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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:3
178/184

178列車 期間中

 12月5日。僕たちのほうもテスト期間に入る。階段を上がってくると僕たちの教室がある。ドアを開ける前から中に誰がいるのかぐらいは分かる。しかし、ロッカーに覆われている部分ではそういうわけにはいかない。誰がいるにしても分からないのだ。入ってみればいつもと同じメンツ。宿毛(すくも)永原(ながはら)だ。

「ああ。永島(ながしま)。おはよう。今日も遅いなぁ。」

「このごろこの時間だろ。」

ど駅を見てみた。遠江急行(こうきゅう)で来たときは7時25分ぐらいに教室に入るが、遠州鉄道(えんてつ)で来ると速くて7時35分ごろに教室に入る。時計を見てみたら7時40分だった。いつもからすれば遅いということになるかぁ。またドアが開いた。その方向に全員の視線が集中する。

永原(ながはら)早っ。」

そう言ってドアを開けたのはクラスの梓橋(あずさばし)だった。

「なんで。こういう時になると速く来るのさ。宿毛(すくも)君や永島(ながしま)君ならわかるけど。」

「なんだ。その言い方。まるで3人でいるところを楽しんでますって見たいに聞こえるけど。」

「別にそういう意味じゃ言ってないってば。」

(・・・そう以外聞こえないと思うけど。)

「ほんで、宿毛(すくも)これ教えてほしいんだけど。」

「それよりも永島(ながしま)君。理科演習どこが出るかわかる。」

「えーと・・・。」

「お前に分かるわけねぇだろ。昨日まで何やってたかっていうのは大体見当がつくけど・・・。」

「えっ。勉強したよねぇ。1位取れるんだし。」

永原(ながはら)は意外な顔をしている。中間テストの時は聞かれなかったけど。

「ううん。勉強してない。勉強したらパンクする。」

「だからウザいんだよなぁ。こいつ。」

宿毛(すくも)君も十分ウザいよ。永島(ながしま)とトップ争いしてるぐらいだし。」

「争いたくねぇなぁ・・・。宿毛(すくも)。今回は1位お願いします。」

「今回もだろ。本当にお前トップ取りたくないんだなぁ・・・。」

「・・・。」

「だって何かといやじゃん。四ツ谷(よつや)には「特進行け」とか言われたし、しまいには「静大行け」だったぞ。」

「行けばよかったじゃん。特進。」

「ヤダ。死んじゃう。」

「死んじゃえ。」

「で、話元に戻すけど、宿毛(すくも)英語Rの単語覚えた。」

「えっ。ああ。大体ね。後は間違いがないように練習するだけなんだけど、なかなか。同じようなのばっかで頭がパンクしそう状態。」

「えっ。それ困る。パンクしないで。」

「・・・。」

「おい。永島(ながしま)君。家で勉強じゃなきゃ何やってるの。」

梓橋(あずさばし)が聞いてきた。

「えっ。家で。昨日は家に離れがあって、その中にでっかいレイアウトあるから、そこで鉄道模型走らせてた。」

「えっ。そんなことやってて1位とれちゃうの。」

「ていうか俺勉強したことあんまりないし。ここの受験勉強だってほぼ何もしなかったし、専門の受験もほぼ何もしなかったかなぁ。」

「いや、でも永島(ながしま)君の頭があれば行けちゃうかぁ。」

「いやいやいや。俺応用とかそういうの全然だめだから。まぁ、受かったからいいんだけど、特待性じゃあボロボロ。そっちの方じゃ受からなかった。」

永島(ながしま)君でも特待生に入れない時点でそこの学校レベル高くない。」

永原(ながはら)が口を開いた。

「いや、学校がレベル高いんじゃなくて、こいつが勉強しなかったからだと思う。」

その答えは宿毛(すくも)が言った。

「そう。そういうこと。」

「まぁ、たんに天才ボケなだけだけど。」

(天才ボケ・・・。新たなる派生語・・・。)

