157列車 遅れて
乗車している間に何度か「しなの」に抜かれたりすれ違ったりし、2回ほど下り列車とも遭遇した。また中津川停車直前には長野に石油を運んでいく貨物列車とも遭遇。空河が言うにはEF65だそうだが、すぐにEF64だと訂正した。ちなみに両者には中央本線の様な山岳路線用か東海道本線の様な平坦路線用という違いと外観の違いが存在する。
16時48分。14時30分から乗ってきた普通列車がようやっと終点に到着する。これの隣には名古屋まで行く快速列車が既に停車している。階段を上って隣のホームに渡る。
「なんで中津川から「セントラルライナー」使わないんでしょうか。」
「そりゃあ、「セントラルライナー」だからだよ。」
そう青海川に言ってやると、空河がさらに訂正した。
「永島さんそれ違う。「セントラルライナー」だから使わないんだよ。あれに乗ったら310円も銭にぼったくられるじゃん。」
階段を下りると前にあったのは211系だった。まずは211系に乗り込む。席はまだ空席にどこにでも座れる。アド先生はドア近くの席に足早に腰をかけた。だが僕には・・・。
「永島さん。211系嫌だから313系のほう行きません。」
空河が誘った。まいっかと思って空河と朝風の後について行った。
2両車両を通り抜けると313系に変わった。そこからさらに2両車両を通り抜けて2号車のちょうど4人掛けで空いていたシートに荷物を置いた。
「よし、とりあえずこれで金山までは楽できるな。」
「そうですね。」
ふと後ろを見ると大嵐が前に歩いてきた。また先頭に見に行くのだろう。
「大嵐、さっきの電車の中でもずっと前にいましたからね。あれに呼ばれた時以外。」
空河が耳打ちした。ずっと立っていたということは2時間18分以上立ったまま。足も相当こたえているだろう。
「大嵐。快速でそれはやめとけ。」
「いいじゃないですか。どこに行こうが、僕の勝手です。」
「いや、いいから座れ。疲れてるだろ。」
素直に聞くとは思っていなかったが、案の定だった。なんとか大嵐を座らせて、自分も腰を下ろした。
16時57分。快速列車はカクンと2回揺れて中津川を発車した。全員で外の風景に見入っていると、ダブルパンタの2両が4編成連結された313系とすれ違った。その時には下り線と上り線は少し離れた位置を走っていたため、床下機器がグレーで汚れていないこと、パンタグラフも金属そのものという感じでとてもきれいだったのを確認した。
「何今のキモイ編成。」
「新車でも中央線にあんなにいりませんよねぇ。」
「ああ、今の状態で十分まわってるからあんなに入らないと思うけど・・・、予備車かな。」
「予備でもあんなにいりませんよ。予備編成も1・2編成あればいいんですから。」
「だよなぁ。謎が多すぎるやつだな。」
(今のは留萌や己斐も見たはずだ。後でどんなんか聞いてみるかな。)
またときにはこんなことも、
「次は武並、武並です。」
この読み方。おかしいと思う人は普通の人です。
「今「たかつか」っていいましたよねぇ。」
そんなはずはないと思ってドア上の電光掲示板に目を向ける。ローマ字表記になると今の駅が何と読むのか分かった。
「「たけなみ」だってよ。」
「今思いっきり「たかつか」って聞こえましたよ。この車掌の滑舌はゴミですね。」
「本当だな。」
その次のかまどでは、列車の通過待ちのため5分ほど停車。その間を利用して、空河と大嵐がホームに出た。僕もそれにつきそってホームに出る。
「空河さん、信号青になりましたよ。」
近くにあった車掌が確認するホーム上の出発信号機の「下本」と書かれた方が点灯する。313系に隠れていた信号機も青に点灯する。
「永島さん。「しなの」ここ通ってむこうに行くんですか。」
空河が313系が停まっているのとは反対側のホームを指差した。
「多分そうじゃないの。」
数分後。中津川方面の踏切が鳴りだす。しばらくすると駅舎の壁が黄色っぽく照らし出された。
「えっ、そっち。」
こう言った時にはもう遅い。「しなの」は僕達が乗ってきた313系の向こう側を通過していった。
「じゃあ、こっちの進行なんだよ。」
文句を言って313系の車内に戻った。出発しようとするころには下りの進行の意味も分かった。211系を先頭に313系の快速が隣ホームに入線してきた。
「うわぁ。こいつのための進行かよ。」
「すごく期待を裏切ってくれましたね。」
入れ替わりに僕達の快速が発車。その後は瑞浪ではまた車掌の滑舌が悪く「みっかび」と聞こえたり、多治見でEF66の牽引する貨物列車が停車していたり、石油を運ぶ貨物列車とすれ違ったりした。車内は千種あたりになるまでに70%くらいまで混み、金山に到着する時も同じくらいの乗車率だった。金山で快速の4号車から降車して、211系に乗車していた組と合流。東海道本線の乗り場まで行く。
