27列車 立案
残酷な発言がございます。
翌日。
「今日も2日目、3日目の打ち合わせかぁ。なぁ、木ノ本。なんか考えてきた。」
話題を木ノ本に振ってみた。
「考えてみたんだけどさぁ、昨日鳥栖に行くっていう話に最後なってたじゃん。だったら鳥栖まで行ってそこでしゃさつでもすればいいと思う。」
「しゃさつ。」
木ノ本の言葉にあった「しゃさつ」という言葉が気になった。まさか・・・。
「おい。まさか人殺すなんてしないよなぁ。」
「するわけないじゃん。永島ならすぐに通じると思ったけど、通じなかったかぁ。」
「なんだよその言い方。まるで俺が鉄道バカみたいに聞こえるじゃないか。」
「実質そうじゃん。」
「まぁ、否定しないけど。で、何それ。」
「車両撮影。略して車撮。」
「・・・。紛らわしい略語作ったなぁ。車両撮影。略して車撮かぁ。」
「そう。すごいだろ。」
「どこもすごくないけどな。」
「それをスパッというなよ。」
「そんな話はどうでもいい。で、どんなの考えてきたの。俺はその工程知りたい。」
「まず、8時12分の快速で鳥栖まで行く。後は車撮大会。戻ってくる列車は鳥栖を15時23分に発車する快速。そのあと16時09分発の博多南線に乗って博多南まで行って総合車両所を見てみる。それで帰りは18時04分の列車っていう感じなんだけど。」
「・・・。」
「なんか反応してよ。」
「別に悪くないんじゃない。それで通してみる。」
「通すのはいいけど、まずは朝風と空河の反応見てからだろ。」
「多分反対しないと思うけど。」
「いや、空河が反対しそうで怖いんだよ。空河ってディーゼル好きだろ。私の計画の中ディーゼル出てこないから・・・。」
「鳥栖で「ゆふいんの森」も見れる。それがキハ71だかキハ72だかは知らないけどな。」
「なんだ。なら問題ないじゃん。」
「だから、きっと大丈夫だよ。朝風が見たい寝台特急も見れるしな。」
このことを早速空河たちに振ってみた。
「なんか反対とか。こんなところ行くなんてゴミじゃんとかっていうところない。」
「別にないです。「ゆふいん」見られるだけでも十分ですから。」
「ないです。木ノ本さんありがとうございます。」
「いやあ。それほどでも。」
「浮かれてんな。通らなきゃこれボツ。また1から作り直さなきゃいけないんだから。」
計画を手帳サイズのノートに書いてアド先生に提出してみた。すると・・・、
「なんだよこれ。鳥栖まで行って写真撮って戻ってくるだけかよ。」
ダメだししたのはアド先生ではなくサヤ先輩だった。
「えっ、ダメですか。」
木ノ本が聞き返す。
「ダメってわけじゃないんだけど、行動が小さいっていうのかなぁ。俺たちは門司港のレトロうんたらとかっていうところまで行こうと思ってるんだよ。」
「永島。門司港ってどこ。」
「えっ。門司港って・・・、」
鉄道知識が0に等し木ノ本にはどういう説明をしたらよいのか。ちょっと考えて、
「山陽新幹線の小倉って知ってる。」
「小倉。・・・。小倉。」
どうもわからないみたいである。他に通じる言い方は・・・、
「九州渡ってすぐ。」
「・・・。イメージわかないけど、何となくわかった。それの近くなのか。」
「うん。」
「そっちの話は済んだか。」
するとサヤ先輩はさっきの説明を続けた。・・・。いや、違う。
「俺たちそこに行くまで「クソニック」に乗ることになった。」
「「クソニック」って・・・。サヤ先輩その呼び方やめましょう。」
「いいだろ。別に。「ハイパーに問題起こす」やつらに乗るよりはましだ。」
これには首をかしげた。僕が知っている中で「ハイパー」がつく電車や車両が見つからない。それがわからないようだと察したようで、ナヨロン先輩が耳打ちしてくれた。
「783系。あれの愛称「ハイパーサルーン」。」
(なるほど・・・。)
「サヤ先輩。話が脱線してます。」
「えっ。あっ。話それてた。ごめんごめん。」
「ところで、この計画は変えたほうがいいってことですか。」
木ノ本はそう聞いていたが、僕にはもうこれでは通る気はしなかった。
「もういいよ。また計画練ろうぜ。」
「なっ、永島。」
木ノ本は僕を呼び止めようとした。しかし、さっさと席に戻った僕を見ると僕たちのほうへもどってきた。
「聞こえてたと思うけど、この計画じゃあ通らなかった。なんか他にいい案ある。って言ってもすぐには出ないよなぁ。」
「・・・。」
「永島。」
考え込んでいるさなか誰かに呼ばれた。僕を読んだ人は佐久間だった。振り向いてみれば僕のすぐ後ろにいる。
「何。」
「お前らどこに行くってなってる。」
「鳥栖に行こうっていう話になってたけど、どうも通りそうになかったから鳥栖に行くことはやめた。お前らはどこ行くの。」
「「つばめ」に乗って熊本まで行ってくる。」
「「つばめ」っ。」
班全員の声がそろった。「つばめ」は博多と西鹿児島を結ぶ特急の名前。使われている車両は787系という車両で全体がシルバーに塗装されている。外見は何となくロボットを連想させそうな顔をしている。
「あ・・・あれに乗るのか。」
「ああ、それもここだけの話・・・で乗る。」
「おい。それはやっちゃダメだろ。」
「考えてることが幼稚というかなんというか。見つかったらどうすんのよ。」
「え。見つからなければどうということはない。」
「・・・。」
(いや、そういう問題じゃなくて・・・。)
