恋する空虚者
テレビ画面が、街録の映像を映し出している。同い年にしてはやけに……その、大人っぽい女子たちと、鏡の自分を見比べた。
十時間は寝たのに眠そうな顔。スタイリング剤をケチって束ねただけの、適当な髪。半額セール五百円の、ほつれ始めた部屋着。
目一杯の嫌悪感を顔に滲ませ、鏡を放り投げた。
我ながらひどい様相である。
芸能人かのような姿で恋愛特集のインタビューを受ける彼女らは、家でもあんな感じなのだろうか。
私だってベースは悪くない。本気で身支度すれば可愛くなるのだ。誰もが振り向く絶世の美少女になれるのだ。今日は外に出る用事がないだけだ。
何、「常日頃手を抜かずに可愛くあるべきだ」?
妄想の中で『ボクが考えた最高の美少女』にでも告白して振られていろ。
とはいえ。
見渡した部屋は散らかっていて汚い。
スマホケースはこの前落としたせいで、ほんの少し削れてしまった。
今、枝毛を一本見つけた。
誰にも見られない場面での身だしなみなど問題ではない。それ以前に、だらしなさすぎる。特に部屋。何から手をつけたものか、てんでわからない。
こんな私が恋する乙女を自称してみよう。おぞましくて痛いとは思わないか?
私が人を好きになるのは、その人に尊敬できる部分があるからだ。
尊敬の念が湧くのは、自分がその部分を持ち合わせていないからだ。
人を好きになるのは、自分に欠けているところがあるからだ。
しかし、完全でない自分などが彼を好きでいることは許せない。
溜め息をつき、立ち上がった。
机の上だけでも掃除しよう。




