118列車 ちかいオープンキャンパス
どこまでの人が「青春18切符」は年齢制限があると思っているのか・・・。
ウソもほどほどに。年齢制限なんてあるわけないです。
3月23日。5時53分に大垣にいた。
「・・・。」
僕たちは373系から降りたばかりである。とても体が痛い。ずっとこの中で揺られてきたのだが、とてもじゃないが寝れるようなところではない。鉄道の中では基本寝れるのかもしれないが例外もあるみたいだ。
「で、5時58分発って言ってたっけ。」
佐久間が僕に確認してきた。
「そうだよ。って木ノ本は。」
「あっちで写真撮ってる。「ムーンライト」も撮影しに行ったときは見てると思うんだけどねぇ。」
留萌がそれに反応した。しばらくして木ノ本がこっちに向かって来た。すぐに僕たちは5時58分発の普通が発車するホームに向かった。階段を越えて373系が止まっている反対側のホームにやってくる。そこに止まっていたのはJR西日本の223系。ここは当然2000番台だった。なんたって数が多い。僕たちはクモハ223形の進行方向左側に陣取った。ちょうどここが開いていたからだ。発車時刻になると223系は独特のモーター音を発して大垣を発車した。
この先この列車は終点の網干まで各駅に止まっていく。こいつにとっては何とも気の長い旅である。米原までは各駅でもその先は普段通り駅をバンバン飛ばしていきたいだろうに・・・。それは僕たちも思っていることだ。この先新快速を使わなくても集合時間の10時には余裕で間に合う。だが、この区間はできうる限り飛ばしたいものである。結局各駅に揺られるのは米原まで、その先は新快速で飛ばしていくことにした。
今日は一つだけ問題がある。ふつうの4号車に乗った時ナガシィの顔が見えてしまったのだ。幸い自分には気づいていないようである。今日は気づかれてはいけない日になった。気づかれないように行動するには・・・。そこだけを考えた。そして、さらに運が悪いことになった。考えたことが私と同じだったのだ。
米原で223系から降りる。降りても次に乗車するのも223系。変わらないのだが、僕は淡い期待を持った。
米原で223系から降りる。自分の中には淡い期待がある。
「さっさと行っても仕方ないよなぁ。」
留萌がつぶやいた。なんでなんて理由は聞くまでもない。
「どうする。そこら辺で暇でもつぶす。何分か。」
「・・・。」
「それでいいよ。」
この先大阪に到着するのは8時35分。今は6時31分。到底耐えられそうにないということで米原で降りたものの。まさか考えることが同じとはなぁ・・・。どうにかして気づかれないようにしなければ・・・。トイレに行っていつもと違う髪型に変えてみた。恐らくすぐに気付くだろう。もしそれで問いただされたら、その時は正直に話すしかない。その時はナガシィに何と言われているだろう。しばらくはこき使われそうな気がする。
ナガシィたちの行動を柱の陰から見ていたわけではない。自分はもう先に行ったものだと思っていた。だが、ナガシィたちはまだホームにいる。どうやら6時37分発の新快速には乗っていかなかったようだ。まだまだこんな思いをしなくてはならないのか・・・。次の新快速は6時52分発の西明石行き。乗るのかと思っていたが、ナガシィたちは別のところに歩きだしていった。どうやら次の新快速にも乗る気はないらしい。
(次の新快速でいっちゃおうかなぁ・・・。)
ふとその考えが生まれたが、来た223系で一気に砕かれた。この次の新快速は7時03分発。これもきた223系で砕かれ、結局7時17分発の次で向かうことにした。その先は1000番台だろうが2000番台だろうがどうでもいい。
僕たちはちょっと米原のあたりを散歩・・・と言ってはおかしいか。朝ご飯を食べれそうなところに行きたいと佐久間が言ったのでそれについてきていた。結局そんなもの見つけられず。ホームに戻ってきた。次の新快速は7時17分発。この間に出た新快速で1000番台が含まれている可能性は大きい。9編成しかない編成のうちいま何編成が稼働しているだろう。その数えれないものは別として、今度来る新快速にかけてみることにした。
僕たちの前に姿を現した新快速は1000番台。天は僕たちも見捨てていなかったようだ。勇んでこれに乗り込んだ。さすがに立っているという感情は起きなかったので、そのまま4人掛け状態にしたボックスに座った。
ようやっと来た1000番台だ。ナガシィたちもそれの1号車に乗り込んでいる。ナガシィから見えるほうに座ったらばれる。なら、そのままずっと立って向こうを見ていればばれないだろう。ナガシィは鈍感だからというところにかけて、ずっと前を向いていることにした。
しばらくたつと発車時刻。米原を滑るように抜け出して、東海道に躍り出た。
京都まではふつうの足取り。オープンキャンパス、臨地研修とお世話になったスピード。あっという間にここまで来た。
