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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
38/184

38列車 車撮

 5分後。新大阪(しんおおさか)に到着。新大阪(しんおおさか)に停車すると押し出されるようにしてホームに降りた。

「ヤバかったなぁ。あの人の数。」

「ヤバすぎだよ。関西ってもっと車両増やせばいいと思うんだけどなぁ。」

「そういうわけにもいかないんじゃないんですか。」

「まぁ、そうだろうけど・・・。」

「前来たことありますけど、あすこまで人が多いのは通勤ラッシュだけで、昼とかそういう時間帯はそんなに混んでませんよ。」

「へぇ、そうなのか。」

「の前に、朝風(あさかぜ)っていろんな所行きすぎじゃない。」

「あっ、バレました。」

「おい。そんなことより「彗星(すいせい)」だろ。」

諫早(いさはや)に怒られてしまった。

「早くしてくださいよ。もう後5分くらいしかないんですから。」

「んじゃ、聞くけど、「彗星(すいせい)」って何番線に入線(くる)んだよ。」

「12番線です。このホームは13・14番線ですから、隣です。」

中学生の方が情報通(じょうほうつう)だ。高校生の方がしきられてしまっている。

「分かった。早い所行こう。」

降りたホームから階段を使い線路の上に行く。さらにこの上は新幹線(しんかんせん)ホームだ。だが、今は新幹線(しんかんせん)などにかまっていられない。早い所「彗星(すいせい)」を達成しなければ。

 11・12番線に降り立つ。ここは特急専用ホームだ。11番線には紀勢本線(きせいほんせん)の「特急(とっきゅう)くろしお」「特急スーパーくろしお」「特急オーシャンアロー」と「関空特急(かんくうとっきゅう)はるか」が、12番線には山陰本線(さんいんほんせん)の「L特急北近畿(エルとっきゅうきたきんき)」「特急文殊(もんじゅ)」。また北陸本線(ほくりくほんせん)の「L特急雷鳥(エルとっきゅうらいちょう)」「特急サンダーバード」が発着する。そして、大阪(おおさか)と九州各地を結んでいる「|寝台特急あかつき」、「|寝台特急彗星(すいせい)」、「|寝台特急なは」と「|寝台特急トワイライトエクスプレス(TwilightExpress)」、「|寝台特急日本海(にほんかい)」が発着する。

 7時22分。

「12番のりばに、当駅どまりの、列車が、(まい)ります。黄色い線の、内側まで、お下がりください。」

アナウンスが入る。「寝台特急彗星(しんだいとっきゅうすいせい)」の接近がここに()げられた。

 全員の顔が曲がって何も見通せない大阪(おおさか)方面を向いた。

7時23分。大阪(おおさか)方面から甲高(かんだか)汽笛(きてき)が聞こえた。

「「EF65(ぼく)は今日も元気です。」って言ってるみたいだな。」

「ああ、そうかもな。」

そして、姿をあらわす。前を見ている黄色い二つのヘッドライト。真ん中に(かか)げられている寝台特急(とっきゅう)象徴(しょうちょう)。ヘッドマーク。そして、その後ろに続く7両の青い車体。新大阪(しんおおさか)南宮崎(みなみみやざき)間を結んでいる「寝台特急(しんだいとっきゅう)彗星(すいせい)」だ。

 入ってくる「彗星(すいせい)」を僕達はシャッターの嵐で出迎(でむか)えた。「彗星(すいせい)」は僕達がそんなに移動しないよう加減して停まったのだろうか。ゆっくり、ゆっくりとスピードを落とし、ギギギギギギという(にぶ)い音を立てて、停車した。

(一度でいいから、運転してみたいなぁ。)

心の中でその日が来ることを願った。

「一度でいいから、運転室中(あのなか)に入ってみたいなぁ。」

僕の(かたわ)らで木ノ本(きのもと)がそうつぶやいていた。

「早い所撮ってくださいよ。「あかつき」がすぐに来るんですから。」

僕も木ノ本(きのもと)も我に返って、

「あっ、そうだった。ここまで来て撮り損ねたんじゃ来た意味がないよ。」

(ヤベ、お土産(みやげ)一個減るところだった・・・。)

