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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:3
179/184

179列車 先輩が後輩を・・・

 テスト期間中。僕たちは早く帰ることができるというのは当然。その時には普段とは別の遠州鉄道(えんてつ)の顔を眺めることができる。例えば、昼間に行われる試運転がそうだ。だが、このごろは百貨店のオープンで運用がいい意味でくるっているときもあれば、悪い意味でくるっているときもある。帰りに30系の一つ。25号と会ったこともあった。

 数日後。テストが返却され始めてくる。

宿毛(すくも)。お前何点だった。」

テストが終わればいつものことだ。この頃は宿毛(すくも)に勝ったり負けたりを繰り返している。

「やっぱり、シクッタ。75点。」

「・・・。俺82点。」

「82かぁ・・・。7点差。・・・永島(ながしま)。また俺たちの合計出すか。」

宿毛(すくも)はボロボロになった紙を1枚取り出した。これには今までのテストの結果が書いてある。この中には僕以外に長浜(ながはま)和邇(わに)の点数も数えている。

「えーと。現文が82点と。長浜(ながはま)何点だった。」

「91点.」

長浜(ながはま)。相変わらず現文だけは得意だなぁ・・・。)

「えーと。長浜(ながはま)が91点。」

宿毛(すくも)。81点で申告。」

和邇(わに)がテストの回答用紙を見せて、宿毛(すくも)にそう言う。

和邇(わに)が81点・・・。ああ、出遅れたなぁ。今のところ和邇(わに)だけはまだ抜けそうかなぁ・・・。」

和邇(わに)だけと言わず、俺も抜いてくれよ。」

(どんだけ、お前は俺に抜かれたいんだよ・・・。)

そのあとすぐに僕は席に着き、答え合わせ。僕はマルがついているものとついていないものとでは大きな違いがあるから、誤採点はないと思っている。じゃあ、合計の間違いがあったら、そのままの点数にしているのかと言われたら、それはしていない。もちろん逆に下がる方もだ。だが、時と場合による・・・。こんなことではダメだな。

 今日は5教科返ってくる。今日だけで半分の強化は帰ってくるのだ。返ってきたテストの点数を宿毛(すくも)が計算していく。僕のテストは返ってきた順に75点、82点、95点、61点。宿毛(すくも)の点数は返ってきた順に84点、86点、81点、80点。僕と宿毛(すくも)の差は11点差だ。11点差だとまだ心配というところはあるけど、関係ないかぁ。1位じゃなければいいだけの話である。勉強ができる割には変わっているかもしれない。親だって1位を取れとうるさくないのだ。

 翌日。この日にテストのほとんどが帰ってきて、次の日にはすべてが揃う。今日帰ってきたテストで宿毛(すくも)と僕の差は2点差で宿毛(すくも)が勝っている。本当なら宿毛(すくも)がもっと突き放していたはずなのに・・・。そんなことに文句を言ってもしょうがないか。問題は翌日返ってくるテストだ。

 翌日。今日でテストすべてが揃う。結果的に僕は宿毛(すくも)に1点差で勝ってしまった。本当なら宿毛(すくも)が勝つはずなのに。点数は781点。この点数を聞いた時に思わず「ライラック」を連想してしまった。あれの運転されていた車両が781系だからだ。とすると780点を取った宿毛(すくも)はクハ780形とかそういうものか・・・。

「だから、言ったじゃん。今回はお前が1位だって。」

「そう言えば、長浜(ながはま)何点なわけだよ。」

長浜(ながはま)。あっ。そうか。今回は長浜(ながはま)もいるんだった。ちょっと待って。今計算しちゃう。」

宿毛(すくも)はてっとり早く長浜(ながはま)の合計を出した。

「えーと長浜(ながはま)は785点。だから、長浜(ながはま)がクラス1位で、お前が2位。俺が3位かぁ。くそ。今回は永島(ながしま)どころか、長浜(ながはま)にも負けた・・・。」

