24列車 暴走 富山ライトレール
EF510と「トワイライトエクスプレス」が走りだしてからは、次に何を走らせるかの議論。
「在来線にE3系の「つばさ」と「こまち」を走らせて何とか時間稼ぎにして、次に旧国鉄いけばいいだろ。「ぎんりん」とか「ぎんりん」とか「ぎんりん」とか。」
「お前さっきから「とびうお」・「ぎんりん」にこだわり過ぎ。少しはもっとほかのやつにしろよ。あのキハ58使って、多層建てでもやればいいじゃないか。」
「多層建てすか。やるのはいいですけど、相方が困り・・・。」
「そんなのいくらでもいるだろ。485系使って「つばさ」でいいじゃないか。」
「いくらなんでも、それはないでしょ。」
「あのう。内回りに「スーパーはくと」で外回りに「スーパーおき」か「はまかぜ」出せばいいじゃないですか。」
「ちょっと待て。今外回りに貨物列車出したんだからさぁ、あれを徹底的にいじればいいじゃないか。」
青木さんが口をはさむ。
「えっ、EF510(レトサン)の後にEF210(モモカマ)出して、EF81(コチカマ)の重連でED76(ナロカマ)の単機みたいなことするんですか。別に嫌とは言いませんけど、ずっとあれをまわしているっていうのはちょっと。」
「えっ、いいじゃないですか。面白いですし。」
「でもEF510(レトサン)から始まるっていうのはちょっとって思うんですよ。そういうことするならなおさら「3099レ」か「3098レ」みたいなことするべきだと思います。」
「また面倒くさいこと思い付くなぁ。」
この後ナヨロン先輩から教わったことだが、「3098レ」と「3099レ」は日本一長い距離を走る貨物列車らしい。走行区間は福岡~札幌まで。途中日本海縦貫線という短絡路線を通ってもその走行距離は2000km以上になるという。
「ていうか、貨物だったら他にもいじりようありますよねぇ。機関車変えるだけじゃなくて貨車変えてどうにかするっていうのも。」
「確かに一つの手だけど、変えるの面倒くせぇじゃん。」
「おいこら。鉄道マニアがそんなこと言っていいのかよ。」
「じゃあ、僕が変えるでやっていいですか。」
「ああ、それだったらやってもいいけど、何にする気だ。タキ。ワム。トラ。」
「タキ。」
「了解。並べろ。つってもその隣に困るんだよなぁ。そうなると、あの「トワイライト」もいじらないと。」
「EF210(桃太郎)に牽引させて、東海道線っていうことにしちゃえばいいじゃん。」
「それ言ったらほとんどの列車そうなるじゃないですか。209系の隣にEH200(ブルサン)のタキ走らせて根岸線とか。その隣にE231系走らせて湘南新宿ラインとか。」
「んなこと言ってたらはじまんねぇだろが。」
「あのう。外に113系とか行けばいいんじゃないでしょうか。」
しばらく黙っていたが、ポンと手を叩いて、
「その手があったか。」
そこ感心されても・・・。
その後もこんなギャグみたいな決め方をしながら、走らせる車両を決めてホームに並べる作業。こんなことをしている間にも時間はどんどん過ぎて14時30分になった。
「さて、そろそろやるかなぁ。」
「えっ、ナヨロン先輩あれ冗談じゃないんですか。」
「冗談なわけないだろ。やると言ったらやる。次の周回で、内回りキハ56と外回りキハ22を停車させろ。やるぜ。」
そういって車両の入った箱を詮索。箱を三つ取りだして箱を開けた。中には小ぢんまりとした白い車両が入っている。色はそれぞれ違って一つは赤、二つ目は緑、三つ目は紫だった。そのうち二つ。赤と緑をいつもの手つきで線路の上に置いて気動車の到着を待つ。気動車が到着するとポイントを直線に変更。
「箕島。運転変わって。」
珍しくナヨロン先輩がコントローラーのつまみを握る。すると、一気につまみをまわした。停車していた車両は勢いよくホームを飛び出していった。
