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MAIN TRAFFIC1  作者: 浜北の「ひかり」
Kishikawa High School Episode:2
107/184

107列車 電車でGO!

「ねぇ。なんて書いてあったの。」

(もえ)に問いただされる。自分としてはあれは答えたくない。目をそらした。逆に目をそらすと(もえ)は僕の顔を覗き込める位置まで顔を動かしてくる。エンドレスだ。

「分かった。教えるよ。でも、俺がいないところで見ろよ。」

と言っておいた。

「・・・。」

 また言葉がないままになる。

「ナガシィ。ちょっと散歩でもいかない。」

(もえ)が誘ってきた。

「えっ。」

「ちょっと病院の中歩いて回って来るだけだよ。ねぇ、行こう。」

「・・・。別にいいよ。外寒いし。」

「寒くないようにしていけばいいよ。ねぇ、行こう。」

 (もえ)は僕の手をつかんで、引っ張り上げた。

「ふぇっ。えっ。ちょっと。」

(もえ)に引っ張られる形でベッドから出た。

 その頃。産業展示館のほうは・・・、

「おい。諫早(いさはや)。485系この中に入るって。」

留萌(るもい)諫早(いさはや)に言う。全部の列車の入れ替えは自分たちの声で行っているが、その声が届きづらいというのが実情だ。

「えっ。なんですか。列車入れ替えるんですか。」

「そう。」

「次は・・・。分かりました。」

自分の前に置かれているメモを見て次に走らせるものを確認する。

空河(そらかわ)。内側のポイント2番開けて。「白鳥(はくちょう)」入れたら、今度は5番を開けて215系を出す。」

「分かった。外側はどうする。」

「どうするじゃなくて、これ見ろ。これ。」

諫早(いさはや)は指差して、自分の前に置かれていたメモを見せた。

「215系の隣はE217系ね。了解いたした。」

空河(そらかわ)は確認するともうすでにその車両が出ていることを確認する。

諫早(いさはや)485系(ヨンパゴ)入れるって。内側ポイント、車両区開通。」

留萌(るもい)から通達を受ける。体を伸ばして、本線のポイントを車両区のほうへ列車がくるように開通させる。

「内側線、ポイント、車両区開通、オーライ。」

ポイントが車両区に開いたことを言葉で言う。

「了解。内側、ポイント、車両区開通。」

留萌(るもい)が復唱して、内側の運転手箕島(みしま)に通達する。

「了解。じゃあ、入れるよ。」

箕島(みしま)はその言葉を受けて、コントローラーの電源を投入。列車が走ることを確認して、車両区まで走らせた。車両区に来た車両は途中まで本線に流れている電源をとる。そして、編成の3・4号車がポイントを越えたところで先頭車の電源は本線から車両区内のコントローラーの電源をとることになる。こういうことをやってショートしないのは途中にギャップがあって、絶縁をしているからである。

 車両区に485系が9両。すべて入ったことを確認して、箕島(みしま)はコントローラーのディレクションを今まで入れていた位置から逆転させる。これで今度は車両区から出てくる車両を本線に引っ張り出す作業に入れる。

 485系が車両区に入りきり、ここからは諫早(いさはや)の仕事。諫早(いさはや)はこの車両区で最も長い線路がある線路の隣に485系を入れた。

 この車両区には外内合わせて12本のレールが並んでいる。そのうち手前側6本が内側専用。奥側6本が外側専用になっている。本線からこちらにはずれてきている線路から、親指を軸にして手を広げたように6本の線路が並んでいる。そのため、いちばん長い線路は中央にある2本。それ以外の線路はポイントがある分短くなっている。車両の収容能力は一番長い線路で24系を13.5両収容することができる。

箕島(みしま)さん。出しますよ。」

485系を完全に車庫に入れたので、今度はポイントを変える。次に出す215系が止まっているのは今自分がいるところから数えて2本目。そこまでにある3つのポイントをすべて直線にする。そして、電源を投入。215系はピクピクっと動いてから滑り出した。

箕島(みしま)さん。行きましたよ。」

(了解。)

