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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:3
157/184

157列車 遅れて

 乗車している間に何度か「しなの」に抜かれたりすれ違ったりし、2回ほど下り列車とも遭遇した。また中津川(なかつがわ)停車直前には長野(ながの)に石油を運んでいく貨物列車とも遭遇。空河(そらかわ)が言うにはEF65だそうだが、すぐにEF64だと訂正した。ちなみに両者には中央本線(ちゅうおうほんせん)の様な山岳路線用か東海道本線(とうかいどうほんせん)の様な平坦路線用という違いと外観の違いが存在する。

 16時48分。14時30分から乗ってきた普通列車がようやっと終点に到着する。これの隣には名古屋(なごや)まで行く快速列車が既に停車している。階段を上って隣のホームに渡る。

「なんで中津川(なかつがわ)から「セントラルライナー」使わないんでしょうか。」

「そりゃあ、「セントラル(ゼニトラレル)ライナー」だからだよ。」

そう青海川(おうみがわ)に言ってやると、空河(そらかわ)がさらに訂正した。

永島(ながしま)さんそれ違う。「セントラル(ゼニボッタクリ)ライナー」だから使わないんだよ。あれに乗ったら310円も銭にぼったくられるじゃん。」

階段を下りると前にあったのは211系だった。まずは211系に乗り込む。席はまだ空席にどこにでも座れる。アド先生はドア近くの席に足早に腰をかけた。だが僕には・・・。

永島(ながしま)さん。211系(ニイイチイチ)嫌だから313系(サンイチサン)のほう行きません。」

空河(そらかわ)が誘った。まいっかと思って空河(そらかわ)朝風(あさかぜ)の後について行った。

 2両車両を通り抜けると313系に変わった。そこからさらに2両車両を通り抜けて2号車のちょうど4人掛けで空いていたシートに荷物を置いた。

「よし、とりあえずこれで金山(かなやま)までは楽できるな。」

「そうですね。」

ふと後ろを見ると大嵐(おおぞれ)が前に歩いてきた。また先頭に見に行くのだろう。

大嵐(おおぞれ)、さっきの電車の中でもずっと前にいましたからね。あれに呼ばれた時以外。」

空河(そらかわ)が耳打ちした。ずっと立っていたということは2時間18分以上立ったまま。足も相当こたえているだろう。

大嵐(おおぞれ)快速(こんなか)でそれはやめとけ。」

「いいじゃないですか。どこに行こうが、僕の勝手です。」

「いや、いいから座れ。疲れてるだろ。」

素直に聞くとは思っていなかったが、案の定だった。なんとか大嵐(おおぞれ)を座らせて、自分も腰を下ろした。

 16時57分。快速列車はカクンと2回揺れて中津川(なかつがわ)を発車した。全員で外の風景に見入っていると、ダブルパンタの2両が4編成連結された313系とすれ違った。その時には下り線と上り線は少し離れた位置を走っていたため、床下機器がグレーで汚れていないこと、パンタグラフも金属そのものという感じでとてもきれいだったのを確認した。

「何今のキモイ編成。」

「新車でも中央線にあんなにいりませんよねぇ。」

「ああ、今の状態で十分まわってるからあんなに入らないと思うけど・・・、予備車かな。」

「予備でもあんなにいりませんよ。予備編成も1・2編成あればいいんですから。」

「だよなぁ。謎が多すぎるやつだな。」

(今のは留萌(るもい)己斐(こい)も見たはずだ。後でどんなんか聞いてみるかな。)

 またときにはこんなことも、

「次は武並(たかつか)武並(たかつか)です。」

この読み方。おかしいと思う人は普通の人です。

「今「たかつか」っていいましたよねぇ。」

そんなはずはないと思ってドア上の電光掲示板に目を向ける。ローマ字表記になると今の駅が何と読むのか分かった。

「「たけなみ」だってよ。」

「今思いっきり「たかつか」って聞こえましたよ。この車掌の滑舌(かつぜつ)はゴミですね。」

「本当だな。」

 その次のかまどでは、列車の通過待ちのため5分ほど停車。その間を利用して、空河(そらかわ)大嵐(おおぞれ)がホームに出た。僕もそれにつきそってホームに出る。

空河(そらかわ)さん、信号青になりましたよ。」

近くにあった車掌が確認するホーム上の出発信号機の「下本」と書かれた方が点灯する。313系に隠れていた信号機も青に点灯する。

永島(ながしま)さん。「しなの」ここ通ってむこうに行くんですか。」

空河(そらかわ)が313系が停まっているのとは反対側のホームを指差した。

「多分そうじゃないの。」

数分後。中津川(なかつがわ)方面の踏切が鳴りだす。しばらくすると駅舎の壁が黄色っぽく照らし出された。

「えっ、そっち。」

こう言った時にはもう遅い。「しなの」は僕達が乗ってきた313系の向こう側を通過していった。

「じゃあ、こっちの進行なんだよ。」

文句を言って313系の車内に戻った。出発しようとするころには下りの進行の意味も分かった。211系を先頭に313系の快速が隣ホームに入線してきた。

「うわぁ。こいつのための進行かよ。」

「すごく期待を裏切ってくれましたね。」

入れ替わりに僕達の快速が発車。その後は瑞浪ではまた車掌の滑舌が悪く「みっかび」と聞こえたり、多治見(たじみ)でEF66の牽引する貨物列車が停車していたり、石油を運ぶ貨物列車とすれ違ったりした。車内は千種(ちくさ)あたりになるまでに70%くらいまで混み、金山(かなやま)に到着する時も同じくらいの乗車率だった。金山(かなやま)で快速の4号車から降車して、211系に乗車していた組と合流。東海道本線(とうかいどうほんせん)の乗り場まで行く。

