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プロローグ:ゲーム開始へ
RMTが合法になったことで、
それまでゲームで金を稼ぐ手段と言えば、Eスポーツ――大会などで腕を競うテクニシャンの専売特許だったが、
『EXTRAWORLD』を通して、直接アイテムの売り買いで生計を立てるものも生まれた。
だから、私はそれに賭けてみることにした。
もちろん、簡単なことではないことを理解している。
RMTで稼ぐと言っても、ゲーム人口とほぼ同じ数がライバルになるのだ。
しかも、生計を立てるほど稼げる人間は上位層の限られた人間だけだろう。
それでも、私はそこに”夢”を感じた。
このままフリーターを続けて、就職先を探して、どれだけの生活が手に入るだろう?
何より、そこに”夢”はなかった。
免許資金で『コクーン』を購入し、睡眠と食事、トイレ以外は『EXTRAWORLD』に籠る生活を始めた。
始める際に名前をどうするか考えた。
もちろん、国営と言えど、オンラインゲーム。
本名でプレイする必要はない。
いろいろと迷ったが、私の生活を背負うことと、今後の私の命綱になることから『ライフ』と命名した。