153列車 お題でGO!
7時45分。1番線に停まっている「特急ひだ6号」を写真に収めて、「トワイライトエクスプレス」がやってくる3番線に身を移す。3番線で「トワイライトエクスプレス」を待っていると6番線を貨物列車が通過するというアナウンスがあった。貨物が通過すると聞けばじっとしてはいられない。といっても貨物の通過まで時間がないため、3番線から狙うことにした。すると4時頃にも見たEF81の貨物更新車が6番線にやってきた。
「何が貨物列車だよ。貨物じゃねぇじゃん。」
柊木が来た列車にツッコミを飛ばす。確かに、貨物列車ではなかった。これは貨物列車ではなく単機回送と言った方がいい。いや、そう言わなければならない。その単機回送されてきたEF81-123号機の後ろにはコンテナ貨車が一つも連結されていないのだ。
「期待させといてあれはないですね。」
「ああいうのっていやですよね。駅のアナウンスはああいうのでも「貨物列車が通過します。」としか案内しませんから。」
文句を言いながら123号機を見送る。視界から消えたところで気を取り戻して「トワイライトエクスプレス」の到着を待つ。
8時00分。3番線に「寝台特急トワイライトエクスプレス」の到着が告げられる。「日本海」の時と同じように2番線の陰から姿を現す。8時01分。「トワイライトエクスプレス」は12両編成の停車位置に停車。その停車と引き換えに1番線から「ひだ」が発車していった。停車の間にEF81-103号機は手前側のパンタグラフを降ろして、8時03分大阪に向けて発車していった。それを姿が見えなくなるまで見送って、8時23分の普通糸魚川行きを待った。
8時23分。5番線から昨日お世話になった413系に乗車。糸魚川まではこれで走って行く。当然その工程では暇なためしりとりをしながら、乗車していたが、昨日からの疲労で柊木が途中で脱落した。
「間もなく終点、糸魚川、糸魚川です。2番線到着・・・。」
ここまで来ると柊木を起こさなくてはならない。柊木を起こして、糸魚川のホームに降り立つ。降りるときに感じたあの段差はもう浜松の方では拝むことができない。ちょっとその段差には驚いた。
糸魚川に到着すると、すぐさま待合室に行くため1番線にやってきた。1番線には「特急はくたか5号」長岡行きの到着が告げられている。僕達が改札に近くまで来た時には「スノーラビット」を前にして入線し、1分後に発車していった。
(5号は運用の通りだな。)
「WHITE WING」と書かれたエンブレムをチラッと見て、改札を抜けた。
糸魚川では10時01分発の「北越」の案内がなされている。この間は1時間くらいの待ち時間があり、この間がとても暇である。
「翼さん、永島さん。皆で問題を出し合いませんか。」
「問題ってどんなの出し合うんだよ。」
「例えば、ミニ新幹線の愛称二つとかっていう感じで、答えが複数あるやつを問題にして出していくんです。」
「面白そうかも。やってみようぜ。」
「じゃあまず僕が永島さんに出して、次に永島さんが翼さんに、最後に翼さんが僕に問題を出してください。それじゃあ行きます。JR東海が走らせてる特急二つ。」
こんなの2秒回答である。一つはさっきも見た「ひだ」。もう一つは「しなの」と言った。
「次は俺か。JR九州が走らせてる特急二つ。」
「えっ。「ソニック」と「かもめ」。」
簡単だろうな。特急の名前くらいは初級レベル。これが過去になったりすれば少しレベルが上がるのだ。例えば、東海道本線を走っていた特急の名前など。
「んじゃあ、313系の番台二つ。いや、二つじゃすぐに終わるか・・・。じゃあ三つ。」
「えーと・・・。まず0番台・・・、5000番・・・。」
「「セントラルライナー」の番台区分もあるし、静岡圏の番台もあるし、ダブパンの番台もあるぜ。」
