表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
22/184

22列車 当日

 6月13日。文化祭当日。文化祭は9時からであるが僕達はいつも学校に行くように登校しなければならない。結局家の車で送ってもらった。こういう措置は模型の輸送のためである。運転手も手伝ってケースをホールに運び込む。

「よーす、ナガシィ。早いじゃん。」

ホールには既に3年生と中学生が集まっている。皆考えることは同じなのだろうか。

「ナヨロン先輩。言われたやつ持ってきましたよ。中に言われてないのも入ってますけど。」

「あっ、ありがと。これで今日1日は持つな。」

中で僕の持ってきた箱を受け取って中身に見入る。

(うーん。「北斗星(ほくとせい)」と「カシオペア」と「出雲(いずも)」と「富士(ふじ)」。あとはEF510(アオカマ)・・・。これは「北斗星(ほくとせい)」に対応してるんだよな。それとEF81(ホシカマ)。いや、これが「北斗星(ほくとせい)」か。あとの機関車(カマ)はその通りか。で、永島(ながしま)の言ってた言ってないやつっていうのが「しなの」。でも10両って。まさかな・・・。)

「何かありましたか。」

「いやなんでもない。・・・それと一つ聞くけど、これ全部走るんだよな。」

「昨日走行試験やってきましたから大丈夫ですよ。全部走ります。」

 展示場に箱を入れてから8時25分までホールで遊んで、8時28分に体育館入り。8時50分ごろまでの開会式を経て、9時00分から文化祭開始だ。

永島(ながしま)。外に5000番(313系)と300番(313系)の併結(へいけつ)入れて。」

「はい。内何にするんですか。」

373系(サンナナサン)か、311系(サンイチイチ)か。それとも2500番(313系)と211系(ニイイチイチ)併結(へいけつ)か。迷うところだけど、ここは373系(サンナナサン)の「東海(とうかい)」だろ。」

「ですね。」

箕島(みしま)。俺たちが行っていいよっていったらすぐに走らせて。」

ナヨロン先輩はすぐさま373系の箱を探して、線路に置く。先に内回りの作業が完了し内回りから走りだす。だが、・・・、

「ヤベ。永島(ながしま)がパンタ車あっち向きで入れたってことはあれ逆じゃん。」

名寄(なよろ)先輩。止めますか。」

「もういいよ。直すの面倒だから。そのまま行っちゃえ。素人にはわからん。」

箕島(みしま)。外線も行っていいよ。」

「よし、永島(ながしま)次だ。」

「えっ、早くないですか。」

「一つの列車の走行時間は10分。10分の間に入れ替えしないといけない。もたもたしてられないよ。」

「じゃあ、次は「しなの」行きますか。」

「うん。じゃあ「しなの」外に出して、内回りは・・・0番(313系)と211系(ニイイチイチ)併結(へいけつ)でいいか。並べて。」

「10両でいいですか。」

「6両だろうが、8両だろうが、10両だろうがなん両でもいい。」

持ってきた箱から「しなの」を取りだす。この「しなの」は基本編成6両と付属編成4両の10両編成。編成は大阪(おおさか)長野(ながの)間で走っている「しなの」の運用である。今からナヨロン先輩が外に取りだそうとしているのは中央本線(ちゅうおうほんせん)中央西線(ちゅうおうにしせん))である快速列車。東海道線(とうかいどうせん)静岡圏(しずおかけん)でもそうだが、ここでは313系という新型車両と211系という従来の車両の併結(へいけつ)運転が行われているらしい。

 作業をしている間に9時00分。一般客の入場が始まり、たちまちホールは子供たちでごった返す。

「さて、ゴジラが入って来たぞ。」

そういうのは何となく分かる。子供は何でもかんでも触りたがるというのがある。これは模型にとって強敵だ。触るということは脱線の危険性が増すということ。普段脱線しないところでも脱線するらしい。ひどい時には走ってる車両を押さえつけるため走っている車両すべてが横転することもあるらしい。

 とりあえずこのゴジラは外回りの人に任せるとして、9時05分。内回りを373系「特急東海(とうかい)」から313系0番台(運用は1000番台)と211系の併結(へいけつ)に変える。外回りは東海道本線(とうかいどうせん)新快速(しんかいそく)列車から中央本線の特急「しなの」に変える。ポイントを変えて「しなの」が発車していくのを見送ってまた次である。次はJR東日本に移るらしい。253系「特急成田(なりた)エクスプレス」とE231系(209系?)の総武線(そうぶ)をこれまで走ってきた車両を片づけて線路上に出す。作業を行っていると、誰かに話しかけられた。

