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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:3
138/184

138列車 多数決

6月17日。これからの予定について話し合われた。狭い部室に20人集まった。これでは人口密度が高すぎる。そのため部屋を3年4組に移して話し合いが行われた。

「今日は、夏の臨地研修(りんちけんしゅう)について決めたいと思います。」

アド先生が取り仕切った。

「まず日程(にってい)を決めたいと思います。」

「今年は3年生が多いので、オープンキャンパスとかでいろいろ(ひま)がないと思うんです。さらに特進(とくしん)と中学の方は補修(ほしゅう)があって行く時が8月の6日からお盆の前と、お盆の後からと非常に限られるんです。」

こう話している間にも黙ろうとしない人がいる。

「おい。話聞け。」

箕島(みしま)がうるさい人たちを制した。

「日程の方は前話に出ていた8月6日から8月8日の3日間でいいと思います。」

僕がそう意見をした。

「8月の6日から8日まで。」

アド先生が復唱(ふくしょう)する。

「はい、まず日程が決まりました。」

まず日程が決まったというのが伝えられる。

「次に行き先を決めたいと思います。」

行き先に入った。今臨地研修先としてあがっているのは四国(しこく)北陸(ほくりく)。僕としてはどっちがいいと決めるのはたぶん無理だろう。だが、一番行きたいところを言えとなると北陸に行きたいという。ここで、どっちになるか決まるのだ。

北陸(ほくりく)。」

四国(しこく)。」

僕と箕島が同時に口を開いた。北陸と四国の言葉はお互いにかき消された。

「どこだって。」

アド先生には何と言ったのか聞きとれなかったようである。

北陸(ほくりく)です。」

今度は僕が先にアド先生に伝えた。

四国(しこく)です。」

箕島(みしま)がそれに続けた。

「おーい。ちょっと聞いてくれ。今行き先で四国と北陸が出てます。どちらにするか決めてください。」

アド先生が教室の鉄道研究部員(てっけんぶいん)に言い放った。

 ここで今出ている北陸と四国についてどんな列車があるか紹介しよう。

北陸と四国は新幹線(しんかんせん)が存在しないことにより特急街道(とっきゅうかいどう)を形成している。北陸本線(ほくりくほんせん)には名古屋(なごや)から「L特急(エルとっきゅう)しらさぎ」、大阪から「L特急雷鳥(エルとっきゅうらいちょう)」、「特急(とっきゅう)サンダーバード」、金沢(かなざわ)越後湯沢(えちごゆざわ)までは「特急(とっきゅう)はくたか」、金沢(かなざわ)新潟(にいがた)間の「特急北越(とっきゅうほくえつ)」、他にも「寝台特急日本海(しんだいとっきゅうにほんかい)」と超豪華(ちょうごうか)寝台特急(しんだいとっきゅう)トワイライトエクスプレス」が走っている。この北陸本線の特急網(とっきゅうもう)()うようにして普通列車が通っている。本州に残る特急街道(とっきゅうかいどう)だ。また、北陸本線の主要駅などから延びる七尾線(ななおせん)越美北線(えつみほくせん)などの路線も見ることができる。

 四国(しこく)特急街道(とっきゅうかいどう)と言うより特急列島(とっきゅうれっとう)である。岡山(おかやま)から瀬戸大橋(せとおおはし)(わた)高知(こうち)を結ぶ「L特急南風(エルとっきゅうなんぷう)」、同じく岡山から瀬戸大橋を渡り松山(まつやま)に行く「L特急(エルとっきゅう)しおかぜ」、この「しおかぜ」と松山(まつやま)宇多津(うたづ)間で併結(へいけつ)する「L特急(エルとっきゅう)いしづち」、「南風(なんぷう)」と違い瀬戸大橋(せとおおはし)を渡らない高松(たかまつ)高知(こうち)間の「L特急(エルとっきゅう)しまんと」、松山(まつやま)宇和島(うわじま)間の「L特急宇和海(エルとっきゅううわかい)」、高知(こうち)宿毛(すくも)間の「L特急(エルとっきゅう)あしずり」。そして、高松(たかまつ)徳島(とくしま)間の「L特急(エルとっきゅう)うずしお」、四国の山地に分け入る「特急剣山(つるぎさん)」、徳島(とくしま)海辺(うみべ)を行く「特急むろと」。たくさんの特急があの島に走っている。そして、四国はこれだけではない。本州に渡ることができれば、伯備線(はくびせん)の「特急やくも」、また東京(とうきょう)からの「寝台特急瀬戸(しんだいとっきゅうせと)」を見ることができる。

