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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:3
155/184

155列車 来た道を「はくたか」と「妙高」で

 ふと目が覚めた。眠い目をこすって、ぼんやりと見える時計に目をやる。時刻は6時51分。

(ヤベッ。寝過ごした。)

すると外でドアをノックする音が聞こえた。眠く身体が重いままだが、でなければならない。出てみるとアド先生だった。全員の点呼を取っているそうだ。それが終わると食事券を持ってすぐに2階の食堂に向かった。自分でもこんな時間まで寝るとは予想外だった。やはり昨日寝ていなかったのが効いたのだろうか。ご飯を食べ終わると部屋に戻って支度した荷物をまとめた。忘れ物がないのを確認して、部屋を出る。フロントに鍵を預けて、しばらくの間そこで待った。

「おいおい、3年生が遅いなぁ。」

アド先生がエレベーターの方向を見て催促している。したくなるのも分かる。今ここにいる3年生は僕だけ。他はだれ一人いない。この部活に入るとどんな人でも時間にルーズになるのだろうか。いや、少なくとも箕島(みしま)はそれはないと思うが・・・。

 7時58分。醒ヶ井(さめがい)が。7時59分箕島(みしま)が降りて来て、あと残りは木ノ本(きのもと)留萌(るもい)だけになった。8時00分。二人は降りてきそうにないので、シナ先生に二人を任せて、僕達は先に富山(とやま)駅に向かうことになった。すると、

「ああ、ヤバかった。」

今降りてきたエレベーターから木ノ本(きのもと)留萌(るもい)が抜け出してきた。フロントに鍵を預けたことを確認して、富山(とやま)駅に向かう。

木ノ本(きのもと)何してたんだよ。」

ちょっとそれが気になった。

「何って。昨日も・・・いや、今日もか。2時22分の「きたぐに」撮りに行っただけだけど。」

「はっ。昨日撮ってんのに撮りに行ったの。」

「だって昨日は「きたぐに」が何の音沙汰(おとさた)もなく来てくれちゃったんだもん。」

「・・・じゃあ、留萌(るもい)はなにしてたんだよ。」

「私もそれにつきあっただけだけど。」

「よく行くなぁお前ら。」

「いやあ、シナ先生が起こしてくれなかったら12時に起きてた可能性大だったよ。」

「それはさくらだけでしょ。私は4時28分に目が覚めてたから。」

榛名(はるな)だってその後に二度寝したって言ったじゃん。」

「その二度寝って意味なかったよ。次に起きたのが4時38分だったから。それでその後に三度寝して4時48分だったでしょ。次が4時58分で、次が5時08分。まあ、そのおかげで今はこんなに元気だけどね。」

「よくそんな正確に起きられるな。ふつう無理だろ。」

「えっ、無理じゃないでしょ。10分おき貨物にたたき起こされれば。」

「いや、それでも無理だと思う。」

8時から8時45分までの間待合室で木ノ本(きのもと)達とこんな話をしながら、過ごした。

 8時45分。8時56分発「特急はくたか5号」長岡(ながおか)行きに乗車するため、富山(とやま)駅の構内に入る。「特急はくたか5号」は付属「WHITE(ホワイト) WING(ウィング)」、基本「SNOW(スノー) RABBIT(ラビット)」で運転されるという予定にはなっていたが、今までのことを考えて、必ずしもそれで来るとは限らない。高い確率で「WHITE(ホワイト) WING(ウィング)」だ。

「なぁ永島(ながしま)。「はくたか5号」って「スノーラビット」来るか。」

「来ないだろ。運用表のとおりに運用されてないし・・・。」

「よし。もし「スノーラビット」だったらお前後で死刑な。」

 8時54分。見えた「はくたか」は681系の「WHITE(ホワイト) WING(ウィング)」。まあそうだろうなとは思っていても、「SNOW(スノー) RABBIT(ラビット)」でないのはなんか悔しい。「WHITE(ホワイト) WING(ウィング)」の2号車に乗り込み4番D席を取った。

(つばさ)、これってM(エム)車。」

「えっ。ナガシィ先輩。これってM車ですか。」

2号車(こいつ)はMじゃないよ。

「でも、パンタ付いてますよねぇ。パンタ付いてたらM車じゃないんですか。」

「大体わな。でもこいつのMは3号車と6号車と8号車だけ。」

「いやなフェイントですね。じゃあ一体どこにMがついてるんですか。法則みたいなの教えてくださいよ。」

「そんなのないよ。先頭車がMってやつもあるしパンタ付いてる車両がMもあるし、パンタない車両がMもあるし、全車両Mだったっていうこともあるし。」

「紛らわしいですね。私に分かりやすいように全車Mになりませんかねぇ。」

「なるわけねぇだろ。」

「はぁ。もうちょっと分かりやすくすればいいのに。」

「その前に(はやぶさ)はもっと電車を勉強することだ。」

(つばさ)にそう言われるとむかつくんだよねぇ。」

「うるさい。事実だろが。」

「まあまあ。」

柊木(ひいらぎ)(はやぶさ)の仲をしずめて、「はくたか5号」の乗車を楽しむ。途中魚津(うおづ)に停車。発車の時は体全体が引っ張られるのではなく足から引っ張られていく感覚。走っている時は新幹線のような安定感を持って走る。走っている位置さえ違えば新幹線と勘違いするくらいだとも思った。糸魚川(いといがわ)到着直前。昨日お世話になった413系とすれ違い糸魚川(いといがわ)に停車。また能生(のう)付近では上りの「はくたか」とすれ違った。ラインの赤が目立っていたからあれは間違いなく「SNOW(スノー) RABBIT(ラビット)」だということを確認した。その後はすぐにトンネルに突入そのトンネル内で筒石(つついし)を通過。数分のうちにトンネルも抜けて、ほぼ17時間ぶりに直江津(なおえつ)に戻ってきた。