(・・・まぁいいや。2位だったし。)

僕はそれ以上のことに関心がないからいいや。確かに。そのあともらった順位表から僕はクラス2位であることが改めて分かった。これがすんだら、今度は家で模型をいじることだけを考えるのだ。

 離れにはテスト期間中も入っていた。ここに入らなかった日はなかったかなぁ。そんなことをしていていいのかということを100パーセント言われると思うが、気にしないこと。どうせこれだってあとほんの数か月しかいじれないのだ。それに自動車学校に行けば嫌でもいじれなくなる。

「さて、今日は何走らせようかなぁ・・・。」

そういうことはここに入るまで何も決めていない。久しぶりに新幹線でもいじろうと思った。東海道(とうかいどう)山陽新幹線(さんようしんかんせん)にしようか・・・。東北(とうほく)上越(じょうえつ)秋田(あきた)山形(やまがた)長野新幹線(ながのしんかんせん)のほうにするか・・・。迷うが、僕は断然東海道(とうかいどう)山陽新幹線(さんようしんかんせん)の車両のほうが好きだ。車両庫のほうに行って、0系、100系、300系、500系の模型をまずは出してきた。全部16両編成。この車両すべてが混在したときは97年から99年までのたった2年。だが、300系は当時まだシングルアームパンタグラフ2基ではない。途中に大きなパンタグラフカバーがついていた時代だから、混在するといってもあり得ないかぁ。形式的であって現実的ではない。

 僕は新幹線専用の車両基地のほうに車両を並べていたが、思い立った。もしこれで変わった光景を生み出せるなら、ということを考えたのだ。例えば500系の16両編成を0系の16両編成が抜く。

 変わってるにもほどのある光景だ。自分でも思う。500系新幹線は登場当時「のぞみ」で運用されていて、0系との上下関係はいまからやろうとする光景とは正反対だ。0系が「ひかり」の臨時仕業に就いた晩年は500系の8両編成を0系の6両編成が抜いたという光景ができたようだが、それも短い編成の中での話。16両の時代の話ではない。ただ。やろうと考えるといろんなことを考えてしまう。100系と300系の上下関係を逆にしたりということだって思いつくのだ。他にも0系とN700系の上下関係を逆にする。N700系の「のぞみ」を500系の「のぞみ」で抜く。300系の「ひかり」を6両編成の100系が抜く。上下関係の説明はもうすでにしてあるからいいと思うが、他はなぜありえないか。まず「のぞみ」は「のぞみ」に抜かれることはない。列車ごとの表定速度(全区間を走行するのにかかった時間と距離から算出する)が違っても追いつくことはないからだ。そして後者。これもさっきの100系と300系の関係と同じ。そして、6両編成の100系が「ひかり」で運用されることはいまの時代ありえなくなっているからだ。今の100系には「こだま」の仕業しかない。さらに「仕事場」の関係もあるからだ。

 0系と500系をまずは車庫に並べ終わった。まず、500系のほうを本線上に出す。普段列車を改装している駅のほうは新幹線の駅も備えている。方式は新大阪(しんおおさか)と同じ。全列車が停車する。その駅の反対側にある駅には通過用本線と待避線が設けられている。形は地元の浜松と同じ。各駅停車と停車駅の多い列車のみ停車し「速達列車」は通過する。500系は駅に到着して一番外側のホームに、続いて0系も本線のほうに出し、0系は500系の止まったホームの反対側に入線させた。ポイントは0系のいるほうに対して直線である。この時点で上下関係が違うのだ。本物には「のぞみ」でも待避線のほうに入れるということをしているが、基本本線のほうに「のぞみ」を入れている。

