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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
29/184

29列車 行程 テスト

 その日の放課後。岸川(きしかわ)学園では・・・、

「今日は2日目の工程上げちまうぞ。」

僕がみんなをまとめる。

「ところで、みんな何か考えてきた。」

「全然浮かびません。ディーゼルに乗ろうとするとどうしても。」

「大体形は考えてきたんですけど、自分が納得いくようには。」

「あっ。考えるの忘れてた。」

「まぁ、木ノ本(きのもと)の場合無理ないよなぁ。昨日考えてきたのがボツになったわけだし。そんなにポンポン考えが量産できるような人じゃないしね。」

「・・・。」

何か今日は永島(ながしま)と話しづらい。(もえ)があそこまでしたい理由が自分の中では一つしか見つからないからだ。自分のほうははるかに彼女より短いのだが、そう思ったことがあるというのは事実だからだ。しかし、話さなくてはならない。鉄道の話に置いて口数が少ない自分は異常。心配かけまいと思って口を開いた。

「そんなの誰でも同じだろ。あれ、相当自信あったんだから。・・・。そういう永島(ながしま)は何か考えてきたのか。」

「全然。」

(即行否定かよ。)

「でも、昨日佐久間(さくま)熊本(くまもと)行くって言ってたじゃん。あれの行先だけパクって行こうかなぁと。」

「行こうかなぁって。熊本(くまもと)にですか。」

「パクっててことはずっと各駅ですよねぇ。」

「ああ。そんで、いちばん最後のほうは木ノ本(きのもと)の案も少し入れた。で、これで本当に回れるのかわかんねぇから、今から時刻表で調べるってわけ。」

「こら。ちゃんと調べてから来いよ。つうかちゃんと考えてきてるじゃないか。」

「まあまあ。そう怒らずに。じゃあ、醒ヶ井(さめがい)。時刻表貸して。」

「だから。前にある時刻表取ってくればいいじゃん。」

「お前のほうが前の時刻表に近い。それに取りにいくの面倒だし。」

(さすが。金持ち出身の人だなぁ。)

「いいよ。私が取ってくる。」

これをやり続けていてもらちが明かない。そう思った木ノ本(きのもと)が時刻表をとってくる。その時刻表を渡されて、

「えーと。鹿児島本線(かごしまほんせん)鹿児島本線(かごしまほんせん)。えーと。あった。」

見つけて開くのをやめたところ、開かれたのは鹿児島本線(かごしまほんせん)「上り」のページ。このページは「上り(八代(やつしろ)門司港(もじこう)) その3」となっている。前にページをめくって、鹿児島本線(かごしまほんせん)「下り」のページを出す。

「えっと、まず。8時11分発の快速(かいそく)荒尾(あらお)行きで、荒尾(あらお)が9時26分。」

小倉(こくら)方面からきている快速(かいそく)列車は大牟田(おおむた)の一つした。荒尾(あらお)という駅でその先に時刻の表示がない。これはここ荒尾(あらお)が終点だという証。当然列車を乗り換える必要がある。荒尾(あらお)をさした指を右に動かす。右側に行けばいくほど時刻は遅くなる。一本「特急(とっきゅう)つばめ」を挟んで9時44分。普通列車八代(やつしろ)行きがある。これに乗ると途中熊本(くまもと)には10時32分。この先八代(やつしろ)まで行こうと思えば八代(やつしろ)まで行ける。だが、あえてここでとめることにしよう。

熊本(くまもと)まで来て10時32分かぁ。この先どうするんだよ。」

熊本(くまもと)って市電があるんだよ。」

「しでん。」

木ノ本(きのもと)にはそれがわからなかった。まだ元の知識量に戻ってない。

「路面電車ですよ。木ノ本(きのもと)さんそんなことも分かんないんですか。」

空河(そらかわ)。後でシバカレたい。」

「嫌です。」

「その話は置いといて、それ乗りつくして、帰りはどうしようかなぁ。全部乗りつくすって言ってもそんなにかからないよなぁ。なら、13時57分発の普通鳥栖(とす)行きに乗って・・・。」

