表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一人のための短編集  作者: 西浪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/4

浮いた声援

 大事な大会の決勝だから見に来てくれと言われた。

 じゃりじゃりと砂を踏みつけながらコートにたどり着くと、既に女子の群れができている。辛うじて見えそうな場所を探して、帽子を被り直した。


 応援と言っても、何を言えばいいのだろう。

 頑張っている人に『頑張れ』などと言うな!とは、よく聞く理屈だ。


 しかし競技特有の声掛けなど知らない。

 そもそも応援とは、『頑張れ』と言うことではないのか?

 『応援しています』という言い回しが通用するのは、手紙や会話の中だけだ。今まさに応援している場で『応援してるよー!』と言うのは、なんか違う。


 勝てるよ、とか?

 いけるよ、とか?


 それでは対戦相手に失礼ではないか?相手だって決勝まで勝ち上がった選手だぞ。


 そもそも『頑張れ』とは、何も努力の強要ではない。

 古くから応援といえば『頑張れ』なのだ。応援する側はそういうもんだと思って『頑張れ』と発し、選手はそれを応援として受け取ってきた歴史がある。


 ゼロの状態から頑張ってほしいと思っているのではなく、鼓舞。

 そう、鼓舞だ!

 『頑張れ』という言葉で、彼らの闘志を煽っているのだ。


 ならば、ごちゃごちゃ考える必要はない。

 彼は応援してほしいから、私に見に来てくれと言ったのだ。

 頑張っている人に『頑張れ』と言って、何が悪い!


 

 周囲が突然湧き始めた。彼がコートに踏み入るのが見える。黄色い声たちは、皆一様に彼の名前を叫んだ。



 「頑張れーーー‼」


 さして可愛げのある声質でもない。

 ひねりのある言葉でもない。


 ライブ会場のような歓声の中で、私の応援は非常に浮いていた。



 目が合った彼が、力強い笑みとともに右手を掲げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