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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
36/184

36列車 夜行バスで

博多(はかた)到着(とうちゃく)すると、改札(かいさつ)を出た。

「どうする。17時29分発の博多(はかた)南行きに乗ろうと思えばまだ乗れると思うけど・・・。」

腕時計を見て今後の予定を話した。

「もういいよ。どこにも行きたくないもん。」

空河(そらかわ)は。」

「別にいいです。」

朝風(あさかぜ)は。」

新幹線(しんかんせん)だったらいつでも見れますしね。」

「で、永島(ながしま)は行きたいのか。」

「別に。」

「んじゃ、入場券(にゅうじょうけん)買って入って、新幹線(しんかんせん)でも車撮(しゃさつ)しるか。」

「140円払ってまで車撮(しゃさつ)に行くんですか。」

「もう動きたくないですよ。」

「そうだろうなぁ。私はまだ行けるんだけどみんながダメじゃあなぁ。」

「えっ。俺もダメじゃないけど。」

「・・・。」

「で、どうする。」

考え込んだ。(みんな)の体力はすでに限界に達している。これ以上無理をさせることもないだろう。

「んじゃあ、終わりにするか。」

17時25分くらいだろう。僕達の自由行動はここに終了(しゅうりょう)した。その後、バスの発着する筑紫口(つくしぐち)の方に足を運んだ。

永島(ながしま)。」

筑紫口をもうちょっとで出ようとした時、誰かに呼ばれた気がした。

永島(ながしま)さん。」

声のする方向を探してみる。

「あっ、あすこ。」

木ノ本(きのもと)が上を指差した。長い階段とエスカレーターの向こうにいるのは佐久間(さくま)諫早(いさはや)だった。僕達はそこまで続くエスカレーターを上り、上まで行った。

佐久間(さくま)来てたんだ。」

人身事故(じんしんじこ)とかって大丈夫だったか。」

「えっ事故って・・・。」

「・・・。しっ、知らないの。」

「ああ。そっち事故あったの。」

「あったよ。おかげで列車は(おく)れるわ、春日(かすが)とかいうところに臨時(りんじ)停車(ていしゃ)がするわで散々(さんざん)だったんだからな。」

(いや、臨時停車の方はそれのせいじゃないと思うけど・・・。)

「それいつくらいにあったの。」

「たぶん13時30分とか、それくらいだよな。」

「そんとき俺ら、熊本(くまもと)にいないからね。」

「はっ。」

「さっさと「つばめ」で帰ってきてたから全く関係(かんけい)ないよ。」

(それ、普通(ふつう)で行ってた俺らがバカみたいに見えるじゃないか・・・。)

「でさぁ、「つばめ」ん中で・・・で乗ってきた。」

「何やってんだよお前ら。」

僕と木ノ本(きのもと)の声がそろう。

「フハハハハハ。スリル満点(まんてん)で楽しかったよ。」

あきれて言葉も出なくなった。

「スリル満点だろうがなんだろうが、何やってんだよ。」

「前々から、やるやるとは言ってたけど、本当にやるとは・・・。」

 ここで言っていることは読者の皆様には実行してほしくない。

 その後は21時に出る夜行(やこう)バスまでゆっくりと待った。今度は()つ時間が長い。そして、僕は夜行バスの中で()れるのかと思っていた。正直言うと僕が乗り物で一番嫌いなものがバスなのである。

「なんで「ムーンライト山陽(さんよう)」とか「ムーンライト九州(きゅうしゅう)」じゃないんだよ。」

同じ文句を言っているのは木ノ本(きのもと)である。なお、説明が遅れたが、「ムーンライト山陽(さんよう)」は下関(しものせき)までなので博多(はかた)には乗り入れない。

