100列車 組み合わせ
祝100レ。もうすでに半分は越えていますからどこまでこの数字は伸びるのやら・・・。
11月29日。
柊木は頭を抱えていた。
「・・・。」
「よーす。翼・・・。どうした。」
隼が声をかけてきた。
「あっ。隼。なんかいい考えある。」
「えっ。いきなりそう聞かれても、何考えてるかなんてわかんないよ。」
「あ。ごめん。昨日部活あったんだけど・・・。」
柊木は昨日会ったことを隼に話した。
「なるほどねぇ。それで考えてたわけ。」
「そういうこと。なんかいい考えある。」
「あると思う。」
「・・・。隼ってこういう方面知らないからなぁ・・・。」
ため息をついた。
それから北石を頼ってみる。
「列車の運用。それって313系を走らせるとかそういうこと決めろって言うことだろ。」
「やっぱり秀才は分かってる。」
「そんなことどうでもいい。俺がパッと思いつくのはキハ25(国鉄)とキハ58の急行を走らせることかなぁ。」
回答を得る。
「他には。他には。」
そう聞くと、
「お前、今俺が行ったこと聞いてた。」
と言われてしまった。
それから潮ノ谷を頼ってみた。
「列車の運用ねぇ・・・。」
「そう。なんかいいのない。」
「うーん。「つばめ」と「有明」走らせてもよくない。」
「「つばめ」も「有明」も同じ車両じゃん。そういうのじゃなくて、もっと変わったやつとか。」
「変わったやつ・・・。そうだ。E231系とE233系でどう。東海道と京浜東北。みたいな。」
「東海道なら東海道でそろえたほうがよくない。プラス京浜東北なら山手線のほうが・・・。」
「こだわってたら決まらねぇだろ。ともかくアイディアは出してみるよ。授業中とか使って考えてみるわ。」
一方僕は・・・、
(うーん。313系の1000番台運用で211系と併結して、その隣に383系走らせるっていうのも手だよなぁ・・・。)
同じことを考えているのだ。
「永島。どうなんか浮かんだ。」
木ノ本が聞いてきた。
「昨日から考えてはいるんだけど、限界が来て・・・今こんな感じ。」
と木ノ本にメモ帳を見せた。その中にはびっしりとなにを走らせている間に何を隣で動かすかということが描きこまれている。ざっと50はあるだろうか。
「これだけでもう限界なのか。」
「いや。パッと思いつく中ではの話。考えればまだまだ出てくるんだけど・・・。」
(永島ってむだが多い気がするけど・・・。)
「永島。」
誰かが僕を呼んだ。教室のドアの方向を見てみると留萌の姿がある。
「何。」
立ち上がってそっちへ歩いていく。
「これ。私も考えてきたんだけど。」
目を通してみる。
「俺が考えたやつを結構かぶってるなぁ・・・。」
「そこしょうがなくない。どうしたって学校にあるやつで考えたらそうなるんだし。」
「・・・。」
そうなのだが・・・。しばらく留萌が書いてきたものを今度は詳しく見てみる。
「「雷鳥」の隣に「サンダーバード」はいいとして、「しらさぎ」の隣に「ゆぅトピア」はないんじゃないか。」
「そうか。683系だとすごいカオスなだけで485系なら何の問題もないけど。・・・。まぁ「青鷺」だったら問題大有りだけど。」
「成程なぁ。485系なら問題なしかぁ。ならこれはこれでいいかぁ・・・。」
「何かほかに問題でもあったか。」
「問題はないんだけど・・・。」
語尾を濁らせる。このうちとても気になるのが731系とキハ201系の併結。これは僕は聞いたことがない。だが、ここは留萌のことを信じるしかないだろう。
「けど・・・。」
「いや、なんでもない。かぶってるのはあとで省くとして、これもっと考えてきて。」
「了解。」
と言ってるもいは教室のほうにかえっていった。
「・・・。」
自分の席に戻るとまた同じことの繰り返しが始まる。クラスの人でよく話している人には今僕がやっていることが気になっているらしく、「何やってるの」と聞いてくる。その度に考えが停滞してしまったなかなか進まない。
「はぁ。」
少しため息が出た。
「今度は何やってるんだ。」
今度は宿毛だ。
「何って。キラキラ展でやる電車の運用考えてるんだけど。」
「成程ねぇ・・・。」
宿毛はしばらく僕が作っているのを見ていたが、
「坂口さんに聞けばいいんじゃないか。あいつも結構こういうこと知ってるだろ。」
と言ってきた。
「確かに知ってるけどさぁ。萌のやつ俺と思考回路が同じっていうところがあって、今考えてることと同じ考え持ってこないってこともないじゃん。」
「物は試しで聞いてみればいいじゃんか。」
「・・・。」
一呼吸おいてから、
「分かった。聞いてみるよ。」
と答えた。
家に帰って携帯を握った。ちょっと萌と電車の話だ。
「なぁ、萌。12月にキラキラ展あるの知ってるだろ。その時のことなんだけど、今まで行き当たりばったりでやってた運用を全部考えることになった。なんかいい考えがあるなら送って。」
返信は・・・、
「いい運用じゃないかもしれないけど、1000番台(223系)と2000番台(223系)でフィーバー。」
()部分はメールに表記してありません。なおこの先にある「」の表記もないが中身はちゃんとある。
「もう案の中に入ってる。」
「やっぱりか。じゃあ、「はやぶさ」と「さくら」でフィーバー。」
「それも。ていうかさっきからなぜフィーバー。」
「何となく。313系の5000番台+5000番台で新快速。ドヤ。」
「ドヤじゃない。」
「知ってます。371系「あさぎり」で「ホームライナー」と373系で「ホームライナー」。」
