ストーリージャンキー
幼馴染のあの娘にお堅い委員長のあの娘。
よりどりみどりで色とりどり。
用意された結末はハッピーエンドで、わかっているから安心できる。
本を開いては、本を閉じて。本を閉じては、本を開いて。
顔を上げた時にだけ、目に飛び込んでくる。
文字と文字の合間を飛ぶ視線が不意に捉えるあなたの笑顔を、だけど長くは見られなくて。
ストーリージャンキー。ストーリージャンキー。
そこに自分は居ないとわかっていても。ハッピーエンドにならないストーリーから逃げたくて。
文字の海に逃げ込んで。ブクブク溺れている間だけ、安心できるはずなのに、それでも不意に君が微笑む。
サッカー部のキャプテンに、期末の学年トップ。
彼女の周りにきらめく彼ら。
読むまでもなくわかるそのオチは。涙に暮れるだけだから。
お決まりのハーレムの主人公が自分じゃないのは百も承知。
教室の隅から視線を投げて、空を掴んで落ちる視線。
落ちた視線を広い止める文字の羅列を頭の中に刻み込む。
ストーリージャンキー。嗚呼ストーリージャンキー。
分かっているさ、ストーリージャンキー。ギャップが大きくなって抜け出せないなんて。
ヒロインの顔に君がダブる。ヒロインが想いを寄せる、あいつに僕はダブらないのに。
ストーリジャンキー。嗚呼ストーリージャンキー。嗚呼、僕は悲しきストーリージャンキー。
なんか2作続けて悲恋ものですが、まったくもって作為はありません。
ちなみに、僕はハーレム、キャッキャッキャ、的なものよりいわゆるギャルゲーって奴の世界に入り浸ったってた様な過去がある様な気もします。