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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:3
149/184

149列車 521系のドア

 1・2番線に向かうと木ノ本(きのもと)が声をかけてきた。

永島(ながしま)。ここで「サンダーバード」が見れるってことだけど、何時通過か分かる。」

「そこまで解るわけねぇだろ。あの橋を通って来る光が見えてもまだ間に合うから大丈夫だよ。」

681系(ロッパアイチ)683系(ロッパアサン)のどっちだと思う。」

「知るか。681系(ロッパアイチ)であること祈ときゃあいいだろ。」

15分程度経つと湖西線(こせいせん)の橋にヘッドライトが現れた。「特急サンダーバード」の接近である。接近してきた「サンダーバード」は683系4000番台。接近中にパンタグラフがシングルアームであることを確認した。その「サンダーバード」が通過して1・2分経つと今度は上りの「雷鳥(らいちょう)」が4番線を通過していった。その「雷鳥(らいちょう)」にはパノラマグリーン車が連結されており、近くで撮れないということが惜しかった。

「おい、永島(ながしま)。上りのこと何にも言ってないから撮りそびれたじゃないか。」

今度は文句の嵐である。

「知るか。俺だってパノラマグリーンの「雷鳥(らいちょう)」が来ることは予想外だった。」

「まあまあ。金沢(かなざわ)に行っても撮れるんですから。」

(はやぶさ)がなだめてくれて助かった。

 11時00分。さっき「雷鳥(らいちょう)」と「サンダーバード」が通った橋の向こうから黄色く光るライトが接近してくる。僕達の乗る11時01分発の新快速(しんかいそく)敦賀(つるが)()きだ。到着した223系はまたも2000番台。数が多いからここはしょうがないだろう。また同じ位置に乗車し、前の見える位置に構える。今度は右半分からしか見ることができないため木ノ本(きのもと)留萌(るもい)柊木(ひいらぎ)(はやぶさ)大嵐(おおぞれ)青海川(おうみがわ)と僕で右側に固まって乗車した。

 11時01分。近江塩津(おうみしおつ)を発車。近江塩津(おうみしおつ)を発車すると木ノ本(きのもと)が、

「「トワイライトエクスプレス」って上りも見ることできない。」

と聞いてきた。

「確かに。「トワイライト」が敦賀(つるが)発車するのって10時50分ごろですよねぇ。」

柊木(ひいらぎ)が続ける。

「確かに見れるかもしれないけど・・・。」

頭上を湖西線(こせいせん)に分岐する線路が通過する。上り線は北陸本線をまたいで下り線と合流する。それをくぐると下り線が左から合流。小さなスノーシェルターの様なところを通って、短いトンネルをくぐる。すると、上り線が北陸本線と湖西線に分かれるところに行きつき、右にかじをきって、上り線が少し離れ始める。今度はトンネルに突入するのだが、上り線のトンネル内に黄色く光っているライトを見た。だが、すぐにライトが見えなくなり、単線になったところで勢いよくトンネルに突っ込んだ。もちろんトンネルの闇に包まれていた光の正体が「トワイライトエクスプレス」なのかは判別ができなかった。

永島(ながしま)。今の・・・。」

「解んない。「トワイライト」かもしれないけど。」

(せめてライトがどの位置にあるかくらいわかれば・・・。)

「もし、今のが「トワイライト」なら最悪ですね。青函(せいかん)トンネルみたいになってるわけじゃないですからね。」

暗闇を見つめていた大嵐(おおぞれ)が顔をこちらに向けた。

己斐(こい)さんに聞いてみればいいじゃないですか。」

「さすがに己斐(こい)もそこまでは分からないだろ。運転中止とか遅れまで分かれば時刻表なんかいらないよ。」

結局あの光が何なのか分からないまま11時08分。新疋田(しんひきだ)に到着。11時15分。敦賀(つるが)の5番線に到着した。降りると予想以上に段差があった。敦賀(つるが)もかさ上げしてホームの高さは高くなっているはずなのだが・・・。ここまで頑張ってきた新快速(しんかいそく)の行き先が「湖西線経由(こせいせんけいゆ)姫路(ひめじ)方面(ほうめん)播州赤穂(ばんしゅうあこう)」となっているのを見たのち、アド先生に呼ばれた。

