表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
30/184

30列車 浜松~米原

 8月8日。ついにその日がやってきた。

(今日から行ってくるのかぁ。)

それを思いながら(もえ)にメールを打った。

「今日から、博多(はかた)に行ってくるよ。」

文面はそれだけにした。

 6時21分。浜松(はままつ)駅の改札前に到着(とうちゃく)する。集合時間は6時45分。まだたっぷりと時間がある。

「おーす。永島(ながしま)・・・。」

木ノ本(きのもと)(すで)にそこにいた。

木ノ本(きのもと)早いな。」

「だって4時に目が()めたんだもん。」

「早っ。」

「早って。しょうがないだろ。」

「・・・。」

「お前ら、早すぎだぞ。」

横から声がした。ナヨロン先輩だ。

「ナヨロン先輩。おはようございます。」

「つうか、永島(ながしま)気付かなかったのか。同じ列車に乗ってたのに。」

「あっ、そうだったんですか。」

「張り切ってるなぁ1年生諸君(しょくん)。」

今度は善知鳥(うとう)先輩の声だ。

「そう言う善知鳥(うとう)も張り切ってるなぁ。」

「だって博多(HKT)いけんだよ。そりゃあワクワクするって。」

「まあ、新幹線(しんかんせん)ではいけないけどな。」

「ああ、そこだけ(いや)だな。」

「・・・。」

6時40分までの間にサヤ先輩と佐久間(さくま)以外は全員そろった。

「サヤのやつ何してんだろう。」

「いつものことだろ。サヤって時間通りに来た(ためし)ないじゃん。」

アヤケン先輩と善知鳥(うとう)先輩がまだ来ないサヤ先輩に文句を言っていた。その会話を聞いている(かたわ)らでナヨロン先輩がその姿を探した。

「あっ、来た、来た。おーい、サヤこっちだぞ。」

そう呼ぶとサヤ先輩が走ってきた。

「ナヨロン。俺そこまでバカじゃないぞ・・・。」

集合場所まで来るとそう言っていた。

 6時51分。佐久間(さくま)が6分遅刻してきた。だが、これで全員集合する。全員の集合が確認できるとアド先生が全員に「青春(せいしゅん)18切符(きっぷ)」を渡した。

 「18切符」を渡されるといさんでホームに向かった。よく聞くことだが、「18切符」には年齢制限があるみたいなことを思っている人が多いらしいがそんなことはない。それを補足しよう。ここから7時06分発。普通岐阜(ぎふ)()きに乗車する。ホームに上った時間は6時55分。まだその列車は4番線にいない。

永島(ながしま)。」

ホームに上がると佐久間(さくま)が聞いてきた。

「何。」

何のことだろうと思った。

「列車まだ。」

「・・・。」

何を言うのかと思えば・・・。

「まだに決まってるだろ。乗る電車が出るの7時06分だろ。まだ11分あるし。」

醒ヶ井(さめがい)のツッコミが入った。

 7時05分。4番線に列車が入線してきた。東京(とうきょう)方面に顔を向けていると、黄色っぽいヘッドライトの車両がこっちに入ってきた。

「311系だ。」

入って来る列車を知っている僕はただつぶやいたつもりだった。だが、そうとう声が大きかったらしい。(みんな)からはどうしたというような顔で見られてしまったが、そんなことは関係ない。

「へぇ。311系(サンイチイチ)っていうんだ。211系(ニイイチイチ)かと思ったよ。」

これには(おどろ)いた。撮り鉄の木ノ本(きのもと)なら分かっていると思ったからだ。

「えっ。木ノ本(きのもと)しらないんだ。」

「私、こういう(やつ)あんまり知らないんだ。313系(サンイチサン)は分かるんだけどね。」

と言っていた。

 311系が4番線にブレーキ音を立てて止まった。停まって1秒くらい()つとドアが開く。その開いたドアから降車(こうしゃ)する客を待って車内に乗り込んだ。車内は半分くらいの混みだった。311系の転換クロスシートはほぼすべて()まっており、僕達は仕方がなく、ドア付近に固まった。

 「4番線ドアが閉まります。ご注意ください。」

東海道線(とうかいどうせん)(くだ)り、普通列車(ふつうれっしゃ)岐阜(ぎふ)()きです。ドアが閉まります。ご注意ください。」

ピンポーン、ピンポーン。発車前のやり取りが聞こえてくる。ドアが閉まると311系はカックンと揺れて浜松駅(はままつ)を発車した。ここから終点博多(はかた)までは12時間の工程である。

 7時38分。まずは豊橋(とよはし)までコマを進めてきた。ここ豊橋(とよはし)では特別快速(とくべつかいそく)米原(まいばら)()きに乗り換える。そのために移動をしなければならない。そのためにドアの前にスタンバイした。