「「セントラルライナー」って何番台だったっけ。」
「あっ、そうか2500番台。」
ちなみに「セントラルライナー」は8000番台、ダブルパンタは3000番台となっている。
「それじゃあ、「ムーンライト何とか」っていうの二つ。」
「「ムーンライトながら」、「ムーンライトえちご」。翼問題。急行の名前3つ。」
「「急行きたぐに」、「急行能登」・・・、あと一つ。」
「あれですよね。「急行はまなす」。」
「あっ、そういうことか。確かにそうだな。」
「あっ、そうだった。「はまなす」か。シクッタ・・・。朝風、「サンダーバード」の車両形式2つ。」
「681系と683系でしたっけ。」
「合ってるよ。」
とまあこんな問題を出しながら、大糸線を走る気動車の到着を待った。その気動車が到着すると4番線に移りながら問題を出し合った。ここまで来ると問題のレベルも少し上がって来る。今は朝風が僕に問題を出す時だ。
「じゃあ、浜松~豊橋間の駅全部。」
「えっ。浜松、高塚、弁天島、新居町、鷲津、新所原、二川、豊橋。」
「一つ飛ばしましたよ、ナガシィ先輩。」
「あっ、高塚、舞阪、弁天島の順かぁ。ああ、やっちゃった。翼これならどう。東海道本線走ってた特急の名前二つ。」
「「東海」はそうでしょう。もう一つ・・・。」
「永島さん、寝台特急ってありですか。」
「なしだな。とりあえず昼だけってことで。」
「昼だけ・・・。」
頭を抱えて考え始めた。そこまでのものなのだろうか。僕としてはそうは思っていない名前である。だってもう一つの名前は誰が聞いても「それかぁ。」となる名前だからだ。
「ダメだ。解んない。・・・ナガシィ先輩ギブです。えっ、なんですか、もう一つって、「東海」は最近まで走ってたから分かりますけど・・・。」
「「こだま」。」
「それかぁ。151系ですか。」
「んっ。てことは「富士」だけは今ので答えてもよかったってことじゃないですか。」
「そういやぁそうだな。」
僕達の乗った気動車がトンネルの中に入った。トンネルの中に入るとエンジン音が壁に跳ね返って、こんなにうるさかったっけと思うほどの音になった。
「朝風、星を現してる列車の名前二つ。」
「翼さんやっちゃいましたね。「彗星」と「カシオペア」。」
「翼バカだろ。朝風は寝台特急に詳しいんだぜ。寝台特急には星現す名前なんていくつでもあるじゃないか。「明星」だってそうじゃん。」
「いえ、そんなに多くないですよ。寝台特急の場合は夜明けとかをイメージしてつけられたものが多いですから。「あさかぜ」とか「あけぼの」がいい例ですよ。」
「そうだった・・・。」
「問題はだいたいできりましたかねぇ。」
「さぁ。出してないのはまだ多いかもしれないけど、もう少ないかもな。」
「じゃあ今度は僕がお題を出しますから、それに合ったやつをみんなで挙げていくというのはどうでしょう。」
「いいんじゃない。やってみよう。」
「じゃあ、寝台特急の名前で。僕は「あさかぜ」から始めます。次は永島さんで翼さんの順番でまわしてください。」
「「出雲」。」
「「さくら」。」
その後は「はやぶさ」、「なは」、「あかつき」、「彗星」、「明星」、「北斗星」、「カシオペア」、「はくつる」、「ゆうづる」、「みずほ」、「鳥海」、「あけぼの」、「北陸」、「出羽」、「瀬戸」、「富士」「日本海」、「トワイライトエクスプレス」、「北星」、「金星」、「月光」、「きりしま」、「紀伊」、「パス」、「安芸」、「パス」、「パス」、という順番で流れた。
「大体できりましたかねぇ。」
「いや、もう出きったんじゃない。俺ももうダメ。知ってる奴は全部言ったと思うけど・・・。」
「じゃあ、次行きましょうか。」
「じゃあ、EFって付く機関車。EF65。」
「EF210。」
「EF200。」
