23列車 話し合って・・・
一方僕達はというと展示に追われて、次に何を出そうか話し合っている。
「今はまだ11時。「カシオペア」とか行くには絶好の時間なんだろうけどな。」
「見に来てる人も多いし、今出しちゃえばいいじゃないんですか。12時になったら食料調達しにどっか行っちゃいますよ。」
「おい、名寄。ネタに困ったらこれ走らせればいいじゃん。」
「青木さん。「ライトレール」はまだ。文化祭の最後の最後で暴走させるんだから。」
「「ライトレール」暴走させるって。それはどうだろうか。」
「でも、「ライトレール」はそういうところ走ってるんだよ。風景以外は問題ない。」
「いや、別な意味で問題があります。40km/hしか出ない車両がなんで400km/h出すんですか。」
「そこは御愛嬌。」
「そんなことよりもまだ走らせてないやつだっていっぱいあるじゃないですか。223系とか、223系とか、223系とか。」
「お前、223系好きだな。」
「100系がいなければ1位ですから。」
「じゃあ100系暴走させようぜ。在来線だけど、ミニ新幹線がありならありだろ。」
「その片割れ何にするんですか。0系ですか。0系はちょっと。」
「何0系嫌なのか。」
「そんなことはないです。でも、両方ともここに持ってきてません。」
「なんでそんな話になったんですか。もう「カシオペア」と「北斗星」出しますよ。」
「いや、待て。「北斗星」は「北斗星」でもバリエーションを持たせた方がいい。例えば「夢空間」とか[夢空間]とか「ゆぅトピア」とか。」
「最後関係ないぞ。なんで「夢空間」って言ってて「和倉」になるんだよ。おかしいだろ。」
「青木さんもナヨロン先輩もやめてください。オヤジギャグにもなりません。」
「よし。永島。何に牽かせる気。EF81(カシカマ)。それともEF510(アオカマ)。はたまたEF81(ホシカマ)か。」
「「カシオペア」はEF510-(の)502号機で「北斗星」はEF81-(の)133号機です。」
「分かった。並べろ。」
ナヨロン先輩の承諾を受けて内回りに「カシオペア」を外回りに「北斗星」を並べ始める。すると、
「ナヨロン。次なに行くつもり。」
サヤ先輩がモジュール越しに話しかけてきた。
「内回りが「カシオペア」で外回りが「北斗星」の1号だな。いや編成の向き・・・。」
「なあ、「カシオペア」こっちに貸してくんない。こっちからは「北斗星」貸すから。」
「んなカオスにしたいなら「トワイライト」でやればいいじゃないか。」
「「トワイライト」だったら珍しさがないだろ。」
「その前に「カシオペア」貸してほしいかは永島に聞け。こいつのだから。」
「ごめん。「カシオペア」貸してくんない。」
「それだったら毎回家でやってますから。それに撤去すんの面倒だから嫌です。」
「1年生に拒否権は・・・。」
「ある。」
すると、潔くあきらめていった。サヤ先輩のおかげで作業が停滞していたが、作業を再開。すぐに2・1号車(スロネE27-200形・カハフE26形)と牽引機(EF510-502)をレールにのせた。ナヨロン先輩の腕時計で11時01分「カシオペア」が出発。11時04分に「北斗星」が出発した。
「永島か。箕島。どっちか昼食べてこい。」
「えっ、でも。」
「大丈夫。こっちが編成順に片しとくから。」
「・・・。」
「じゃあ。僕が行きます。永島。運転変わって。」
と言うわけで、まず箕島が昼を食べに行くことになった。僕は箕島から運転を変わり、運転席についた。青木さんとナヨロン先輩は次の車両について何にするか話し合っている。
「ナガシィ。次はなに走らせるわけ。」
「永島。お前の「出雲」DD51(デデゴイチ)の重連で召喚して。」
「分かりましたけど。外回り何にするんですか。」
「外回りは泣く子も黙る「急行だいせん」だぜ。」
泣く子も黙るのか・・・。
「だって。」
「「出雲」は聞いたことあるけど、「だいせん」って何。キハ58とか使ったやつ。それとも「きたぐに」みたいに583系使ったやつ。」
「おいおい。山陰本線は電化されてないんだぜ。583系走れるわけないじゃん。」
「あっ、そうか。・・・ああ、ちょっと私バカになったかも・・・。」