 四国はこれほどの車両を見ることができるのだ。四国でもいいだろう。そう思っているというのが本音(ほんね)である。しかし、北陸(ほくりく)にはこれに負けない理由がある。それは、ただここに行ったことがないというとてもシンプルな理由である。そして、ここの大地を時速160km/h(キロ)()ける「特急(とっきゅう)はくたか」に乗りたいというのもある。僕の北陸案(ほくりくあん)を支えているのはこれだけしかないのだ。

 数分経った。

「そろそろ。みんな決まったと思うんで、どっちに行きたいか聞きたいと思います。」

アド先生が全員の声を(せい)した。

(どっちになる。四国か・・・。北陸か・・・。)

心の中でどうなるのかというのを思った。

「一人ずつ聞きたいと思います。」

封筒(ふうとう)のように茶色(ちゃいろ)(かみ)(ふところ)から取り出しペンを(にぎ)った。

「まず、箕島(ぶちょう)。」

「四国です。」

四国票(しこくひょう)1。北陸票(ほくりくひょう)0。

永島(ふくぶちょう)。」

「当然、北陸。」

木ノ本君(きのもとくん)。」

「北陸です。」

留萌君(るもいくん)。」

「四国です。」

四国票2。北陸票2。

佐久間君(さくまくん)。」

「当然、北陸ですよ。」

醒ヶ井君(さめがいくん)。」

「四国です。」

「はい3年生は割れました・・・。次2年生。柊木君(ひいらぎくん)。」

「北陸です。」

隼君(はやぶさくん)。」

「北陸。」

四国票3。北陸票5。北陸票が一歩リードする。

北石君(きたいしくん)。」

「四国ですね。」

「今日潮ノ谷君(しおのやくん)は。」

潮ノ谷(しおのや)は今日病院に行くって言ってました。」

柊木(ひいらぎ)潮ノ谷(しおのや)不在のことをアド先生に伝えた。

「今聞けるかな。」

潮ノ谷(しおのや)携帯(ケータイ)持ってませんから、聞くのは無理ですよ。」

「分かりました。今のところ北陸がリードしてます。次1年生。汐留君(しおどめくん)。」

「四国です。」

四国票(しこくひょう)5。北陸票(ほくりくひょう)5。

己斐君(こいくん)。」

「北陸です。」

朝熊君(あさまくん)。」

「四国です。」

四国票6。北陸票6。一進一退(いっしんいったい)。どちらも(ゆず)らない状態。

「次、中学生。諫早君(いさはやくん)。」

「北陸です。」

空河君(そらかわくん)。」

「四国です。」

朝風君(あさかぜくん)。」

「北陸です。」

また北陸がリードする。

「次、中学2年生。夢前君(ゆめさきくん)。」

「四国です。」

大嵐君(おおぞれくん)。」

「北陸です。」

新発田君(しばたくん)。」

「四国です。」

四国票(しこくひょう)9。北陸票(ほくりくひょう)9。

(次で決まる。)

「次、中学1年生。青海川君(おうみがわくん)。」

「北陸。」

北陸10票。

牟岐君(むぎくん)。」

「四国です。」

全員に聞き終わった。

 入った票は四国(しこく)10票。北陸(ほくりく)10票。同率で並んでいる。ただ、今ここにいない潮ノ谷(しおのや)がどちらに入れるかで局面が一気に変わる。今はどっちに決まっていなくても、いずれどっちかに決まる。