その後はEF58、EF81、EF66、EF64、EF510、EF81、EF63と出たがすぐに詰まってしまった。
「永島さん、もう解りません。ネタばれお願いします。」
「いいのか。じゃあ言うけど、EF60、EF61、EF62、EF67、EF71、EF80、EF500っていうのもあるぜ。まぁEF500は試作車だけだからそんなに知られちゃいないけど。」
「EF500なんていな初めて聞きましたよ。」
「これでも、朝熊の方がもっと分かってるんだろうな。昔の国鉄電機がいっぱい出てきそうな気がするわ。」
「じゃあ、次ですね。ここは公平に新幹線の愛称で行きますか。「こだま」です。」
「「ひかり」。」
「「のぞみ」。」
その後は「さくら」、「みずほ」、「つばめ」、「やまびこ」、「なすの」、「あさひ」、「たにがわ」、「こまち」、「つばさ」、「とき」、「はやぶさ」、「はやて」、「あさま」、「パス」、「あおば」と出た。
「大体こんなもんですかねぇ。」
「はぁ、新幹線って結構以外と考えるもんだなぁ。」
「新幹線の愛称と来たから次は東海道・山陽新幹線の駅名全部でしょう。」
「35駅かぁ。自信はあるなぁ。」
「じゃあ、始めましょうか。静岡です。」
「博多。」
「東京。」
その後は品川、新横浜、新大阪、新神戸、西明石、姫路、岐阜羽島、名古屋、掛川、広島、福山、三原、三島、小田原、新富士、徳山、新山口、小倉、新倉敷、新尾道、相生、浜松、熱海、新岩国、厚狭、新下関、三河安城、京都、豊橋、米原、岡山、東広島でパスもなく終わった。
やっている間に終点南小谷まで来た。
「ここって南小谷って読むんですね。ぱっと見は南小谷って読みたくなりますけどね。」
柊木が独り言の様に行っているのが聞こえた。
キハ120を降りて、ホームの反対側にいるステンレスの車両E127系に乗り込む。この列車で松本まで向かう。キハ120の向こう側には「あずさ3号」として南小谷まで来たE257系が体を休めていた。
12時07分。E127系は3分遅れで南小谷を発車した。ほとんどの駅で一番前のドアしか開かないため、せっかくの開くボタンがあっても遊ぶことはできない。しかたがなく席についていた。
「ナガシィ先輩。これに2時間くらい揺られてるんでしょ。暇じゃないですか。」
「確かに暇だな。なんかするか。」
「なんかするって・・・。もうほとんどやったんじゃないんですか。」
「だよなぁ・・・。うーん・・・。やっぱしりとりになるかな。」
「しりとりするんだったらこれなんかどうですか。時刻表を使ってどこまでいけるかっていうの。」
「いや、それをやったら余計に終わらなくなる。」
「だから、時刻表が使えるのは一人1回までです。それとパス3回までなら終わると思います。」
「実際のところ終わってないんだから、また終わらなくなるって。」
「でも面白そうかも。」
「じゃあ、始めましょうか。ここはやっぱり永島さんから。」
「えっ。うーん・・・、やっぱ流れから南小谷だけど、いきなり「り」はなぁ。「あずさ」でいいよ。」
「「さ」ですね。・・・「さくら」。」
「「雷鳥」。」
ふと思ったことがあった。
「そういや。今度は車掌割り込みしないよなぁ。」
「しないと思いますけど。まぁ、次は千国みたいですから、割り込みも何もないですね。」
「「うずしお」。」
そこから何分経っただろう。ちょっと大きな駅までやってきた。E127系が止まっている左側には383系の「しなの」が止まっている。この駅で多数の乗車があった。これまではどれだけの人が乗車したか分からなかったが、ここで初めてまとまった乗車があった。ちなみに今しりとりは「り」で柊木の順番である。
「んっ。まさか「あれ」って。」
ロングシート側から見える駅の壁に貼られたポスター。あれには「り」のヒントというかそれそのものが写っている。