「ナガシィ先輩。あれ。」

柊木(ひいらぎ)が僕を呼んだ。しきりに外を指差している。その方向を見てみると白い車体をまとった車両が横たわっていた。それもただの車両ではない。おそらく昨日工場らしき建物の中にいた「あれ」だろう。

永島(ながしま)、なんだあれ。」

木ノ本(きのもと)も気づいたようだ。すると、

「「East(イースト) I(アイ)」じゃん。それも在来線の。」

留萌(るもい)が嬉しそうに言った。そうなるのは確かに分かる。ふつうに行って見れるような車両じゃない。これは新幹線で言う「ドクターイエロー」と同じなのだ。まあ「ドクターイエロー」と違っていつどこに来るかは分からないため、大胆不敵という意味ではこっちの方が勝っている。

 「はくたか」のドアが開くと「妙高(みょうこう)」が停まっている6番線まで行きがてらそれを撮ることにした。だが、時間がないということに気づいて、6番線に行ってからは「妙高(みょうこう)」の1号車までダッシュ。撮影が終わった後は1号車の乗務員室側のドアから乗車した。後は車両伝いに指定席の6号車まで歩いて行った。アド先生の撮った指定席に座って外を見るとさっきの「East(イースト) I(アイ)」を拝むことができた。その頃には駅を発車しており、ここだと思った時に携帯(ケータイ)に収めた。

 189系の中では外を見ながら過ごしていたが、暇なことに変わりはない。朝風(あさかぜ)と模擬デュエルをしながらこの中を過ごした。途中脇野田(わきのだ)を通り過ぎた時には昨日ここ通ったっけと錯覚し、二本木(にほんぎ)では昨日体験したスイッチバックの逆再生。また長野(ながの)が近くなれば建設中の北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)の高架橋を目にし、長野(ながの)到着前には車庫で疎開されてきた京浜東北線(けいひんとうほくせん)の209系と485系を改造したジョイフルトレイン「彩り」、ディーゼル機関車DE10と会った。まあ、DE10以外とは昨日会っているのだが・・・。

 長野(ながの)駅1番線に到着した189系「妙高(みょうこう)」を降りて、12時33分発の普通茅野(ちの)行きを待つため7番線に向かう。昨日来た駅であり、さほど珍しいものはない。6番線には383系「特急しなの」が名古屋(なごや)に向かっていくため、その時間を待っている。5番線には名古屋(なごや)から来た「特急しなの」が停車している。これの1号車側にまわって383系が並んでいるところを写真に収めた。

永島(ながしま)。こっから「妙高(みょうこう)」も見えるぞ。」

木ノ本(きのもと)の言う位置まで下がって「妙高(みょうこう)」も含めた写真を撮る。

「あの「妙高(みょうこう)」っていう車両(やつ)ツッコミどころ満載だな。」

「昨日は475系で、今日は189系かぁ。どっちに進むかはっきりせぇってな。」

これで今「妙高(みょうこう)」がどういう状態かお分かりだろう。

 この構図を撮り終えてからは左側に停まっている長野新幹線(ながのしんかんせん)の撮影である。7番線の松本(まつもと)側まで歩いては行ったが、惜しくも7番線よりE2系の頭が出ていた。これでは撮影することはできない。潔くあきらめて、今度はキオスクで雑誌を立ち読み。これが少しは暇つぶしになるのだがすぐに飽きる。飽きたらキオスクを出て人が固まってきた階段のところまで行った。

(んっ。なんだ・・・あれ・・・。)

豊野(とよの)側からやってきた2つのライト。ただの列車や車両ではないのはすぐに分かる。いや、これくらいの外見の違い分からない方がバカか。来た車両はオレンジ色をまとい、運転台のキャブの前にすすけた直方体のある車両。運転台キャブの真ん中には煙突がある。

「DE10だ。」

不意に声を上げた。こいつはさっき見たDE10なのか。そこは定かではなかった。

 めったに見れる車両ではないので、カメラと携帯(ケータイ)を取り出して撮影。「あさま」を撮りに行っていた木ノ本(きのもと)留萌(るもい)、キオスクで同じように立ち読みしていた空河(そらかわ)朝風(あさかぜ)も7番線に集結。他のメンツもどっからともなく集まって7番線に来た僕達にとっての珍列車を撮影していた。

「DE10-3509号機。これ、さっき車庫にいたやつだよ。」

留萌(るもい)が言った。

「えっ。マジ。」

これまで撮影した写真を再生して、さっき乗っている時に撮ったと思われる写真を僕に拡大して見せた。なるほど。車号は今ここに停まっているDE10-35009と同じである。

「あっ、ホントだ。」

「つうか、こいつ何しに来たんだ。さっきから意味もなく7番線(ここ)にいるように見えるけど。」

「ただの単機回送でしょ。7番線(ここ)で時間調整して、それからどっかに行くんじゃないですか。」

北石(きたいし)が自分の考えを言う。まあ、この状態を言うなら単機回送というのが当たっているだろう。しばらくするとDE10は松本(まつもと)側に向かって発車していった。だが、その姿を追っていくと必ずしもどっかへ行くとは限らなかったらしい。松本(まつもと)側に広がっている車両基地の方へ走って行った。またその姿は6番線ホームの端からでも見ることができた。


681系・683系はパンタグラフのついている側のパンタ無しの車両が動力車。先頭車にはトイレを配置。なぜこうしているのかというと編成全体で重心を落とすためです。

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