「それ分からなかっただけでバカになったって言うなよな。また1から覚えようっていう人もいるんだから。」
(木ノ本さんのことだな。)
「へぇ。1からね。」
「坂口じゃん。」
その声とともに来たのは宿毛だった。
「宿毛久しぶり。」
「宿毛。クラス展のほうどうなってる。」
「クラス展のほうはまぁふつうくらいだよ。やってる位置が悪いっていうことはないけど、なかなか客の量が上がらないっていうかなぁ。多分ほかのところと割れてるんだと思う。」
「クラス展何やってるの。」
「お菓子とかの販売。」
「楽しそうだね。」
「楽しそうだねって言っても坂口も来る気はないんだろ。ここにいるほうが断然楽しいから。」
「まあね。」
永島は「出雲」を線路上に出すために今は運転台にはいない。そのコントローラーを見つめていると、
「ねぇ、宿毛。これいじっていいと思う。」
「ダメだろ。いくら模型いじれるからってそれはダメでしょ。」
「いいじゃん。少しくらいマックスにしたって。」
その会話は十分聞こえた。
「おい。そのコントローラーマックスにするなよ。家じゃないんだから。」
と注意されてしまった。
「はいはい。ただの冗談だから安心して。」
「お前の場合どこからが冗談でどこからが本気なのかわかんねぇよ。」
「ほとんどは冗談のはずだから。」
「はずってなんだよ。」
「ハハハ。」
(永島のやつ。やっぱり坂口と話してたほうが生き生きしてるじゃねぇか・・・。そうか。鉄研だからこういう機会があるのか。だったら俺が心配するまでもなかったかもな。)
一方、他の区画では。
「ねぇ。あの人ってさっきからナガシィと話してるけど、ナガシィの彼女かな。」
「善知鳥先輩には何でも彼女に見えるんですね。」
「永島のやつ。うらやましいなぁ。」
「何。サメちゃんもナヨロンと同じで彼女募集中か。」
「えっ。まだ一度も縁がないですから。て言うか名寄先輩も募集中って。彼女いないんですか。
「頭いいけど、半分電車が恋人状態だからな。それで縁がない。ところで、佐久間はどこに行ったか聞いてないか。」
「多分他のクラス展とかに行ったんじゃないんですか。」
「あのバカ。アヤノンだけに任せるんじゃない。アヤノンをいじれないじゃないか。」
(そのためだけに。)
また・・・、
「おーい、アヤケン。貨物ぶっ倒れた拾って。」
「なぁサヤ。これどこで落ちた。」
「ここの小楠貨物で倒れた。」
「小楠貨物かぁ。よく俺こんなゴミ作ったな。」
「ゴミかよ。」
「あいよ。落ちてたコキはこれで全部。」
「バカ野郎。コンテナも落ちてどっかに吹っ飛んでる。探せ。」
「えっ。その状態じゃ何かダメなのか。」
どういう状態か説明しよう。左側からコンテナがあり、あり、なし、なし、なしの順になっている。
「この状態じゃ※□△○※□△○になるだろが。」
解読不能のところだけ裏声でした。
「せめて、日本語しゃべれ。」
「日本語ですか何か。」
「ウソつけ。」
「ナヨロン先輩。また「雷鳥」行くんですか。」
「バーカ。またって言う言い方は何だよ。国鉄って言うのはようは頭だ。どんな編成考えるかで走らせるパターンって言うのは何百にもなる。「雷鳥」には「だんらん」をいれて、一番後ろに「ゆぅトピア和倉」をくっつけて、「雷鳥」に引っ張らせる。」
「そんな編成あるんですか。」
「あっただ。国鉄に正統性を求めるところでどうかしてるぜ。それがあからさまに出るのは客レとかディーゼルだな。キハ58にキハ10とかそういう方面を連結したとかっていう実績だってあるんだ。・・・いや、くっつけたのはキハ40だったかな。」
「分かりました。ていうかそんなことどうでもいいです。」
12時42分。僕は持ってきた弁当を食べに一度管轄を離れた。弁当を食べ終わって戻ってきたのは13時03分ごろだった。
「昼食べてきました。」
「へーい。・・・永島。223系の2000番台8両。内回りに出して・・・。っていっても、外回りどうするかなぁ・・・。」
「永島さん。次外回りなんか走りますか。」
諫早がクラス展をきり上げてやってきた。
「ああ、まだそれ決まってないんだけど・・・。内回りは223系の新快速が行くみたいだけど。」
「じゃあ、ちょうどいいですね。僕のこれお願いします。」
