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×××話 生誕祝辞その7

 ルーウィーシャニトに大罪戦争を派手なイベントとはしゃぐような感性はない。使命から考えれば真逆、敵対関係になるのを分っていてニーオリジェラはあんなことを言っていたのかと呆れかえる。どの面下げてそんなことを言えるのかと思うと、やはり彼女のことをもっと知っておけばよかったという後悔が湧き上がってきて止まないから。


「ユヴォーシュ。実は今日、私の誕生日でな」


「げっ、マジかよ。なんで今言うんだ、祝いの品なんか用意してないぜ」


「期待していない。代わりに今日は私のことを楽しませろ」


「ったってどうやって」


「貴様はニーオの幼馴染だったのだろう。思いつく限り、彼女の話を私にするんだ」


「…………そういうことかよ。なら仰せの通りに」


 クソみたいな使命はこれからも続く。下ろせるほどに責任感に欠けていないし、行動力に溢れてもいない。だからこれからも何も変わらず、ルーウィーシャニト・ジェセウは死ぬまで《人柱臥処》を保ち続ける。


 けれど無聊を慰めるための楽しみとして、一つ思いついたことがある。


「私はあの阿呆のことを忘れない。ずっと憶えていてやる。『生きていればこそ』とかほざきながら早々に消えたあの火に、どうだ私は生きているぞと示し続けてやる」


 ニーオリジェラからすれば何気ない一言だったのかもしれないが、それがルーウィーシャニトの心に残った(傷をつけた)。その報いを受けてもらう。身を以て反証となって、あの阿呆が言ったことを否定してやる。


 それが歪んだ楽しみだとしても構うものか。どうせニーオリジェラはもう居ないのだから。


「ざまをみろ、ニーオリジェラ・シト・ウティナ。私は生きていて、一個も楽しいことはなかったとも。お前の言ったことは出鱈目だ。思い知ったか。いつかそう笑ってやるために、私は彼女を忘れない」


「……あんたがそれで満足するならあんたの自由だ、俺は口出さねえよ。にしても随分と───」


 そこで口を噤んだユヴォーシュに、ルーウィーシャニトは続きを話せと仕草だけで促す。ユヴォーシュは苦笑すると、


「……生き生きしてんな、と思ってな。誕生日おめでとう、ルーウィーシャニト。誕生日プレゼントだけど……何から話す?」


「そうだな、まずは───」


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