13列車 初旅行の行程
4月29日。今日は岸川学園の寮で部活動である。岸川学園の寮(岸川寮)は正門を出て、南に歩いて行く。すると職員駐車場が見えて来る道を左に曲がって、近くにある神社の前を通ってすぐのところにある。ここの2階はほぼ鉄道研究部の貸し切り状態になっており、中の階段の右側にモジュールなどが保管されており、学習室のほうはほぼ自由に使っていいそうだ。
「えー、今日は5月2日の歓迎旅行にどこに行きたいかってことだけど、どこに行きたい。」
「って、1年生に聞く必要ないじゃないですか。もう行き先決まってるんだから。」
「ナヨロン。ちょっと書いて。」
「サヤ、ATMって浜松から東だよなぁ。」
「ナヨロン。それやばくない。編成に詳しいんだから分かるだろ。ふつう。」
「うっさい。知ってて言っただけだよ。」
黒板にうねうねした線を一本。それにつながった線を一本。その端に至り豊橋と至り東京と書いた。
「えーと。まずこれで浜松がどこか分かるか。」
「だいたいここじゃない。サヤ合ってるよねぇ。」
「合ってるけど、善知鳥が書くなよ。」
一呼吸おいて、
「まず工程を話す。5月2日に浜松駅改札口・・・言うの面倒くせぇなぁ。ハカグチに6時45分集合。集合したら「休日乗り放題」とかっていう2600円の切符渡して、7時05分に出る「ホームライナー」に乗って静岡まで行く。そんで、静岡まで行ったら普通でATMまであーっていって、それから国府津とかいう・・・。」
「国府津な。」
ナヨロン先輩が訂正する。
「それはどっちでもいいから。で、その国府津とかいうところまで着たら御殿場線に乗ってあーって戻ってくる。そんで清水のエスパルスドリームプラザとかいうところであーって休んで、普通であーって帰ってくる。ざっと工程はこんなもん。説明終了。」
「にしていいわけないだろ。」
ナヨロン先輩とアヤケン先輩がすかさずツッコんだ。
「えーと、サヤだとまた端折りそうだから、俺から工程言っとく。」
説明はサヤ先輩からナヨロン先輩に変わった。
「まず、集合はさっき言った通り6時45分。この時間に集合できなかったやつはたとえサヤでも置いてく。それで今回の旅行で使う切符は「休日乗り放題きっぷ」とかっていうやつで、旅する。これが2600円。だから当日は2600円忘れるなよ。で改札とおって一番最初に乗る列車が7時05分発の「ホームライナー静岡」。それで終点の静岡まで行く。次が8時51分に発車する普通熱海行き・・・。」
「あーっ。」
サヤ先輩と善知鳥先輩が叫んだ。すると、ナヨロン先輩をどっかに連れて行った。
「しょうがない。今度はぼくが説明するか。」
説明のバドンはナヨロン先輩からアヤケン先輩に変わる。
「さっき言ってた8時54分発の熱海行きに乗って、終点熱海の到着が10時04分。次に乗る列車は11時30分発の普通だから、この間に食うもん食っとくように。まぁ、食いたくない人は別だけどな。で11時30分のふつうで途中の国府津で降りる。国府津で降りたら御殿場線の12時32分発の列車に乗って終点沼津が13時50分着。それで、沼津から14時15分発の普通で、途中の清水まで乗る。その清水到着が14時59分。そのあとエスパルスドリームプラザとかっていうところに行って、清水に戻って17時15分発の普通で終点浜松が18時41分。とまあ、こんな感じだ。ああ、あと言い忘れてたけど「ホームライナー」に乗るためには310円必要だからそれも忘れるな。忘れたやつはたとえサヤでも置いてく。」
「はい、分かりました。」
すると、ナヨロン先輩を抱えて、サヤ先輩と善知鳥先輩が戻ってきた。
「何二人でネタばらししちゃってんだよ。」
サヤ先輩に抱えられている状態だったナヨロン先輩がそこから抜け出して、
「ネタばらしじゃないだろ。いくらなんでも通じないって。」
「そうそう。ナヨロンの言うとおりだぜ。とりあえず工程はざっと話しておいたけど。」
「そうか。」
サヤ先輩はため息をつくと、
「よし、本当に分かったか今からおさらいする。まず「ホームライナー」って何て呼ぶか分かるか。」
ほとんどの人が手を上げて、自分の考えを述べる。まず醒ヶ井が、
「「ホームライナー」。」
「違う。永島。」
「HR。」
「そうだ。HR。」
