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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
5/184

5列車 岸川高等学校鉄道研究部(KRC)

 その頃(もえ)が通い始めた宗谷学園(そうやがくえん)では・・・。

(もえ)の彼氏は当然鉄研(てっけん)入ったんだよねぇ。」

「入らなきゃ岸川に言った意味ないしね。」

「ていうか(もえ)なんで岸川行かなかったのよ。そうすれば彼氏とも同じ学校だったのに。」

「ナガシィが宗谷に行くのが一番だって言ったからね。それがあるとなんか行きづらいだろ。」

「ああ、そういうことか。それだと行きづらいわなぁ・・・。でも寂しくない。」

「そこまで子供じゃありません。ナガシィがいくら大きい子供だからって一緒にしないでよ。」

永島(ながしま)君にあったら言ってやろうかなぁ。(もえ)永島(ながしま)君のこと大きな子供って言ってたって。」

「言ってもいいよ。本人がそう言ってたんだから。」

「・・・。」

(手回しが速かった・・・。)

 翌日。部活の中身はまだ見ていないが、部活登録届(ぶかつとうろくとどけ)を出した。数日後。今日はアド先生から活動日だと聞かされて勇んで(くすのき)先輩に教えてもらった部室に向かった。

 だが、ドアの前に立ってドアを押してみると開かない。鍵がかかっている。

(あれ。ドアって押せば勝手に開くっていうやつじゃなかったっけ。)

しばらくすると佐久間(さくま)も合流して、またしばらくの間ドアの前で突っ立っていた。

「あれ、新入部員。」

下から声がする。踊り場のほうを見てみると女子の顔がこちらをのぞきこむ状態にある。

「サヤ早く来てみ。新入部員いるよ。」

その人はサヤという人を呼んだ。ちょっとするとそのサヤという人が顔を出した。

「あれ、なんで前に突っ立ってんの。入ればいいじゃん。」

第一声はこれかよ。この人はバカなのか。それとも、ウケを狙っているのか。

「サヤバカだろ。鍵かかってるから入れないに決まってるだろ。」

「あれ、鍵は善知鳥(うとう)が持ってるんじゃないの。」

「あたしが持ってるわけないでしょ。だからサヤが取って来てよ。」

「サヤ先輩も善知鳥(うとう)先輩も自分で鍵取り行くとかして下さいよ。」

聞き覚えのある声は(くすのき)先輩の声だ。その声がしたあとサヤという人が階段を上って来て部室のドアを開放した。

「あれ来てたんだ。前に鍵は安曇川(あどがわ)先生か山科(やましな)先生に貰ってって言ったのに。」

僕達の顔を見つけるとそう言って、

「ちょっと狭いけど入れば。電車好きにはたまらない部室だと思うし。」

促されて中に入った。入ってみると確かに狭い。ドアのすぐ横にはレールの入った箱が置かれている棚。レールの他に転車台の模型も置かれている。ドアの左側にはカラーボックスみたいなのが2つ置いてある。ぱっと見モジュールの材料になりそうなものが置かれていた。その向こうには木の棚があり、そこには製作中のモジュールが置かれている。そして、右側奥の方には白いケースに詰まった引き出し。中はカラーボックスの中身と同じモジュールの材料だろう。真ん中あたりにはこの狭い部屋に長机。それも2つはベコベコになおり、そのうちの1つには製作中と思われるモジュールが3枚置かれている。またそのうちの1つには木の棚が置かれており、そこにはE231系の写真とモアイ像が置かれている。意味はあるのだろうか。そして、その長机に対応するように長椅子が一つ。後は折りたたみ椅子が3脚。学習椅子が5脚ほど置かれている部室だった。

 先輩達は思い思いの席に腰をかけて、休んでいる。さっきサヤと呼ばれた人はPFP(ピーエフピー)をやり始めて、善知鳥(うとう)という人と(くすのき)先輩は携帯電話をいじり始めた。全員マイペースすぎて逆に困るというか・・・。しばらくそんな状態が続いていると、また人が来た。だが、その人はドアを開けるとすぐにドアを閉めてどっかに行ってしまった。

