183列車 残り過程
作中の動画はネット動画の引用です。
1月23日。岸川高校のほうは学年末テスト。これが足たん24日に終わり、僕たちは家庭研修に入る。家庭研修に入ったところで待っているのが自動車学校。
「はぁ。帰ったら何しようかなぁ・・・。」
独り言でつぶやいた。
「お前の場合やることって決まってるだろ。家で模型いじる以外ないんじゃないのか。」
宿毛が答えた。確かにそうだが。
「・・・。そうだけどさぁ。」
僕はそう答える以外ない。帰ったら久しぶりに100系と遊ぶかなぁと思った。そして、見ていないビデオもたくさんある。それもまとめてみてしまおうとも思っていた。特に鉄道乗りつくしシリーズの最長片道切符と全線乗りつくしは見てないから見ておきたい。ただ、一つ一つの時間が長いから見きるのには3日ぐらいかかるかぁ・・・。
「明日の数Ⅱ。対策とか立ててる。」
「全然。つうか、積分なんだし、定積分もやり方さえミスらなきゃいいだけだから、問題ないと思ってるけど。」
「・・・。まぁ、そうだろうと思ったけどな。」
僕は遠州鉄道の助信のほうに行って、列車を待った。2時間終わって最初に来るのが1001だった。そして、そのあとは何形が来るのかわからないという状況が続く。
ホームで1001を待っていると、
「永原・・・。」
「あっ、よーす。」
軽くあいさつして、僕は聞いてみた。
「永原って家こっちなのか。」
「えっ。こっちというかここからもっと東だけど・・・私はいまから自動車学校だから。」
「テスト期間中にか。」
「土曜日入校したんだけどねぇ・・・。車の運転大変だけどさぁ、慣れると結構楽しいよってまだ行き始めてそんな時間ないんだけどさぁ・・・。」
永原は自動車学校の感想を聞かせてくれた。
「ふぅん。まぁ、俺はそういうことになるのはないと思うけどねぇ。」
「永島君の場合は進路なんか決めずに走ってたほうがいいのかなぁ。」
「そう。進路自分で決めるってところが一番面倒くさい。ていうか、車運転する必要ないんだったら運転したくないんだよねぇ。」
「・・・それでも自動車学校行くんだよねぇ。」
「まぁね。取れって言われてるから。」
「・・・。」
永原が唖然とした顔になるのも分かるけど・・・。
「あっ。自動車学校だったらあっちに行ってたほうが楽だよ。」
そう言ってやった。それから家に帰ると離れに行った。宗谷のほうは今日からテスト期間。暇になるのがまだ先だといっていたけど、離れのほうには来ていた。
「ナガシィ、遅いじゃん。今日は1001だから降参してさっさと帰って来たんじゃないの。」
「お前。いつからここにいる。俺はさっきまで昼食べてたんだけど。」
「えっ。私は・・・12時からここにいる。」
「・・・ここはお前の家じゃないんだけどなぁ。」
僕はそう言ってから車掌この方に入った。車両庫には模型がたくさん置かれている。それはずっと前から同じことだ。この中にある100系の車両ケースを探す。
「ナガシィ。100系はこっちだけど。」
「えっ。」
萌にそう言われてそっちの部屋に行ってみると確かに100系の箱が置かれていた。
「お前・・・。勝手に出すなって。」
「いいじゃん。」
「よくない。」
この後、萌に僕の後ろに回られ、くすぐられた。
翌日。テスト最終日。テストが終わると今度はこの先の説明があり、僕は終わると同時に教室を出て帰路に就いた。帰りの遠州鉄道の中で萌を会い、久しぶりに帰りも一緒に帰った。午後は離れの模型をいじり倒して、翌日25日もそんな感じで過ごした。
「私今日入校するつもりなんだけど。」
「・・・へぇ、そうなんだ。」
「一緒に行かない。」
「いいけど・・・。」
特に何もなかった。ただ、来た列車が1006だったから、それには乗らず。次に来た車両も1001だったから乗らず。その次に来た2003に乗って自動車学校のほうまで行った。自動車学校のほうで今日は入校説明がある。
入校説明のことを簡単に言うと、どういうことを注意するべきかの注意事項を言い、あとは学校のシステム。その説明を受け、視力と適性検査だけだった。適性と言っても、掘り込んだことをするのではなかった。
翌日。今日から自動車学校のほうがスタート。一発目は適性。次が学科だった。
「ナガシィ。もう終わり。いいなぁ・・・。」
帰り際萌はそう言った。
「何待っててほしいのか。」
「うん。ちょっと待ってて。終わったらすぐ行くから。」
「じゃあ、上のマンガおいてあるところに行ってるぞ。」
そう言って上のマンガコーナーじゃないか、休憩コーナーに行った。確かに、たくさんのマンガが置かれている。しかし、本屋みたいに全巻そろっているわけでもないし、欠番はいっぱいだし、これでは内容が分かっていない限り、どういうストーリーなのかわからないのではないか・・・。ふつうに人気のあるマンガの単行本を手にとって読んでいた。
「おい。」
誰かに呼ばれた。その方向を見てみると長浜の顔があった。
「よーす。お前も来てたんだ。」
長浜は室内を見回してから、中に入って来た。別にここには誰かいるわけではないからそんなに警戒することもないだろう。
「お前も自動車学校来てたんだ。これから所内でも運転するのか。」
「いや。ちょっと友達まってる。そいつ学科やってるから。」
「へぇ・・・。俺なんかさぁ、今走ってきて、これから学科なんだけど、1時間あるから時間むだなんだよなぁ。」
