17列車 中間テスト
5月9日。歓迎旅行が終わって最初の部活。ゴールデンウィークの時浜松では盛大なお祭りがあるため、ほとんどの浜松市民はそっちへ貸し出される。浜松祭りとして有名である。凧上げや屋台の引きまわしなどなど。いろんなことをやっている。
今日の活動は文化祭に展示するモジュールというものの製作である。モジュールとは小さなレイアウトをたくさん繋げて一つの大きなレイアウトにするためのパーツのことを言う。それを作っているのだ。僕達が作っているモジュールは中に留置線を設けた駅の様な風景のもの。まあ近くに駅はないためただの引き込み線と言った方がいい。それを作っているのだが、あれからほとんど進んでいない。
それから少し日がたってテスト期間になる。この時はどうしてもモジュールの進行はストップしてしまう。それよりも少し心配がある。
「永島。今回のテスト勝負しようぜ。」
友達の宿毛に誘われる。
「おう、いいよ。今回は絶対負けないからな。」
「よく言うよ。でも、今回はいい勝負になるだろうな。英語に至れば中学の復習だもんな。」
「ハハハ。で、ソッコウで悪いんだけど、数学教えて。」
「おい、数学こそ俺が教えてほしいわ。」
「まぁ、そういわずに。」
「はいはい。そうしないと勝負になんないもんな。特にお前の場合は。」
宿毛から数学、国語、英語、現代社会、生物。いろいろ教えてもらってテストで勝負する。45分後。テストが始まり50分のガチンコ勝負がスタートする。それを3時間。次の日に2時間。終わったらどうなるかというのは想像に任せよう。
テストが終了しテストが返却される。
「永島何点だった。」
宿毛に聞かれてテスト用紙を見せる。
「マジかよ。この点数チートだぞ。」
「宿毛は何点。」
「これ。でも永島の点数にはとどかないな。その点数取られると。他ので挽回しなくちゃいけないじゃないか。」
「大丈夫。俺も国語が足引っ張るから。」
「その割にはいつも勝ってるじゃないか。」
「永島。何点だった。」
佐久間が聞いてきた。
「まあまあだったよ。」
(こいつ。頭いいってこと知られたくないのかよ。)
数日後。テストの合計と平均点、クラス順位が出る。
「やっぱりこういう結果かぁ。今回もまいりました。」
「いい加減にしてくれよな。俺こういうの好きじゃないんだよなぁ。」
「順位だけはお前嫌いだな。俺が頑張ってるときにお前が手を抜いてくれればいいのに。」
「それじゃ勝負にならないだろ。」
「お前なら勉強しなくても大丈夫だって。」
「さすがに勉強はしないと無理。1時間くらい。」
「今回1時間も勉強してないよな。」
一方他のクラスでは、
「今回のテスト、5組の人が学年トップなんだって。」
「蘭それどこから。」
「興津先生の話をちょっと聞いちゃったから。名前までは聞きとれなかったんだけどね。でも、そんなに珍しい名前じゃなかったと思う。珍しいやつだったら覚えてるし。」
(5組って。もしかしてあいつかな・・・。いやいや。バカっぽいし、ないよな。)
「心当たりとかってあるの。」
「いや別に。」
「だよねぇ。」
友達の室蘭にはこういったが、やっぱり気になった。
「だから聞いたんだけど。誰だかわからない。」
「何。どういうこと。」
「うちの担任の興津さんの話だと5組の生徒が学年トップ亭ことらしいんだけど。誰か心当たりないかなぁって思って。」
「永島。宿毛君だよねぇ。学年トップって。」
「ああ、そうじゃない。宿毛頭いいし。」
だが箕島はこう思っていた。
(学年トップってこいつだぞ。木ノ本さんこいつが同じバカ友とかって思ってるのか。そして、同じクラスの佐久間はこの事実知らないんだ。)
「じゃあ、宿毛君っていう子が今回の学年トップなんだ。」
「ああ。多分ね。」
ふと、このとき室蘭が言った言葉が再生される。
(珍しい名前・・・。宿毛ってふつうに聞くような名前じゃないか。じゃあ、鈴木とかっていう名前だよねぇ。だったら覚えてないのも裏付けるけど・・・。)
だが、そう思っただけで声にはしなかった。
「ていうか。今日からだよねぇ。部活。」
「ああ、そうだな。」
「あー、これでまた文化祭まで休めなくなる。もうちょっと家でゴロゴロしてたいのになぁ。」
「ゴロゴロって。永島の場合それ毎日やってるだろ。」
「ゴロゴロしてるから休めるんじゃないか。あー、家で遊びてぇ。」
「永島の場合はもう遊ばなくてもいいだろ。普段から遊んでるようなもんなんだから。」
「ダメ。普段から遊んでるけど、遊び足りない。」
(いつまでこんな子供みたいなこと言ってるんだよ・・・。)
そのあと永島にどう話しかけていいのか。その言葉を失った。
6限目終了。これからホームルームをやって、掃除。今週は掃除担当ではないため、長いホームルームが終了したら、部室に即行で向かった。
「宿毛。永島とテスト勝負してたみたいだけどどうだった。」
「あ。ああ、それなら、永島の勝ちだよ。俺は今回も負けた。」
(えっ。)
その会話を聞いて目が点になった。
(永島。あのとき学年トップは多分宿毛だって言ってたよなぁ。まさか、そういうの知っててああいう風に言ったのか。知られたくないのかよ。いずればれることなのに。)
「あいつ生物で満点取りやがったからなぁ。俺も90点台は叩き出したんだけどシクッチまってな。それがあっちの決勝点って感じなんだけどなぁ。」
「ところで、お前合計何点取ったんだよ。」
「えっ。俺が474点で、永島が475点だったけど。」
「はっ。おめぇら最強じゃん。」
「まぁ、今回は内容が中学からの布石で簡単だったていうところもあるけどな。」
「お前らその学力でなんでここに来たんだよ。」
「永島は鉄研やりたいから。俺は併願校落ちたから。」
「マジかよ。俺あんなバカっぽい奴に負けたのかよ。」
「気落とすなって。俺もこの頃勝ててねぇんだよ。」
「宿毛に勝てないってもう無理じゃん。俺勝ってこないじゃん。」
「あきらめんなって。俺もいつかは抜いてやろうって思ってんだ。あいつ1番嫌いだから。そうしてやれば、永島のほうは満足してくれるんだけどね。」
「だったそれだけ。」
「だって。そうしなきゃ永島がうるさいんだよ。」
「永島ってホントよくわかんねぇな。」
「・・・。」
その話を耳で受けながら、掃除を終わらせると家に帰った。
こういう人いたらウザいですね。
またこれって案外敬遠されがちなんでしょうか。
登場人物のほとんどが鉄道に興味があること以外はふつうだと思いますが・・・。やっぱりその知識量が掘り込みすぎてますかねぇ・・・。
話は変わりますが、感想は受け付けておりますので・・・。感想がありましたらどうぞお書きください。そうしていただけると嬉しいです。