「あっ。ナヨロンのやつ「ライトレール」走らせてやがる。」
モジュールに比べてとてもちっちゃい車両を善知鳥先輩が発見する。
「ナヨロン。それはあたしの専売特許よ。勝手に使うな。」
「うるさい。ときにはいいだろ。」
「おい、名寄。新しい仲間。」
「おお。万葉線。」
内回りを止めて同じ線路上に青木さんから貰った車両を置く。この車両は「ライトレール」とよく似ているが、少し違う。置き終わると再びつまみをマックスにした。すると、今度は外回りと駅の反対側に止めて紫の「ライトレール」を置いた。当然、こちらも置き終わると暴走させた。
なぜか走らないけど、この「ライトレール」の暴走は子供たちには好評のようだが、部員には好評ではない。むこうの管轄の人が出てきて、レールの上に手でトンネルを作った。
「あっ、バカ。取るな。」
「ハクタカ。そっちの「ライトレール」取って。」
「永島。「ライトレール」死んでも守れ。」
なんなんだろうか。この状況。
「ハクタカ取るな。」
「ヤダよ。人には散々編成違うとか言っといて自分はこんなことしてるんだから。」
「いいだろ。間違ってないし。」
「そこ違うだろ。根本が間違ってますよ。」
ハクタカ先輩は走ってきた内回りの赤い「ライトレール」の速度に合わせて、トンネルを作った右手を滑らせる。滑らせるのと同時に「ライトレール」を掴んで、レールの上から外し、自分達の周回へ持っていった。
「ちくしょう。一つ持ってかれた。楠。そっちに取られたの取り返して来い。」
「絢乃。取ったらお前の恥ずかしい話クラスにばらすぞ。」
「この。バカタカ。」
「ちょっとアヤノン邪魔。取れないじゃん。」
「ちょっ、どこ触ってるんですか。」
「永島。箕島。死んでも守れ。」
と言った時にはもう遅い。紫色の「ライトレール」は善知鳥先輩に取られてしまった。
「サヤ、「ライトレール」取ったぞー。」
「オッシャー。」
「よーし。こっちもやるぞ。」
「家でやるときにはないすさまじさだね。」
萌が話しかけてきた。確かに。家でやっている時はこんなことはない。ただ普通に車両がゆっくりと走っているだけである。もちろん、新幹線はゆっくり走ってないが。
「確かに。でも、楽しくていいよ。こういうこともあって。」
「ハハ。・・・ナガシィが持ってきたやつ大活躍だったね。」
「ああ、ちょっと持ってきすぎたかなぁって思ってたけど、そうでも無かったよ。先輩なんかもっと持ってきてもらった方が良かったかもなぁって言ってたくらいだし。」
「駿兄ちゃんの223系も持ってきてたけど、あれどうするの。横倒しになっちゃったし。」
「あれも部活のやつ。顧問のなんだって。」
「へぇ。顧問のやつねぇ。って顧問の先生持ちすぎじゃない。どのくらい持ってるのよ。」
「数えてなかったから分かんないけど、うちの父ちゃんくらい持ってるよ。」
「あっ、じゃあ結構持ってるんだね。」
「・・・。」
「今日部活の先輩といろいろ話してたけど何話してたの。」
「次にどれ出すか話し合ってた。」
「へぇ。」
「まぁ、それも話してたけど、電車の雑学とかもいろいろ話してた。」
「へぇ。例えば。」
「「雷鳥」のパノラマグリーンとパノラマグリーンじゃないやつの見分け方とか。SLのこととか。話してた先輩俺の知らないことも知ってんだもん。ついてくのが精いっぱいだった。」
「ナガシィ、でもついていけなくなることあるんだ。それなら私があの人と話したら全然じゃん。」
すると、後ろから声をかけられた。
「智。よーす。」
「駿兄ちゃん。来たんだ。」
「あっ、南さんお久しぶりです。」
善知鳥先輩がいつのもテンションより冷えた口調で話しかけてくる。
「えっ、知り合いですか。」
「知り合いも何も、俺はここのOBなんだけど。」
「ウソ。」
「ウソって、ナガシィ気付いてなかったんだ。」
「ああ、今初めて知った。」