 この後も人の集まりはよかった。テストだからという意味でだろう。それプラス他のクラスの人も中に入ってきたりする。なぜならそのクラスがバスケット部や野球部に占拠されていて、入るには入れないからである。そのために他のクラスに逃げ込んでくるのだ。そこで勉強したりする。

「おーい。宿毛(すくも)英語のプリント貸してくんない。」

「えっ。お前持ってないのか。」

「持ってないというか、忘れた。」

「持ってねぇと同じじゃねぇか。・・・まぁ、このプリントならもう完全に覚えたからこれならいいよ。」

宿毛(すくも)から英単語が書かれたプリントを受け取りお礼を言った。それを眺めているが、なかなか覚えられない。うーん、どうするかなぁ・・・。なんかいい方法はないものかと言っても自分にないから、こういうことしているのか。そう言われれば納得できる。単語を眺めながら、どう言ったっけみたいなことを考えながら、眺める。だが、頭に入ってこないのだ。こういう時はクラスメイトで覚えるのだ。

 クラスメイトで覚えるといってもクラスメイトになぞらえて覚えるわけではないのだ。中に僕のほうに話しかけてくる人がいる。その人に教えながら覚えるのだ。なぜか走らないけど、僕はこのほうが覚えやすいということが分かっている。ただ、その人はなかなか学校には来てくれない。僕たちが速すぎると言うところもあるかもしれないが、もう8時10分になっている。その頃にようやっと来た。来るなり僕に教えてといってくるので、その人のところに行って教え始める。これを8時30分直前まで続けて、朝礼。終わったら詰め。そして、あとは実力勝負だ。

 今日は2時間で実力勝負が終わる。終わると僕はさっさと教室から出た。これで一番早い遠州鉄道は10時54分。この列車は今日2004で運転されることを僕は知っている。こいつを逃せば、1時間08分2004は来ないのだ。逃すことができないから駅までは速足だ。助信(すけのぶ)のほうについたのは10時49分。ちょうど新浜松(しんはままつ)に向かっていく列車が僕の前を通り過ぎて行った。朝乗ってきた列車の前側1001だ。僕が乗って来たほうは1002。1000形の初期車同士の組み合わせだった。

 1001が走り去ると交差点の線路に対し直角の信号が青に変わる。渡って、改札を通る。ホームに上がって2004が来るのを待った。来た車両はシングルアームパンタグラフ。さっき1001が新浜松(しんはままつ)のほうに走って行ったから2000形であることは確定。そして、2004でもあることも確定だ。車番を確認。2104。違うじゃないかじゃないですよ。合っています。止まった2004に乗り込み、(もえ)が2000形に乗るときに座っている位置に座った。ブレーキが解除されて、2004は助信(すけのぶ)を発車する。僕たちが2000形に乗った時にここに座る目的はモーター音を聞くことだ。

 列車が西ヶ崎(にしがさき)までコマを進めてきた。僕の座っているところは僕以外誰も座っていない。手を窓の縁においてすごくくつろいだ状態。身体は進行方向に向けるように座り、外を見ていた。見ていた方向は進行方向右側だ。にしか先のホームはこっち側に来る。到着する直前にもなれば、僕の前は建物にさえぎられる。そしてホームに停車すると、隣に1005が止まっていた。方向幕は「試運転」。遠江急行(こうきゅう)も試運転をやっているが、昼ということはまずない。夜やっている。営業列車が少なくなった時にやっており、確か鹿島(かじま)発22時11分。折り返しで遠州浜松(えんしゅうはままつ)発22時51分だ。先行する列車とは11分差があって、後続の列車とは9分の差である(普通だけで考えた場合)。もちろんこれはほんの1例。これ以外の時間の試運転もあるが0時から朝5時20分の始発まで、動かす列車は事業車以外ない。

西ヶ崎(にしがさき)2番線かぁ・・・。もうこんなの見れないよなぁ・・・。)