そう言ってKATOの箱を差し出した。箱の背には「223系2000番台〈1次車〉4両セット」と書いてあるが、表には「223系6000番台4両セット(宮原)」とシールで直してあった。
「ナヨロン先輩。諫早がこれ行ってほしいって。」
今の箱をナヨロン先輩にも差し出す。ナヨロン先輩も箱の背と表で表示が違うことを不思議に思ったかもしれない。だが、中身を見ると納得したようだ。
「諫早。これよくやったな。ダブパンってことは宮原にいる6000番(223系)だよな。」
「はい。」
「これだったら、もうワンセット繋げて、「丹波路快速」とか「直通快速」とかやった方が面白い。ここまでできてるんだし、これで終わらせるのはもったいないぜ。」
「名寄さんならそう言うと思って、もうワンセット持ってきてます。」
「えらい。なんか他に持ってる車両とかってある。」
「今はないですけど、家に223系のパンタを全部シングルにしたやつと同じ6000番台の網干にいるやつと211系の3000番台を無理やり5000番台化したやつならあります。」
「うーん。なるほど。でもそいつらは次だな。」
「ああ、あと名寄さん。もしカーブとかでこけたら「こけんじゃねぇよ。ボケ。」とかって言っといてください。僕が許します。」
「はいはい。でもこれこけないようになってるだろ。明らかに重量感違うし。」
「ああ、はい。くっつける方はモーターぶち抜きましたから。」
その時にはもう編成を理解していたらしい。
「永島。新快速を1号車(クハ222形)からこっちの方向で入れてくから6000番は8号車(クモハ223形)むこうで入れてって。」
ナヨロン先輩から箱を受け取って言われたとおりに並べていく。レールに置いて行く順番は8号車からではなく1号車から。こうしないといれずらい。なぜかというとこれを並べる線路の隣に建物が隣接しているからだ。
「ナガシィ。手伝おっか。」
「いや、大丈夫。それに、これ人のだし。」
「223系の・・・2000番台。なんか顔似てるよねぇ。」
「いや、こいつは2000番台じゃなくて6000番台。モーター車のパンタ2つだし、ちょっと分かりづらいけど乗務員室扉のところラインの下にオレンジのラインが入ってる。」
「ホントだ。223系も大家族だからなぁ。分かりづらいね。」
「でも、先輩の話聞いてると223系もそんなに親戚たくさんじゃないみたい。313系のほうがもっと親戚たくさんなんだって。」
「ふぅん。」
「ねぇ、ナガシィ。」
善知鳥先輩に呼ばれる。
「何。ナガシィ、鉄研でもナガシィって呼ばれてるの。よっぽど気に入ってんだね。このあだ名。」
「・・・。なんですか。」
「そっちにさぁ138系か981系の「あずにゃん」ない。E253の「あずにゃん」走んないんだけど。」
(言ってることメチャクチャだし・・・。)
「E253系なんていうやつありませんけど、それに138系とか981系ってどこどう間違えたらそうなるんですか。」
ここで正しい答えを皆さんには知らせておこう。もちろん、そんなこと知ってるよという人もいるだろう。まずE253系と間違えられたのはE257系。138系と間違えられたのは183系。981系と間違えられたのは189系である。
「永島。探してるのはこいつらだ。渡してやれ。」
さすがナヨロン先輩。善知鳥先輩の言いたいことはこの人にはしっかり伝わっているようだ。
「ナガシィ。パス。」
善知鳥先輩が手を差し出す。僕も手を伸ばしたが、あと少しで届かない。
「ナガシィ、手伸ばせ。ゴムゴムのー、ピストル。」
「無茶言わないでください。ゴムゴムの実食べてるわけじゃないんだから。」
すると外回りをしていた楠先輩がリレーしてくれた。
「アヤノン。邪魔すんなよ。」
「善知鳥先輩。今自分何歳ですか。」
「善知鳥茉衣19歳。永遠の少年・・・ああ、いやいや。永遠の少女です。」
「・・・。」
「アーッ。EH200(ブルサン)の隣が困るー。」
何となくバルサンと同じ様な響きがする。
「・・・名寄先輩。内回りさっきからどこにいるか分かんないんですけど。」
運転業務についている箕島が疑問をぶつけてきた。
「えっ。新快速どっか行った。」
「ねぇ、ナガシィ。223系あすこで横倒しになってるけど。」