「サヤ。HRじゃなくて、HLな。Home Linerだから。」
またナヨロン先輩が訂正する。
「んじゃあ次。ATMってなんだ。」
「現金自動預け払い機。」
「醒ヶ井バカだろ。違う。空河。」
「熱海。」
「そう。次、御殿場線ってなんだ。」
「御殿場線。」
「木ノ本。いい加減気づけって。」
「あっ。分かった。突起、突起。」
「違う。」
「突起違うんじゃ分かんないよ。」
「放物線。」
「うわ、スゲェ。永島当てやがった。」
「感心するとこ違うだろ。」
ナヨロン先輩がツッコム。
「とまあそんな感じだ。全員覚えろー。」
「サヤ。まだ注意事項いってないだろ。」
「ああじゃあ頼む。諸君聞けー。」
「えーと、注意事項今からいいます。注意事項はまず車内へのマックスの持ち込み禁止。」
「善知鳥先輩。もしマックス持ち込んだらどうなりますか。」
「もし車内にマックス持ち込んだら、窓開けて外に投げ捨てる。」
(今の車両ってだいたい窓あきませんよねぇ。)
「その2。車内でもし携帯とかが鳴ったら、その人の携帯壊します。どうやって壊すかって言うと、折り畳み式携帯はスライドして、スライド式携帯は折りたたんで壊します。」
「もし両方だったらどうするんですか。」
「もし両方だったら窓開けて、外に投げ捨てるか。開かなかったら着いた駅でゴミ箱に捨てるか、車内のトイレに流す。」
(とにかく。まともな壊し方しないってことね。)
「その3。来た列車が吊りかけじゃなかったら、界磁チョッパヤダ吊りかけがいいって言うこと。」
「言わなかったらどうなりますか。」
「一番最後。やらなくていいだろ。だいたい、今の車両なんてVVVFが多いんだから。」
「んじゃあ、VVVFヤダ吊りかけがいいで。」
「関係ねぇよ。とにかく言わなくていいってこと。」
「ちなみにナヨロンはその犠牲者です。」
「言わなくていいつぅの。」
最後はナヨロン先輩が善知鳥先輩を押し潰して、この話は終了。
「旅行とかはだいたい決まった。」
横で聞いていたアド先生が口を開いた。
「あっ、だいたい。」
「それで、北斎院君。自己紹介とかはしたの。」
「あっ、とりあえず名前だけぐらいは言いましたけど。」
「1年生に顔とか覚えてもらうために、もう一度やって。クラスと名前と一言でいいから。」
「あっ、分かりました。えーと全員席ついて。今から顔覚えてもらうために3年生から順番で自己紹介することになったから。とりあえず俺から始めるけど。3年5組。北斎院大智です。よろしくお願いします。」
「カッコすごく天然です。」
「一言余計。次、善知鳥。」
「3年5組善知鳥茉衣です。何か分かんないことあったら聞いてください。」
「3年8組綾瀬健斗です。よろしくお願いします。」
「こいつの作ったゴミモジュールいっぱいあるよ。」
「ゴミじゃないだろ。・・・3年6組名寄真佐哉です。鉄道には詳しいんで何でも聞いてください。」
「地図を読むのは苦手です。それと彼女募集中です。」
「一言余計だ。次、ハクタカ。」
「2年8組。鷹倉俊也です。よろしくお願いします。」
「「チャンダーバード」と「パクチャカ」にしか詳しくないぞ。」
「「サンダーバード」と「はくたか」だけで悪かったですね。次絢乃。」
「2年8組の楠絢乃です。よろしくお願いします。」
「自称。鉄研のホームヘルパーです。」
「違います。次、1年生。」
「1年5組の佐久間悠介です。電車は新幹線が興味あります。よろしくお願いします。」
「1年4組、箕島健太です。よろしくお願いします。」
「1年7組醒ヶ井瑛介です。電車には全く詳しくありませんがよろしくお願いします。」
「1年4組。木ノ本榛名です。よろしくお願いします。」
「1年5組。永島智暉です。電車にはそこそこ詳しいのでよろしくお願いします。」
「次中学生。」
「1年A組の諫早轟輝です。よろしくお願いします。」
「1年A組。空河大樹です。よろしくお願いします。」
「1年A組、朝風琢哉です。よろしくお願いします。」
これで部員全員の紹介が終わる。読者の皆様も少しは覚えてくれただろうか。
4月30日。今日で部活決定が仮決定から本決まりになる。
ようやっとここまで来ました。
これから2話程度の旅行シリーズになります。どうぞ自分がそこにいると思って読んでみてください。
本当に読んでくれる人には感謝。それと感激です。