「ナヨロン。」

いきなり善知鳥(うとう)という人が叫んだ。ドアに突進して、今帰ったと思う人を捕まえて、部室の中に引きづり込んだ。

「おい。善知鳥(うとう)。首掴むことないだろ。いつもギャグでやってるの分かってるじゃないか。」

「半分冗談じゃないって気があるから。つい癖で。」

「それはウソだろ。ていうかお前らここのこととかいろいろ言ってやれよな。1年生は分かんないんだから。」

今いる3人を叱ってからその人はこう説明してくれた。

「とりあえず名前だけは言っとくわ。俺は名寄真佐哉(なよろまさや)。よろしく。」

「あだ名ナヨロンな。」

「余計な事言うな、善知鳥(うとう)。まあいいか。多分お前らも強制的に善知鳥(うとう)にあだ名つけられると思うから・・・。とりあえず中のこと説明しとくけど、お前らの後ろにある棚と木の棚でちょっと隠れてるところ以外は開拓(かいたく)していい。今言った部分開拓すると死ぬからやめとけってことをまず最初に言っとく。で他は、その後ろの白いケースと、こっちのボックスの中にはモジュール作りのための道具。まあ作らなきゃ関係ないけどな。それで木の棚の下にあるのが、ボンド水(ぎゅうにゅう)と工具。と、無いとは思うけど間違ってボンド(ぎゅうにゅう)飲むなよ。飲んだら食道(しょくどう)()が固まるから。まあ今言っとくのはこれだけかな。」

辺りを見回して、

「お前ら自己紹介だかなんかやったか。」

「やってないよ。」

「じゃあやれよ。1年生来てるのにゲームとか携帯は失礼だろ。」

「分かったよ。じゃあ名前くらいは言っとくわ。」

それまでPFPをいじっていたサヤという人がゲームを一時中断して、

「俺の名前は北斎院大智(きたさやだいち)。漢字難し(むず)いからサヤとかって呼んでくれていいよ。」

「あたしは善知鳥茉衣(うとうまい)。電車のこととか全然分かんないけど、分かんないことあったら聞いて。でこっちの彼女がハクタカの追っかけの・・・。」

「ちょっ、善知鳥(うとう)先輩。余計なこと言わないでください。」

「えっ、だってそうじゃん。」

「そうじゃありません。」

「顔真っ赤で説得力無いよ、アヤノン。」

「だから、善知鳥(うとう)はそういう余計な説明しなくていいんだって。」

「えー。いいじゃん。」

「いやそれがよくない。」

3年生が言い合っている間にまた一人やってきた。その人を見て、

「アヤケン。オヒサァ。」

僕達を見ると、

「新入部員。」

「ああ、そうだよ。」

「じゃあ、名前は言っとくな。綾瀬健斗(あやせけんと)。部活じゃアヤケンで通ってるからそう呼んでもいいよ。」

ざっと自己紹介を()ませる。

「そういやあ、お前らの名前聞いてなかったな。1年何組でどこに住んでるかと名前言ってもらうか。まずそっちののっぽのほう。」

「1年5組の佐久間悠介(さくまゆうすけ)です。涼ノ宮(すずのみや)に住んでます。」

涼ノ宮(すずのみや)かぁ。案外近いね。」

今度は指を僕のほうに向けて言えと促す。

「1年5組の永島智暉(ながしまともき)です。小楠(おぐす)中瀬(なかぜ)っていう所に住んでます。」

小楠(おぐす)中瀬(なかぜ)・・・。永島(ながしま)・・・。)

佐久間(さくま)悠介(ゆうすけ)永島(ながしま)智暉(ともき)かぁ。分かった。」

「部員は全員で6人って言ってましたけど、今ここにいるのは5人ですよねぇ。」

「前職員室の前であたしと話した人がいるでしょ。あの人が6人目だよ。名前は鷹倉俊也(たかくらしゅんや)っていうんだけどね。ハクタカってみんなに呼ばれてるからそう呼んでもいいよ。」