我に帰った後は「寝台特急(しんだいとっきゅう)彗星(すいせい)」を牽引してきたEF65-1123号機と、ヘッドマークのアップ。24系のトレインマークなどなど。ざっと撮れる部分は撮り終えてしまった。そして、僕達が満足したことを見計(みはか)らったのか。「寝台特急(しんだいとっきゅう)彗星(すいせい)」は新大阪(しんおおさか)駅から走り去った。

「お(つか)れ様。」

その後ろ姿を見送りながら、つぶやいた。女の子がテディベアに話しかけるのと、何ら変わりはないだろう。ただ、話しかけている対象が違うだけである。話しかけると、電車が「ありがとう。」と答えてくれる気がするのだ。

「さて、今度は「あかつき」だな。」

「ああ。「あかつき」も仕留(しと)めてやる。」

仕留めるという言葉に朝風(あさかぜ)があきれる。

「仕留めるって・・・。動物じゃないんだから・・・。」

「よーし、どっからでもかかってこい。」

聞く気のない木ノ本(きのもと)を見て、

永島(ながしま)さん。木ノ本(きのもと)さんって、カメラ握ると10歳くらい若返りますよねぇ。」

「んっ。そうなのか。」

「そうなのかって・・・。木ノ本(きのもと)さんだけじゃなくて、永島(ながしま)さんもそうなんですからね。・・・。」

その後朝風(あさかぜ)が何と言ったかは分からなかった。

「あっ、やっぱそう見えるんだ。」

「・・・。あの・・・自覚(じかく)したことないんですか。」

「ないけど、友達からよく言われてたから。目だけ子供のままだって。」

「・・・。」

「そんなことより、「あかつき」のためにスタンバらなきゃ。」

固まったままでいる朝風(あさかぜ)(うなが)して、「寝台特急(しんだいとっきゅう)あかつき」の停止目標(ていしいち)まで足を運んだ。

 7時29分。大阪(おおさか)方面にこっちに向かってくる二つのライトが姿を現した。それに向けてカメラを構える。

「間もなく、12番のりばに、寝台特急(しんだいとっきゅう)、「あかつき号」、京都(きょうと)()きが、(まい)ります。黄色い線の、内側まで、お下がりください。」

 7時30分。EF65-1120号機に牽引(けんいん)された、14系寝台客車13両が新大阪(おおさか)(すべ)()んだ。

「・・・」

木ノ本(きのもと)は一人12番線の大阪(おおさか)側の突端(とったん)で固まっていた。

 7時30分。

「12番のりばから、寝台特急(しんだいとっきゅう)、「あかつき号」、京都(きょうと)、行きが、発車します。ドアが閉まります。ご注意ください。」

寝台特急(しんだいとっきゅう)あかつき」の発車が()げられた。このアナウンスが終了すると、14系の()()が閉まった。ブルーの車体についていた赤いランプも消える。

「ポッ。」

「あかつき」が短く挨拶(あいさつ)をした。「もうちょっと、頑張ってくるよ。」といっている気がする。

(頑張ってね。)

心の中で「あかつき」を送り出す。そのやり取りをしているうちに、「あかつき」はゆっくりと走りだした。(かたわ)らを通って行くEF65のモーターがうなりを上げる。何とも(はら)に響く地声(じごえ)である。

 この地声の後は、足から伝わる振動(ゆれ)と耳にする(いさ)ましい音を聞いて「あかつき」のラストスパートを見送る。

 ラストスパートを見送り終わると木ノ本(きのもと)と合流した。

「なーぁ、永島(ながしま)。」

「何。どうしたのか。」

「「あかつき」シクッタよ。」

「あっ、そういうことね・・・。」

するとため息をついて、

「私「あかつき」に(きら)われてるのかなぁ・・・。」

「・・・。」

どう言えばいいのだろうか。それに困る。

「うーん。木ノ本(きのもと)は「あかつき」のこと好きかも知れないけど、カメラが拒否(きょひ)ってるかも。」

「えー。「レフちゃん」が「あかつき」のこと(きら)いなの。」

(レフちゃんって・・・。)

