表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
43/184

43列車 新たなクルー

9月23日。夜。

「何。話って。」

いつかは通らなければならないところである。いつもは共働きで家にいないことが多い。だからこの申し出を言うのが今日になった。

「私。ソフト部辞めようと思ってる。」

いきなりこんなことを言うと絶対反対される。それは承知だ。

「ダメに決まってるでしょ。さくら分かってるの。」

「分かってるよ。でも・・・。今のままじゃいつか行き詰まるのは自分でもわかってる。だからいっそのことやめて、違う部活に入部しようと思ってる。」

「違う部活って。何に入るつもりよ。」

「鉄道研究部。」

「ふぅん。それで、部費とかまた集めなきゃいけないものとかあるの。」

「部費は年間で14000円。私が入部するときは10月ぐらいからだと思うからまずは7000円。後年に1回いく臨地研修代が20000円くらいかかる。」

「また、そんな・・・。」

話し始めようとした時、

「みずほ。お前席外せ。」

お父さんが部屋に入ってきた。

「あなた。」

(父さん。)

「みずほは席外せって言っただろ。聞こえなかったか。今この話にお前は邪魔なだけだ。」

「・・・。」

それを聞くとみずほはさっさと席を立ちどっかにいった。

「さくら。まず聞くぞ。本当にやりたいって思ってるのか。」

うなずく。

「そうか。分かった。やる気があるならそれでいい。」

「いいの。」

「ああ。その代りやる気がなくなったらさっさとやめろ。そんな部活入ったって仕方ないからな。・・・。さて、また俺の懐が寒くなるなぁ。」

「えっ。部費とかも出してくれるわけ。」

「・・・。節約すればそれくらいどうにでもなる。」

「父さん。そんなことしてくれなくていいよ。バイトするから。」

「・・・。」

そういうとすぐにリビングを出た。

思わず飛び跳ねたくなった。

 その話が終わるとみずほがリビングに戻ってきた。

「あなた・・・。」

「いいんだよ。あれで。ずっと親の敷いたレールなんて走りたくないだろ。ようやっとやりたいものが見つかったんだ。それを反対するなんて親としておかしいだろ。あれでいい。」

「・・・。」

「俺はもう寝る。」

「えっ。寝るってまだ。」

「明日早いんだ。」

そう言ってさっさと寝室のほうに歩いて行った。

 翌日。

「えっ。さくらがソフト部を辞めるっ。」

朝学校に行って一番最初に聞かされたことがそれだった。

「またどうして。」

「まぁ半分は木ノ本(きのもと)のせいって思ってたほうがいいよ。あんたが鉄研に入ってなかったら留萌(るもい)だってこういうことはなかったんだけどさぁ。」

「なんで私のせいなのよ。どんな部活に入ろうが自由じゃないんだっけ。」

「そりゃそうだけどさぁ・・・。」

噂をしていると留萌(るもい)が教室に入ってきた。

「あれ。榛名(はるな)早いじゃん。浜松(はままつ)駅で「富士(ふじ)」と「はやぶさ」撮って来るんじゃなかったの。」

「その前に何でソフト部辞めるんだよ。」

木ノ本(きのもと)留萌(るもい)に当然の質問をする。

「・・・。もうする気がなくなったから。じゃダメかな。」

「・・・。」

木ノ本(きのもと)。そういうことはあまり詮索しないでおいて。」

すると室蘭(むろらん)は耳元で、

「中学の時にソフト部辞めてったあんたと同じ気持ちだと思うから。」

と耳打ちした。

(中学の時の私と同じか。・・・。)

「分かった。理由はそれでいいよ。」

「ところでさぁ、話変わるけど、いちばん早い部活っていつ。」

一番答えづらい質問である。活動日は決まっていない。プラス先輩たち。特に善知鳥(うとう)先輩が増やす部活がいつあるかなんて分からない。

「いや、いつあるかなんて分かんないし。」

「なんで分かんないのよ。鉄研だろ。」

「鉄研でも分かんないもんは分かんないんだよ。」

すると誰かが木ノ本(きのもと)を読んだ。ドアのほうを見ると永島(ながしま)がそこに立っている。

永島(ながしま)。何しに来たんだよ。」

「いやあ箕島(みしま)に教科書借りようと思ってさぁ。箕島(みしま)いる。」

「今日あいつ日直だし今はいないよ。」

「あっ。そうなの。・・・後、善知鳥(うとう)先輩が言ってたけど、今日部活あるってさ。」

「そう。了解。」

木ノ本(きのもと)がそう言っているときドアのすぐ近くにはられている日課に目を通した。木曜日は国語総合、数学Ⅰ、芸術、芸術、英語Ⅰ、生物Ⅰ。

「ダメだこりゃ。今日ないのかぁ。」

「えっ。何借りに来たの。」

「現代社会。」

「ああ。そうなのか。ドンマイ。」

ため息をついて帰っていった。

「今の人って誰。」

席に戻ると留萌(るもい)が問いてきた。

「同じ鉄研仲間。昼になったら紹介するね。箕島(みしま)君以外。」

「で、今日活動あるの。」

「ああ、今日はあるって。だから先輩たちも後で紹介するから。」

今の心配は先輩たちのカオスさに留萌(るもい)がついていけるかどうかだけだ。

 昼休み。

「今日から鉄研に入る友達の留萌(るもい)さくらちゃん。」

「へぇ。「さくら」かぁ。」

永島(ながしま)想像してるものが多分違うと思う。」

「あっ、バレた。」

「バレバレだよ。」

(さっきの人この人かぁ。)

