25列車 難読質問
6月14日。文化祭の片づけ。モジュールを随時量に運んで、車両のほうは図書館準備室に入れた。その片付けが終了すると、2階昇降口のちょうど下にあるピロティに集合するよう言われた。
「よーし、諸君。これからみんなを広報課と総務課と模型課に分けるからちょっと待っててね。」
前にナヨロン先輩が言っていた班決めである。だが、形式上その形をとるだけで、活動上関係ないらしい。
「えーと、まず醒ヶ井は総務課でいいだろ。後は、・・・。」
「少なくとも永島は模型課だな。」
「佐久間はなんかメカニック関係得意そうだし、広報課でいいだろ。」
「残りのミッシィとハルナンはどうするんだよ。」
「残りってそれだけじゃないだろ。中学生だってそうだ。ああ、あと諫早も模型課だったな。」
「なんか有能なやつが引き抜かれてるような気がするけど。」
「気のせいだって。」
「じゃあ、箕島は総務課で、は広報課・・・。」
「木ノ本広報課っておかしいだろ。木ノ本もどっちかって言ったら模型課じゃないのか。」
「おう、ナヨロン。さっきから人引き抜きすぎ。」
「分かったよ。じゃあ、あとはそっちで決めて。もう引き抜く当てもないから。」
「じゃあ、模型課はもう人回さなくていいね。」
「ちょっと待て。せめて3人。3人は模型課来てほしいんだけど。」
「引き抜く当てあるじゃないか。」
「それじゃあ、ハルナンも模型課で、アサタンが総務課で、ソラタンが広報課でいいね。」
「ああ、それでいいよ。」
会議が終わったらしくサヤ先輩がこちらを向いた。するとそれぞれにどこどこに行けと指示を出し完成まで持って行った。
「よし。そっちの一番左のやつが総務課。真ん中が模型課。そして、いちばん右が広報課だ。とりあえず何班にいるっていうのは覚えといてちょ。」
そういうことだそうだ。
「で、これからの部活のために全員に書いてほしいものがあるんだけど・・・。」
サヤ先輩はさっきから持っていた紙を全員に配った。その紙にはこんなことが書いてあった。例えば「ロングシートとクロスシートどちらが好きか」、「ここのJRに一言」など。他にも「川内」の読み方、48という数字でピンと来るものなど50個の質問が書かれていた。
「この質問に回答してくれ。出来たら、俺に渡して。これを俺たちの部員紹介のページにアップするから。」
「はーい。」
渡された問題に取り組む。内容は様々。最初は初歩的物から始まり、あとになればなるほど少しずつ内容が難しくなっていっている感じもする。
「なぁ、永島。これなんて読むかわかるか。」
木ノ本が聞いてきた。シャープペンがさしている文字は「川内」。
「あっ、それ東北の都市と同じ読み方するよ。」
佐久間が口を挟んできた。
「確かにそうだな。」
「東北の都市。何、盛岡とか仙台とか。」
「今思いっきり答え言ったよ。」
「えっ、ウソ。・・・。」
「答えは簡単なほうだな。」
「簡単なほうかぁ・・・。なるほど。そう読むのね。」
思いついたらしく、その答えを書いた。書き終わると、
「なんかこういうのって紛らわしいよね。ここら辺で言ったら新居町を「しんきょちょう」って読んじゃうってところかなぁ。」
「あれ駅の読み方「あらいちょう」じゃなくて新居町だからな。さらに紛らわしいぞ。」
「あれなんてまだまだ優しいほうだろうな。難読駅なんて日本中探せばいくらでも出てくる。同じ九州新幹線の難読駅といえば「出るに水」って書いて出水とかっていうのもあるね。他に僕が知ってるのは・・・これかなぁ。」
紙の白紙を使って「長万部」と書いた。
「なにこれ。「ちょうまんべ」とかって読むのか。」
(この読み方って絶対坂口さん知ってるよねぇ。)
「いや。これふつうに読むってこと考えちゃいけない。難読だから。佐久間分かる。」
「え。これの読み方なんてわかるわけねぇよ。」
「醒ヶ井。箕島。これの読み方わかる。」