「14番線から、16時、28分発。「ひかり352号」東京(とうきょう)行きが発車いたします。ドアが閉まります。ご注意ください。」

アナウンス。あったほうが何かと楽しい。もちろん、言っていることはメチャクチャだ。

「14番線から、「ひかり352号」東京(とうきょう)行き発車です。・・・安全よし。」

こういってからドアが閉まるという設定。ドアが閉まったことを確認する戸閉(とじめ)等が今運転室の中で鳴っているはずだ。

戸閉(とじめ)(てん)。信号70。時刻よし。ブレーキ完解よし・・・。新永島(しんながしま)。定発。であることを願います。」

言っていなかった。この駅には「新永島(しんながしま)」という駅名がついている。もちろん、在来線の途中駅の方にもこのような名前がついているが、ここでは説明しないことにしよう。

 500系がホームから遠ざかって行く。車内アナウンスはしないのかと聞きたくなるだろう。車内アナウンスのほうはしない。何を言っているのかは検討がつくが、本物に添えないし、新幹線だと2駅しかないから面白みに欠けるのだ。500系をいつもよりちょっと遅いスピードの高速で走らせ、新永島(しんながしま)の反対側、永岡(ながおか)に着いた。

「13番線から、16時、32分発、「ひかり2号」東京(とうきょう)行きが発車いたします。ドアが閉まります。ご注意ください・・・。」

ここで声を女声(機械的)から男声に変える。

「13番線から16時32分発「ひかり2号」東京(とうきょう)行きが発車いたします。・・・安全よし。」

ドアが閉まったという設定。

戸閉(とじめ)(てん)。信号70。時刻よし。完解よし。・・・新永島(しんながしま)。5秒遅発。」

後の0系の運転は放っておく。走行中の新幹線の運転で運転手がすることは前方の確認のみ。走っている新幹線は地震や障害物や停車駅が前方にない限り減速をしない。一定時間惰性で走って、加速するを繰り返している。運転手はそれをやっているのだ。そして、運転手の本当の技量が試されるのは停車の時だけと言っても言い過ぎではないかもしれない。模型ではそういう細かい操作ができないが、できるだけ正確に駅に停車させることだ。

 僕は永岡(ながおか)のほうに先回りした。駅には500系の16両編成が停車している。ここにもうすぐ0系の「ひかり2号」がやってくる。ホームを塞いでいるため、駅に停車することは当然できない。「ひかり2号」は通過するだけである。

(来た・・・。)

0系が向こうから接近してくる。それをこっちに曲がってきたライトで確認した。0系の速度はコントローラーのマスコンをレベル4に持って行っているから、この駅を高速で通過することになる。鉄橋を渡ってすぐの直線の駅を0系が通過した。

(おーっ。ある意味感動する・・・。)

 するとドアが開いた。そこにいるのは当然萌(もえ)だ。

「やっぱりここに来てるのかぁ・・・。」

「平日に来るって珍しいじゃん。」

「いや、私たちのほう午前中授業だから、本当は午後から来てよかったんだけど、ナガシィがいないんじゃちょっと寂しいと思ってきてなかっただけだよ。」

「・・・。」

「今0系走らせてるんだ。・・・今日は1000番台(223系)は走らせてないの。」

「ああ。今日は久しぶりに新幹線だけでフィーバーしようと思ってね。」

(もえ)は部屋の中に上がってきて、僕のいるところによってきた。

「・・・。」

(もえ)はあっけにとられた表情で、今走っている0系を見つめた。今は新永島(しんながしま)を通過中だ。

「えっ・・・。」

(もえ)のそういう声が聞こえる。

「なんで500系が待避してて、0系が走ってるの。おかしいでしょ。」

「おかしいね。だってそう言うことやってるだけだもん。」

「・・・。」

「昔よくやったよねぇ。」

「・・・よくやったねぇ。」

僕はその時のことを思い出した。その時は駿(しゅん)兄ちゃんもこの部屋に入っているというパターンが多かった。だから、なかなかそういうわけにもいかなかったのだ。しかし、駿(しゅん)兄ちゃんがいない時を見計らって二人でやっていた。だが、見つかると、コントローラーの電源を落とされるとか、離れの外につまみ出されるとかいろいろされた。

