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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:1
21/184

21列車 前夜祭

 前夜祭。

「1年生諸君集まれ。これからも系の運転訓練やるぞ。」

運転訓練とは文字通りのことをする。なんで必要があるのだろうか。

「注意事項は急発進、急停車しない。脱線したらすぐに列車を止める。の二つよ。」

善知鳥(うとう)が言えることか。」

「だから、2人ずつ来てまずナガシィとハルナン。次がミッシィとユウタン。次がサメちゃんとイサタン。最後がアサタンとソラタンだよ。」

(おう)の周回に入ってコントローラーのつまみを握る。線路上に置かれた車両はJR東海の車両311系と313系だ。つまみをゆっくり回すと311系のモーター車(3号車 モハ310形)だけがむなしく動き出した。

「列車は知らせてる時はもれなくマックスにしていいから・・・。」

ポカッ。

「しちゃダメだぞ。まあどうしてもこいつゴミだってゆう模型(やつ)があったらやっていいけどな。」

三つ目の注意を受けて1周。1周したら訓練生交代。箕島(みしま)に代わって運転訓練終了。

 1年生全員の運転訓練が終了すると前夜祭に入る。その前に先輩達が配置を決める。

「ナヨロン。そっち何人必要。」

「明日青木(おおぎ)さんも来るっていうからこっちは後2人くらいでいいよ。」

「じゃあ、そっちにミッシィとナガシィでいいでしょ。でハルナンがこっちの内勤で、中学生は新幹線(しんかんせん)の体験運転でしょ。あとは外回りでいいでしょ。」

「それでいいな。」

永島(ながしま)箕島(みしま)。ちょっとこっち入って。」

ナヨロン先輩に呼ばれて(おう)の周回に入る。

「えーと、次はここにある車両どれでもいいからここの線路上に並べて。」

「リレーラーとか無いんですか。」

「あるにはあるんだけどねあれ青木(おおぎ)さんの私物だとかって明日手伝いに来る人がいうもんで、基本使わないほうがいい。」

「なんですかそれ。」

「気にしなくていいよ。ともかくリレーラー使わずに線路上に早く乗せられればいい。」

僕は223系を探して内回りに、箕島(みしま)は何でもよかったらしく373系を手に取って外回りに置き始めた。これはなれないと少し難しい。特に機関車などの車輪の多い模型はすぐには言うことを聞いてくれない。僕はいつも家でやっている手つきで次々と車両を整列させていったが、箕島(みしま)のほうはそうではないようだ。車両の高さに目線をおとして両手で丁寧に並べている。箕島(みしま)が373系3両をレール上に設置し終わるとき、僕は223系8両のうち6両(3号車 サハ223形)を置き終わり7両目(2号車 モハ223形)に取りかかっている時。作業スピードが浮き彫りになる。10秒後ぐらいに作業を完了した。

「終わりました。」

「やっぱりやってる人は違うなぁ。」

ナヨロン先輩独り言のように呟いてから、

永島(ながしま)。明日223系も持ってこれる。」

「別に必要なら何両でも持ってきますけど。」

「さすがだな。」

「おーい、諸君。」

善知鳥(うとう)先輩がみんなを読んだ。

「これから、これでレールを磨いてもらう。」

善知鳥(うとう)先輩が持っていたのは右手に綿棒、左手に「UNI CLEANER」と書かれたボトルだった。これでやる作業は大体見当がつく。

「このレールクリーナーで線路を磨け。」

そう言っていった。

「さて、やるか。」

「正直これ面倒なんだよなぁ。」

「何。永島(ながしま)家に模型でもあるのか。」

「ああ、じいちゃんが作ったこれの10倍くらいあるやつがな。」

「・・・。」

思わず顔が引きつった。

(さすが、永島(ながしま)家。それを作ったっていうと永島宗一(ながしまそういち)氏か・・・。なんつう社長だよ。暇人なんだか。)

