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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:3
165/184

165列車 一週間

 10月10日は体育の日で休日。次の10月11日は別に変ったことはなかった。10月12日。乗った列車の中にある張り紙を見た。張り紙という言い方はおかしい。あるポスターを見た。僕は2学期が始まってからのこと遠州鉄道のほうで通学をしている。受験のことも絡んでいたし、(もえ)から一緒に途中までと言われていたのだ。もちろん途中までというのは列車を降りてからのことだ。

「よくできてたのは見ればわかるけどさぁ。もうそういうところまで進んでるのか。」

「だって架線はもう張ってあるし、あとは線路つなげるだけじゃない。だったら明日っていうか今日の夜に線路つけ変えちゃうってこともしちゃうでしょ。」

「そうかもしれないけどさぁ・・・。」

僕は後ろにある高架橋を見た。確かに。架線はもうすでに張ってあるし、あとは線路を本線とつなげるだけになっている。夏休みのころから高架橋はできはじめていた。そして9月末から架線が小林(こばやし)のほうから張られ始めた。そして、芝本(しばもと)のほうまで張られた。今は高架線用の架線が今使用している架線と一緒に擦り減らないように少し高い位置に張られている。芝本(しばもと)小林(こばやし)の間は電車で2分ほどしかかからない。

「大体この限定切符売り出すってくらいだし・・・。ていうかそんなことにウソついてどうするのさ。」

「そうだよなぁ・・・。じゃあ開通は明日か。」

「そうじゃないの。高架橋はいつ通ってもいい状況になってるのは確かだし。」

「今日運用変わるかなぁ。」

「さぁ。でも私は変わると思う。だって4連月曜でやるとか用は必ずこの10レの組み合わせで来るから。前は変わってるってことは考えられるけど、後ろが変わる確率は低い。」

「いや、そうじゃなくて、今日ふつうに日中の運用が変わるってこと。」

「あっ。考えられるかも。」

「でしょ。だから、上島(かみじま)で入れ替えたのが2004でもぬか喜びパターンだと思う。」

「ぬか喜びかぁ。私は何度それに騙されたことか・・・。まぁ、どうでもいいや。上島(かみじま)は1004に私は賭けるけど。」

「・・・。じゃあ上島(かみじま)1006に賭ける。それと浜北(はまきた)は2001に賭ける。」

「私は浜北(はまきた)2002に賭けとくね。」

「・・・。あれ。昨日の(15時)54分って変わったのか。」

「うん。変わったよ。1005から2002に。」

(騙された・・・。まぁ、いいかぁ。昨日2004だったし。)

「じゃあ、浜北(はまきた)は負けた。問題はその先。」

電車に揺られながら、乗っていったが上島(かみじま)で入れ替えたのは(もえ)の言う通り1004だった。その先八幡で入れ替えたのは西鹿島(にしかじま)側に2003で新浜松(しんはままつ)側は1001というある意味最悪のパターンで終わった。僕たちが乗ってきたのは1006。先頭に立っていたのは1005。このままだと帰りも1000形ということになる。気にしない人がこういうときは羨ましい。

「今日は変わってほしいって思っとくかぁ。」

「ナガシィ前54分のあれ。少ないけど30系に変わるって言ったことあったよねぇ。あれ確か水曜日だけってパターンが多かったと思った。でもよく分かんないからね。」

「・・・。」

「今日は私は走っても同じってことがよく分かったよ。無線聞いてたけどさぁ、14レはいつもと同じ51と25で、16レは1002と2001だから。」

「お前なぁ・・・。」

「だって聞こえてくるんだからしょうがないじゃん。」

「・・・。まぁ、そうなってるなら仕方ないなぁ。むだかもしれないけど、変わることに期待するかぁ。」

僕たちはバイパスのところまで歩いてきた。ここでバイパスを横断。そのあと(もえ)と別れる。

「ナガシィ。私あの限定切符買ってこようと思ってるんだけどさぁ。ナガシィの分も買ってきてあげる。」

「・・・。いいよ。別に限定って・・・。」

「・・・。分かったよ。」

信号が青になる。地下道が整備されているけど、大概の人は地下道には見向きもしないでバイパスを渡って行く。僕たちだってその中のうちだ。バイパスは朝のラッシュともあって車しかいない。いろんな色の数珠が町のほうに向かって並んでいる。こんな中はいくら車でなきゃいけないと言われても車で行きたくない。それだけで気が散る。バイパスを渡りきると、