「じゃあ何。もし名前があずさだったら想像するものが183系かE(イー)257系か知らないけどあの「あずさ」になるってこと。」

「まぁ、そんなところかなぁ。」

「て、話脱線してる。」

木ノ本(きのもと)が話の脱線を訂正して、部員の紹介を進める。

永島(ながしま)の隣に座ってるのが佐久間(さくま)君。佐久間(さくま)君の隣が醒ヶ井(さめがい)君。後は中学生と2年生と3年生だから。」

「ねぇちょっと聞いていい。よく榛名(はるな)から3年生は全員おかしいって聞いたけど、本当にそうなの。」

「うん。そういうところ多い人の集まりだよ。」

(こいつ。今はっきり言ったなぁ。)

「まぁ、今日部活あるんだし、その時になればわかるよ。」

 というわけで、放課後。

「今日から皆さんの鉄研部に入る留萌(るもい)さくらです。よろしくお願いします。」

留萌(るもい)さくら。留萌(るもい)さくら・・・。うーん。あっ。あだ名はルモタンでいい。」

善知鳥(うとう)先輩がまず勝手にあだ名を考える。

「えっ。あだ名なんて。ふつうにさくらでいいです。」

「さくらじゃふつうすぎるもんねぇ。サヤ。」

「また不法侵入部員かぁ。」

「あの。入ってきた人がヒクからそういうこと言うのやめましょう。」

「・・・。」

「さくら。これが鉄研の先輩たちだけど、ついてこれる自信ある。」

木ノ本(きのもと)が耳打ちした。

「多分無理。」

「ですよねー。紹介するけど、今さくらにあだ名つけたのが善知鳥(うとう)茉衣先輩。サヤって呼ばれた人は北斎院(きたさや)大智(だいち)先輩。その奥にいる人が名寄(なよろ)真佐哉(まさや)先輩。通称ナヨロン先輩。多分話するならナヨロン先輩が一番いいと思うけど。そして、そのナヨロン先輩の隣にいるのが綾瀬(あやせ)健人(けんと)先輩。通称アヤケン先輩。で、今ここにいないけど現部長の鷹倉(たかくら)俊也(しゅんや)先輩と桜の隣にいる女の人が(くすのき)絢乃(あやの)先輩。」

「そうか。本当にすごいインパクトのある部活だな。」

「ハハ。そうでしょうね。」

「ていうか、あの永島(ながしま)の適応能力ってすごくない。あんな先輩たちとふつうに話せてるわけだし。」

「いや、あんな先輩って。永島(ながしま)だって善知鳥(うとう)先輩とはあんまり話さないよ。永島(ながしま)がよく話すのはナヨロン先輩のほうだから。」

「ふぅん。ナヨロン先輩ってなんかジャンルとかあるの。」

「車両鉄だからねぇ。それもディープな。」

「へぇ。あたしと同じだね。」

「いや、同じって思うのはどうかなぁ。さくらSL分かる。」

「分かんないけど。なんで。」

「ナヨロン先輩そこまでわかるから。」

「へぇ。すごいなぁ。」

永島(ながしま)と話しているナヨロン先輩のことが何となく神に見えてくる。

「何かほかの人はそういうことないのか。」

「えっ。アヤケン先輩は物作りが得意で、部活のモジュールも結構作ってるらしいけど、完成するとその呼ばわりがゴミになるとか。」

「何それ。」

「サヤ先輩は電車が好きなのはわかるんだけど、時折間違うとか、鈍感とかそういうことがあって、善知鳥(うとう)先輩は新快速(しんかいそく)新幹線(しんかんせん)って言っちゃったり、「ムーンライトながら」の373系を313系と言い間違えたり・・・。」

「な・・・。それって間違うようなやつじゃないよねぇ。どこをどう間違えたら特急列車が通勤電車になるのよ。・・・。あっ、そうか。「ホームライナー」とか373系使ってるか。それで言い間違えるのね。」

「いや、善知鳥(うとう)先輩そういうこと全然分かんないから。」

「・・・。ようするに天然ってわけね。」

「そう。天然。」

「おい。そこさっきからあたしのこと天然って丸聞こえだぞ。アヤノンの次のいじられ対象にするぞ。ルモタン。」

「えっ。どういうこと。」

「つまり、(くすのき)先輩の次にいじられる人。」

「いや、それ分かるけど、いじるって何するつもり。まさかコスプレ。」

「今のところいじるでコスプレはないから。」

「・・・。」

「コスプレかぁ。いいかも。」

「・・・。」

「じゃあ、コスプレするんなら何が・・・。」

そう留萌(るもい)に聞こうとすると

「ここをメイド部にするなー。」

男子全員が声をそろえて言う。

「演劇部にもしないでください。」

(くすのき)先輩も続けた。

「分かったよ。全員なんでそういうこと嫌いなのかなぁ。」

「文化祭の時に被った制帽だけならまだ許しますけど、それ以上は許せません。」

「それ以上って制服もダメなのか。真似て作ったやつ。」

「そういう方面だけに凝りすぎ。」

「だってあたし家庭科以外得意な教科ないし。」

「だからって懲りすぎ。」

「・・・。」

(私この部活でやってけるのかなぁ。)

鉄道研究部という船にまた一人クルーが加わったのだ。

 数日後。宗谷学園では・・・、

「あれ。何か入ってる。」

下駄箱のスリッパの上に何かが乗っていた。


今回からの登場人物

留萌(るもい)寛太(かんた) 留萌(るもい)みずほ

この部活動に萌えはありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