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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:3
135/184

135列車 長編成祭り

 6月11日。岸川高校文化祭当日。

永島(ながしま)先輩。一番最初は何走らせるんですか。」

こういう展示が2度目の朝熊(あさま)はそう聞いてきた。

「そうだな。まずは東海ってところだろ。カマはそのあとでも十分さ。」

「そのあとじゃなくてもいいんじゃないですか。カマはどこにでも行けますから。」

「線路さえあればな。」

僕は313系の5000番台の箱と300番台が入っている0番台の箱を探した。これが内線に走らせるもの。外線ははっきり何でもよかった。なら0番台のほうを1000番台扱いで211系5000番台と連結するのが手だ。それでいこう。

朝熊(あさま)。こいつとこいつを。どっちが先頭でもいいからこいつ出して。」

GREEN(グリーン) MAX(マックス)の箱は真新しいものだった。これは結構最近に発売されたもの。何も汚れていないのがおそらく太陽で変色したと思われる0番台と比べるときれいなものだ。GREEN(グリーン) MAX(マックス)の車両はKATO(カトー)の車両とふつうは併結することができない。なぜならカプラーが違うからだ。線路のほうはどこ会社でもゲージが同じであれば0系新幹線を在来線で走らせることだって可能だ。しかし、車両のほうはそういうわけにはいかない。基本KATO(カトー)KATO(カトー)の車両と、GREEN(グリーン) MAX(マックス)GREEN(グリーン) MAX(マックス)の車両としか連結できない。それを飛び越えれる改造を施すことができるバンパーのパーツを発売してくれたからこれができるのだ。しかし、前からおととしにも313系と211系の併結はやっていたのだが、あれは模型というところをただ利用しただけだった。つながれた相手は同じ211系でも高崎線のほうで活躍していた3000番台だったからだ。

「へぇ、こういう併結あるんですね。」

朝熊(あさま)はそう言いながら、313系を後ろにして、線路に並べ始めた。僕だって併結するときは必ずと言っていいほど313系を前にして配置する。朝熊(あさま)はある意味新天地を求めたようだ。編成は同じ8両。ほぼ同時に並べ終わり、僕は汐留(しおどめ)にスタートの合図を出した。

朝熊(あさま)。そっちはオーケイ。」

「お前気が早い。もうちょっと待ってろ。・・・。よし。行け。」」

「了解。」

汐留(しおどめ)はその合図で、外線のコントローラーのつまみをまわす。するとホームに止まっていた211系がゆっくりと動き出した。本物は名古屋(なごや)金山(かなやま)の間だけ。この組み合わせが一周する間に合わない組み合わせになる距離でしか、両者はすれ違わない。

「よし。朝熊(あさま)次だ。何走らせたい。」

「次。急にそんなこと言われても。」

「いいから次だ。前みたいに車両基地はないし。もたもたしてられないぞ。」

「じゃあ、この「綾温泉(あやおんせん)」に列車出していいですか。」

「何出すつもりだよ。」

「カマで貨物列車。ありえることというかありえたことでしょ。」

まさか。どういう貨物列車だかすぐに検討が付いた。すぐに朝熊(あさま)が並べだした、貨物列車は黒い。黒い貨車しかない。

「ねっ。ありえたことでしょ。」

「・・・。昔「綾温泉(あやおんせん)」が貨物取扱駅だったかの方がツッコみたくなるよ。」

永島(ながしま)先輩聞きますけど、この「C58(シゴハチ)」走るんですか。」

「どうだったかなぁ・・・。」

言葉を濁らせた。家にも蒸気機関車がたくさんある。すべて父さんのだけど・・・。父さんが持っているのは「シロクニ」と「デゴイチ」と「シゴナナ」だった。他にもあったけど、そんなところまで蒸気機関車は詳しくない。

「またすごいシュールなのおいてるなぁ・・・。」

誰かがそう言った。顔を上げてみると今まで見たことない顔がそこにある。まぁ、それは朝熊(あさま)の話で、僕はこの人を知っている。

青木(おおぎ)さん。」

「よーす。ねぇ、君。置くなとは言わないけどさぁ、313系と211系が走ってる隣でそれはないだろ。それともなんだ。「綾温泉(あやおんせん)」で列車待避中か。結構なドラマ考えてるなぁ。」