なお、今ここで話されていたことは絶対に真似しないでください。犯罪です。
「熊本って言ってたなぁ。熊本行って何するんだよ。」
「あすこって路面電車走ってるじゃん。それにでも乗ってこようかなぁと思って。」
(熊本・・・。)
「へぇ。そうなんだ。」
佐久間とも会話はここでお開き。自分たちの計画に戻ったが、何も進行しないのは変わりない。なら・・・。
「先に3日目の計画作っちまおうぜ。」
「そうだな。2日目迷ってったってしょうがないもんな。」
「じゃあ、3日目どうするか・・・。」
全員頭を回転される。中に浮かんでくるのは昨日言った「あかつき」「彗星」「なは」をこの日に見る。
「まず、寝台特急を見るのは必須だろ。」
「そうだな・・・。ん・・・。」
一つ気がかりなことが浮かんだ。もしこれが本当だったら・・・。
「バスが大阪に着くのって何時だっけ。」
「ゴミバスが大阪に着くのは7時30分ですよ。」
「・・・。」
「どうかしたのか。」
「まずい。俺たち寝台特急にも見放されたかも。このままいったら「あかつき」と「彗星」は見れない。」
「え。行ってる意味がちょっとよく分かんないんだけど。」
「おいおい。これくらい理解しようぜ。」
「木ノ本さんにもわかるように説明します。まず「彗星」の大阪到着が7時16分。「あかつき」の大阪到着が7時24分。」
「あ。なるほど。そういうことか。・・・。って。えー。」
「死ねばいいですね。そのバス。」
「ほんとだよ。でも、バスのおかげで間に合うかもしれない。」
「なんで。」
「よく考えてみてくださいよ。鉄道は1分1秒でも遅れたらいけない。その代りにバスはそれに縛られない。どうしても高速道路の道路状況に左右されるからです。つまり、渋滞が続いていれば7時30分以降の到着になるということ。もし道路がスカスカですいすい通れる状態なら到着は7時30分より早くなる。」
「つまり、朝風が言いたいのは道路がスカスカの状態であることを祈っとけってこと。」
「まぁ、そんな感じです。僕が思うにバスはゴミですから。」
バス好きの人ごめんなさい。
「よし。もし渋滞はまったらいらない車ロケランで破壊するか。」
まず木ノ本がそれを言った。
「ダメですよ。ロケランで破壊したら残骸が残るじゃないですか。」
「何。残骸を残さないで車を吹き飛ばす方法でもあるのか。」
「核爆弾に決まってるじゃないですか。いらない車はすべて核爆弾で破壊する。」
「それ、私たちまで被ばくするからやめような。」
「分かった。残骸が残らなきゃいいんだろ。」
「うん。まぁ、そうだな。って永島も核爆弾で破壊するとかっていうこと思いついたのか。」
「いや。核爆弾だとどうしても俺たちが被ばくするじゃん。バスにクレーンをつけていらない車を放り投げる。今は車社会車社会とかって言ってるけど、これからは鉄道社会になるんだぜ。地球にたまりすぎた車を一掃するにはもってこいのイベントじゃないか。」
「それ余計時間かかります。世界の車一掃するなら、全部の車の床下にプラスチック爆弾かTNTを下にくっつけて、ある段階で爆破する。こうすればエンジン死ぬ。燃料タンク死ぬ。基盤死ぬの3弾攻撃が可能になる。」
車好きの人ごめんなさい。
「それやったら全員鉄道利用に切り替わるな。」
「鉄道利用に切り替わってもどうせ新幹線利用でしょ。」
「なんか不満なのか。朝風。」
「不満に決まってます。そんなことしてもどうせ早い乗り物にしか流れないんですから。もっと旅を楽しむとかっていうこと考えないんですかねぇ。だから現代人は視野が狭いんですよ。この年で言うのもなんですけど、僕は昔を見直す必要があると思いますね。」
(この年って。まだこいつ12だぞ。言うことはすでにおっさん化してる。)
「さっき視野狭いって言いましたけど、僕本当に現代人は視野狭いと思うんですよ。なんでそんなに早くいきたいって思うことだってありますから。」
「早くいって何が楽しいってことだな。」
「そうです。今は楽しいなんてどうでもいいっていう人がたくさんいるから新幹線がもうかって、それに並行してひっそりと生きている路線がどんどんさびしくなってく。」
「でも、その対策は見つからないってことだよなぁ。」
「そうなんですよねぇ。どこどうやったらまがった心が折れるのか。その答えが見つからない。」
「そんな話どうでもいい。さっさと3日目上げちまおうぜ。」
そのあと話し合って3日目の計画を立てた。結果は車両撮影の王道となった。
部活終了後。
(はぁ。今日はすっかり遅くなっちゃったなぁ。結局2日目の私の案はボツ。他にどんな計画立てろっていうのよ。はぁ。)
心の中で溜息したかしないかの時。誰かにぶつかった。思いっきり頭と頭が衝突した。
「痛っ。」
思わず声が出る。おでこをこすりながら、
「ごめんなさ・・・。」
目を開けてみると、どこかで見たことのある顔だった。
「坂口さん。」
相手も目を開けると、
「木ノ本さん。」
お互いの名前を呼びあった。
今回は本当に謝罪するレだと思います。
と言っておきながら、主人公たちがあんなことを言っているレのほうがなんか楽しい気がします。
話は変わりますが、このレの前までの文字数を原稿用紙の400字で割ってみました。その結果原稿用紙に空白なく文字を埋めても338枚相当になることが分かりました。いつの間に自分ってこんなに書いたんだろう・・・。