180列車 球技大会は娯楽大会
完結予定していた話数です。まだまだちょっとだけ続く・・・。
それからまた数日がたって12月20日。今日は球技大会ということで、授業無しで全員ではじける日でもあるのか・・・。
「宿毛。俺何に出るんだっけ。」
「永島君。そういうことは選手表見れば載ってるのに・・・。」
永原はあきれたように言った。体育祭のときだってそうだったか。
「いや、そういうこと調べるの面倒だから。」
「自分で調べろつうの。ほら。」
宿毛から選手表を受け取る。宿毛に調べてもらおうと思ったけど、今回もそうはいかなかった。
「えっ。俺フットサル・・・。」
「ああ。そうだよ。知らなかったの。」
「知るわけないだろ。村山あたりが勝手に決めてたから。」
(そこ勝手ていうわけでもないだろ・・・。ちゃんと何に出たいとは聞いてたし・・・。)
「なぁ、宿毛。俺当然補欠だよなぁ。」
「うーん。どうだろうね。」
宿毛は答えを濁した。でも僕は補欠であることを信じたい。言っちゃえばやりたくないというのが本音だからだ。僕はスポーツができない。もちろん、知識も乏しいが、1度でもプレイしたことがあるスポーツのルールくらい基本は分かっている。突っ込んだものが分からないだけだ。
「外今日寒いよねぇ。」
「寒いなぁ。」
今日は風がある。風だけでも冷たくてのびたくないくらいだ。
「まぁ、試合がないときはここで全員でトランプとかやってるわけだからさぁ。そんな暇じゃないだろ。」
「・・・宿毛トランプとか持ってきたの。」
「ああ。一応。」
「俺大富豪とか結構やり方知らないのあるから。」
「知ってる。」
僕がトランプをやり始めたもの萌と知り合ってからになるのか。僕が風邪をひいて休んだ日に萌はトランプを持ってきて、それで遊んだ。そして翌日。萌は風邪をこじらせて学校を休んだ。こういうことをあったっけ。
「他にも「DEATH・NOTE」とかマンガも持ってきたけど。」
「あっ。「DEATH・NOTE」読む。1巻貸して。」
僕は宿毛から1巻を受け取ってそこにしゃがんだ。よく球技大会の時はやっていることである。座り込んでゲーム。マンガ。机の上でトランプ。机に隠して携帯。暇つぶしの方法はいろいろだ。
だんだん人が集まってきて、教室の中はクラスティーシャツの黒とジャージの青に染まっていく。8時30分にいつもと同じ朝礼。早い試合は9時00分から始まる。僕たちのクラスは卓球の早いチームで9時45分。フットサルの早いチームで9時50分。バスケットボールは早いチームで10時15分からだ。僕のチームは10時10分まで試合がない。それまでは宿毛から借りたこれを読むことだ。
「永島。それだれの。」
クラスメイトが僕にそう聞いてきた。
「宿毛のだよ。」
「・・・。宿毛何巻まで持ってきた。」
その人も宿毛から単行本を借りて、読み始めた。僕は読む速度が多少遅い。単行本を読み切るのには一冊40分ぐらいはかかっていると思う。そして、キャラの心情に入って読むと一話読み切るのに15分くらい。読みきりタイプだと30分ぐらいかけて読むことだってある。
「永島。ちょっとカーテン閉めて。」
「えっ。」
僕は窓のほうを見た。太陽の光が入ってきて、まぶしいのは僕にもわかっていることだが、そこには今まで見たいにカーテンが取り付けられていない。
「閉めるにも閉めようがないんだけど。」
「えっ。なんで。」
「もうすぐ終わるからじゃない。ほら22日で学校終るじゃん。」
「あっ。それで・・・。」
僕はそれからもマンガを読みふけった。読みふけっていたら、試合の時間があっという間に近づいてきた。校庭に行ってみると僕たちの前の試合がまだおこなわれていた。
「永島さん。」
誰かが呼ぶ声がした。どこからその声がしているのか気になってあたりを見回してみる。視線を上に向けると中学生の姿だ。空河がこちらに向かって手を振っている。
「オー。」
「永島さん。勝てるように頑張ってください。」
「おう。分かった。俺は頑張らないから他の人に言ってくれ。」