同率票(どうりつひょう)・・・。」

留萌(るもい)の言葉が耳の遠くで聞こえたような気がした。

榛名(はるな)、北陸なんだ・・・。」

初めて意見が分かれたような口調だった。

「うん。四国は2000系とか8000系とかカッコいいのが多いけど、私は「はくたか」を()っておきたいし。」

「それは、私も思うけど・・・。」

何かがいつもと違った。

朝熊(あさま)って北陸じゃないんだ。」

「北陸は横川(よこかわ)からそんなに離れてないしね。「はくたか」だったら5(さい)の時に見たことあるし、ほかにも「白鳥(はくちょう)」(この場合は大阪(おおさか)青森(あおもり)間の「白鳥(はくちょう)」)とか「いなほ」とか。いろんな特急見たよ。」

「へぇ。」

「逆に四国へ入ったことがないんだ。お寺とかいろいろ回りながら、2000系とか見るのもいいかなぁって思って。」

「なるほどねぇ。」

己斐(こい)は四国には行ったことあるの。」

「ないけど、北陸の方が楽しそうな気がして。「はくたか」とか「サンダーバード」とか。ここじゃ見れない車両がいっぱい走ってる。それに「雷鳥(らいちょう)」とか「しらさぎ」とかも見たいと思ってね。」

「そりゃそうだな。あっちなら「トワイライトエクスプレス」も見れるしな。」

「それも見れるけど、夜遅くに行けば「急行きたぐに」も見ることができるじゃないか。」

「「きたぐに」。」

「えっ。朝熊(あさま)「きたぐに」知らないんだ。」

「ごめんね。カマにしか()けてなくて・・・。」

「二人ともすごいなぁ。俺には分かんない列車しかない。」

いつものやり取りが遠くで聞こえる。

北石(きたいし)はやっぱ2000系目的かな。」

「まぁな。」

北石(きたいし)って四国の「アンパンマン号」が好きなんだろう。」

(だま)れ、(はやぶさ)。」

「2000系にあの塗装(とそう)は似合わないよ。2000系は原色(オリジナル)だったから似合ってたのにさぁ・・・。まぁ、四国も考えたんだろうけど・・・。」

「でも、北石(きたいし)。あすこには8000系(しおかぜ)とかも走ってるんだぜ。お前8000系(しおかぜ)には興味ないのかよ。」

「ディーゼルじゃないから興味ないってわけじゃないけど。」

「じゃあ、8000系(しおかぜ)って好きなうち。」

「好きか嫌いかって言われるとなぁ。」

「そんなことより。北陸には興味ないの。」

「いや、あるよ。「はくたか」とか一度乗ってみたいなぁって思ってるし・・・。僕としては四国でも北陸でもどっちでもいいって感じかな。」

「それは俺も同じだな。まぁ、今年行くのが北陸じゃなくてもいいんだけどなぁ。」

柊木(ひいらぎ)の言葉に共感した。

(そうだ。北陸じゃなくてもいい。でも・・・。)

頭の中がそれだけにいっぱいになった。いや、それ以外考えれなくなったのかもしれない。

「はい。それでは、北陸のプランと四国のプランで考えてきてください。それでどちらかいいプランがあったらそっちにみんなで飛びつこうと思います。」

 今日のミーティングはこれで終わった。結局、この日は日程(にってい)以外決まらなかった。それはそうだろう。ここまで意見が分かれているのだ。

 6月18日。岸川学園(きしかわがくえん)では奇数週(きすうしゅう)の土曜日にも授業(じゅぎょう)がある。

潮ノ谷(しおのや)。」

柊木(ひいらぎ)(はやぶさ)は2年8組の理系クラスに来た。

「何、(つばさ)。」

「お前さぁ、臨地研修で行くんだったらどっちがいい。今北陸と四国っていう風になってんだけど・・・。」

「うーん。北陸か、四国か・・・。」

「そう。潮ノ谷(しおのや)だったらどっち。」

「そうだなぁ。僕は・・・。」

(えっ。)

柊木(ひいらぎ)(はやぶさ)は目を見開いた。そして、次に出る言葉が消えた・・・。


こういう書き方したらいまどっちに票が入ったか分かっちゃうか・・・。やっぱり僕は下手です。文章書くのは下手です。


なお、この後書きに書いている作品の批評は僕の思っている偏見ですので。

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