「ここで30分くらい時間があります。お昼を調達する人はここで調達してください。」

(なんだ。それか。)

お昼を食べる気はさらさらない。柊木(ひいらぎ)朝風(あさかぜ)もお昼を買っているそぶりはなかったし、僕もお昼のことには触れなかった。

 ちょっと待合室の方へ歩いて行くとある表示が目を引いた。そこには「敦賀発(つるがはつ)今庄(いまじょう)福井(ふくい)方面(ほうめん)列車(れっしゃ)乗降(じょうこう)(さい)ドア横にございます「開ける」のボタンを押してお降りください。」ということだった。

(よし。)

 新快速(しんかいそく)を見送って5分経つと3番線に「しらさぎ」が入線。続いて33分には「雷鳥(らいちょう)」が入線。34分に金沢(かなざわ)に向けて発車、入れ替わりに5番線に521系が入線した。到着した車両はたったの2両。それだけでも足りるということなのだろうが、これでは大きな地元の私鉄を見ているようである。

 11時43分。駿(しゅん)兄ちゃんのボイスレコーダーで聞かされて聞きなれた発車メロディーを聞いて、521系のドアが閉まる。ドアが閉まるとドアの傍らにある「閉める」ボタンの赤いランプが消えた。

 発車すると521系の乗務員室のすぐ後ろにへばりつく。大嵐(おおぞれ)閉塞(へいそく)区間(くかん)のカウントをはじめ、敦賀(つるが)を発車してしばらくする信号が(だい)11閉塞(へいそく)区間であると言っていた。521系はその後もぐいぐいとスピードを上げた。だが、途中でそれもしなくなる。直流(ちょくりゅう)交流(こうりゅう)の切り替わる死電区間(デットセクション)だ。そこを過ぎるとまたスピードを上げる。そして、大きな口を開けたトンネルが前に現れた。

北陸(ほくりく)トンネル。」

前を凝視していた柊木(ひいらぎ)が言う。もうそう言った時には521系は北陸トンネルに突入。気圧の変化が耳をツンとさせていった。

 北陸トンネルに入るとまずは左にカーブをきった。そのカーブをきり終わると延々とまっすぐに続く暗闇が前に広がった。唯一頼りになるのは521系のヘッドライトだけである。数分走ると前からも黄色っぽい色と黄色の目立つライトが前に現れる。さっきまでは信号の青と壁に取り付けられた蛍光灯の光しか見えなかったのに。

「なんか来たな。」

そのヘッドライトを視界に(とら)えた状態で前を見ている人全員に言う。

「「特急(とっきゅう)」ですかね。」

(はやぶさ)が言う。

「いや、特急じゃないでしょ。あれほど黄色が目立つヘッドライトだとすれば521系(これ)くらいしかないだろ。」

留萌(るもい)がヘッドライトで形式を判断しようとするが、まだ色しか分かっていない。だが・・・。

「うん。黄色の目立つヘッドライトだし、これで間違いないかも。」

「でも、特急ってこともありえなくはないですよ。まだ遠すぎて上のライトと下のライトが一緒になって見えてるだけかもしれないし。」

青海川(おうみがわ)が反論する。

「・・・。」

しばらくの間はこの話は保留だ。再び閉塞区間のカウントに戻る。

(だい)6閉塞(へいそく)。進行。」

動きは決して大きくないが、指を信号に向ける。閉塞(へいそく)区間から考えて北陸トンネルの中心は(だい)7閉塞(へいそく)か、(だい)6閉塞(へいそく)のどちらかの間。ここで未曾有(みぞう)の大事故が起こっているのだということを思いながら前を見た。