「へぇ。根っからの鉄道好きなんだな。」

「ああ。でも・・・、この構図ってちょっとやりづらいところもあるかも。」

やってみると案の定そういうところが出てきた。例えば凹の周回になっているほうでは駅構内。この駅の屋根は線路側に大きくせり出している。つまり綿棒が入り込める隙間が小さいく綿棒の頭も小さいため、レールと接地しにくいのだ。

「ナヨロン先輩、もうちょっと便利なやつってないんですか。TOMIX(トミックス)のクリーグングカーとか。」

「んな便利なものこの部活にあるけど、持ってきてない。時折、そこだけにレールクリーナーぶちまけるだけっていうのがあるから。」

「最低なクリーニングカーですね。」

永島(ながしま)。その言い方はちょっと違うぞ。この部活はそういう不都合なことはゴミで片づけるんだ。」

「ああ、そうですか。ていうか、いまそんな話どうでもいいです。」

「ナヨロン先輩。これって他にどこやったらいいですか。」

「全部だよ。」

「全部。まだ、駅しかやってないのに。」

「ていうか、木ノ本(きのもと)もここに固まってるなよ。早くしないと6時までに終わらないんだから。」

「でも、時間通りに終わる例っていうのも少ないんですよねぇ。」

「そう。時間通りに終わるっていうのも少ないし、予定した日にやらないっていう例まであるからなぁ・・・。て、そんなことどうでもいいだろ。やれー。」

「はいはい。」

全体にレールクリーナーをやるのと同時進行で、モジュールには列車が走っている。今僕たちのほうには223系が走っている。

永島(ながしま)。もうちょっとでそっちに列車が行くぞ。」

ナヨロン先輩から注意がある。僕はそれを聞いて手を引っ込めた。223系はぼくのほうに接近してきたのだが、あるところを境にしてガクッとスピードが落ち、ついには止まってしまった。それもありがたいことに僕の前だ。

「ナヨロン先輩。223系止まっちゃいましたけど。」

そういうと、すぐにナヨロン先輩が駆けつけてきた。

「あー、もうこいつダメだな。」

そう言ってモーターが入っている5号車(モハ223形)を抜き取って、床を見た。

永島(ながしま)。ちょっとレールクリーナーと綿棒貸して。」

綿棒とレールクリーナーを渡すと、ナヨロン先輩は車輪を外して、車輪の一つに綿棒の頭を当てた。そのあと車輪の上のあたりから延びる緑色の棒を少し回すという作業を開始した。それを1台車3回。2台車6回繰り返して、再び線路上に戻した。

永島(ながしま)。走るかどうが見て。」

そう言い残して、コントローラーのほうに行った。

永島(ながしま)行ってる。」

「まだ行ってません。」

そういったすぐ後、223系のモーター車がピクッと動いた。そして、ぎこちなくではあるが前に進み出した。

「ナヨロン先輩。走りましたよ。」

「了解。」

それを聞くとすぐに223系を止め、前と後ろに離された車両を連結。8両にして、走らせた。8両編成もゆっくり動き出し、何とか走ることが確認された。

永島(ながしま)。これなんて言うやつ。まぁ、特急じゃないのは見ればわかるけど。」

木ノ本(きのもと)が話しかけてきた。

「223系。関西の新快速だよ。これはライトの部分が広がってるから2000番台だね。」

「他のとどう違うんだよ。」

「明日223系の1000番台持ってくるからその時見せてやるよ。一発で分かる違いだぜ。」

「ふぅん。そんなに違うんだな。」

「ああ。だって、テールライトのついてる位置も大きさも違うからな。」

「なるほど。」

(もっと大きな違いじゃないんだ・・・。)

