ラビリンス
迷路なんて物は、壁に手を着いていればいつか出れる。最短距離の何倍も時間はかかるかもしれないけれど。絶対に解ける方法がある問題なんて。
なんてバカバカしいんだろう。
さっさと解いてしまえばいい。
目の前の壁はそんなに高いだろうか。この壁を乗り越えて、周りを見渡せば。今までどんなに狭いところをグルグルと廻っていたのかがよく分かるだろう。
なんて下らない。
さっさと乗り越えてしまえばいい。
ゴールが見えているなら、目の前の壁を破ればいいのかもしれない。少しくたびれるかもしれないが、ただ直進するだけで良いのだ。そうすれば迷路から出ることが出来る。
なんてしょうもない。
さっさと破り出ればいい。
今度は右に曲がって、たまに後ろを振り返って、壁に背を預け一時眠って。一度来た道を、知らないふりしてまた右に曲がって。
何度目かの行き止まりに安堵して。
十字に別れる道で、何時間も立ちすくんだりして。
解こうとせずに。乗り越えようとせずに。破り出ようとせずに。
出来ないのか、しないのか、僕はどっちを選んでるんだろうかなんて、新しい迷路を頭のなかに作ったりしながら。
ゴールに辿り着いた誰か。聞こえますか。
僕はまだ迷路に居ます。
まだまだ迷路に居ます。
ゴールはまだ先でいい。