(だい)5閉塞(へいそく)。進行。」

大嵐(おおぞれ)の声がまた聞こえる。すると、留萌(るもい)が口を開いた。

「さっきの絶対521系だって。ここまで来て上のライトも(わか)らないままだし、第一あすこまで黄色が目立ってると・・・。」

完全にその姿を把握した。留萌(るもい)にも確信が持てたようで言うのをやめた。これ以上議論を重ねる必要もないということだろう。あれは紛れもなく521系だ。数秒後。521系はずんぐりとした身軽な車体をかざして、走り去って行った。

 この後は北陸トンネルですれ違う車両もなく、右にカーブをきって13kmある北陸トンネルを抜けた。抜けてすぐに停車駅の南今庄(みなみいまじょう)に停車。30秒の停車ののち、発車。今庄(いまじょう)の発車後EF81の牽引する貨物列車とすれ違う。その後は特に列車とはすれ違わず、鯖江(さばえ)に停車した。鯖江(さばえ)に停車する直前に案内があったが、ここの発車は12時24分。列車の到着は12時19分。この5分間の間に何かに抜かれる。その鯖江には上りの「サンダーバード」が停車しており、それには681系が充当されていた。

 だが、一つトラブルがあった。「サンダーバード」が発車したと同時にドアを閉められたのである。

「なんで閉める必要があんの。」

閉められるとすぐにそう言った。

「あっ。それ僕も思いました。ホントにKY(ケーワイ)ですよねぇ。」

「まったく。681系(ロッパアイチ)VVVF(ブイブイブイエフ)くらい聞かせろつうの。」

文句を言っても始まらないだろう。2両しかない521系の車内にはたち客が目立たないほどの客がいる。いまさらドア開閉ボタンを押しにも行けないだろう。

 12時23分。521系の左を「特急サンダーバード」が通過。充当されていた車両は683系4000番台だった。

「なんで4000番(ツルペタ)なんだよ。私はあんたのことなんか好きじゃないわ。」

「こっちもKYだなぁ。」

「今とってもむしゃくしゃしてるときに4000番なんか通過すんじゃねぇよ。」

確かにそうなのだが・・・。だが、充当されていたのだ。仕方がないことである。

 15分後。終点福井(ふくい)が接近する。ここから12時45分発の列車で金沢(かなざわ)に赴く。ここまでお世話になった列車は福井(ふくい)の上り線の引き込み線に到着。隣に金沢(かなざわ)までの521系が控えている。

「よし。乗り換えるか。」

永島(ながしま)先輩。そっちから。」

「ああ、いいねぇ。よし。じゃあこっちから。」

「こら。できないことやろうとするな。」

もちろんやるはずがない。こっちのドアのあるところは向こうにはない。できるわけがないのは初めから分かっている。

 福井(ふくい)に降りて、ホームをむこうへ歩いて行く。521系の中で言われたことだが、福井(ふくい)に着いたら流れ解散になる。そのため柊木(ひいらぎ)朝風(あさかぜ)をひきつれて、隣のホームに向かった。ホームに上がって、521系に乗り込む。この車両に乗って一番目を引いたのは、吊皮も手すりも全部黄色になっているということだった。安全のためにこうなっているのだ。先頭が取られていたので、しばらくの間がまんする。数駅行くと先頭の僕達の定位置もあいた。そこを占拠して、終点金沢(かなざわ)まで行く。当然521系のドアを開閉しながらである。どうせこんな席取る人いないだろう。

 途中数本の特急と普通とすれ違い小松(こまつ)の手前粟津(あわづ)までコマを進めてきた。ここ粟津(あわづ)でも特急に抜かれる。木ノ本(きのもと)留萌(るもい)柊木(ひいらぎ)が取りに列車の外に出ていき、13時30分ごろ「しらさぎ」が通過していった。


これで開閉時に「ティントゥーン、ティントゥーン。」ってなったら完璧。223系にも同じことが言えますね。


ホームが左側だったら「来たぜ。俺の時代。」みたいなこと言って遊んでたっけ。

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