携帯を取り出して、反対側にいる1005を写真に収めた。取ったころにドアが閉まり、発車していく。1005の西鹿島(にしかじま)の運転台のほうに運転手がいた。新人の訓練だろうか・・・。でも、なぜ今。1005は全般検査を受けて、結構時間がたっている。その試運転ではないことははっきりしている。

(あれで言ったら2004が小松(こまつ)に着いたところで、西ヶ崎(にしがさき)の出発信号が青になって、1005が発車(スタート)する。2004が浜北(はまきた)について、1005が小松(こまつ)につく。1005は小松(こまつ)浜北(はまきた)で入れ替える列車を待って、小松(こまつ)で入れ替えて、発車する。浜北(はまきた)美薗中央公園(みそのちゅうおうこうえん)通過(スルー)して、小林(こばやし)で2004が芝本(しばもと)と入れ替えたのと入れ替える。芝本(しばもと)通過(スルー)して、2004が西鹿島(にしかじま)から折り返してくるのを岩水寺で待って、西鹿島(にしかじま)に到着するかぁ・・・。)

その先の1005の運転ルートを考えた。単線だから簡単にそういうことが分かるのだ。さすがにJRですぐにこんな考えを広げるのは、今の僕では不可能である。

(もえ)にメールしてみよっと。)

僕はそう思ってメールを打った。文面は「1005の試運転が止まってたよ どこだと思う。」とだけメールした。メールをした後にはっとした。今(もえ)は授業中だ。送った後に思っても帰ってこないものは帰ってこない。どうしようもないから、そのままほっとくことにするか。

 午後。16時を過ぎてから(もえ)が離れに現れた。

「ナガシィ。授業中にメール送ってこないでよ。心臓止まるかと思ったじゃない。」

「ごめん、ごめん。俺も送ってから気が付いた。で、どこだと思う。」

答えを聞いてみたかった。

西ヶ崎(にしがさき)だろ。さぎの(みや)とも思ったけど、さぎの宮ってすぐ近くにベンチあるしね。」

さすが。3年間乗っているだけはある。

「しかし、珍しいなぁ。西ヶ崎(にしがさき)の2番線に列車が入ってるなんて。」

「鉄道ファンの方にも書いてあったんだけど、西ヶ崎(にしがさき)の2番線使ったのって「冬の蛍(フユホタ)」の塗装やってた1007が最後だと思うから、久しぶり。」

「でもないじゃない。試運転やるときに「確実に西ヶ崎(にしがさき)まで行ってるよねぇ」って言ったのはどこの誰だっけ。だから久しぶりってことはないんじゃない。」

「・・・。」

そんなことわかんないし・・・。そこの業界でなければ知らないことだ。恐らくそれを知るとなれば、僕が本当に暇をしていると気だろう。そう試運転が運転される時だけを狙っていく時以外ないだろう。そして、多分その時は来ないと思う。

 翌日。6時52分の乗る列車の車両を(もえ)と賭けた。昨日西ヶ崎(にしがさき)で1005が動いていたと言うことは1005が含まれている可能性は低い。そういう期待を込めて、2003ということにした。2003は昨日動いていなかった2000形の家。他に動いてなかったのは2002だった。結果的に来たものは1005。無性に腹が立った。

 学校でまたテスト勉強。今日も教えてほしいという人に教えながら、何とか乗り切る算段。今日は日本史、世界史、現代文。見事文系教科オンリーだ。日本史と世界史は人物以外はどうにでもなるとして、現代文だけだ。現代文は持っている問題集の答えを丸写しするだけでも結構点数が取れるということ。いつもそれで乗り切っている。

永島(ながしま)・・・。」

宿毛(すくも)が話しづらいという声で話しかけてきた。

「どうした。」

「今回の1位はお前だ。頑張れ。」

「ヤダ。」

これは勉強しても自信がないということか。まだ長浜(ながはま)がいるからいいやという感じて受けたテストは結構できた。


一度は落ち合いたいですね。「試運転」・「団体」。

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