春風ノンシュガー
偉人の名言調べてみれば、出るわ出るわ色恋沙汰が。
希代の哲学者だって、高名な詩人だって、口を開けば惚れた腫れたのオンパレードで。
世界の真理に挑んだプラトンだって、恋を詩っては愁嘆場に泣いたのに。
生活指導でいつも目を付けられるそのブロンドが、地毛だとなんども怒ってたよね。
言葉を交わして、笑顔をもらって。君のエピソードが僕の中にたまっていく。
君にまつわるエピソードの数々が、僕の中の君を色鮮やかに飾りたてていく。
総天然色で笑う僕の中の君は、だけど、笑うのは僕にじゃなくて。
好きって言う気持ちが大きくなって、だからもっともっと知りたくて。
始まる前に終わった想い、行き場ないまま泣いている。
初めて吹いた春の風が、勢いのままに僕を置き去りに。
舞台に立てずに潰える恋が、彼女の遠さを見せつける。
初めて吹いた春の風は、爽やかさを感じるまもなく。
恋愛マンガを開いてみれば、出るわ出るわ、甘い恋。
幼なじみだって、クラスのマドンナだって、最終的にはくっつくんだろう。
やらない後悔よりやる後悔だって、脇役の奴は勝手に言う。
シナリオの中の友達役は、甘い言葉で惑わすけれど、舞台に上がることさえ許してもらえず。
言葉を交わすことが楽しくて、その意味なんて深く考えなくて。
君のことを知れるうれしさの意味には気づけたけれど、君の中の想いには鈍感なままで。
みんなが誉める君のえくぼを、君は快く思ってないんだっけ。
そうボソっと漏らした君の言葉に、似合っているよと返したけれど、困ったような笑顔を見せられて。
気づいた頃には叶わぬ恋で、悔し涙すら流すことなく。
初めて吹いた春の風は、君のところまで届かなくて。
告げることなく散った恋。酢いも甘いも感じぬままに。
初めて吹いた春の風。忘れられない冷たい春風。
タイトルから何から自分のセンスとはかけ離れたもんですが、意外と絞れば出てくるもんです。
……いや、出てきてるって言うのか?これ?
深くは考えないでおこう。
どこかのだれかの琴線に少しでも偶然うっかり間違いでも触れればめっけもんだぜ、こんなもの。