噂をしているとその鷹倉(たかくら)先輩が来た。

「彼がさっき言った鷹倉俊也(たかくらしゅんや)君。前あってるから分かるよね。」

「ああ、はい。」

 その後佐久間(さくま)は足早に帰り、僕はしばらく部室においてあった車両で遊んだ。

永島(ながしま)ってどんなあだ名がいい。ないならあたしの独壇場で決まるけど。」

「ああ、じゃあ。ナガシィでお願いします。」

「分かった。永島(ながしま)イコールナガシィだって。皆覚えろよ。」

「・・・。」

「そのあだ名って何か関係あるんですか。」

「別に関係ないよ。ただ鉄研(てっけん)の文化みたいなやつ。この部活の部員は全員友達だからさぁ。先輩と後輩の関係っていうのも少しは大事なんだろうけどあたしはそんな固いこと言わなくていいと思ってるだけ。」

「・・・。」

「は・・・反応無っていうのも少しつらいんだけど。」

善知鳥(うとう)先輩インパクトありすぎなんですよ。1年生からヒカレル対象だと思いますけど。」

「そうか。ねぇ、ナガシィあたしってそんなに個性的か。」

「えっ・・・。」

「ほら、永島(ながしま)が困ってるじゃないか。」

「いやあ、ごめん。いきなり難しい質問しちゃって。まぁそんなに固くならなくていいってだけ。いいよ、あたしに限ってはタメ口でも。」

「タメ口聞くんならナヨロンのほうがいいんじゃないか。こいつ電車詳しいし。」

「それだけでそうするなつうの。」

「ウソ。それは冗談。」

「どこまでが冗談で、どこからが本当なんだよ。」

「よし、質問変えよう。担任誰。」

(こいつは人の言うこと聞いてるのか・・・。)

「えっ。四ツ谷(よつや)先生ですけど。」

「うわっ。四ツ谷(よつや)かよ。」

四ツ谷(よつや)かぁ。お前まだよかったな。」

先輩たちがこういうのは十中八九あのことだろう。そのことを先輩に聞いてみると夏休みや冬休みに1日5ページ出されるということは本当。そして、出さないといつか付けが返ってくるということを聞いた。

「へぇ。そうなんですか。」

「まぁ、ナガシィならどうにかなりそうだね。バカそうだし。」

(いや。こいつバカじゃないだろ。)

ふと時計を見るともう18時だ。

「あっ、すみません。今日はこれで。」

「ええ。もう帰っちゃうの。もうちょっと長くいればいいのに。」

「帰るって言ってるのに引き留めちゃいけないだろ。」

「次の活動日いつですか。」

「明日だけど。」

「じゃあ、明日も来ます。失礼します。」

ドアを閉めて帰路についた。

 その後の部室では・・・、

「すごいのが来たな。」

名寄(なよろ)がつぶやいた。

「すごいって。ナガシィなんかすごいところでもあるのか。」

「いや、あいつ自体がすごいって意味じゃない。永島(ながしま)の家がすごいって言った方がよかったかな。」

「どういう意味だよ。」

「あいつ、小楠(おぐす)中瀬(なかぜ)ってところに住んでるって言ってただろ。たぶん間違いないと思う。あいつ遠江急行(こうきゅう)の社長の孫だ。」


今回からの登場人物

北斎院(きたさや)大智(だいち)  誕生日 1991年11月19日  血液型 B型  身長 169cm

綾瀬(あやせ)健人(けんと) 誕生日 1992年3月30日  血液型 AB型 身長 167cm

名寄(なよろ)真佐哉(まさや) 誕生日 1991年9月3日   血液型 O型  身長 171cm

善知鳥茉衣(うとうまい)      誕生日 1991年6月4日   血液型 A型  身長 165cm


珍しく連続投稿です。今後連続投稿は恐らくないと思いますが、読んでくれる人には感謝。

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