このころには全員気付いた模様で3年生と青木さんが寄って来て何かいろいろ話し始めた。
「ナガシィ。バカ。」
「ああ、そうだったのか。暁フェスタに行ったときとかどっからか現れてくるから、なんでかなぁって思ってたんだけど・・・。」
「おいおい。いくらなんでも鈍すぎ。」
「ていうか。駿兄ちゃんくんの遅かったな。」
「なんかいろいろやってたんじゃないの。そうでなきゃおかしいって。ふつうならここに直行する人なんだから。」
「・・・。それもそうだな。」
「ナガシィ。いつになったら帰れるわけ。この後に片付けやるんでしょ。」
「ああ、18時くらいだと思うよ。でも。この部活予定表通りにやらないからなぁ。いつ終わるか分かんない。」
「それダメでしょ。」
「ハハ・・・。まぁね。」
この時木ノ本は二人の様子を見ていた。二人とも笑顔を交えて話しているのだが、なぜかその顔がいつもと違うように見える。ただ話しているだけなのに、ただ話しているように見えないのだ。
(永島には坂口さんの存在が大きいんだ・・・。坂口さんも言ってたこと。お互いを理解してるからあすこまでの自信になるんだ。でも、それを理解してるなら、なんであのことを永島に言えないの。)
その思いだけがつのった。
15時。文化祭終了。そのあと部展、クラス展のグランプリ、優秀賞が発表される。クラス展の結果はグランプリ3年6組。優秀賞2年5組。部展のグランプリは吹奏楽部。優秀賞は生物部だった。
「あー。去年は優秀賞だったけど今年は優秀賞すら取れないってホントゴミだな。吹奏楽部のばか野郎っ。」
「まったくだ。」
「サッカーボールが票抜いたんじゃないのか。」
「え。なんで。」
「チート使ってたのがばれたんじゃないのか。」
「あれのどこがチートよ。部員のやつと後輩のやつかき集めて一気にどっさっと投票しただけじゃん。」
「はたから見ればチートみたいに見えるってことか。」
「まぁ、そういうこと。」
善知鳥先輩とサヤ先輩は息を大きく吸って口に手を当てて、
「クソサッカーボールのばか野郎ー。」
「バカ。職員室に聞こえるだろ。」
「なんで。聞こえるように言ったにきまってるじゃんねぇ。」
「そうそう。このくらいしないと意味がない。」
「意味がないの前に全員片付けろ。」
青木さんが仕切って、片付けさせるように促す。
「ところで、この箱4箱誰のだ。」
「あっ、それ永島の。」
「あ。すぐ片付けます。」
(萌はもう帰ったんだな。)
心のどこかでそれを思った。17時片付け完了。この後はアド先生のおごりで一人一人にペットボトルが配られ、500ミリリットルのジュース、お茶を全員で飲み干す。それを飲み干し終わると、
「よーし。野郎ども。次は臨地研修だー。」
サヤ先輩が気合い入れに叫んだ。
その声に続けて、先輩たちが。1年生の大半もそれにつられて返事をした。
その帰り、正門を出ると予想してなかった光景を見た。
「萌。まだいたの。」
「いいじゃん。一緒に帰っちゃダメ。」
「ダメじゃないけど・・・。まだいるとは思ってなかった。終わるの分かんない部活が終わるのってふつうまってるかなぁって。」
「まっちゃダメとかっていうことはないんだし。ていうか、そんな話どうでもいいし、帰ろ。」
「おう。」
さっきから頭の中に響き続けているものがある。坂口から語られた道のり。あれは固い愛の証か、固い絆の証か。
今回からの登場人物
南駿 誕生日 1984年3月15日 血液型 O型 身長 176cm
こういうのってないことは承知です。
作者が狂っててすみません。
なお、今回で文化祭のエピソードは終了です。これから1回別なレをはさんで夏の大イベント臨地研修の話になっていきます。現実と大きく違っても読んでくれる人には感謝感激です。
まずは高1の終了まで根性で書き上げるといった以上自分の精神力をもって根性で完成させていきたいと思います。