ここ金山から乗る列車は18時23分発の新快速豊橋行き。電光掲示板に6両という表示があったため、すぐに座れないと思った。名古屋を通り抜けた後の特別快速と新快速には必ずと言っていいほど座ることはできないのだ。
18時23分。同時刻金山発の特別快速大垣行きが隣ホームに来ても、それが発車していっても新快速豊橋行きはやってこなかった。時計に目をやり続けて2分後。ようやっと新快速がホームに滑り込む。思っていた通り中にはたくさんの人。ドア付近に群がっているため余計混んでいるように見える。そんな車内に押し込まれるようにして、新快速に乗り込む。金山を発車して次の停車駅は大府。大府になると少しばかり車内に余裕ができた。
「あっ、そうだ己斐。さっき快速に乗ってるときにダブパンの313が4編成連結されてる奴見たんだけど。」
「それだったら、あんな時間に中津川に行く列車は設定されてません。おそらく新車の配置か、配給の回送だと思います。でも、あすこまできれいで転属とかは考えづらいですね。」
「ああ、そうなの。」
またしばらくすると、下り列車とすれ違った。だんだん暗くなってきている。もう対向列車の判別は通り過ぎる前に確認するか、通り過ぎた後にじっくりと観察していうしかない。今の列車は顔を確認することはできなかった。だから走り去っていくところを観察しなければならない。
「313系だ。」
空河がつぶやく。だが、僕にはどうしてもあれは・・・。
「いや、311系だろ。」
「311系じゃないですよ。今のはどこをどう考えてもツルペタじゃなかった。」
「あれ313系か。あれはどこをどう考えてもツルペタの311系だろ。」
「いや、あれはツルペタじゃない。313系に決まりでしょ。」
「いや、ツルペタで311系だ。」
言いあっていると留萌が話しに入ってきた。
「そう言うことは私に聞きなさいよね。」
「じゃあ、留萌。お前の観察結果はどっちなんだよ。」
「ゴメン。今のはみてなかった。」
「おい。」
この後も何度か列車とすれ違った。そのたびにしている会話を中断して、電車に見入った。
19時15分。今回はだれ一人欠けることなく豊橋に到着。6番線に到着した、新快速を降りて8番線に向かう。ふと電光掲示板に目を向けると、次の6番線からの発車は特別快速関ヶ原行き。ちょうど乗ってきた313系がその折り返しであるが、特別快速関ヶ原行きとは見たことがない。その珍しさを言いながら、8番線に向かった。
8番線に行ってもまだ誰もいない。少し待っている間に特別快速関ヶ原行きになった313系が発車していった。
「次に来る車両、何がいいですかね。」
まず青海川がふった。
「高い確率で311系だな。」
「いや、少ない確率のほうで313系がいいです。」
隼はあくまでもVVVFを聞きたいからだろう。確かに。311系はVVVFではなく界磁チョッパ制御という制御方式である。VVVFとは違うのだ。
「でもここは311系でしょ。〆は311系って決まってるからな。」
「どんな決まりですか。それ。」
結果来た車両は311系だった。降りる人を待って311系に乗り込む。ここまで来ると本当に戻ってきたという感じがする。
19時29分。この列車の発車時刻になった。しかし、発車しない。発車したのは4分遅れの19時33分だった。
その後は4人掛けのクロスシートに乗り合わせた潮ノ谷、夢前、大嵐と話をしながら、もしくは今は目に入れてはいけない路線の見るように仕向けたりしながら、浜松駅に到着した。
改札を出ると、アド先生がみんなを集めてこう言った。
「ええ、それでは「18切符」を回収します。ええ、ここで永島君と木ノ本君と留萌君は「18切符」を回収しないんですね。」
自分に言い聞かせているようではあるが・・・。その言葉を聞いて、部員がアド先生の方向に動く。僕たちオープンキャンパス参加組と思われる人たち以外が「18切符」を返し終わると・・・、
「あれ、数が足んないけど・・・。」
なんかそのようなことが起きそうだったのだが・・・。本当になるとは。数を確認して、も数が合わないのは当然だろう。僕達の分はちゃんと入っているのだろうか。
「あのう、それは永島君達の分も入れてですか。」
シナ先生が横から助言した。
「あっ、はい合いました。君達の分すっかり忘れてた。」
はあ。「18切符」の数がそろったところでようやっと解散である。しかし、この先がきつい。遠江急行の中ではほとんどの時間を立って過ごして、家に一番近い駅で降りた。
富山で見たEF510-7号機の貨物列車。コキ50000が2両で両方にコンテナは積載されてないという編成です。