 ここ金山(かなやま)から乗る列車は18時23分発の新快速(しんかいそく)豊橋(とよはし)行き。電光掲示板に6両という表示があったため、すぐに座れないと思った。名古屋(なごや)を通り抜けた後の特別快速(とくべつかいそく)新快速(しんかいそく)には必ずと言っていいほど座ることはできないのだ。

 18時23分。同時刻金山(かなやま)発の特別快速(とくべつかいそく)大垣(おおがき)行きが隣ホームに来ても、それが発車していっても新快速(しんかいそく)豊橋(とよはし)行きはやってこなかった。時計に目をやり続けて2分後。ようやっと新快速(しんかいそく)がホームに滑り込む。思っていた通り中にはたくさんの人。ドア付近に群がっているため余計混んでいるように見える。そんな車内に押し込まれるようにして、新快速(しんかいそく)に乗り込む。金山(かなやま)を発車して次の停車駅は大府(おおぶ)大府(おおぶ)になると少しばかり車内に余裕ができた。

「あっ、そうだ己斐(こい)。さっき快速に乗ってるときにダブパンの313が4編成連結されてる奴見たんだけど。」

「それだったら、あんな時間に中津川(なかつがわ)に行く列車は設定されてません。おそらく新車の配置か、配給の回送だと思います。でも、あすこまできれいで転属とかは考えづらいですね。」

「ああ、そうなの。」

またしばらくすると、下り列車とすれ違った。だんだん暗くなってきている。もう対向列車の判別は通り過ぎる前に確認するか、通り過ぎた後にじっくりと観察していうしかない。今の列車は顔を確認することはできなかった。だから走り去っていくところを観察しなければならない。

313系(サンイチサン)だ。」

空河(そらかわ)がつぶやく。だが、僕にはどうしてもあれは・・・。

「いや、311系(サンイチイチ)だろ。」

311系(サンイチイチ)じゃないですよ。今のはどこをどう考えてもツルペタじゃなかった。」

「あれ313系(サンイチサン)か。あれはどこをどう考えてもツルペタの311系(サンイチイチ)だろ。」

「いや、あれはツルペタじゃない。313系(サンイチサン)に決まりでしょ。」

「いや、ツルペタで311系(サンイチイチ)だ。」

言いあっていると留萌(るもい)が話しに入ってきた。

「そう言うことは私に聞きなさいよね。」

「じゃあ、留萌(るもい)。お前の観察結果はどっちなんだよ。」

「ゴメン。今のはみてなかった。」

「おい。」

この後も何度か列車とすれ違った。そのたびにしている会話を中断して、電車に見入った。

 19時15分。今回はだれ一人欠けることなく豊橋(とよはし)に到着。6番線に到着した、新快速(しんかいそく)を降りて8番線に向かう。ふと電光掲示板に目を向けると、次の6番線からの発車は特別快速(とくべつかいそく)関ヶ原(せきがはら)行き。ちょうど乗ってきた313系がその折り返しであるが、特別快速(とくべつかいそく)関ヶ原(せきがはら)行きとは見たことがない。その珍しさを言いながら、8番線に向かった。

 8番線に行ってもまだ誰もいない。少し待っている間に特別快速(とくべつかいそく)関ヶ原(せきがはら)行きになった313系が発車していった。

「次に来る車両、何がいいですかね。」

まず青海川(おうみがわ)がふった。

「高い確率で311系(サンイチイチ)だな。」

「いや、少ない確率のほうで313系(サンイチサン)がいいです。」

(はやぶさ)はあくまでもVVVF(ブイブイブイエフ)を聞きたいからだろう。確かに。311系はVVVFではなく界磁チョッパ制御という制御方式である。VVVFとは違うのだ。

「でもここは311系でしょ。(しめ)は311系って決まってるからな。」

「どんな決まりですか。それ。」

 結果来た車両は311系だった。降りる人を待って311系に乗り込む。ここまで来ると本当に戻ってきたという感じがする。

 19時29分。この列車の発車時刻になった。しかし、発車しない。発車したのは4分遅れの19時33分だった。

 その後は4人掛けのクロスシートに乗り合わせた潮ノ谷(しおのや)夢前(ゆめさき)大嵐(おおぞれ)と話をしながら、もしくは今は目に入れてはいけない路線の見るように仕向けたりしながら、浜松駅に到着した。

改札を出ると、アド先生がみんなを集めてこう言った。

「ええ、それでは「18切符」を回収します。ええ、ここで永島(ながしま)(くん)木ノ本君(きのもとくん)留萌(るもい)(くん)は「18切符」を回収しないんですね。」

自分に言い聞かせているようではあるが・・・。その言葉を聞いて、部員がアド先生の方向に動く。僕たちオープンキャンパス参加組と思われる人たち以外が「18切符」を返し終わると・・・、

「あれ、数が足んないけど・・・。」

なんかそのようなことが起きそうだったのだが・・・。本当になるとは。数を確認して、も数が合わないのは当然だろう。僕達の分はちゃんと入っているのだろうか。

「あのう、それは永島(ながしま)君達の分も入れてですか。」

シナ先生が横から助言した。

「あっ、はい合いました。君達の分すっかり忘れてた。」

はあ。「18切符」の数がそろったところでようやっと解散である。しかし、この先がきつい。遠江急行(こうきゅう)の中ではほとんどの時間を立って過ごして、家に一番近い駅で降りた。


富山で見たEF510-7号機の貨物列車。コキ50000が2両で両方にコンテナは積載されてないという編成です。

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