萌がそう教えてくれた。指差している場所は運転台から死角になるところ。行ってみると、223系は全車両が脱線していた。1号車(クハ222形)、2号車(モハ223形)、3号車(サハ223形)と6号車(サハ223形)、7号車(サハ223形)、8号車(クモハ223形)は完全に、4号車(サハ223形)、5号車(モハ223形)はフィーダーのふちに受け止められる状態で横倒しになっていた。
「手伝おっか。」
「手伝ってくれるのは家だけで十分。ここはいいよ。」
脱線の復旧作業として、まずは3号車と4号車、5号車と6号車の連結を解除。そのあと1号車から3号車と6号車から8号車はすぐに線路上に仮置きする。そして4号車と5号車も線路上に仮置き。車両を仮置きし終わったら随時車輪をレールに乗せる。
「あっ、223系だ。」
ふと顔を上げると自分の前にいるのは萌ではなく小学生だった。その小学生は今ここから見える範囲をざっと見渡して僕にこう聞いた。
「ここってこういう部活もあるんですね。中学からでも入れるんですか。」
「ああ、今年は中学から3人入ったからな。」
「へぇ。ここって頭いいほうがいいですか。」
「頭よくなくたっていいよ。僕みたいなバカでも入れたんだから。」
(んじゃあ。僕みたいなバカでも大丈夫なんだよなぁ。よーし。・・・。)
「おいおい。僕みたいなバカっていうのはウソだろ。・・・それとも、鉄道バカとしてのバカか。それだったら裏付けるね。」
「アハハハ。」
5号車のモーターを線路上に置くと引っ張られる感覚を覚えた。車輪が明らかに動いている。
「箕島。コントローラー完全に止めてる。」
どうやらその声は箕島にはとどかなかったらしい。まだ車輪が動いている。
「箕島っ。止めてっ。コントローラーの電源切って。」
ちょっと声を張り上げていうと、青木さんがそれに反応してくれた。
「箕島。コントローラーのノッチオフにして。」
その声を聞くと箕島はつかんでいる新幹線のようなコントローラーのアクセルをもとの位置に戻す。するとこれまで電気をとっていた223系の車輪も止まった。止まったことを確認して、改めて5号車を線路上に乗っける。左側の台車、右側の台車の順に線路に乗っけて、
「223系、行っていいよ。」
そう指示を出すと、またも青木さんが反応して223系を走らせてくれた。
「こういう意味では家でやってるのより疲れるな。」
「いや、家でやってる時のほうがもっと疲れる。あれやるって言っても駿兄ちゃんと俺と萌ぐらいしかいないじゃん。3人しかいないから脱線しても気づきづらいっていうかな。逆にこの人数でやってるから運転班としては大助かりってことじゃないかな。」
「ふぅん。」
一呼吸間をおいて、さらに話が続く。
「今走ってる223系ってちょっと短くない。家で走らせてるのが常時12両編成でしょ。あれ8両編成だよねぇ。」
「常時12両なのはうちのレイアウトが全線複々線だから。新快速ってほとんどが12両編成で走ってるっぽいから。」
「いや、それは分かる。でも8両っていうこともあるのか。」
「あるんじゃないの。電車でGO!に収録されてる新快速全部8両編成だし。」
「2002年のデータだもんね。・・・外回り走ってる6000番台だっけ。あれは何。」
「あれって多分おおさか東線の「直通快速」か福知山線の「丹波路快速」だろ。どっちだか知らないけど。」
「「丹波路快速」は名前聞くだけでどこに行ってるのかなぁってことは大体見当がつくけど、「直通快速」ってどことどこ結んでるわけ。」
「奈良と尼崎の間らしいけど。」
「奈良から尼崎までの直通ね・・・。なんかわざとらしい名前の付け方ね。」
「わざとらしいってなんだよ。」
次の車両選定に戻った。しかし、その頃にはもう決まっていたようで、内回りにEF510牽引の貨物列車。外回りに「寝台特急トワイライトエクスプレス」がスタンバイしていた。
223系のことが多く出てきますが、自分自身223系のことが好きだからです。
個人的には223系1000番台がお気に入りですが・・・。
こんな話どうでもいいですね。
なお、これからも223系は大量に出てきます。
やっぱり好きなもの書いてる時が一番ノリノリですね。(笑)