF510(レッドサンダー)を探し出す。機関車の側面には「RED(レッド) THUNDER(サンダー)」というエンブレムもある。このところのJR貨物の機関車にありがちなデザインだ。

「・・・。いくらつなげるって言っても20両くらいだよなぁ。それ以上連結したやつもあるにはあるけど・・・。コキ50000の数が足りない・・・。それも2両。」

(くそゴミだなぁ。)

しばらくどうすれば26両になるか考える。

(そうだ。コキ100を2両連結すれば26両になるけど・・・カプラー違うし。父ちゃんカプラーTN化しなかったんだ。)

「・・・。うーん。」

(これやめた。やっぱりコキ100で26両やろ。)

という結論に達した。牽引はEF510(レッドサンダー)。その次位はどうしようか迷ったが、EF81をつなげて回送ということはしないことにした。

 コキを貨物駅に並べているとドアが開いた。来たのは駿(しゅん)兄ちゃんだ。

駿(しゅん)兄ちゃん。」

「よーす。(とも)。」

軽くあいさつ。駿(しゅん)兄ちゃんはいま並べている貨物列車(かもつれっしゃ)を見て、

(とも)。ちょっと意外なこと聞かせてやる。」

と言った。

(意外なこと。なんだろう。)

駿(しゅん)兄ちゃんは携帯(ケータイ)のボイスレコーダーでとった録音を聞かせてくれた。

「間もなく3番乗り場に貨物列車(かもつれっしゃ)が・・します。黄色い線の内側までお下がりください。フォー。」

このときアナウンスは「・・します」といった。

「えっ。」

その声に耳を疑った。もう一度聞かせてと言って再生させてもらう。だが、何度聞いてもアナウンスは「貨物列車(かもつれっしゃ)が通過します。」とはいっていない。「貨物列車(かもつれっしゃ)が停車します。」と言っているのだ。

「・・・。」

「そうなるのは分かるよ。俺だって嘘言ってるのかと思ったくらいだよ。」

今度は別のテープを再生してくれた。

「フォン、フォ、フォ、フォ、フォ、フォ、フォ、フォ、フォフォーン、フォフォーン。3番乗り場から貨物列車(かもつれっしゃ)が発車します。ご注意ください。」

フォというところで表したのは発車メロディー。そのあと明らかに「発車します」と言っている。列車はふつうに乗れる旅客列車ではない。こんなのがふつうの駅に停車するということが実際あるらしいのだ。

「こんなのって・・・。本当にあったの。」

「うーん。じゃあ、これのほうが説得力あるかなぁ。」

と言って今度は携帯(ケータイ)の写真を再生してくれた。映っていたのはコンテナ貨車だけだった。駅の電気によってうつりは悪いが、全体的に写真がブレいていないことは分かる。

「これって秒撮したんじゃないの。」

「確かにそう思うかもな。だけど考えてみろ。ふつう携帯(ケータイ)で秒撮なんてできない。どうしても景色か車両のどっちかがブレルことになるからな。」

「・・・。」

「やっぱり動画のほうがもっと説得力あったかなぁ。ビデオとか持ってかなかったからなぁ。今度行ったときはそれ撮って来るよ。」

と言ったが、

(パソコン。)

(とも)。あれちょっと使っていいか。」

「えっ。いいけど。」

駿(しゅん)兄ちゃんはすぐにパソコンを立ち上げ、動画サイトを開いた。検索で敦賀(つるが)駅とかけて、動画を絞る。するとその中にちゃんとあった。牽引はEF510(レッドサンダー)で敦賀(つるが)駅の5番線から発車していく動画だった。

「・・・。」

「なっ。いかに東海道(とうかいどう)本線(ほんせん)がせわしないかわかるなぁ。」

独り言のように言った。

 僕はその動画を見るとすぐに周回の中に戻った。列車を貨物駅から発車させて、しばらく放っておく。

(牽引はちょうどEF510(レッドサンダー)・・・。ならいける。)

普段だったらサウンドコントローラーの駅アナウンスという機能を使うところだが、ここはあえて反抗することにしよう。

「間もなく1番線に貨物列車(かもつれっしゃ)が停車します。黄色い線の内側まで下がってお待ちください。」

「おいおい。それはEF510(レッドサンダー)・・・。あっ。これだからか。」

多分それはEF510(レッドサンダー)でなければできないと言おうと思ったが牽引している機関車がそれだからやめたのだろう。

 僕はいつも電車を止めている要領で1番線の一番端まで機関車に牽引させる。徐々にスピードを落として停車させる態勢をとり、機関車がホームからはみ出すところで停車させた。停車位置がずれてないかとツッコミを入れたくなるかもしれないが、機関車などではこのような停車方法がふつうというところだってある。