「おい、名寄(なよろ)いる。」

誰だろうか。その問いに答えようとしていると、

青木(おおぎ)さん。青木(おおぎ)さん僕の独断でこっちだから入ってください。」

「マジかよ。そんでもって、これはどうにかならないのか。」

走っている「しなの」を指差した。

「素人には分からないから大丈夫です。」

「分かる人来たらどうするんだよ。」

「来ないことを信じましょう。」

「あのなぁ。」

どうやら今来た人は青木(おおぎ)というらしい。左側に展開しているプラレールの持ち主なのだ。よくあんなに集めたものだと感心する。その人は机の下をくぐって僕達の周回に入ってくる。

「とりあえず紹介しとく。OBの青木(おおぎ)洋輔(ようすけ)さん。」

「それだけかよ。・・・まぁよろしく。時折こうやってくるかもしれないから。」

「あっ、よろしくお願いします。」

「で、名寄(なよろ)。俺の「きたぐに」が入れる隙間はあるのか。」

「あっ、それ考えてなかった。」

「おい、考えとけよ。しょうがねぇ。サヤのほうで走らせてくるか。」

「それやったら「きたぐに」が死ぬと思います。」

「そうだな。じゃあ、次こいつを行っちゃえって。走らせてちょ。」

「へいへい。永島(ながしま)。外回り「雷鳥(らいちょう)」出して。」

「あっ。はい。」

TOMIX(トミックス)の「雷鳥(らいちょう)」の箱を開けて作業を開始したが、ナヨロン先輩が言ったあのことが少々気になった。

「ナヨロン先輩。これ持ってくるって聞いたときパノラマグリーンかパノラマグリーンじゃないかどっちかって聞きましたよねぇ。なんでですか。」

「パノラマグリーンだと支持率がいいっていうかなぁ。結構違うからな。」

「へぇ。そうなんですか。」

「ああ、それもあるけど。パノラマグリーンとそうじゃないやつの違いも見ておきたかったっていうのもあるかなぁ。まあ、それはさっき見て分かったけど。」

「どこがどう違うんですか。僕にはどうしても国鉄車は同じように見えるんですけど。」

「同じように見えるかぁ。まぁしょうがないよなぁ。大体そういうものしか作ってなかったていうのをあるからなぁ。113系とか115系とか・・・。」

外側に「きたぐに」を並べながら続ける。

「パノラマグリーンってふつうのやつに比べると窓が小さい。後、トイレのところにある行先表示がふつうのほうはドア側の客室窓上にある。だから簡単に見分けがつくよ。でも、中には変り種をあるからなぁ。パノラマグリーンの最終編成あたりだと思うけど、あいつはほかのパノラマグリーンに比べて窓周りが広い。だからちょっと見分けづらい。」

「へぇ。そんなに違うんですね。同じように見えるやつも似て非なるものってわけですか。」

「まぁ。そういうところだな。」

雷鳥(らいちょう)」を出している間青木(おおぎ)さんは今走っている「しなの」に目をやっていた。

名寄(なよろ)。これ持ってるの誰だ。」

声をひそめて聞いた。

永島(ながしま)。あいつだけど。」

「俺思うんだけどさぁ。これ明らかに(みなみ)さんのやつだよなぁ。」

永島(ながしま)遠江急行(こうきゅう)の社長の孫だし、(みなみ)さんがその親戚ってことじゃないのか。」

「・・・。そういうことだよな。ものすごい大物が入ってきたじゃないか。それであの性格だから誰もそう思えない。そこがすごい。」

「ハハハ。」

 その頃僕はというと、文化祭を見に来た鉄道マニアらしき人と話していた。

「この「しなの」は10両だから大阪から来るやつですよね。」

「ああ、はい。」

「私も高校生の時にねぇ、この「しなの」で名古屋(なごや)から長野(ながの)まで行ったことがあってね。」

「へぇ、そうなんですか。」

「私が乗ったときはまだ383系じゃなくて・・・。」

「381系の時ですか。」

「いやいや。もっと前。確かディーゼルカーだったかなぁ。もう40年位前の話かなぁ。」

そういうとその人は持っているカバンの中から携帯できるサイズのアルバムを取り出し、その車両を探していった。

「あっ、あった。これだよ。」

指差した車両の真ん中には「しなの」、その下にローマ字で「SHINANO」と書かれている。今僕が親しんでいるヘッドマークとは全く縁のないものである。そして車両はどこかで見たことがあるような顔をしている。車両は確かキハ181系。大阪(おおさか)鳥取(とっとり)間を結んでいる「特急はまかぜ」と同じ車両のはずである。

「今じゃこれもねぇ、「はまかぜ」だけになっちゃったからねぇ。本当はこれにはもっと走ってほしいんだけどねぇ。」

名残惜しそうに語っている。この人はキハ181系(これ)のことが好きなのだろう。昔から親しんできた車両であることには間違いはないのだ。

「そうですね。」

 なんか暗い話になっているので話を変えよう。

 9時25分。583系「急行きたぐに」、485系「特急雷鳥(らいちょう)」に交代。

「ナガシィ。」

誰かに呼ばれる。今度は誰だかしっかりと分かる。(もえ)だ。だが、それを聞いて唖然とする人もいる。それは3年生と2年生。あとは木ノ(きのもと)である。

(今、ナガシィって呼んだよねぇ。この人。)