青木(おおぎ)さん。向こう手伝わなくていいんですか。」

「向こうはあれで十分だよ。だからこっち来た。俺の「きたぐに」走らせる余地あるか。」

(また「それ」かぁ。)

朝熊(あさま)。車両のほうはこの人と俺でやるから、朝熊(あさま)は運転回って。」

「あっ。はい。」

朝熊(あさま)は「綾温泉(あやおんせん)」に貨物を10両並べて、最後尾に「ヨ6000」をくっつけた。昔の貨物列車はこうして車掌車が付くというのが常だった。そう、昔は貨物列車にも車掌が乗っていたのだ。今日乗らなくなった理由は簡単だ。

「で、「きたぐに」ですか。」

「そう。走らせるのはいつでもいい。」

「じゃあ、ネタに困ってるんで次外で「それ」行ってください。」

「おいおい。もうネタに困ってるのか。」

「いや、どれにしようか迷ってるって意味のこまってたです。」

「なるほど。・・・。ネタの多さね。外線は「きたぐに」にするのは分かった。内線はどうするんだ。「雷鳥(らいちょう)」でもいいけど、あれもお前の持ち物だったよなぁ。」

「ああ。今日は持ってきてないんです。その代りにって感じで223系を大量に。それプラス221系を持ってきましたけど。」

「関西圏多いなぁ。」

「いいじゃないですか。好きなんですから。」

「見ず知らずの人の前で好きとかっていうんじゃないぞ。勘違いされて終わるからなぁ。」

「いや、それって考えられないでしょ。どこどう考えてその答えにたどり着いたんですか。」

「まぁいい。外に「きたぐに」出してるからな。」

青木(おおぎ)さんは外に「きたぐに」を並べ始める。僕は内線をどうしようかということに迷ったが、この際221系で新快速でいいだろう。ちょうど方向幕がそうなっているんだ。問題ない。221系を並べていると青木(おおぎ)さんは何かつぶやいた気がした。だが、それは僕には聞こえなかった。だが、ちょっとその理由は分かった気がした。5番線に止まっている「クハネ581形」の位置がこの方向ではおかしいということだった。青木(おおぎ)さんはそのことをつぶやいたに違いない。

「しかし、221系もこうして並べると長いもんだなぁ。12両だろ。」

「でも12両は向こうの最大ですから。」

「・・・。」

しばらくたって313系と211系の8両。5000番台(313系)と300番台(313系)の8両を4・3番線に引き込ませる。止まったところでポイントを変えて、2番線の221系と5番線の「きたぐに」を発車させる。これが走り出すとこれまで走ってきた313系の長さが子供のように見えた。なんて。いつまでも見入っている暇はない。3・4番線に出ている車両を閉まって、221系と「きたぐに」がこの線路に入ってこれるようにして、2・5番線に次に出す車両を置く。

「ナガシィ先輩。内線脱線してますよ。」

(はやぶさ)の声が聞こえた。すぐに汐留(しおどめ)に止めるように指示して、(はやぶさ)に直してという。(はやぶさ)から出発よしの勧告が来て、また発車していった。恐らくカーブを通過中に脱線したに違いない。脱線していた車両は6(クモハ221形)・7号車(クハ221形)だと聞いた。そのあとのカーブではそう言うことはなかったのだが、1周して戻ってくるとまた同じ場所で脱線する。あの場所を徐行で運転することにして、脱線箇所を減速して通過させることにした。家ではそういうことがないから、安心なのである。そして、もう1周して戻ってくる。減速させて通過させれば脱線は起きなかった。速度が原因だったようだ。

 次に走らせる車両を議論しながら、青木(おおぎ)さんと車両を決めていく。

「ねぇ、永島(ながしま)。なんかいい問題でもないか。」

醒ヶ井(さめがい)がそう聞いてきた。ようはアナウンスのことだが・・・。

「いい問題だったら俺が作ってやるよ。なんか黒板があればそれ使いたいんだけど。」

(まさか・・・。)