 停車して10秒ほど経つと、

「1番線から貨物列車(かもつれっしゃ)が発車します。ご注意ください。」

コントローラーのブレーキを解除。マスコンを入れて常点灯をちょっとあげる。走りだしたらすぐに0に戻した。後は走っていくEF510(レッドサンダー)に任せるだけ。徐々にスピードを上げていった。

 またしばらく放っておいて、

「間もなく1番線をオープンタイプの列車が通過します。黄色い線の内側まで下がってお待ちください。足元白色。丸印。1番から26番で2列に並んでお待ちください。」

今度は駿(しゅん)兄ちゃんが言った。

オープンタイプと言った意味はすぐに分かった。コキ100形などのコンテナ貨車はコンテナを積んで初めて3メートルくらいの高さになる。普段コンテナを積んでいない貨車は人間の腰から少し高い位置の高さしかない。ホームから見る高さで言えば、ホームと同じ高さの位置。つまり乗ろうと思えば乗れるのだ。

「なおところどころコンテナを積んでいる個所がございます。乗車の際コンテナにご注意ください。」

さらに続ける。

 僕は速度を落とさずにホームを通過した。

「バカ野郎。少し速度落としてやれよ。おかげで列車まってた100人中85人がグシャってなったじゃねぇか。」

「あーあ。コンテナが血まみれ。ていうか26両に100人って需要なさすぎじゃない。もうちょっと増やして2600人ぐらいとか。」

東京(とうきょう)じゃないんだからそんな人数乗るわけないだろ。それプラスオープンタイプ。何百人単位でコキから落ちるだろ。」

「・・・。」

(もっと面白いの考えてやる。)

そう思いながらまた一周させる。

「間もなく1番線を貨物列車(かもつれっしゃ)が通過します。ご利用の方は黄色い線の外側までお進みください。」

「違う。間もなく1番線を貨物列車(かもつれっしゃ)が通過します。黄色い線の内側までお下がりください。ご乗車の際高電圧にご注意ください。」

高電圧とは架線にかかっている直流1500V(ボルト)か交流20000V(ボルト)のことである。

「うーん。駿(しゅん)兄ちゃん考えたな。跳躍してコンテナの上に乗ろうっていう算段かぁ。」

と言っている間に列車は駅を通過。また一周させる。

「間もなく1番線を貨物列車(かもつれっしゃ)が通過します。黄色い線の内側までお下がりください。ご乗車の方は魚にご注意ください。」

「えっ。」

これの意味は分からなかった。なぜ魚なのか・・・。

「だって貨物列車(かもつれっしゃ)が運ぶのは八朔とかだけじゃないぜ。魚だって運ぶぞ。」

「だからって生のまま運ぶってどこまでバカなんだよ。」

「あとこれだって行けるぜ。貨物列車(かもつれっしゃ)が通過します。ご利用の方は油にご注意ください。」

油とは石油のことだ。

「・・・。はっ。間もなく1番線を貨物列車(かもつれっしゃ)が通過します。黄色い線の内側までお下がりください。ご利用の方はトイレットペーパーにご注意ください。」

「なるほどな。ワムか。」

こんな感じで僕たちにしか通じないギャグを何連発も考えた。例えば・・・車内への危険物の持ち込みは禁止されておりません。そして持ち込んでいいものは核爆弾オンリー。こんな物騒なこと以外に浜松(はままつ)東海道本線(とうかいどうほんせん)北陸本線(ほくりくほんせんせん)信越本線(しんえつほんせん)上越線(じょうえつせん)高崎線(たかさきせん)湘南新宿(しょうなんしんじゅく)ライン経由浜松(はままつ)行き各駅停車など。ものすごく無駄に長い列車なども考えた。

 鉄道マニアにとって鉄道とは何か。それは現実を楽しむところであり、現実と大きく違う世界を想像するものだと僕は思う。


「貨物列車が停車します。」はマジです。


話が変わりますが、このごろ思うものがあります。

僕にないのは経験と文才です。

しかし、経験豊富だからこういうものが描けるのであって、文才があるからこんなに書ける。と思う人が多いでしょう。説得力がありませんがこれは事実です。


ストーリーを投稿するとき一度文面を確認して投稿していますが、確認しきれていない時があり、とても変な文面になっている個所があって、すみません。気づいたらこちらでも直していますが、おそらく直しきれていないかも・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