(・・・さすがにこの区間立ってるのはつらいなぁ・・・あと30キロぐらいあったよねぇ・・・。)
隣から223系が発車していく。
「おい。何フライングしてるんだよ・・・。」
と言ってやった。走って行った車両は2000番台。すぐに抜いてやるとつぶやいた。
僕もその光景を見ていた。
「何フライングしてるんだよ。」
隣を見てつぶやく。
「ああ。フライングね。大丈夫。すぐに抜くから。」
留萌が答えてくれた。佐久間が寝ていて、木ノ本はPFPに没頭している。目の前から223系の車体が消えて、数十秒たって僕たちの乗る新快速もそのあとを追っていった。
その列車に追いついたのは向日町付近だった。目を向けていた方向にシルバーの車体が横たわる。まるで鉄道の高速道路を走っている感じだ。上下関係は外内逆ではあるが関係ないかぁ。向日町を通過するとき新快速と快速の間は向日町のホーム分開く。それでも新快速のほうは快速を突き放していく。僕たちのところで先頭の顔がよく見えるようになったとき新快速と快速は同時に向日町を通過した。一瞬ではあるが向日町のホームは2本の通過列車に挟まれた。
その列車は西大路と島本の間で眼下にとらえた。眼下にとらえるとあっという間。ぐんぐん内側の線路を先行する223系と距離を縮め、島本を通過してすぐ後に最後尾に追いつき、向日町を通過する前に新快速が頭ひとつ前に出た。
(さっきの快速島本に止まってなかったし・・・。チート使ってるなよ・・・。)
なんてチートなんて言葉はこの業界には通じない。そういうダイヤなのだ。ここで快速をごぼう抜きしたということは山崎を通過する前にごぼう抜きされる快速がいないことになる。その代りに普通がごぼう抜きされるのだろうか。それでは今走っている快速と普通との間がなさ過ぎるかぁ・・・。
新大阪に到着する。新大阪で列車を降りて、地下鉄御堂筋線のほうに向かう。私はナガシィにばれないようにすぐに向こうに向かう。僕たちはしばらくここにいて、ちょっと経ってから向こうに向かうことにした。
笹子観光に到着する。
「おはよう。久しぶりですねぇ。」
受付を済ませた後バスが止まっているほうに向かう。向うとそこには難波さんがいて、話しかけてきた。
「・・・。久しぶりです・・・。」
答えを返したけど、今日はあまりこの人とは話したくないと思った。前はだれもいなかったからよく話したものだ。特に223系の話で盛り上がった。
しばらくしてから笹子観光に向かった。受付を済ませて、バスに乗り込む。またことごとく男子はいないのかと思ったが、今回の男女比はほぼ1対1だった。
それから数人バスに乗り込んできた。それで全員が集合したらしい。バスのドアが閉じられる。それからバスは笹子観光から発車して、京都に向かっていった。いったい今回なにをするのかということを書いていなかった。今回はイベントの一つ。空港などいろいろなところを訪問するツアーだ。今日は京都嵐山のほうを走っている「嵯峨野トロッコ列車」と京福電気鉄道。通称嵐電の1両を貸切、京都をまわってくるというものだ。僕は「嵯峨野トロッコ列車」に中学の修学旅行の時に乗ったことがある。そして嵐電のほうは小学校の時に京都まで旅行しに来た時に乗ったことがある。両方とも乗ったことはあるのだ。だから、どういうものかは覚えている。
バスは順調に京都までやってきた。まずは亀岡のほうにある道の駅らしきところに停車。そこでちょっとの間トイレ休憩をした。ナガシィが下りたことを確認して、後ろを向いた。
「榛名―。」
小声で呼びかける。最初に発した声では聞こえなかったようなのでもう一度読んだ。そこでようやっと気づいたみたいでこちらによってきた。
「萌ちゃん。どうしたの。」
「どうしたのじゃないでしょ・・・。なんで教えてくれなかったの。」
「おいおい。この機会に話しちゃったらどうなんだ。」
「・・・。いやぁ。やっぱりそれは・・・。」
やはりそうするべきなのかというかという考えが生まれたがなかなかそうできないというのが自分の心の中にあるのが今この段階でもあることがはっきりした。
「・・・。」
「榛名。私がここにいるってことはナガシィには絶対これだよ。話さないでよ。」
指を口の前に持って行って秘密ということを表現する。
「分かったよ。私からは話さない。でも、何で話そうとしないわけ。」
「だって・・・。」
外を見るとナガシィがこちらに戻ってきているのが見えた。すぐに榛名に席に戻ってと言って、ナガシィにはわからないようにする。木ノ本は席に戻ると、留萌に何話していたのと聞かれたが、あとで話すねと言ってこの場を切り抜けた。
それからトロッコ亀岡のほうにバスは移動。そこでバスの中で分けられた弁当を食べ、時間がくるまでここでゆっくりしていることになった。僕はすぐに弁当をある意味で食べ終えた。すぐに外に行って、線路が眺められるところに腰を下ろした。時折山陰本線を走る221系が4両で通過していく。ここからは近くにある駅も確認することができた。