「今は駿(しゅん)兄ちゃんはほとんどここに来ないからできることだよねぇ。」

「そうだなぁ・・・。」

しばらく500系を追い越す0系を楽しんだ。

 今度は300系を100系が追い越す番だ。外の0系と500系は(もえ)が操るようになり、僕は内回りのほうに回った。先に300系を出させて、100系を出させる。300系を永岡(ながおか)まで先に走行させ、ポイントを変える。永岡(ながおか)に停車したことが確認されたら、今度は100系をスタートさせた。

「これってさぁ、新幹線にも車載カメラ付いてればいいのにね。」

「・・・。やってみるかぁ。」

僕は(もえ)の発言に乗った。車両庫からTOMIX(トミックス)のキハ187系に車載カメラが搭載されたものがある。それを新幹線の本線上に出した。出したところは(もえ)のほう。走っている100系をモニターの中から見てみたいという気持ちもあった。

「100系が終わったら、今度はそっちにしてよ。」

(もえ)は僕にそう言った。

 (もえ)はキハ187系を新幹線ホームからスタートさせた。走るところが高くなっただけで基本在来線の時と変わらない。ホームから発車した直後に100系をすれ違った。僕はちょっと100系を減速させた。

 ちょっと離れたところに置かれているモニターには車載カメラから撮られた映像が流れている。時折対向列車の100系が走って行く。

「あれ。100系ちょっと遅くない。」

停車場接近(ていしゃじょうせっきん)永岡(ながおか)、停車、下り側線。」

「・・・。」

僕がそう言ったあたりで16号車がモニターから消えた。

「・・・。16時48分発。「ひかり1号」博多(はかた)行きが、発車いたします。ドアが閉まります。ご注意ください・・・。「ひかり1号」博多(はかた)行き発車です。安全よし。」

停車場接近(ていしゃじょうせっきん)新永島(しんながしま)、停車。上り本線。」

と行ってキハ187系はホームの真ん中あたりに停車した。2両編成の新幹線なんて考えられないが、停車位置がそのあたりになるというのは当たっている。実際山陽新幹線(さんようしんかんせん)だってやっていることだ。

「100系がくるまで待ってようかなぁ。ナガシィだいたい隣に9号車が来るように止まってよ。」

「分かってるよ・・・。」

僕はそう言ったけど、これが難しいのだ。本物と違って加減がうまくいかない。

停車場接近(ていしゃじょうせっきん)新永島(しんながしま)、停車。下り本線。」

100系を止めることだけを考えた。結果、ほぼ正確に100系を止めることができた。

「ドヤ。」

「ドヤじゃないけどね・・・。」

 するとドアが開いた、

(ヤバ・・・。)

(えー。こんな時に来ちゃうの・・・。)

「しゅ・・・駿(しゅん)兄ちゃん。」

自然と声が引きつった。

「なんだ。今来ちゃいけないみたいな反応だなぁ。」

駿(しゅん)兄ちゃんはそう言うと中に入って新幹線ホームの中を覗き込んだ。

「何走らせとんじゃ。お前ら。」

「ひぃぃ。ごめんなさーい。」

「・・・。こんなことやってるなら俺も呼んでくれよ。」

(えっ・・・。)

今日の駿(しゅん)兄ちゃんは怒りをあらわにしているわけではなかった。


新幹線にあだ名をつけてみた。ここにない形式はあだ名を思いつけなかったためです。

100系=シャーク。シャークノーズといういわれ。

300系=エレファント。連結器カバーが開いた顔。

500系=カワセミ。先頭形状のモチーフ。

700系=カモノハシ。アヒルの口ばしそっくりの先頭形状。

200系=コピーキャット。鼻の長さは違うけど・・・。

400系=ミニ。初代ミニ新幹線。

E4系=デメキン。ヘッドライトの付き方。


間違ってないと思います。

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