箕島(みしま)のほうには今諫早(いさはや)が何と言っているのか聞こえない。動いていることを確認したらすぐに電源を入れる。すべて視覚が頼りだ。

 215系を駅まで回送してきたら、ディレクションを逆転。元の進行方向に戻す。これで出発だ。

 一方・・・、

 (もえ)はさっきからくすくす笑っている。何かおかしいことでも・・・。

「ナガシィったら。あんな変な声出るなんて思ってなかったよ。」

「・・・。」

僕はいま顔が赤くなっていることを自分で認識していた。自分でも予想外だったのだ。

「いや、だって。(もえ)に手握られたの初めてだったし。」

「えっ。」

これを聞いた(もえ)の声が何となくウソというのが混じっている気がした。

「え。握ったことなかったっけ。」

「ないよ。駿(しゅん)兄ちゃんに連れて行ってもらったときだって、駿(しゅん)兄ちゃんが僕たちの真ん中にいたから、つないだことなんてなかったじゃん。」

「・・・。そうだっけ。」

「そうだよ。」

「えっ。でも駿(しゅん)兄ちゃん手つないでたって言ってたけど。」

「・・・。そうなの。」

言い合っているとどっちが本当なのかわからなくなってくる。いったいどっちが本当なのだろうか。

駿(しゅん)兄ちゃんがただ冷やかしのために言ってるだけだろ。」

「そうかなぁ・・・。」

 お互い恥ずかしいという感情は今持っているのかもしれないが、つないだまま中庭まで来た。中庭は寒い。

「うっ。寒っ。」

そう言って身をすぼめる。

「はい。ナガシィこれ着て。」

(もえ)は自分がはおっていたコートを僕に着せた。

「・・・。ありがと。」

 ベンチに行って、僕を座らせる。

「これやってほしいんだけど。」

さっき取り出したPFPだ。これはあれをやれということだろう。

「あのなぁ。俺一回自己ベスト出したらもうベストでないんだけど。」

「自分のゲームじゃないもん。やってもらうのは私のほう。」

「ふざけるな。今度は自己ベスト以上が出るだろ。」

「だから出してよ。自己ベスト以上。」

正直出したくないというのが本音だが・・・。出てしまうのだ。もちろん毎回なっていたらたまったものではない。そういうことがあるのも何回かに一回だ。

「やってほしいのは2000番台(223系)の新快速なんだけど。・・・。ああ、長浜(ながはま)行きのね。」

長浜(ながはま)行きかぁ。あれって芦屋(あしや)通過(とば)すからいい点出にくいんだよなぁ・・・。」

 (もえ)が指定する列車のダイヤまで行ってハイスコアを確認した。163795点。僕が今までこれで出したハイスコアは185240点。(もえ)のほうもノーミスでクリアしているのだろうが、通過駅での通過時分でミスを犯したか、停車位置でミスを犯した以外考えられない点数だ。もちろんこのゲームが許す許容範囲内でのミス。つまり減点されない領域でだ。

「電車でGO!やってると乗客がウザいよねぇ。」

(もえ)はいきなりそんな話をし出した。

「ああ。あるある。特に乗客の中でさぁ、「やっぱりグリーンはいいわねぇ」って言ってるおばさん。お前どんだけ金あるんだよってツッコみたくなる。」

「あと他に子供もウザくない。だって変なところで止まったら「止まっちゃったよ。この電車」だよ。」

「メチャクチャウザいよなぁ・・・。」

 僕が知っている乗客の反応では客室乗務員の「コーヒーはいかがですか」や、サラリーマンの「契約無事取れました。これから帰ります」と「えっ。何。もう一回言って」など。これ以外にも面白い反応はある。

 ゲームが始まったところで(もえ)が黙り、僕も黙る。時折言葉を交わすことはあるが、僕は複数のものに集中できる人ではない。(もえ)が話しかけてくるのは駅に停車してから発車するまでのわずかな間だけだ。

 結果・・・、

「ああ。やっちゃった・・・。」

「ナガシィ。ありがとう。」

得点は185305点。自己ベストより65点多い。

「今度は私が挑戦するね。て言っても全部ノーミスでないとクリアできないか・・・。」

「どっかで±0センチかまさない限り無理だな。」

「そうサラって言わないでよ。出すの簡単じゃないんだから。」

 そのあと(もえ)のお手並みを拝見していたが、途中三ノ宮(さんのみや)で±0センチに止めたこと以外はふつう。得点は176920点だった。

 一方産業展示館のほうは・・・、

 17時00分。館内の照明が元に戻る。1日目のキラキラ展終了だ。展示に浸かった車両のほうを片付けて、解散となるが・・・、

「ちょっとみんな聞いてくれるかなぁ。」

シナ先生が帰る前に呼び止めた。伝えたいことがあるらしい。

「僕たちの展示のほうを見てほしいんだけど、新発田(しばた)上野(うえの)君たちの展示のほうあんなふうに車両ケースが乱雑に置いてあったりしたかなぁ・・・。」

「えっ。ありませんでした。」

「・・・。(はやぶさ)。学院大学のほうは車両ケースが乱雑に置いてあったりしたかなぁ・・・。」

「ありませんでした。」

「・・・。他のところに行っていた人は分かると思うけど、こうなっているとみてくれている人はそれだけで興ざめちゃうんだよね。せっかくこうやって風景もある模型を展示しているんだから、お客さんにこんなんなんだなって思われないような展示をこれ以後してほしいと思います。明日からは展示をしながら片づけるってことをみなさん心がけてほしいです。以上です。」

シナ先生からの注意はそういうことだった。

山科(やましな)先生。これから永島(ながしま)君の様子を見に行きますけど。」

「ああ。同行します。」

「あの。アド先生。僕は迎えが来てるので、ここで解散でいいですか。」

潮ノ谷(しおのや)は言いづらそうにアド先生に行った。

「ああ。お疲れ様です。また明日お願いします。」

潮ノ谷(しおのや)にそう言って潮ノ谷(しおのや)と別れた。今日来ている他の人たちで永島(ながしま)が入院している病院に向かった。

 病室まで来てみると、

永島(ながしま)君。具合のほうはどうですか。」

「ああ。いいですよ。」

元気そうだった。

「こんばんは。」

昨日来ていた人もいたために長居しているのも失礼だと思った。すぐに車のほうに戻って、行っていない人に対し今の状況を教える。それがすんだら駅のほうに車をまわした後自分の家に車をまわした。


「zzz・・・。ポッ。・・・んっ・・・んっ。あっ、降ります。」

寝ていた乗客が目を覚まして・・・。


他に一つの列車を運転中に子供が3回お弁当を「いただきまーす。」


あの中にはギャグとしか思えない反応盛りだくさん。

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