「知るかっ。」
「えーと、これって何「まんべ」だったっけ・・・。ダメだ。「長」の読み方がわかんねぇ。」
醒ヶ井、箕島の順に回答を得た。
「何やってんだ。」
後ろから善知鳥先輩が覗き込んでいた。
「これの読み方わかるかなぁってやってたんです。」
善知鳥先輩は「長万部」の文字を見るとすかさずナヨロン先輩を呼んだ。
「ナヨロン。これなんて読むかわかる。」
ナヨロン先輩にはすぐに分かってしまったみたいで鼻で笑っていた。
「簡単じゃん。「長万部」だよ。「カシオペア」とかの停車駅だよ。」
「ナヨロンそういう方面からのこういうのは得意だからなぁ。」
「よし、俺からも問題作ってやる。これなんて読むかわかるか。」
書いた漢字は2文字で「青木」。
「えっ、ナヨロン先輩。これバカにしてるんですか。」
「全然。これぞ簡単すぎて難しいっていう問題だぜ。阪神電鉄にはこう書いてすっごく意外な読み方させてる。まず、この答えは封じでおくか。全員これ「あおき」って読むって思ってるだろうが、これは「あおき」って読まない。」
「はっ。これ「あおき」意外に読み方あるのか。」
「バカ。善知鳥は黙ってろ。」
読者の皆様にはこれの答えを教えておこう。もうすでに出ています。分かっている人はもう言うまでもないでしょう。
「さぁ、どうだ。」
「ダメです。「あおき」意外思いつきません。」
箕島がギブアップするのを待っていたかのように全員ギブアップ。
「読み方は簡単なんだけどなぁ。」
そういうとナヨロン先輩は青の上に大の字を書いた。
「こいつは「おおぎ」って読むんだぜ。他にもこういうのはどうだ。」
今度は「杉津」と書いた。
「これは「すぎづ」。」
「違うんですよねぇ。これってもっと別な読み方でしょ。」
「ああ。」
「僕。これは分かります。「すいづ」ですよね。」
この問題には箕島が回答した。
「ああ、これ答えられちゃうと持ちネタがないなぁ。俺が知ってる難読駅って言ったらこれくらいかなぁ。」
「ナヨロン。それ嘘だよねぇ。」
「箕島は歴史関連が得意そうだ。それだったら「水城」とか出してもすぐ分かっちまうだろ。」
「・・・。」
「いや。水城はふつうか。それだったら原田のほうがわかりづらいかなぁ。」
「なことどっちでもいいわ。ていうより、みんな書けた。」
「あ、はい。お願いします。」
「みんな早っ。」
どうやら終わってなかったのは醒ヶ井だけだったみたいである。
それが全員書き終わったところでアド先生からまた新たな発表があった。
「えーと、今日から部長が北斎院君から鷹倉君に変わります。部長としての仕事はまだ引き継がないようですけど、新しい部長ですので、みなさん歓迎しましょう。」
みんなは拍手でそれに応対した。
「よっ。ハクタカ。よいよでしゃばって教えれるとでも思ってるのか。」
「思ってませんよ。むしろでしゃばって教えたいのは善知鳥先輩じゃないんですか。」
「って違うか。でしゃばって教えるのはアヤノンか。」
「えっ、何であたしになるんですか。」
「だってしそうじゃん。」
「絢乃は絶対にそういうことしません。」
「なんでハクタカがかばうんだよ。さすがにアヤノンす・・・。」
「それ以上何も言わないでください。」
「えっ、どうして。」
「いいから、何も言わないでください。」
数日後。岸川高校鉄道研究部のホームページを開いてみた。
(この「N'EX」。ナガシィだよなぁ。これも本当に好きだよねぇ。)
そのページには結構面白いことが書いてあった。
全体的に文章が説明文であることを謝罪します。
作品上そうなってしまうというところがあるのでご了承ください。
関係のない話ですが、今自分が作っている原作は高1の11月頃の内容です。まだまだ原作も発表分も先が長いなぁ・・・。
そんなのでも読んでくれる人には感謝。
読者のために根性で頑張ります。
・・・後書きがほとんど同じ内容ですみません。