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【7】

《登場人物紹介》

◇白山茶花 桃椿-シロサザンカ モモツバキ-

  …中学生


◇嫁入 朔-ヨメイリ サク-

  …中学生

camellia[意味:椿]



未恋(みれん)ちゃんとケンカした」


「そうか。力になれなくてスマンな」


「いきなり投げんなよ!」


正体がバレたあと、もう一度ちゃんと話そうと思って未恋ちゃんのアパートに行ったけどもぬけの殻だった。


そして、未恋ちゃんの行きそうなところをだいたい探し終えて行き詰っていた時、嫁入(よめいり)に会って取り合えず家にお呼ばれしたんだが……。


このざまだよ!


「だって、経過がわからんし。あ、その資料中見ないで五十音順でソートしといて」


「だから、それを今から話そうとしてんじゃん。そこの棚でいい?」


机と床にバラ撒かれた資料を手に取る。


相変わらず、生活感のない家だな。


家っていうか、事務所っぽい。


「話半分に真面目に聞いて欲しいんだけどさ。英語の資料はどうする?」


「いきなり難しいこと言うなよ。日本語の資料の後ろにアルファベット順で」


資料を日本語のものと英語のものとで分別する。


「未恋ちゃんは悪の魔法少女であたしは正義の魔法少女だったんだけどさ」


「ほうほう」


パソコンで作業しながら相槌(あいづち)を打つ嫁入。


「あたしは未恋ちゃんの正体を知ってて、未恋ちゃんはあたしの正体を知らなかったんだよ」


「うんうん」


こっちを見ないで(うなず)く嫁入。


「それがバレた」


「そうか。ツバッキーが悪いな」


まあ、そうだよな。


「っていうか、(わざ)とバラしたんだろ」


「うん」


居た(たま)れなくて。


(だま)すならちゃんと騙せよ。レンレンが可哀相だろうが」


「正論傷つくなぁ」


パソコンの前でイスを一回転半させてこっちを向く嫁入。


ツインテールが(すご)いことになってる。


「こっち終わったけど、そっちは?」


「全部並べといたよ」


「ボクの同僚もツバッキーくらい有能だったら仕事楽なのにな」


そういって笑う嫁入。


資料整理に上手い下手もないだろうに。


「お茶()れてくるわ」


「あたしも何かしようか?」


手持ち無沙汰(ぶさた)だし。


「じゃあ、そっちの棚の資料のうち表紙に×(バツ)マークついてる奴、中見ないでシュレッダーにかけといて」


「ほいよー」


嫁入の指した棚の資料を手に取る。



「お茶淹れたよー、ってもう終わってんのかよ。早いな」


「いや、こんな単純作業時間かからないっしょ」


椅子に座って嫁入の淹れてくれたお茶を飲む。


美味い。


「いやー、ボクはパソコン使わない手作業苦手でさぁ」


「現代っ子だね」


「現実もボタン一つで消せればいいのにな」


「危ねぇよ!」


本当に思ってそうなところが。


「っていうかどうするかはもう決めてるんしょ?」


「うん。謝ってちゃんと話す」


「じゃあ、ボクから言うことはなんもねえなぁ」


お茶を(すす)る嫁入。


…眼鏡曇ってんぞ。


「そんでちゃんとケンカして仲直りしてくる」


「ハハハ、それでこそツバッキーだぜ。まあ、あの良い子ちゃんに楽しいばっかが友だちじゃねぇぞ、って教えてやれよ。…あちっ!」


笑ってお茶を飲んで(むせ)る嫁入。


「了解。ところで嫁入はさ」


「何さ。おっとメールが」


タブレットを確認しながら話す嫁入。


「未恋ちゃんのこと好き?」


「当たり前じゃん」


笑ってタブレットの画面をあたしに見せてきた。


「レンレンから決闘の申し込みだぜ」


「ハルっちの携帯からかよ」


まあ、未恋ちゃん携帯持ってないもんな。


時雨(しぐれ)が付いてんなら心配ないっしょ」


「っていうか、嫁入知ってた?」


「レンレンが時雨のとこにいること? まさかぁー」


わざとらしく笑う嫁入。


「どうりで心配してない訳だよ」


「ま、ボクはツバッキーや時雨と違ってそんなに過保護じゃねーけどな」


-明日の夕方、神庭(かんにわ)公園で。


最後の戦いで。


最初の喧嘩だ。











「っていうか、未恋ちゃんとハルっちって何気に仲良いよね」


「それな」


どっちも最初に仲良くなったのはあたしなのにさ。


()けるんだけど」


「それな!」


同意してくれるのはいいけど、指差すなよ。


…まあ、そんなとこも嫁入の愛らしいとこなんだけど。

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