174列車 邪道
授業が終わった時も雨。それも風まで吹いているから、瀬戸学に行くまでの間にびしょ濡れになるのは見えていた。僕はアド先生に迎えに来てもらうよう取り付けていた。そのため北門にいくとアド先生のウィッシュが止まっていた。
「アド先生。よろしくお願いします。」
乗り込むとそう言った。アド先生は乗り込んだことを確認してから車をスタートさせた。
15分後。瀬戸学院に到着。降りて、去年展示をやったところに行ってみる。
「永島先輩。こんにちは。」
朝熊と北石が揃って挨拶してきた。走っている車両のほうは313系2500番台と211系5000番台の普通。それと313系5000番台と300番台の新快速だった。
「さて、今日は遊ぶかぁ。」
「えっ。先輩遊ぶために来たんですか。」
「半分そうだろ。そういうことはお前も分かってるんじゃないのか。」
「永島先輩。今日1000番台(223系)持ってきてます。」
「あっ。今日は持ってきてない。その代りに今日は「サンダーバード」持ってきた。それと「スーパー雷鳥」も。」
僕は学校のカバンと提げてきた鞄を覘いた。中には681系+683系+681系で12両の「サンダーバード」とクモハ485形を含んだ7両+3両の「スーパー雷鳥」。レサ10000系の「とびうお」20両とその牽引EF66。あとはタキ1000系のタンク貨物と牽引のEF64の重連とEH200。キハ71形「ゆふいんの森」。787系「特急つばめ」。今日はいつものコキ100形の26両も223系1000番台の新快速12両も持ってきていない。
「あっ。今日は本当に持ってきてないや・・・。」
青海川はそうつぶやいた、
「あっ。永島先輩。僕あれ買いました。」
「あれ。」
僕は聞き返した。まず何のことだかわからない。朝熊は自分のカバンに手を突っ込みだしてきたのはちょっと前に限定発売したEF66の貨物更新車牽引のワム380000形34両のセットだった。まだこんなもの変えるところがあったんだなぁということに感心した。
「これ家にもあるぞ。」
「マジ。・・・言われてみれば永島先輩いっぱい模型持ってますもんねぇ。」
「今だから言うけど、家にある模型アドが持ってるのより多い。全部合わせて。」
「先輩。持ちすぎ。」
僕は荷物と自分の身体をモジュールの中に入れて、中の運用を見守ることにした。中に入ってまず車両のチェック。ここにあるのは253系「成田エクスプレス」、223系2000番台の新快速。211系0番台(首都圏の)など。他にもいろいろあるが、僕のものとかぶっているものがレサ10000系だった。
「永島さん。次何行っちゃいますか。」
「朝熊。お前のワム出して。それやろう。」
「了解です。ちょっと待ってくださいよ。」
朝熊はそう言ってワムの箱を開けた。中がどうなっているのかということは内にあるもので分かっている。この中にはブック型プラケースという車両が入った箱。このセットではワム380000形が34両。半分ぐらいに分けられて入っている。数えたことはないがきっかり半分で分けられてはいない。それとクリアケースに入ったEF66の貨物更新色機。この更新色はどことなくEF66のオリジナル色に似ていて、ファンの間では人気だそうだ。朝熊が並べている傍らで番号を確認した。
(EF66-30号機・・・。)
これが特別な意味を持っているわけではないが。そのあとに続くワムは全てアーノルドカプラーだった。これではいつ外れてもおかしくないだろうと思った。ワムを並べている間に柊木と隼がここに来た。
「うわっ。青いワムがいっぱい。朝熊よく並べたな・・・。」
「まだ全部じゃありません。これプラスあと10両ぐらいあります。」
「ねぇ、翼。少しサボってもよくない。」
「サボっちゃダメだろ。ちゃんと客来るように宣伝して来いよ。」
「こんな雨で客来るのかよ。大体今ここにいる人って大学の人ばっかだし。」
「・・・。そうだ。他のやつらはどうしてる。」
「えっ。潮ノ谷と汐留と己斐とあと新発田と大嵐だっけ。・・・5人で図書館のほうで展示やってます。ここにいない夢前と牟岐は僕たちみたいに中をまわってると思います。」
「へぇ。そうなのかぁ・・・。なぁ、ちょっと潮ノ谷のところまで行ってさぁ、そっちにEH500(金太郎)無いかって聞いてきてくれない。」
「えっ。走らせるんですか。」
「あるかないかだけ聞いてきてくれればいいよ。1300tは明日やるから。」
「て僕たちはパシリですか。」
「そうだ。行け。」
「・・・。隼。行くか。」
「翼だけ行ってくれば。」
柊木は隼の手をつかんで強引に部屋の外まで引っ張っていった。そして、ワム34両が走り出した。だが、すぐにワムとワムの間で連結が切れるということを連発した。2軸でこれというのはやはり連結が悪いのだろう。外線のほうはさっきから変わっていないから何かに置き換えなければならない。こっちは学校のE231系(東海道線)に置き換えた。しかし、その間もワムは連結を切ることを連発。もうほかにしたほうがいいんじゃないかと言って学校の201系中央特快(中央線)に置き換えた。それをしたら、もう東京でやっちゃってもいいんじゃないかというノリになった。結果的に次の内回りはE231系(総武線)、外は211系0番台。次の内はE233系(京浜東北線)、外はE231系500番台(山手線)となった。