「じゃ。」

「うん。」

お互い軽いというか・・・。そんな感じ挨拶して、僕は学校に行った。

 放課後。僕は助信(すけのぶ)まで歩いてきた。もし(15時)54分が30系の家の何かに変わるなら向こうに行く列車がなんなのか確認しておく必要がある。もしあっちに行ったのが1001なら、諦めて1004で帰るだけである。少し早足で朝のバイパスまで出てきた。もうそこには(もえ)がいて、合流した。バイパスの信号と信号のない交差点。その次の南北にのびるほうの信号が長い交差点。そして信号がない交差点を3つ越えると遮断機が下りるのが見えた。ここに来るとどんな車両なのかはふつうに分かる。特徴がなくても目で見るだけだからわかる。耳でもわかるくらいの位置だ。

「ゴォォォォォォォォォォォォ・・・ゴォォォォォォォォォォォォ・・・。」

「案の定だったな。」

「案の定過ぎて言葉が出ないよ・・・。」

2000形や1000形と違って天井は丸みを帯びている。先頭も同じように角は角張っておらず、丸い。そして、フロントガラスは横から見える位置まで回っていないし、何と言ってもモーター音が裏付けてくれた。僕たちは(15時)42分の列車1004を見送り、次の30系を待った。30系が来るとその車番を確認。西鹿島(にしかじま)側の車両は87だった。この車両は2枚扉でそれも片側にしかドアが開かない。そして、運転台のほうは左側にしかなく、右側はただ入れなくなっているだけだ。

「これに乗るときは必ず避難ね。うるさくてたまんないから。」

(もえ)が僕に耳打ちした。そのうるささは僕だって知っている。

 芝本(しばもと)のところまで戻ってきたが、高架橋のところもつながるところも変わったことはない。本当にこれで今日の家に高架橋のほうに線路が付け変わるのだろうか。

「元の本線から仮線に変わった時も突然変わったからなぁ。ふつうに変わるんじゃない。」

「変わるとは思うけどさぁ・・・・。」

「けど何。」

(なんでもないっていうか。何言おうとしたんだ。俺。)

「まさか、何言おうとしたかわからないわけ。天然よりもひどいよ。それ。」

「・・・。まぁ、本当だからしょうがねぇ・・・。ていうか笹子(ささご)の合否だけどさぁ、あれって遅くとも20日ぐらいには結果が届くって言ってたよなぁ。」

「今、そんな話しないでよ。どうせ落ちてるって思ってるんでしょ。」

「分かってんじゃん。」

電車から降りて、ホームからダッシュで自転車置き場のほうに行く。そして、二人である位置で立ち止まって、27号が走り去るのを待つ。(もえ)はその時カメラ機能を使っていたみたいで、27号の写真を収めていた。

 翌日。10月13日。

「今日だったな。変わる予定。」

「そうだね。」

(もえ)と僕はそう言ってくる列車を待った。昨日動いた2000形は2003一本。残りは全部車庫に行ったと思うから、連結されている可能性だけは高い。その列車が来た。先頭は1005で変わっていなかったが後ろは2004だった。

「これで最初通るのね。」

(もえ)はそう言って僕に続いて乗り込んだ。すぐにドアが閉まって列車は発車する。そして、ポイントを越えて・・・。ここから仮線を走って行けば、近くに畑が広がっていくのだが、そうならなかった。当然と言えば当然なのだが、やはり少しは心の準備が必要だ。普段近くを通り過ぎる畑は下のほうに追いやられていった。そして、昨日まで走っていた仮線が下に見えるようになっていくのだ。

(高架橋かぁ・・・。)

