51列車 違いを述べよ
その間・・・、
「永島さん。今度持ってくる車両なんかいるものありますか。」
諫早がそう聞いてきた。
「えっ。いる車両。・・・。諫早って何持ってたっけ。」
「223系の2000番台のパンタを全部シングルにしたやつと223系6000番台の網干と宮原。221系のモーターぶち抜いたやつ。後は313系の2500番台と211系5000番台。813系と285系「サンライズエクスプレス」14両とキハ85「ひだ」と383系「しなの」ですけど。」
全部どういうのかはわかる。
「やっぱりエントリーは宮原の223系6000番台かなぁ。また8両でお願い。後は・・・。」
自分の中で考えを広める。
(いえには223系1000番台と2000番台の新快速がそれぞれ12両である。だから223系のほうの問題はない。たけど大阪ならそれ以上も必要かぁ。ならなおさら、207系と321系のエントリーも必要だけど、それは学校にあった。だから321系を持ってくる必要はない。他には253系「ネックス」とかのエントリーかぁ。でも「ネックス」も学校の中にあったよなぁ。ああ、待て。確か学校のは動かない。やっぱり家から持ってくるしかないかぁ。後は寝台特急軍だけど・・・。何を持ってくるかなぁ。迷うなぁ。)
「あのう。他に必要なのは。」
「うーん。あっ。やっぱり網干の6000番台もエントリーして。」
「分かりました。じゃあ、自動的に221系もエントリーですね。」
「えっ。」
そう聞き返すとこの会話を聞いていた留萌が呆れたように話しかけてきた。
「永島はもうちょっと頭いいと思ってたけど、クソ天然じゃないか。いいか。網干にいる6000番台は性能を223系レベルから221系レベルの落としてあるの。そして、普段日常的に130出してる新快速の仕業には就かずにもっぱら普通で運用されてるわけ。その熱愛キスする相手が221系なの。」
(キスはキスでも熱愛って・・・。)
(熱愛キスかぁ。うまいこと言うかも留萌さんって。)
「あっ。そうだった。思い出した、思い出した。」
「やけに223系に詳しいなぁって思ってたけど詳しいのは1000番台と2000番台だけなのか。」
「いやあ。ほとんどの車両はどこがどう違うかくらいしか分かんない。」
(こいつに313系の違いを行ったらパンクするよねぇ。)
「だから100系も食堂車がついてたX編成と小窓の試作車とカフェテリアのついたG編成とダブルデッカー4つのV編成と6両のK編成と4両のP編成があることぐらいしか知らない。」
(・・・。十分知ってるじゃないか。100系だけでそれくらい知ってれば一時はOKだよ。)
「じゃあ、永島。当然のことを問うけど14系と24系の違いって何かわかる。」
これは寝台客車のことだ。
「14系は分散電源方式で、24系のほうは集中電源方式。」
「・・・。なら481系と483系と485系と489系の違い。」
すべて特急車両。そしてすべての形式において同じ顔をした車両がある。
「そりゃもう簡単。481系が交流20000ボルトの60ヘルツで、483系が50ヘルツ。485系は60ヘルツと50ヘルツ両方に対応してて、489系は峠越えの時にEF63と協調運転するための機器が485系に追加されてること。」
「・・・。なら、ED75の700番台とED79の違い。」
「えっ。」
これは知らない。そもそもED75の700番台って何・・・。
「うーん。ATCがついてるかついてないか・・・。」
「・・・。ぶっちゃけたな。でも、言ってることは間違ってないわ。」
(さすがにEF65のP型とF型の違いまで言ったらわからないかなぁ。)
「私が見る限り、少しは車両知識あるみたいだわ。基礎レベルの。」
「まぁ。ナヨロン先輩と話して詳しくなったようなもんだし。最初は313系の番台区分なんか言われても全然わからなかったけどなぁ。でも今なら少しは分かるようになったおかげさまで。」
(こいつ。いったい何に詳しい。)
「とごめん。話脱線しすぎたなぁ。」
僕は諫早とも話に戻した。
「じゃあ、家から持ってくるのは6000番台の網干と221系の網干と6000番台の宮原でいいんですね。」
「ああ。それでいいよ。」
諫早とも一件はこれで終了した。
「永島。」
この話が終わったら今度は木ノ本だ。
「何。」
「私これ買ったんだけどさぁ。」
と僕にKATOの車両ケースを見せた。横に書かれている文字は「EF510-500番台 北斗星色」。
「あっ。お前これ買ったんだ。」
「うん。使うかなぁって思って。」