「ようし、決めた。今日から「レフちゃん」を特訓(とっくん)させるぞ。」

(特訓って・・・。)

「あの、木ノ本(きのもと)さん。言いづらいんですけど、それ一眼(いちがん)レフを特訓しても意味がないと思いますが。」

「うるさい。()った写真がブレるのは「レフちゃん」がゴミだからだ。だから、そのゴミ要素(ようそ)をなくせば大丈夫だ。」

ちょっと救助(きゅうじょ)を頼みたい。

 それから、ちょうどいいくらいの朝御飯を食べて、9時26分に到着する「寝台特急(しんだいとっきゅう)なは」に備えた。

「「なは」が来るのって何時ですか。」

「9時26分。」

「あっ、そんなに(おそ)いんですね。」

「まだ、遅い方じゃないだろ。「さくら」が東京に着くのが11時29分だから、そういう意味では「さくら」が一番遅いよ。」

「「さくら」も遅いけど、「はやぶさ」と「富士(ふじ)」も遅いよ。東京着(のぼり)は遅くないけど、西鹿児島着と南宮崎着(くだり)は15時10分と13時23分だから。」

「そんな時間について何するんだよ。」

「だから、飛行機(ひこうき)とかに客が流れるんですよ。あんなののどこがいいんですかねぇ。」

朝風(あさかぜ)腕組(うでくみ)をする。

「飛行機はただ速いだけだし、夜行バスはただ安いだけだし、車は窮屈(きゅうくつ)なだけだし、自分で運転するから疲れるし・・・。」

(まだ、自分で運転してませんよねぇ。)

「まあ、そこは人それぞれだから・・・。ただ速いだけに見せられる人もいるかもしれないし・・・。」

「これだから、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)貢献(こうけん)するんですよ。」

朝風(あさかぜ)寝台特急(ブルトレ)の話になると燃える。というのが今回の臨地研修で分かったことでもある。

 朝御飯を食べ終わるとすることもない。それも人それぞれなのだが・・・。

「12番のりばに、「特急(とっきゅう)雷鳥(らいちょう)、5号」、金沢(かなざわ)、行きが、参ります。・・・。」

この放送を聞くと木ノ本(きのもと)が12番線の京都(きょうと)側に飛んでいった。今度こそ失敗しないためだろう。僕達もその後ろを追う。

「「雷鳥(らいちょう)」って485(ヨンパゴ)ですよねぇ。」

空河(そらかわ)が聞いた。

「ああ、そうだな。」

「「|雷鳥5号(5ごう)」ってパノラマグリーン連結してましたっけ。」

「知らねぇよ。俺そこまで守備範囲(しゅびはんい)じゃない。」

しばらく間をおいて、

「ただ、一つ言えるのは・・・、今木ノ本(きのもと)が行った方向はもしパノラマグリーンが連結されてるとしてアウトだってこと。」

「あれ、パノラマグリーンって大阪側(おおさかがわ)でしたっけ。」

大阪方(おおさかがた)だよ。」

「そうでしたっけ。」

「そうだよ。」

「あっ、僕てっきり金沢側(かなざわがわ)だと思ってました。」

「まあ、デビューした時に金沢方(かなざわがた)にあったからな。無理もないかも。」

後ろから。カン、カン。コン、コン。軽快(けいかい)新大阪(しんおおさか)のレールをたたく。その音がだんだん自分の方に近づいてくる。

 チラッと後ろを振り向く。

 僕の視界(しかい)に三つのヘッドライトをつけた顔がある。

(早く行かなきゃ・・・。)

そう思い走り出す。すると、すぐに追い抜かれる。追い抜かれてもなお、その後を追う。ついにその速度に追いつき、僕が抜き返そうとしている時には、485系は(にぶ)い音を立てて止まるころだった。