出る言葉がなくなった。終点鳥栖(とす)到着は16時05分。長いのだ。

「これ快速(かいそく)運転やってくれませんかねぇ。」

「やっちゃくれないだろうな。」

「この間だけでも「つばめ」とか「有明(ありあけ)」とか使いましょうよ。」

「金かかるからやめよう。よし。そんでこれに乗ってって、鳥栖(とす)が16時05分。これで言って一番早く行ける列車が快速(かいそく)小倉(こくら)行き。こいつに乗っていくと博多(はかた)に16時58分。これに一番早い博多南線(はかたみなみせん)は・・・。」

ページを白い部分の真ん中あたりから前よりの青いページに変える。東海道(とうかいどう)山陽(さんよう)新幹線(しんかんせん)の下を探っていたが、博多南線(はかたみなみせん)の表示はどこにも見つからない。散々探して、いま開いているページは「東海道(とうかいどう)山陽(さんよう)新幹線(しんかんせん)上り その7」。仕方がないので、ページを前に送って青いページよりも前のページを開いた。ここにはいろんな情報が乗っている。それはホテルや臨時列車の時刻など様々。しばらくめくっていくと東京(とうきょう)首都圏(しゅとけん)の拡大された路線図が出てきた。もう1ページめくると北海道がでかでかと載っているページ、次は東北(とうほく)地方、関東(かんとう)地方、中部(ちゅうぶ)地方、近畿(きんき)地方という風に分かれている。これの九州(きゅうしゅう)地方が乗っているページを出して、博多南線(はかたみなみせん)をおった。

(444ページ。)

ページ数を記憶して、そのページまでページをめくる。そのページには左上に小ぢんまりと博多南線(はかたみなみせん)が載っていた。

「これで一番早い博多南線(はかたみなみせん)が17時29分で、博多南(はかたみなみ)着が17時39分。これで返ってくるときは・・・。19時04分のやつでは方が19時14分。完璧(かんぺき)。」

とりあえずこんな感じで頭の中にあった案はこれでようやく実体化した。

 あとはこれをアド先生に提出するだけ、

「はい。分かりました。」

この反応は通ったということと受け取っていいらしい。

永島(ながしま)君。3日目はどうするつもりですか。」

「えっ。3日目は大阪(おおさか)新大阪(しんおおさか)に缶詰めのつもりですけど。」

「ナヨロンじゃあるまいしよくやろうとするな。死ぬぞ。やめとけ、やめとけ。」

そういったのはサヤ先輩だ。

「人を鉄道バカみたいに言うなつぅの。」

「そう言ったって何の説得力もないわ。どこからどう見たって鉄道バカじゃないか。」

「・・・。」

「おいおい。二人ともやめろ。」

アヤケン先輩が仲裁に入った。

「ナヨロンはどこからどう見ても鉄道バカっていうの認めろよ。」

「本人否定してるところであっさりというな。」

「そして、サヤは鉄道好きの天然の際物好きって認めろよ。」

「際物好きってなんだよ。」

「・・・。」

「まぁ、そんな話どうでもいいや。でも、このプランからすると、「RedDiesel(レディー)」とか見ないんだな。」

「「レディー」。」

この言い方には疑問を持った。まず何を言いたいのかが分からなかった。

「あの、名寄(なよろ)先輩。」

何か心当たりがあるらしく、空河(そらかわ)名寄(なよろ)に話しかけた。

「もしかして「キハ200」のことですか。」

「すっ・・・すごいなぁ。通じるやつがいた・・・。」

さすがにこのことまでは予想していなかったようだ。面喰(めんくら)っていた。

 キハ200というのはJR九州(きゅうしゅう)のディーゼルカーである。この車両は働く線区(せんく)ごとに色分けされており、赤と青と黄の3色がある。今、ナヨロン先輩の言ったのは赤いキハ200のこと。他の色は「BlueDiesel(ルディー)」「YellowDiesel(エディー)」とあだ名をつけているようだった。

 6月24日。佐久間(さくま)の班が原案を出し、これで全部の班の自由行動の計画が出された。これでテスト前の部活は終了。次の部活はテストが終わってからになる。ここまでくれば一時は安心していいそうである。後はただ、その日が来るのを待つだけだと言っていた。