(まさか。ナガシィって他の人から呼ばれてたあだ名。気に入ってんだな。)

(彼女か。)

「よーす。「雷鳥(らいちょう)」走ってるじゃん。それも「きたぐに」と一緒かぁ。」

(この人分かってる。まさかとは思うけど編成違うとか言わないよなぁ。)

「それで次はなに走らせるの。「カシオペア」。」

ちょっとナヨロン先輩に目線を向けた。ナヨロン先輩は首を横に振って、持っている箱を掲示した。「ワム38000形」の貨物列車と今自分が手に持っている281系「関空(かんくう)特急(とっきゅう)はるか」が次に走る列車だ。

「まだ「カシオペア」は出さないよ。」

「最後まで出さないつもり。」

再びナヨロン先輩に目線を向ける。何もなかったけどいつか出すということだろう。

「この間には出るよ。」

「ふぅん。」

背をかがめてホームの中をのぞきこむ。

「ホームに停まってるのは「ワム」と「はるか」かぁ。」

(「はるか」はまだしも、「ワム」まで分かるなんて・・・。ふつうの人だったら「あっ、貨物列車だ。」で終わるリアクションなのに。)

「あの「ワム」って駿(しゅん)兄ちゃんの。」

「ううん。部活にも持ってる人がいてね。これその人の私物なんだ。」

(今この人駿(しゅん)兄ちゃんって言った。間違いない。(みなみ)さんのことこの2人は知ってる。)

「んじゃあ、他のとこもさらっと見てくるから。また来たらよろしくね。その間に「カシオペア」走らせたりとかしないでよ。」

「しねぇよ。俺の独断でやってるんじゃないから。」

(もえ)は模型を見ながら、隣の周回のほうへ歩いて行った。

(あの人って永島(ながしま)のなんなんだろう・・・。)

 今度は木ノ本(きのもと)のいる周回に来て同じように目線をおとした。すると向こう側から緑色の先頭の車両がこちらに向かってくる。

「ねぇ、これって「スーパー白鳥(はくちょう)」。」

おそらくこれは私に聞いたのだろう。

「ああ、ちょっと・・・。ハクタカ先輩。これって「スーパー白鳥(はくちょう)」ですよね。」

「うん。そうだよ。」

「だって・・・。でもよく解るね。」

「昔からナガシィと電車のこと話してたから。特急だったら名前と使われてる車両。あとはナガシィが好きな車両くらいだけだけど分かるよ。」

永島(ながしま)の彼女なのか。)

「それで、ナガシィの言ってた、隠してなければ私と同じっていうのは君かなぁ。」

(あいつそんなこと言ってたのか。)

「まあ違うってことはないよね。ナガシィと同じ上履きはいてるのこん中に何人もいたけど、女子っていうのは君だけだったからね。」

「・・・。」

「あっ、名前言ってなかったね。坂口萌(さかぐちもえ)。また展示とかで会うと思うからとりあえず覚えといて。」

永島(ながしま)から聞いてるんじゃ隠すこともないか・・・。木ノ本(きのもと)榛名(はるな)よ。同じ鉄としてよろしく。」

木ノ本(きのもと)さんね。よろしく。」

ふと永島(ながしま)を見て、

「やっぱり彼女創るなっていう方が無理だよなぁ。」

「いや、別にあいつのこと彼氏とか思ってないから。」

「ふぅん。木ノ本(きのもと)さんがどう思ってるか知らないけど、ナガシィは私以外に彼女を創らない。これは断言できるんだけどねぇ。でも言っといてよかったかも。」

「・・・。」

「ただ、一つだけ問題があるんだよねぇ。まだ本当のこと言ってないし・・・。」

「おい、言ってないなら言えよ。」

「私が今言ったのはそういう意味もあるけど、違う意味もある。あいつには秘密にしといてほしいんだけど。」

その内容を聞くと、

「秘密にしとく必要があるのかよ。それ。正直に話した方がいいだろ。」

「そうは思ってるんだけどね・・・。ごめん木ノ本(きのもと)さん。この話はまたどこかで会った時にお願い。今はいろいろとまずいから。」

(今のことは全部本当・・・。)

永島(ながしま)のいる周回のほうに歩いて行く後姿を見ながら心の中でつぶやいた。


今回からの登場人物

青木(おおぎ)洋輔(ようすけ)  誕生日 1989年11月1日  血液型 A型 身長 159cm


話がブレていてすみません・・・。

展開は考えたところで成り行きということが多いので、これからもそういうレが出てくるかもしれません。


そんなのでも読んでくれる人には感謝。

根性でまずは高校1年生の最後まで持っていきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