「さて、そろそろ別なところ行くかぁ。」
「別なところ・・・。やっぱりここは「チャンダーバード」で北陸でしょう。永島さん。」
「・・・「チャンダーバード」って。なんか美化したぞ。」
「善知鳥先輩がそう言ってました。」
(あの人まだそんなこと言ってるんだ・・・。てことは「はくたか」は「パクチャカ」・・・。)
「いや、でもここは北陸につながるようにしたほうがいいだろ。というわけで一度中央線に行ってタキと「あずさ」か「スーパーあずさ」か「しなの」を走らせる。その次に「しらさぎ」と「雷鳥」やって、「サンダーバード」と貨物で完璧さぁ。」
「あっ。じゃあそれでお願いします。」
僕はすぐにEF64の重連を置いた。そしてその次位はタキ1000系20両。外は今ここにある「しなの」が走ることになった。E257系「あずさ」もここにあったけど、走んないのか。それの次は内外の順に「しらさぎ」の683系2000番台5両。持ってきた「スーパー雷鳥」10両。持ってきた「サンダーバード」12両。EF81の初期車更新色のコキ50000形20両。やっている間にお昼になった。
「永島さん。お昼食べに行きませんか。」
「あっ。俺はいいよ。青海川たちで食べちゃっていいから。」
「さっきのアド先生のたこ焼きの差し入れもですか。」
「たこ焼きはもうさっき全部食ったから。」
「えっ。・・・。永島さん、何一人で全部食べちゃってるんですか。」
「青海川。ちゃんと半分あすこに残ってるから。早く食べちゃったほうがいいぞ。」
「あーもうビックリさせないでくださいよ。本当に僕のお昼ないかと思ったじゃないですか。」
(おっ。たこ焼きお昼なんだ。それも4個。)
「とう。私は帰って来たーっ。と永島さんこんにちは。」
と言って夢前が部屋に入って来た。牟岐も一緒だ。夢前は制帽をかぶっていた。かぶせたのは大体誰だか見当がつく。善知鳥先輩しかいない。夢前も展示に加わって、またしばらくたつと膳所さんたちがやってきた。
「やってるなぁ。」
膳所さんはそうつぶやくと列車の編成に目を通した。
「大丈夫みたいだなぁ。変な編成とかやってなくてよかったよ。」
「変な編成。」
「ああ。図書館にいたやつらだけど、オハ31とかまぁいろいろつなげて51両やってた。」
(あいつらバカだ。)
「ていうか膳所さんここに来ていいんですか。」
「大丈夫だよそれぐらい。3年生は俺だけじゃないし、青木たちだっている。」
「・・・よしそれならこっちも邪道やるかぁ。」
「永島君。邪道やるのはいいけど、あんまり邪道すぎるなよ。ものすごい邪道はこっちが楽しんでるようにしか見えないぞ。」
「大丈夫ですよ。邪道は邪道でも貨物で邪道ですから。問題ありません。」
「なんだ、貨物かぁ。貨物だったら「トラ」、「ワム」、「チキ」、「ワラ」、「ワフ」、「トキ」、「ワキ」。いろいろありだからなぁ。」
膳所さんの言ったか車すべてを説明するわけにもいかないけど・・・。よく出てくる「ワム」は屋根のある貨車。「トラ」・「トキ」は屋根のない無蓋貨車。そんな感じだ。まぁ、今から僕がやろうとしていたのは「とびうお」だから、膳所さんが挙げた貨車は全く含まれていないわけだが。
「永島さん。ちょっとそれやめてくださいよ。」
夢前が文句を言った。半分はこいつのおかげで走らせられないというのがある。
「吐き気がします。」
「そういうこと言わない。空河に聞いてみ。こういうことは吐き気がすることじゃなくて、「いいことだ」で認めることだっていうぞ。」
「それあの人だから言うことですよ。」
「永島先輩。こいつの口封じたいなら僕が封じますけど。」
北石がそう言った。
「そこまでしなくていいなぁ。うーんそうだな。磔にでもしといて。」
「分かりました。分かりました。」
夢前が折れたからレサを線路上に並べる。よく駿兄ちゃんがやることは最初14両並べて、それから6両たすという方式。一気だが、だんだん貨車が増える貨物列車というものをやる。でも、面倒だから、最初から20両並べで走らせるというのが落ちだ。
「レサ。準備完了ですか。」
「おお。行っちゃって。」
そう言って北石にスタートさせた。
午後になると風と雨はさらに増した。北石たちと話して、台風並みということをよく言った。本当に台風のような風が外では吹き荒れている。この時期にこんな風が吹くこと自体異常だろう。
「こんな中帰りたくないですねぇ。」
「これで帰りたいっていう人がいたらその人はある意味の神だよ。」
この中で萌は大阪に行っている。そろそろ部屋を決めたころだとは思うが、いったいどこに決まったのか。萌から言ってくるまで僕からは聞かないことにした。いや、そうしなくても僕のほうから聞くということはしない。
その後を風は収まることを知らず。帰る時まで吹き荒れた。この翌日はウソのように晴れると言っているから、そっちのほうが驚きである。翌日も展示だ。
タイトルをつけるのに困った・・・。
サブタイトルつけなかったら○列車だけになって格好悪いからなぁ・・・。