 7時39分。豊橋(とよはし)に到着。311系が入線したホームは8番線。ここからダッシュで隣の5番線に行く。

 ピンポーン、ピンポーン。ドアが開いた。ドアが開き切るのを見計(みはか)らって飛び出した。

 8番線を見ると始まったばかりのマラソンのように人でいっぱいだった。

(サヤ先輩達は。)

考えながら足を動かす。何秒たっただろうか。ハクタカ先輩の姿をとらえた。その後ろ姿をおって階段(かいだん)()け上がる。階段も人でいっぱいだ。走って上るのは少しきついくらいはいるだろうか。ハクタカ先輩の姿を見失(みうしな)わないように走ってその後を追った。

 階段を上るとハクタカ先輩の姿が左に消えた。特別快速(とっかい)の発車するホームは5番線。5番線は7番線の北側にある。僕も階段を上りきると左にかじをきった。そのころにはハクタカ先輩は5・6番線に通じる階段を降りようとしていた。そこの階段へ僕も急ぐ。こっちの階段はほんの少し空いていた。人の間をかいくぐり、階段を()け足で降りた。階段の中腹(ちゅうふく)(おど)()まで来ると5番線に停まっている特別快速が姿を現した。その時、ハクタカ先輩がそこに吸い込まれるように入っていった。

 5番線に停まっていたのは313系という通勤電車だった。この車両はJR東海の通勤電車でその顔と言っても過言(かごん)でないほどの車両が在籍(ざいせき)している。今のった車両は5000番台という区分で、車両と車両の間に車体間(しゃたいかん)ダンパを装備している。そうそう、さっき降りた311系はこの313系が登場する前の特別快速(とっかい)充当(じゅうとう)されていた車両である。そのため、この二つは内装が非常によく似ている。

 車内に乗り込むと開いている席を急いで探した。もう40%(パーセント)くらいの席が埋まっている。乗り込んだドアから一番近い席に腰を下ろした。

永島(ながしま)さん。隣いいですか。」

空河(そらかわ)に声をかけられた。ずっと僕の後ろをおっていたのだろう。僕は「窓側はいい」と言って空河(そらかわ)(ゆず)った。

 7時49分。313系のドアが閉まり、軽快(けいかい)な音とともに動き出した。列車は車体(からだ)をよじって上り線から下り線へと入って行った。この時に途中停車駅の案内があった。

 蒲郡(がまごおり)岡崎(おかざき)安城(あんじょう)と停車していく。安城(あんじょう)まで来ると立っている客が僕達の前の視界を(さえぎ)った。このころになると、何となく席を立ちたい気分になった。

「んっ、ナガシィどうした。」

「いや、何となくたっていたくなっただけで・・・。」

「座っとけって。こっから長いぞ。」

サヤ先輩の言うとおりだ。まだ1時間くらいしかたっていない。

「いえ、サヤ先輩達も座っといた方がいいですよ。」

「いいよ。後輩に言われて座る先輩がどこに・・・いた。」

サヤ先輩の顔が引きつっていた。見てみるといつの間にか善知鳥(うとう)先輩が僕の座っていたところに座っていた。

「いいじゃん。立ってるの(つか)れたんだから。」

「いや、そうじゃないだろ。」

「いえ、いいです。僕は次ので座りますから。」

永島(ながしま)、そう思っとかないほうがいいぞ。」

僕から見ると左側にいたナヨロン先輩がそう忠告(ちゅうこく)した。

「えっ、なんで。」

関西(むこう)新快速(しんかいそく)って結構需要(じゅよう)あるみたいだから、座れないかもよ。」

「223系なら座れなくてもいいって。」

(何、すべては車両。)

「ふうん。永島(ながしま)って223系好きなんだな。」

「はい。僕が一番好きな車両ですから。」

「じゃあ、一つ聞いていいか。」

「なんですか。」

「223系なら「関空快速(かんくうかいそく)」か「新快速(しんかいそく)」か。どっちがいい。」

断然(だんぜん)223系1000番台です。」

その後ナヨロン先輩とはこんな話になった。

 8時37分。名古屋(なごや)到着(とうちゃく)する。名古屋(なごや)では客の入れ替えがあり、僕は自分の席に戻った。善知鳥(うとう)先輩はというと開いた他の席に移っていった。

 木曽川(きそがわ)あたりに差し掛かったころだっただろうか。隣をグレーとオレンジのラインが目立つ車両が隣を通った。

(「しなの」かなぁ。でも、なんでここに・・・。)

頭の中に考えを(めぐ)らせていた。

 9時09分。大垣(おおがき)に到着。ここで後ろにくっついていた313系を切り離して、さらにその先を目指した。この列車が終点米原(まいばら)に到着したのは9時48分だった。そして、この先にコマを進めるためには2分後に発車する新快足(しんかいそく)姫路(ひめじ)()きに乗車しなければならなかった。


今回は結構説明文が多くなってすみません。後これまでより作風が固いと思われますが、読んでくれる人には感謝。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