「他の人ってたとえば誰ですか。永島さんの後ろに立ってるものですか。」
(もの・・・。ああ、醒ヶ井のことかぁ・・・。)
「こいつは物じゃない。未確認生物だ。」
「あー。そうだった。」
「何が未確認生物だ。ちょっと黙れ。」
「うわっ。未確認生物が襲ってきた。」
前の試合をやっているのは3年7組の男子Aチームと3年8組の男子Aチーム。その試合が終わると勝つことを考えなかった組の3年6組Aチームと3年9組Aチームの対戦。1日目は総当たりのリーグ戦で、次の試合は3年7組と、最後の試合で8組と当たる。僕たちの6組には補欠含め7人いるが、7人ともスポーツが得意というわけではない。むしろ、この人たちだって出たくないと考えている集団である。しかし、さすがにスポーツ得意組は最初から負けを取りに行くことは考えなかったらしい。新城の姿もあったし、試合になった時にコートに入っていった。選手変更したのだ。
「あっ。永島。ちょっとこれ持ってて。」
新城からきていたジャージを受け取った。ホイッスルが鳴って試合がスタートする。最初にボールを持ったのは9組のほうだった。
「行けーっ。新城。」
醒ヶ井が声を上げた。
「よしっ。行ける。」
新城が守備陣を抜いて、ゴールの前にやってくる。シュートを打ったが、惜しくもコートの外に出て行った。
「おい。そこ決めろよ。」
今、仲間割れしてもどうだろうか。そう思っても止めようのないことかぁ・・・。
「うるさい。クソッ。久しぶりだから、ミスった。」
「言い訳してんじゃねぇよ。」
「おい。新城。それでもサッカー経験者か。」
9組の人からもそう言う声がした。恐らく新城と同じ中学だったやつのことだ。
「お前。この試合で叩き潰す。」
「行けーっ。」
再びホイッスルが鳴った。ボールが中に戻ってくる。9組の人がそれを受け取り、とられまいと抜いていったが、なかなかその人のほうもうまくいかないみたいだ。最初に抜こうとした新城にとられてしまった。
「おい。それでも元サッカー部か。そっちの方が疑いたくなるぜ。」
今新城はそう言いたいだろう。シュートを打って早くも6組が先取点を取った。
それから試合は9組に押されるようになった。同点にされた後さらに1点加えられたのだ。何とか同点に追いつき、試合はそのまま。引き分けで終了した。
「新城。パス。」
持っていたジャージを新城に返した。
「はぁ・・・。疲れる・・・。」
新城は独り言を言った。僕はすぐに教室に戻った。この次の試合は11時20分。1時間10分後だ。校庭のほうに出てくればいい時間は試合5分前。1時間以上空き時間がある。今日最後の試合は13時20分だ。教室に戻ると今の試合の結果を聞いてきた。
「どうだった。勝った。」
「2対2で引き分け。」
僕はそう答えると机の上において言った漫画の続きを読んだ。それを読み降り、次の巻に入った真ん中ぐらいまで行ったところで、また試合のために外に出る。見ているだけだから、外には出ても仕方がないのだけど。弁当を食べて、昼過ぎてからの試合。それが終わるとやることがなくなってしまう。
「トランプでもしない。永島。」
「・・・。」
僕は何を言わずに宿毛の後についていった。宿毛が・・・。他によってきた人を集めてトランプをすることになった。ババヌキならぬ、やるのはジジヌキ。カードを配ってやり始める。何周かしているうちに揃ったかーづが机の上に出されていく。
「永島。ここにあるカード。お前の助け舟になるに。」
確かに。僕が引き相手側のほうには自分の持っている手札が見えている。その手札をひいても自分の手札にあるカードが来るとは信じがたい。そっちにあるものではなく、僕は右側。一番遠いところにあるカードを取った。
「おい。なんでそっち取るだ。こっちのがお前のためになるって言ってやってじゃないか。」
相手はこういった。信用していいのか・・・。騙されたと思って次はそこにあるカードを引いてみた。確かに、引いたカードは僕の手札の中にある。
「お前。わざとそうしたな。」
(わざと以外何がある・・・。)
ジジヌキが終了すると今度は何をやろうか。