「走ってきたって。面倒じゃなかった。」
「そりゃ面倒だよ。半クラッチがどうのなんて、分かるかつうの。」
「いや、そういう意味じゃなくて、自分で進路決めなきゃいけないって意味で。」
「・・・。」
(えっ。今俺変なこと言った。)
「そこ。」
長浜の顔がそれはどういう意味という顔になっている。まぁ、そういう顔になってふつうか。
「えっ。だって面倒じゃない。電車だったら決められた線路通りに走ればいいだけだけどさぁ、車ってほっとけばわけわからないところ行っちゃうし、面倒じゃん。」
「それを面倒っていう人初めて見たわ。」
それを言ったころにベルが鳴った。授業が終わったのだ。すぐに萌が上に上がってきた。
「ナガシィ。」
「ああ。」
そう答えてから、持っていたマンガをもとの位置に戻した。そして、出ようとすると、
「彼女か・・・。」
と聞かれた。
「えっ、まぁ。」
「ナガシィ。おいてくよ。」
「ちょっと待ってろ。萌。すぐ行く。」
「・・・萌っていうだ。」
長浜がそうつぶやいたのが聞こえた。それはどういうことだろうかと考えていた。自分たちの学校で萌っていう女の子は数人いるとは思うが、僕が知っている萌は永原だけだ。
「まさかとは思うけど、長浜って永原のことが・・・。」
「バ・・・バカなこと言うなよ。」
図星だと思った。
「おい、早く行ってやれよ。彼女が待ってるぜ。」
「うん。じゃ。」
そう言って長浜と別れた。1階までくると教習簿をカウンターの所定の位置に返して、遠州鉄道を待った。すぐに来る2000形がないから1000形で家まで帰った。
翌日。この日は自動車学校に行くあてがない。今度は模型をいじって遊んでいようと思ったが、今日は駅のほうを覚えてやろうと思った。山陽本線と東海道本線をつなげてから結構時間がたっているけど、無駄な記憶力だけはいまも健在だ。
「米原、坂田。田村、長浜。虎姫、高月、木ノ本。余呉、近江塩津。新疋田、敦賀。南今庄、今庄、湯尾、南条、王子保、武生ぅ。」
時刻表の北陸本線のページを開きながら、ネット動画にアップした人が載せた曲の合わせて歌っていく。何回とそれを繰り返し、覚えたと思ったら時刻表を伏せる。そして、時間を開けて、もう一度頭の中に叩き込む。勉強はしないけど、こういうことはまともにするのだ。
「鯖江、北鯖江、大土呂、越前花堂、福井、森田、春江、丸岡。芦原温泉、細呂木、牛ノ谷、大聖寺、加賀温泉、動橋。粟津、小松、明峰、寺井。小舞子、美川、加賀笠間、松任。野々市、西金沢、金沢。東金沢、森本、津幡。よし。」
「ナガシィいいなぁ・・・。」
気づいたら、ドアが開いていた。そこには萌の顔がある。また自分が歌っているところを聞かれてしまった。
「今日はミク声じゃないのね。」
「うるさい。どんな声で歌ってようがいいだろ。別に。」
「・・・。私はミク声で歌うたってるナガシィのほうが好きだけどねぇ。」
(・・・関係ねぇ。)
「北陸本線覚えてたの。」
「ああ。まぁ。」
「よくそんなに頭はいるねぇ。」
「自分だって、小倉から東京までつなげてきたじゃないか。」
それを言ったすぐ後はお互い黙っていたけど。それからというもの模型をいじって遊んでいた。
27日。今日はまた自動車学校。でも午前中だけだし。初めて今日は車の運転台に乗って運転したが、やっぱり自分はこっちよりも電車のほうがあっていると直感で思った。
28日。今日はどちらも学校がない。
「えっ。電車のほうがあってる。」
「うん。」
「それ言える私も同じだけど。まぁ、車ってめんどうなところあるからねぇ。でも、当たらないように運転すればいいだけだからそういうところはまだ簡単かなぁ。」
「そうか。当たりそうで怖いんだけど。」
「教官にそう言うこと考えないって言われなかった。」
「言われたよ。・・・ああ、もう車運転したくねぇ。面倒だし。」
「えっ。もう。早っ。」
「だって俺たち免許取っても2年の間はいらない同然だぜ。運転するのって2年先の話だし。つうか、俺は仕事以外のことで車運転したくない。」
仕事以外というのは出勤とかそういうこと。正直出勤するときから疲れたくないけど。
「・・・もし運転せざるを得ない状況になったらどうするのよ。」
「えっ。」
「例えば、私がなんかやって車運転できなくなったとか。」
「その時だけは運転するけど、運転したくねぇ。つうか移動するくらいならバス使えつうの。」
「そういうときだけはバス推すんだ・・・。」
「だって、かねかかるけど、乗ってるだけでいいんだぜ。疲れないじゃん。」
僕が車を運転したくないという理由は1に疲れる、2に疲れる。3、4がなくて5に疲れるからだ。だから、移動しているときぐらい疲れたくないと思う。ただ、乗っているだけなら疲れることはない。
「・・・多分、そう言って車運転してくれる人って私だけだと思うけど。」
「あっ。その時は頼むね。」
(頼む気満々だし。)
「でも、運転できない時になったら代わりに運転してよ。」
「死にたければね。」
「そこまで危険な運転する自信あるの。」
「ある。」
僕の性格ってものを分かってる萌だから、ため息だけで済んだのかなぁ。いや、いくら萌でもこれではため息が出るか。
ようやっとここまで来た。後残り1話。
文字数89万1660文字。原稿用紙2230枚分。読了1784分(毎分500文字目安)。平均4872文字。