 7月上旬。そうそうテストだ。

「なぁ、宿毛(すくも)。ここ教えてくんない。」

数学Ⅰの教科書を持って宿毛(すくも)のところまで行く。

「お前なぁ。数学じゃなくて国語勉強しろよ。国語。」

「いいじゃん。国語なんてどうにでもなりそうだし、それにこれわけわかんねぇ。」

「分かんないとかって言っておきながら、理解してる。お前に多いパターンじゃないか。」

「そ・・・それで教えてくれないとでもいうのか。」

「いや、そういうわけじゃないけど・・・。」

「じゃあ、教えて。」

「はいはい。」

(学年トップが縋り付いてる・・・。)

そう思いながら、宿毛(すくも)とのやり取りを見た。

 1時間後・・・、

宿毛(すくも)、今度はこれ教えて。」

「はっ。それ教えるもんかよ。覚えろよ。お前の短期記憶最強なんだから。」

「いいじゃん。なんか問題出して。」

「問題かぁ。じゃあ、生殖(せいしょく)細胞(さいぼう)ができるときの分裂の名称。」

減数(げんすう)分裂(ぶんれつ)だろ。」

「正解。次。相同染色体どうしが平行に接着するようになった染色体は。」

「えーと・・・。二価(にか)染色体(せんしょくたい)。」

「正解。問題出すまでもないだろ。」

「いいからもっともっと。分かんないから。」

「ウソじゃん。」

ずっと問題を出し合って7分後。

「あ、覚えらんねぇ。」

「ウソつけ。覚えてるだろ。永島(ながしま)。今回も生物100点取ったら殺すからな。」

「大丈夫。今回は取れないから。」

「嘘くさいんだよ。」

「ハハハ。」

「ハハハじゃねぇよ。まったく。」

 また1時間後・・・。同じことを繰り返して今日は終了。次の日も同じだった。そして数日たつと・・・、

(ゲッ。)

「おい。俺に縋り付くからこういうことになるんだよ。縋り付かなきゃよかったものを。」

耳元で宿毛(すくも)が悪魔みたいな声でささやいた。

「結構できてたと思ったらまたこの結果だもんなぁ。なんで宿毛(すくも)が上じゃないんだよ。」

「知るか。俺のほうはあれだけ勉強してきた結果がこれっていうほうに腹が立つ。」

「・・・。」

「まぁいいや。次で抜けばいい。」

「だな。次で抜かれればいい。」

(一番上っていうのがよっぽど気にくわないみたいだな。)

 その昼・・・、

「今回も学年トップって宿毛(すくも)君っていう子なのか。」

木ノ本(きのもと)がその話題を振った。

「あっ。木ノ本(きのもと)まだ知らなかったんだ。」

木ノ本(きのもと)の対岸に座っている箕島(みしま)が口を開いた。

宿毛(すくも)っていう人が学年トップっていうのは嘘なんだよ。本当の学年トップは・・・。」

箕島(みしま)は視線を永島(ながしま)のほうに向けた。

「それ言うなって。」

「マジ。学年トップってこいつなのか。」

「そうだよ。」

疑問には佐久間(さくま)が答えた。

(マジかよ。今までずっとバカっていう方面で同類って思ってたのに。そもそもなんでそんなに頭いい人が岸川(きしかわ)に来てるわけ。)

「まぁ、ほかの高校狙う気もなかったし、行くの面倒くさかったし。」

「ここは面倒じゃないんだ。」

「うん。ここはね。遊ぶために学校来てるし。」

「そりゃ目的が違うだろ。」

「まぁ、いいじゃん。人それぞれ目的が違うっていうのはふつうだし。」

(こいつの場合それがふつうって言ってもふつうじゃないように聞こえる。)

 その日の放課後。ソフトボール部。

(ダメだ。なんかやる気しない。でも、夏の大会も近いんだし、どうにかついて行かなきゃ。でも・・・。なんだろうこの気持ち。今までそんなにきつくなかった練習がこんなにきつく感じるのは・・・。)

この頃木ノ本(きのもと)の表情がとてもうらやましく思えるのだ。


ようやっとここまで来ました。


結構現実と違うというところは目をつぶりたくなくなるほどでしたかねぇ・・・。

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