「ダウトでもするか・・・。」
「よし、やろう・・・。」
僕はそれに乗った。部活でもやっていて、最近ちょっとはまっている。
「じゃあ、だれから行こうか。」
宿毛がそう切り出した。
「さっき1番で上がったやつ誰だよ。」
「さっき1番で上がったのは長浜だったなぁ・・・。じゃあ、長浜から宿毛に行って、左沢に行って、俺で、高月でいいんじゃない。」
「じゃあ。そうするかぁ・・・。」
それからゲームスタート。1から13まで自分の手札をだんだん出して行って、カードがなくなったら上がり。しかし、カードを出した人がもしウソを言っていると疑ったら「ダウト」と言う。これぐらいは知っていることかぁ。
「5.」
「高月ダウト。」
「よし。恵もってけ。」
「うわっ。マジかよ。」
「長浜。そうそう稼いでどうすんだよ。」
「うるさい。稼ぎたくて稼いだわけじゃない。」
「長浜。今度は俺が稼いでやるで。」
左沢がそう言った。
「マジでやりかねないなぁ。6。」
「ダウト、ダウト、ダウト、ダウト、ダウト、ダウト、ダウト。」
「そこまで言わなくてもわかるわ。もってけ。」
「よし。これですべては俺の意のままに動くようになる。」
左沢はそんなことを言った。それから左沢の手札はどうなったのかというと結構な枚数に膨れ上がった。上がったのは高月だけだ。
「クソッ。」
「あっ。宿毛ダウト、ダウト。」
「クッ。言う前からか。」
「で俺13で永島ダウト、ダウト。」
「・・・。なぁ、宿毛、長浜。これ終わらなくね。」
「まぁ、この状況で終わる方が奇跡だなぁ・・・。」
確かに。全員ダウトにも飽きてきた見たいだったから、ここで終了した。僕は自分の席に戻ろうとしたが、これでは何もすることがないのと同じになる。また宿毛からマンガを借りて、それを読んでいた。
「永島。フットサルのほうどうなんだよ。」
木ノ本が聞いてきた。
「ああ。1勝1敗1引き分けで決勝行けるのかどうかは微妙。」
「へぇ。」
「お前らのほうは勝ったのか。卓球。」
「いやぁ、余裕だったよ。なんせ元卓球部が3人いるからさぁ。」
それは高校ではない。中学での元卓球部のことだ。確かに。それだけ経験者がいれば勝つのは当然だろう。今のところ女子卓球では木ノ本のチームがそのリーグで1位だそうだ。
「・・・。」
翌日。今日も球技大会の続き。午後は各種目別で決勝トーナメントがあり、決勝トーナメントまで勝ち進めなかったクラスは13時30分で下校できる。僕たちのクラスは女子卓球が決勝トーナメントまで勝ち進んだからそれ町。バスケット、フットサルは男子女子とも決勝まで進むことはできなかった。僕としてはそれはありがたいことだが。
(はぁ。決勝までまだかよ。時間あり過ぎじゃん・・・。家で模型いじってたい。)
僕がそう考えているとそのままのことを宿毛が言ってきた。
「なんて。坂口じゃないけど。」
「・・・。萌でもそういうこと言わねぇよ。ていうか。そう言わさせないというのかなぁ。」
「言わさせない。ああ。電車の話ばっかしてくるからか。」
「ああ。それもある。」
ぼかした。萌は電車の話で僕を虜にするということはよくある話。僕の方はそれに載っているだけだが、萌のほうは僕が間違うのを待っているというところが僕から見て感じるのだ。もし、僕が間違えたら、そこに付け込んで僕をいじれる。そういう算段だろうから、僕だって間違えれないのだ。
しばらくすると木ノ本たちが戻ってきた。時計は3時になるかならないかの時間になっている。準決勝で3年1・2組の合同チームに負けたらしい。
12月22日。終業式。それで冬休みに入った。
今回からの登場人物
3年6組クラスメイト
高月魁人 誕生日 1993年10月21日 血液型 A型 身長 168cm
左沢幸喜 誕生日 1993年9月10日 血液型 B型 身長 165cm
大阪の高槻海斗と静岡の高月魁人。
由来は両方ともJR西日本の管轄内ですが・・・。
なお、これからの作者名は永島光にします。とても気に入ってしまったので・・・。これからもよろしくお願いします。