結構高くなったと思う頃目の前の視界が白いコンクリートに変わった。ここで下を通る予定のバイパスが下をくぐるという構想になっている。その景色が終わると本線は緩やかに曲がり始める。隣にある道路の関係を言うのもあるだろう。ここにくるまでの間にスピードは61km/h(キロ)になっている。この先高架は隣に走っている道が分かれるところまで下り続ける。そのおかげで列車のスピードはさらに上がっていく。70km/h(キロ)を越えるころに僕たちは前に押されるようになった。電流計を見てみれば、メーターが少しだけ上がっているのが分かった。ブレーキをかけているのだ。下りきる直前にブレーキを解除。後はこのままブレーキをかけるまで惰性で走るだけである。

「あのまんまブレーキかけずに突っ込んでくれればいいのにね。」

「ブレーキかけずにかぁ。いいねぇ。」

「私昨日言ったけど、限定切符買ってくるから、助信(すけのぶ)じゃ降りないからね。」

「分かったよ。」

僕が助信(すけのぶ)に下りるまでの間結局電車の話。助信(すけのぶ)で僕が下りてからは降りて行くナガシィを見送って、八幡(はちまん)で入れ替えた車両を確認。そして新浜松(しんはままつ)まで来た。ここまで来るのは久しぶりだ。ものすごく改札が混んでいる。その改札をぬけて、降りると窓口のほうに向かった。

「あの。すみません。芝本(しばもと)小林(こばやし)の高架開通記念の切符買いたいんですが。」

「はい。少々お待ちください。」

窓口の女性の人が応対してくれた。

「1枚ですか。」

「2枚お願いします。」

「かしこまりました。2枚で1200円です。」

切符が出てきた。左上にナンバーが振られている。それは001と002となっていた。どうやら自分が一番乗りだったらしい。だが、1200円という金額は痛かった。財布が一気に痩せてしまった。

 放課後。

「ナガシィ。ちょっと待って。」

(もえ)はそう言って自分の制服のポケットに手を突っ込んだ。何を出してくるのか。

「はい。これ。ナガシィに上げる。」

「えっ。これってあの限定切符じゃん。お前の分は買ったの。」

(もえ)は右手を差し出して、

「600円。」

と言った。僕がその切符を見つめて黙っていると、

「600円。ねぇ。買ってきたんだから。早く600円。」

「・・・。600円・・・。あったかなぁ・・・。」

財布のほうを見てみた。確かに600円以上ある。だが、600円はなかった。小銭はあっても500円玉はこの中にないし、100円玉のほうは数が足りない。

「ああ。(もえ)。今日家来る。」

「えっ。」

「そこで600円は払うで。・・・。あっ。これサンキュー。」

(本当はほしいんじゃん・・・。クスッ。)

(もえ)と一緒に家まで帰って、僕は貯金箱の中にたくさんある貯金の中から、100円玉を一つ取り出し、財布の中の100円玉としめて600円萌(もえ)に渡した。そのあと(もえ)と二人で離れにこもった。時間は短かったけど、ふつうに学校がある平日にこういうことをやったのは久しぶりだ。

 10月14日。今日結果が学校のほうから贈られる。僕たちのところに届くのは早くて明日。僕たちはその時に結果を知ることになる。

 10月15日。この頃の土曜日は休みがないのかということは置いといて、今日も学校。土曜日にある学校がもうすでにいらないと思っているのは今からではないが、欠席日数を増やさないためだ。と言っても欠席したことは高校に入ってないが・・・。

「ナガシィ。結果とどいた。」

午後。早い時に(もえ)は僕のところに来た。

「まだだけど。」

「そりゃまだに決まってるじゃん。私が持ってきたんだもん。郵便受けに入ってたの。」

「えっ。入ってたの。」

(もえ)から水色の封筒を受け取る。

「はさみ貸して。」

(もえ)がまず水色の封筒の封を切る。続いて僕が水色の封筒の封を切る。そして、中に手を突っ込みほんのちょっとだけ漢字が見えた。「選考・・・。」これだ。

「ナガシィ。見つけた。」

(もえ)はその時にはこの紙を見つけていたようだ。

「じゃあ、「イッセイの」でこれ見ようぜ。」

僕がそう言う。そして、

「イッセイの。」

お互い声を上げて、中の文字を見た。


この頃の文字数を見て、よくここまで書いたなと自分で感心します。

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