「おい、木ノ本(きのもと)永島(ながしま)。話してるのもいいけどちゃんと仕事しろよ。」

「だってもうレールクリーナーは終わったんだもん。」

「なんか別なこと探してやれ。」

そう言われて、ほかのことを探す。だが、結局レールクリーナーの仕事に落ち着いた。今度はEF510が牽引する貨物列車が走っている。

「なんかいっぱいつないでる。」

「おい、ナヨロン。加減しろよ。加減。つなげすぎだろ前夜祭なのに。」

「いいだろ別に。」

「1、2、3、4、・・・。」

木ノ本(きのもと)は隣でコンテナ貨車の数を数え始めた。何ともカラフルなものである。赤、緑、黄色、青、黒、ピンク。本物の貨物列車はここまでカラフルではない。

「15、16、17。全部で17両つないでる。」

「17両か。なんか驚くような数字じゃないね。」

永島(ながしま)が驚く数字ってなんなんだよ。」

「えっ、32両とかそんぐらい。」

「32両って。機関車ひけないだろ。」

「いや、引けるって。1600t(トン)級の貨物列車は計画上だけだけどあったわけだし不可能じゃないって。それに模型だったら脱線しない限り何両でも引けるんだから。」

「じゃあ何。40両の貨物列車だって可能とかっていうの。」

「ああ、言う。だけどうちじゃできないんだよなぁ。26両しかないから。」

「十分あるじゃないか。」

その話はナヨロン先輩にも聞こえてたらしい。

「なになに。永島(ながしま)コキ26両あるの。じゃあ持ってきてくれよ。俺17両じゃ物足りないって思ってんだ。頼む。」

「あっ、いいですよ。機関車どうしたらいいですか。」

「機関車は学校にあるやるでなんとかする。機関車って走ればコキ引けるんだからな。」

「なんですか。その走ればいいみたいな考え方。」

「だってそうなるだろ。模型の場合特に機関車は走りさえすればそのあとに何両続いても関係ない。だからそういう答えに行きつく。間違ってないだろ。」

「確かに。」

「うちのEF210(モモカマ)で最高のやつに引かせる。東海道・山陽本線の長大貨物列車をやろうぜ。」

「いや、それだったら学校のコキも使って32両にするべきです。」

「バカ、32両なんてEF200(ハイカマ)が引ける量だぞ。3390kw(キロワット)のEF210(モモカマ)に引けるわけない。」

「・・・。考えてみればそうですね。EF200って定格出力6000でしったっけ。」

「そう。6000kw(キロワット)だから引けるの。」

「それ実際やってませんよねぇ。」

「やる前に電気的問題があってな。今の電気事情のままじゃだめだからやれないだけ。もっと電気の供給能力が上がれば、やれるらしい。」

「持ってくるか持ってこないかっていうところから結構話が脱線してるんですけど。」

「あっ。そうだったな。じゃあ、悪いけどそれもお願いね。」

「はい。」

18時00分。前夜祭終了。作業もやることがないため活動は終了した。

 家に帰るとすぐに車両庫に走った。

(えっと、223系1000番台とコキ26両と「253系(ネックス)」と、「カシオペア」と「北斗星(ほくとせい)」。なんかたくさんあるなぁ。引き受けすぎたかなぁ。)

 うすうすそう感じながらも執事に頼みに行った。

「お願い。明日の文化祭でこれを高校まで運んでほしいんだけど。」

「そういうことでしたら、喜んでお引き受けしますよ。車両を運ぶついでに坊ちゃまもお乗りになったらどうですか。」

「いや、送ってくれるのは芝本(しばもと)まででいい。そこからは電車で行く。」

「はぁ、しかし・・・。」

「いいんだって。そのほうが楽しいから。じゃあ、箱はもう車に積んどくから。」

そう言って車両庫のほうへ走っていった。

 その後ろ姿を見ていたのは執事だけではなかった。

「なんか、昔駿(しゅん)君に引き連れられて浜松(はままつ)駅まで行っていた時と変わらないな。」

隆則(たかのり)様。」

和田山(わだやま)。手伝ってやれ。」

「・・・。はい。隆則(たかのり)様。」

 3箱目を運び出している姿を見ていると昔同じようにここに通っていたいとこのことを思い出した。今自分の息子はその人と同じ学校にいるのだということを改めて実感した。


今回からの登場人物

永島(ながしま)隆則(たかのり)

和田山(わだやま) 1972年生まれ

ようやく文化祭の前夜祭まで行きました。

これから2・3話かけて文化祭の中身。まだまだ先が長いなぁ。

ネットにアップしている原作を作りながら思う今日この頃です。

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