「ホント、バスって()ねばいいと思う。」

「バスってどこがおもしろいんですかねぇ。僕には全然分りません。」

朝風(あさかぜ)が話しに入ってくる。

「それプラス格安(かくやす)でしょう。」

空河(そらかわ)も入ってくる。

「そうだな。アドの爺のことだから格安のやつだよなぁ。」

「夜行バスと「ムーンライト」だったら、まだ「ムーンライト」の方がましですねぇ。」

「だな。夜行バスって乗ったら最後(さいご)監禁(かんきん)されないといけないからな。」

「もう、走るホテルじゃなくて走る牢屋(ろうや)だよ。あんなの乗ったら死んじゃう。」

「走る牢屋(ろうや)って。そこまでひどいのか。」

「ひどいってもんじゃありませんよ。ゴミです。ゴミ。」

すると、怒ったような口調になって続けた。

「僕一度に夜行バス乗りましたけど、()れるようなもんじゃありません。床下(ゆかした)からのエンジン音はうるさいし、(たて)(よこ)()れまくって寝れません。で、寝れなかったら(そと)見てればいいやって思って外見ようとすると、車内に明かりがちらついて他の客が(ねむ)れないだの。うるさいですよ。」

朝風(あさかぜ)いいこと教えてあげようか。」

今度は後ろで声がした。この会話を聞いていたのだろう。ハクタカ先輩が立っていた。

「いいか、夜行バスって、麻酔薬(ますいやく)常備(じょうび)して乗るもんだぞ。あんなのの中で寝られる人は神経(しんけい)がおかしいんだ。」

(うっ、そこまで言うか・・・。)

「えっじゃあ、ハクタカ先輩って(ねむ)(ぐすり)持ってきてるんですか。」

「んっ。ああ。麻酔薬(ますいやく)ないと眠れないって。バスに乗った段階(だんかい)でこれ飲んじゃえば発車する時にはたぶん寝入れると思うから。」

「そんなの持ってきてたんだ。」

「うるさいな。ないと眠れないんだよ。」

「えっ、ハクタカ先輩って不眠症(ふみんしょう)ですか。」

(ちが)う。バスがゴミだから(ねむ)れないだけ。」

「違う」の言葉の後は(むね)()って言っていた。そして、「ゴミ」を強調(きょうちょう)していた。

 21時20分。自分達が乗るバスに乗り込み、発車を待った。

 21時51分。発車時刻から1分が()った。まだバスはエンジンをフル回転させていない。その後5分経っても、10分経っても、15分経っても発車する気配(けはい)はなかった。

「なあ、朝風(あさかぜ)。バスってこんなにトロイもんか。」

木ノ本(きのもと)が前の席にいる朝風(あさかぜ)に話しかける。

「トロイもんですよ。これだからバスは(きら)いなんです。できれば「寝台特急(あかつき)」とか「寝台特急(なは)」に乗りたかったですけど。」

「まあ、乗してくれるわけないな。」

「そうなんですけどねぇ。」

「そんなに寝台特急(ブルトレ)に乗りたいのか。」

木ノ本(きのもと)(となり)に座っている(くすのき)朝風(あさかぜ)に聞いた。

「はい。寝台特急(ブルトレ)にはこんなのにない良さがいっぱいありますから。」

(こんなのに(バス)ない良さ・・・。)

「うん。朝風(あさかぜ)、君は立派(りっぱ)だよ。」

「でも、なんでそんなこと聞くんですか。」

「んっ。ああ、ちょっと気になっただけだから。」

 22時15分。ようやっと九州(きゅうしゅう)福岡(ふくおか)を発った。

 バスは発車するとすぐに高速道路(こうそくどうろ)に入った。高速道路に入るとすぐに車内灯(しゃないとう)が消される。車内灯が消えるのはいいのだが、どうにもならないものがあった。バスのエンジンである。この床下から聞こえてくる電車のモーター(吊り掛け)よりもひどいこの音はどうにかならないのだろうか。ずっと思っていた。しかし、こんなこと思ってもどうにもならないのは分かっている。その夜、僕はこれのせいで(ねむ)れなかった。


これはひどすぎでは・・・。


言動は確かにひどいですが2日目終了。次からようやっと最終日に入れる。

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