青木(おおぎ)さんが思いついた問題は大体見当がついた。難読駅でどう読むのが正しいかというものを出題する気だというのが見え見えだった。もちろんここには黒板もホワイトボードもない。なら出題できないではないか・・・。だが、すぐに青木(おおぎ)さんは別の問題を量産した。問題は「923形とは何か」というものだった。この問題を出したところ木ノ本(きのもと)に簡単すぎるとツッコまれていた。もちろんそういう問題。すぐに答えられて終わっていた。

「よし、永島(ながしま)。次何行く。」

「そろそろ。1300t(トン)貨物出してもいいと思ってるんですけど。」

「26両かぁ・・・。よし、行こう。外は1000t(トン)級で我慢してやる。」

外も貨物で行くつもりらしい。1000t(トン)級ということはコキは20両だ。僕は家から持ってきた26両のコキ100形を並べた。上野(うえの)駅に入るのはだいたい16両(外は14両)ぐらい。それ以上になると貨車はホームから飛び出して、走ってくる列車の進路を塞ぐことになる。なので、そうなる前に列車を待避させる。列車を待避させたら、その先を並べる。並べ終わったらその先頭に機関車を立たせる。僕が立たせたのはEF210.青木(おおぎ)さんが立たせたのはEF510だった。

「よし。朝熊(あさま)君行っていいよ。」

「了解。」

汐留(しおどめ)。こっちもオーケイだ。」

こちらも出発よしの合図を送る。朝熊(あさま)のほうは機関車の運転のノウハウが分かっているように取れた。EF510はゆっくりと出発していく。機関車は単独ならば加速性能は普通の電車と同じくらいかそれより少し低いぐらい。しかし、後ろに客車が続くと、加速性能は必然的に落ちる。だから、ホームから機関車が走り去ってもそんなにスピードは出ていないのだ。極端な話、電車で100km/h(キロ)なら貨物は50km/h(キロ)ぐらいだ。

「コキ50000の中に2両だけコキ106がはいってる。」

日本海縦貫線(にほんかいじゅうかんせん)のやつは大体そうなってるぞ。」

「そのコキ106って、このグレーの貨車のことか。」

「そうだよ。ていうか、永島(ながしま)先輩の貨物のほうがもっとすごいけどなぁ。ほとんど青だし。」

「あれは異常だって。」

汐留(しおどめ)なんか言ったか。」

「いえいえ。何も言ってないです。」

「ナガシィ先輩。外線親が子を切り離していきましたけど。」

また(はやぶさ)からトラブルの通達だ。ここまで長い貨物列車はそれだけ子供の目を引いている。そのため、(はやぶさ)が言う前に切り離したことが分かった。子供が周りにいると「切り離しちゃったよ」とか結構いろいろ言ってくれるからだ。

永島(ながしま)いいよ。俺が直しに行く。どうやらEF510(あいつ)はコキ350000のほうがいいらしいなぁ。」

(いや。それもコキ50000の内なのでは・・・。)

青木(おおぎ)さんが復旧して戻ってきたけど、やっぱり切り離してしまうという事業をEF510は進めていった。青木(おおぎ)さんはそのたびに「よっぽど嫌いなんだな」と言っていたけど・・・。まぁ切り離し回数が多ければ多いほど機関車が貨車を嫌っているとしか思えないか・・・。

 15時。文化祭が終了。僕たちは一度体育館のほうへ行く。その間の片付けは青木(おおぎ)さん含め瀬戸学院の人たちと今日手伝いに来てくれた人たちがやってくれる。そして、僕たちは表彰などが終わってから片付けに加わるという方式だ。

「ただ今より、平成23年度。涼風祭(りょうふうさい)部展の優秀賞・グランプリを発表いたします。」

佐久間(さくま)の途中報告では生物部に少し遅れているとのことであった。優秀賞でもいいだろうと思っていた。

「優秀賞。生物部と吹奏楽部。」

どうやら生物部はそのあとどこかに逆転されたらしい。いったいどこが生物部を・・・。

「グランプリ。鉄道研究部。」

この声を聞いた瞬間飛び跳ねたくなった。勝因はおそらく子供の票。大体子供が入れてくれるパターンが多いと思う。それでだろう。もし呼ばれたらということで、僕が壇上に上がることになっていたが、これでは別の意味であがってしまうのではないだろうか・・・。そんなことは関係ない。壇上に上がって目立つようなことをせずに戻ってきた。


国鉄貨物列車は45両編成とかあったらしいですよ。

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