 先頭には(すで)木ノ本(きのもと)がスタンバイしていた。

「あれ、「雷鳥(らいちょう)」ってパノラマグリーン連結してたよねぇ。」

「連結してるよ。」

「もしかしてこれハズレかな。」

そうつぶやいていた。

「ハズレかもしれないけどさぁ・・・」

と言った時「雷鳥(らいちょう)」の発車が告げられる。

「もう発車かよ。早いなぁ。」

と言うと、カメラ片手に12番線の京都(きょうと)側の突端(とったん)に走って行った。

 僕も顔を「雷鳥(らいちょう)」に向けて見送る準備をした。別れるときになるとどんな列車でも名残惜(なごりお)しい。

 「雷鳥(らいちょう)」は信号が青のことを確認すると、ゆっくりと新大阪(しんおおさか)()った。軽く継目(つぎめ)(たた)いて、(おも)く継目をたたく。少し重々しいのはモーターを()んでいるからだろう。4号車、3号車、2号車。そして、金沢(かなざわ)行きの最後尾。1号車が通過した。

(んっ。これは・・・。)

1号車が横を通った時あることが脳裏(のうり)に映し出された。

「パノラマグリーンってふつうのやつに比べると窓が小さい。後、トイレのところにある行先表示がふつうのほうはドア側の客室窓上にある。だから簡単に見分けがつくよ。・・・。」

これは文化祭(ぶんかさい)の時にナヨロン先輩が教えてくれたことだ。

 今自分の隣を走って行った車両の特徴(とくちょう)はナヨロン先輩に教えてもらったこと(すべ)てに当てはまったのだ。

(間違いない・・・。)

今から携帯(ケータイ)を出しても間に合うはずがない。それなら・・・。今は()ずかしいだのなんだの言っている場合ではない。

木ノ本(きのもと)。後ろだ。後ろがパノラマグリーンだ。」

大声で、(かま)えている木ノ本(きのもと)に情報を提供した。

 木ノ本(きのもと)の横を485系が通り過ぎる。

しばらくすると、木ノ本(きのもと)が高く手を上げた。親指を立てている。口が動いていたが、何と言っているのかは分からなかった。

 また、合流すると、

「ありがと。永島(ながしま)のおかげで失敗せずに済んだよ。」

とお礼を言っていた。

失敗(しっぱい)されちゃ困ると思ったからな。」

「でも、向こうに行く奴だったとはなぁ。テールライトだったのが()しかったなぁ。」

「何だと、貴様(きさま)。せっかく教えてやったのに・・・。」

「まあまあ。」

空河(そらかわ)が止めに入る。

「で、今からどうするんですか。まだ1時間以上ありますよ。」

「ベンチとかに座ってればいいだろ。」

「絶対座ってれませんって。車両が来る(たび)にどっか行っちゃいますよ。」

「ハハ、それもそうだな。」

結局、「寝台特急なは」車で新大阪(おおさか)在来線(ざいらいせん)ホームで()つことになった。その間に「雷鳥4号」が来たが、ハズレだと言って撮りには行かなかった。

 9時25分。

「12番のりばに、当駅どまりの列車が、参ります。黄色い線の内側までお下がりください。」

「ようやっと来たな。」

「でも、車撮(しゃさつ)とかで時間使ってそんなに長くなかったじゃないですか。」

「来たぞ。」

寝台特急(しんだいとっきゅう)なは」姿を視界に(とら)えた。

 この後、「寝台特急(しんだいとっきゅう)なは」が回送(かいそう)されるまで撮影を続け、「なは」が撮り終わると、佐久間(さくま)達と別れた。佐久間(さくま)と別れた後何をしていたかと言うと、ほとんどの時間をホームで過ごしていた。具体的に何をカメラにおさめたかというと、「特急オーシャンアロー」の283系。「特急北近畿(きたきんき)」の183系。「特急くろしお」の381系。「特急はまかぜ」のキハ181系などなど。大阪(おおさか)に集結するJR西日本(にしにほん)の車両のほとんどを撮りつくした。さすがに12時を過ぎると精神的(せいしんてき)にもまいってしまい、大阪(おおさか)のベンチに腰掛(こしか)け、来る車両を眺めていた。


・・・。

ようやっと臨地研修にも終わりが見えてきました。


何とか頑張ってきましたが、まだコメントが一つもないという状況が続いています。書いてくれると本当に助かります。


それとも話が話で書きづらいですか・・・。

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