「割り込まれたかもなぁ。」
「えっ。」
朝風も気になってそのポスターに目を向けた。
「あっ。でもまだ分かりませんよ。」
すると、僕達から見て左側に列車が到着したのが見えた。ポスターそのものだ。
「割り込み確定だな。」
「ですね。」
「ダメだ。浮かばねぇ。もういいや「リゾートふるさと」で。」
「「と」、「と」・・・。富山言うと縛るからなぁ、ここは鳥栖で。」
「「す」か。「す」は「スーパーなんとか」が使えるからな。うーん迷うなぁ・・・。「スーパーあずさ」はさっき使っちゃったから使えないじゃん。うーん。「スーパー宗谷」。」
柊木に渡してみると、柊木は目を閉じてE127系に遊ばれていた。
「2時22分の「きたぐに」撮りに行ったんですよねぇ。翼さんもすごいですよねぇ。」
「木ノ本も一緒だったみたいだけどな。その木ノ本は元気だろうぜ。」
「いや、木ノ本さんと翼さんは体もつくりが違うじゃないですか。木ノ本さんは10分きっかりで仮眠取りますけど・・・。」
「いや、そもそもそれができる人は木ノ本だけだと思う。」
「えーと、「や」ですね。「やくも」。」
朝風が柊木の代言をした。ここから先は二人でしりとりを進め、E127系でコマを進めた。そして、信濃大町・信濃松川でまた長く停車した。その信濃松川では。
「なんか来るみたいだな。」
対岸の踏切が鳴っている。何が来るかは分からないが、そんなに期待できるようなものではないだろう。そして、その列車がやってきた。
「「あずさ」・・・。」
さっき南小谷で見たE257系だ。
「「あずさ」だって。」
この声は柊木だ。さっきまで爆睡してたのに。それとも、「あずさ」と聞いて飛び起きたのだろうか。
「あれ。ナガシィ先輩。南小谷まで行く「あずさ」って1往復ですよねぇ。」
「ああ・・・、確かそうだな。」
「そうですよねぇ・・・。」
そう言って席についた瞬間また寝入って行った。
(寝るのはえぇ。)
「永島さん。「ふ」です。」
「ああ、分かってる。・・・「富士」。」
朝風と僕でしりとりを続けていたが、最強の暇つぶしでもこの列車はきつい。自分の座っている席で少し動いていないとどうかなりそうだ。そんなゆったりとしたローカル線でも着実にコマを進め、途中の有明からは車掌も乗務し、ドアは車掌が開閉するようになった。その頃には車内には山岳登山用の荷物を抱えた人でいっぱいになった。その乗車率を見て4両にして運転しないかなぁということをつくづく感じた。そしてその大量の客を乗せた列車は3分遅れのまま終点松本に到着した。到着時刻は14時22分である。
E127系のドアが開いてあふれていた客がホームにあふれる。ドアが開いてもなかなか降りれない。それだけ乗っていたのだろう。外に出てみるとそれが裏付けられた。大糸線の狭いホームには中央本線などに通じるこ線橋の階段までずっと人の列が続いている。さらに悪いことにホーム全体に広がっているのだ。これでは3分後に発車する14時25分発の列車に間に合うはずがない。ならできうる限り早く行くだけだ。全員がいることを確認しながら、人の波をかいくぐって何とか階段まで行く。その階段も人でいっぱいだ。その人に波にのまれる形で上まで上がる。階段を上がりきっても人の波にのまれる状態で14時25分発長野行きが発車する3番線に歩いて行った。ようやっと2・3番線の階段のある位置を示している看板が見えたところで、電光掲示板に表示されている14時25分発長野行きを捉えた。
(まだ発車してないのか。)
瞬きをしてまた電光掲示板を見てみる。すると表示は14時49分発「特急スーパーあずさ22号」新宿行きが一番上に、次の列車は15時04分発「特急しなの13号」長野行きに変わっていた。
E127系。増結運転したほうがいいのでは・・・。無性に思います。