「しょうもない。」
「E231系とE531系で常磐線。もちろん両方15両。」
「ホームに入りきらない。家のと違うぞ。」
「ごめん。なら、「能登」と「北陸」これも入ってるなら、「こだま」と「ひびき」。」
「両方とも入ってる。」
「ナガシィどんだけ考えたの。100ぐらい。まぁいいや。923系と923系でどうだ。」
(923系・・・。)
この文面を見て一瞬なんなのかと思った。
「おい。いつ260で走っていいって言ったんだよ。」
「はいはい。ふざけるのはやめます。400系「つばさ」とE3系の「つばさ」。」
「・・・。ありだね。」
「「スーパーホワイトアロー」と「ライラック」。」
「学校の「スーパーホワイトアロー」はご臨終。「ライラック」は生きてるけど。」
「じゃあ、なんなら動くわけ。いっそのことナガシィのうちのやつを全部持っていけばいいじゃないか。」
「おい。さっきふざけるのはやめるって言ったよなぁ。」
「そうでした。キハ183の「おおとり」とキハ40で。」
「いいかも・・・。」
「九州にいって「はやとの風」と「いさぶろう・しんぺい」でどうよ。」
ちなみにここで出てきた「いさぶろう・しんぺい」の由来は国鉄総裁を歴任した人の名前らしい。詳しいことは知らない。
「何ともディープな。」
「最終手段は遠鉄でドヤ。」
「ドヤじゃない。まぁ、ある意味の最終兵器かもしれないけど。」
「じゃあ「ホワイトペパー」の「青池」と「橅」。」
ここで表現している「ホワイトペッパー」とは「リゾートしらかみ」のことである。
「「ホワイトペパー」って。シャレになってないし・・・。他には。」
「思いつく限りは言ったよ。」
「そう。サンキュー。また思いついたらメールして。」
と送って端末を閉じる。
(次は駿兄ちゃんか蒲谷だな。)
同じことを蒲谷に振ってみた結果。一番最初にこれでいいのではと返ってきたのは223系1000番台と2000番台を走らせることだった。僕はよっぽど223系が好きなのだということが自分でも実感できる。
他に蒲谷からは、
「「カシオペア」と「カシオペア」を離合させればいい。両方で客の取り合い。」
「してどうするんだよ。そして「8009レ」と「8010レ」は離合も競合もしない。」
「じゃあ、「トワイライト」でやればいい。」
「いい案・・・。」
「「3114F」と「3113F」を走らせればいい。」
「列車番号で言われても分からん。文章で言え。」
「文章じゃん。というかあたしも分かんない。」
「・・・。」
「今度はマジ。681系と683系で「サンダーバード」。」
「両方とも同じかよ。」
「同じやっぱダメかぁ。じゃあ、完全ネタレをやって笑いを取る。」
「だから、取ってどうするんだよ。」
駿兄ちゃんに振ってみると、
「じゃあ、俺の「とびうお・ぎんりん」あれ出せよ。その隣は「重貨物」でいいから。」
「なんで。駿兄ちゃんそれ大好きだね。」
「悪かったな。彼女よりだ。」
「あとで彼女に言ってやろう。」
「おい。彼女って誰に言うつもりだ。俺に彼女はいないぞ。」
「前、恋愛してるって言ってたじゃん。その人。・・・。アド知らないけど。」
「どうでもいい話しちゃったなぁ。「タキ」と「しなの」でどうだ。」
「・・・。」
「新しい北海道ッポイ「ネックス」と253系「ネックス」。」
ふざけていてもよく思いつくものである。
実際にこの中になかった案は完全ネタのもの。他のものはほとんどかぶっていた。もしくは半分かぶっているというものが多かった。その中で唯一かぶってなかったのはキハ183系「特急おおとり」とキハ40の普通。これだけだった。
「・・・。」
考えてもどこか考えがかぶっている気がする。
立ち上がって、自分の家の車両庫に行ってみた。
「・・・。」
何かひらめくものがあるかもと思ったがなかなか閃かない。むしろ家では複々線で走らせていることが多いので、つじつまが合うのが大都市圏しかないというのも絡んで、なかなか浮かばないのだ。
「はっ。」
一瞬頭の中にこれが浮かんだ。浮かんだといっても組み合わせではない。ある人の言葉だ。
「そうか。そうすれば少しは幅が広がるかも。」
何度も同じ車両を出すのではなく、同じ形式の違う車両を出す。つまりネタにはネタで対抗することだ。ただ、これではその隣が同じ車両であるか、違う車両を出すことでまた悩む。結果そんなにいい手とも言えなかった。
「どうすればいいんだよ。」
天井を見上げる。天井を見上げてもひらめくものがあるわけではない。
ちょっと首をまわして、この部屋の中をぐるっと見回す。もちろんひらめいたものがあるわけではない。見回すと萌が小学校4年生の時に書いてくれた絵が目に入る。
座っていた椅子から立って、その方向へ歩いていく。そして前に行って、
(これも使えればいいのになぁ・・・。)
と思った。
それから、
(考える頭脳をください。)
と頼んだのだろう。今まで閃かなかった組み合わせを閃いた。
すぐにシャープを手にとって走らせる。
「まぁ、ありだよねぇ。」
そこに書いたのはキハ181系「しなの」と381系「しなの」。
鉄道マニアの人々
蒲谷かもめ。東田高校2年生。
由来は博多~長崎間の「特急かもめ」。撮り鉄。
遅刻常習犯。前科205犯(この時点で)。
柊木こまち。高島小学校5年生。
由来は秋田新幹線「こまち」。
大好きな車両はE3(イースリー)系「こまち」。柊木家での命名の由来は「兄が「つばさ」なら」という感じで決定。