その頃バスの中は・・・。
「221系だ。」
つぶやきが大きな声だったらしい。周りの目線が自分に集中する。
「・・・。」
(さすが萌ちゃん。)
(私もあれくらい分かるけどさぁ・・・。)
「さすが坂口さんですねぇ。」
難波さんがそう話しかけてきてくれて、ある意味助かる。
「でも、あれって山陰本線で動いてるんですか。」
素朴な疑問に変えて、難波さんに吹っかける。難波さんにはこういうことはおそらくわからないと思って吹っかけたため、すぐにそれは分からないという答えが返ってきている途中だった。
「山陰本線の113系の置き換え。宝塚線の「丹波路快速」に223系の6000番台が投入されて余剰になった分が山陰本線に転属して、225系の投入で余剰になった221系が奈良の「大和路快速」と「みやこ路快速」のほうに投入されたってこと。」
留萌が自分の知識を披露していた。
「へぇ、そうなんだ。」
「だから、仕事場を221系は失っちゃったわけで、それを補うところが奈良とここだったわけ。」
「さくら・・・。」
「二人ともすごすぎてついてけないわ。」
難波さんはそう言っていた。
しばらく太陽の光でぬくぬくしていた。くつろいで頭は眠っていても僕の目は覚めている。221系が土手の上をマイペースに走って行く。信号機に目をやると進行になっている。と言っても進行になっているのは当然か。あれは出発信号や場内信号ほど性格が強くない。今度は駅のほうに目をやった。すると電車のヘッドライトが見えた。何かやってくるのだ。さっきまでのとは違うことはすぐに分かった。3つある。山陰本線を走っていて、ヘッドライトが3つとなるとただの列車ではない。ちょっと経つとその姿がはっきりした。この時間に来る特急列車があるみたいだ。ここからではヘッドマークの色を判別できるくらいだ。これで眠っていた頭も覚めた。バスからもこの光景は見えるだろう。
13時20分ごろ。僕たちは一度バスのほうに集合した。それから僕たちはトロッコ亀岡のほうに歩いて言った。ホームに上がるとちょうど向こうに列車の姿が見える。僕は突端まで行ってその列車を取った。みんなのいるところに戻って、列車の停車を待つ。列車が停車したら、ドアが開く。ドアが開いたら、乗っていた客が乗りるのを待って、乗り込む。トロッコというだけあって列車の窓はない。あるのはポールだけ。床下はソッコウのふたのように網目になっていて下の線路を覗くことができる。席に座るとしばらくの間個々の景色を拝むことができた。それが済んだと思った時に下から突き上げる衝撃が2・3回あった。
「なんだよ。トロッコは211かよ。」
佐久間が文句を言っていた。確かに。この手の列車は気を付けて運転しないとこうなる。
トロッコ列車がゆっくりと保津峡の間をぬけていく。山陰本線は新鮮に付け替えられたので、こんなところは通らない。トンネルでほぼ一直線に突き進んでいく。うねうねと川に沿い終わったら終点の嵯峨嵐山に到着。
嵐山には新しくオープンした鉄道館があるらしい。名前を覚えていなかった・・・。そこを見て、バスが止まっているというところまでしばらく歩き、途中で解散する人は解散して、バスで帰る人はバスで帰るということになった。
「佐久間のやつなにしてるんだ。」
今僕たちは大阪に戻ってきている。
「お土産買ってくんだって。ここのロールケーキがおいしいんだと。」
「へぇ。ロールケーキねぇ・・・。」
この言い方は絶対興味持ってない。
私は今9・10番線にいる。
(17時47分に「日本海」かぁ・・・。見てこうかなぁ。)
電光掲示板に出ている表示を見ていた。
(萌ちゃんあそこにいるしなんて思ってるのかなぁ・・・。)
木ノ本の姿も見えたし、今思っていることを想像した。
「永島。18時に出る新快速9番乗り場だって。」
留萌が電光掲示板を見ながら言う。
「ああ。分かった。ちょっと待って佐久間にメールする。」
メールをしてから9番乗り場に向かった。
(ウッソー。)
エスカレーターから上がってきた顔ぶれと見て思った。
17時42分。「寝台特急日本海」が10番乗り場に入線。今日の担当はEF81-113号機。「トワイライトエクスプレス」の専用機だった。この時間から一番早く発車する新快速は18時00分発。新快速長浜行き。この列車は8両だったから。メチャクチャ混んだ。僕たちは1000番台のクモハの所定の位置で前方を見続け、米原まで。そこからは座って浜松まで。浜松に到着したときには23時になっていた。
この中で新快速が内側を走る快速をごぼう抜きしていますが、どれぐらいのスピードで走っているかというと時速130km/hです。このスピードで車のユーザーを鉄道ユーザーに変えたほどの実績を持つ、まさに日本の「イダテン」です。
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