IN MY ROOM
一日一回真っ暗になる以外、ずっと明るい部屋の中。
笑ってる時も、泣いてる時も。怒っている時も、嬉しい時も、ずっと光に照らされている。
明るい光以外なんにも無い部屋で、唯一あるのは窓一つ。
窓の外は、轟々と唸りをあげている時もあれば、真っ白で何も見えない時もある。
部屋の中に何時でも独り座っていた。
外の景色は見たことないものばかりで。
部屋の中でいつからか二人で座っていた。
外の景色はわからないものばかりで。
彼は、僕と仲が悪くて、彼女はあいつと仲が悪かった。
目を合わせず、口を開くと喧嘩が始まる。
ある日の窓の外の景色。その日は、虹がかかった空に、桜と雪が舞っていて、奇跡の様な美しさで、さすがに凄いと、僕らは声を揃えて、足並み揃えて。歌を歌って、踊りを踊って。それでもそんな日ですらブチブチ言ってる奴も一人くらいはいたりして。
皆で一つになれないままに喧々諤々日々喧嘩。
殴り合って、無視しあって、いつしか一人一人と減っていった。
窓を流れる風景はもう、目にも泊まらないくらいの速度になって。
いつしか、明るい部屋で一人、僕らは膝を抱えて座っていた。
静かになったその部屋で、すこし寂しいその部屋で、光は僕を照らしている。
見える景色も、聞こえる自分の声も、全部不思議に歪んでいて。いつから歪んだのかもわからなくて。何もわからないまま、考えてたら何がわからないのかもわからなくなってきて。
見たことない自分の手を見つめながら、見たことある手が恋しくて。
窓はすっかり曇ってしまい。ゆっくり暗くなっていくその部屋で、僕は知らない声で泣いてみた。