(これで家から「カシオペア」を持ってくる必要はなくなったなぁ。持ってくるとすればEF81-133号機の「北斗星1号」札幌行きのほうか。)
「ああ。出来れば使いたいね。」
「で、そのためにこれをくみ上げてほしいんだけど。」
と言ってきた。ということはこれの前面には4つの小さな穴が開いているということだ。
「しょうがねぇなぁ。でも、いまピンセットみたいなのないし、明日学校で渡すでいいか。」
「・・・。それでいいよ。」
木ノ本の了承を得たのでこれは家に帰って組み上げることにした。でも、まだ家には帰れない。次の仕事をシナ先生が持ってくるからだ。
それから50分後。シナ先生の運転するバンが到着。時間は5時を過ぎている。だんだん外も暗くなってきている。そんな中でも作業をする。白いケースに入ったモジュールを2階に上げて作業終了・・・ではない。まだ仕事がある。今度はさっき運び上げた机を並べる番。モジュールを運び込んだほうの机を凹の形にその隣を四角い形状にする。さっき運び込んだ机とは別に最初からここに置いてあった机もある。その机も一緒に並べる。またその作業の最中に佐久間と醒ヶ井は運び込んだ階段のところに「いらっしゃいませ」の文字を張りに行った。はり終わったようで佐久間たちが戻ってくるか、変に笑っている。
「どうした。」
「ちょっと永島来てみ。」
佐久間に促されて階段の下まで降りてくる。すると上を見ろと言われたので上を見てみた。すると「いらっしゃませ」はずが「らっしゃいませ」になっている。
「なんじゃこりゃ。これじゃあ寿司屋じゃん。」
「だろ。やっぱりお前もそう思うだろ。」
(これで笑ってたのかよ。)
そんなこんなで18(6)時。
「あー。暑いー。」
醒ヶ井がブレザーをパタパタ動かして空気を入れ替える。制服の中に熱がこもっているのだ。
「じゃあ、野球拳でもする。」
「・・・。じゃあ、最初はグー、ジャンケンポン。」
結果は醒ヶ井の負け。その後5連戦やって・・・、
「おい。早くパンツ1枚になれよ。」
「醒ヶ井ここで脱ぐのか。それはもう変態だぞ。」
「あんたのパンツ1枚の姿なんか見たくないわ。」
「もういいんだよ。十分涼しくなったわ。」
その格好だが、ブレザーとワイシャツ以外脱いでいない。
「ねぇ永島。醒ヶ井がパンツ1枚になってくれないんだけど。」
「女子の前でそんな格好できるか。」
(そういえば。この部活って女子いたんだな・・・。)
「醒ヶ井。ルールはちゃんと守らなきゃダメでしょ。」
「守も何も限度っていうもんがあるだろ。」
時間がだんだん19時に近くなっていく、すると・・・、
「ねぇ、アド先生。飯おごってくださいよ。」
「えっ。あ、もうこんな時間だ。」
時計を見たサヤ先輩が時間に驚いている。
「へぇ。久しぶりにこの時間までいたような気がするなぁ。」
アヤケン先輩も1学期の時が懐かしそうな顔をした。
「アド先生飯―。」
善知鳥先輩いう。それに続いてサヤ先輩もアド先生に飯をおごるよう迫った。
「・・・。」
善知鳥先輩もサヤ先輩も「アド先生飯―。」と言いながら手を動かして作業を進行されている。何とも器用な先輩たちである。
「飯―ってなんだい。まずは仕事をしろ。仕事を。」
「やってますよ。だから飯―。」
さっきから善知鳥先輩は飯―としか言わなくなってきている。そのあとは5秒に1回の単位で「アド先生飯―。」と繰り返している。僕らもそれに便乗して、
「アド先生。飯―。」
佐久間が乗ってさらに留萌と木ノ本も乗った。それにつられるような形で僕も乗る。
なんだかんだで19時。
さっきの攻撃が効いたのかは知らないがアド先生のおごりで夕食のラーメンを食べた。その後・・・。
「永島君。君は遠江急行の鹿島駅に送っていけばいいかなぁ。」
と聞いてきた。
「いえ。遠江急行の芝本まで送ってってください。」
「・・・。はい。分かりました。じゃあ、当日は遠江急行の芝本に迎えにくればいいですか。」
「いえ。その時は遠州鉄道の芝本駅の近くにサークルエーがありますからそっちにお願いします。」
「分かった。ちょっとまたあとでまとめてくるから、詳しいことはその時でいいか。」
「はい。」
しばらく走って遠江急行芝本駅に来る。ここに自転車が置いてあるのだ。車を降りて、
「お疲れ様でーす。」
「永島。お疲れー。」
「永島。EF510。忘れないでよ。」
全員に見送られて、次は見送って別れた。
このレも濃い。
模型の仕業を考える場合、妥協してはいけません。そもそも、模型いじっている中で妥協して走らせているものほど格好悪いものはないのです。