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【3】

《登場人物紹介》

◇白山茶花 桃椿-シロサザンカ モモツバキ-

  …中学生


◆黒檀 未恋-コクタン ミレン-

  …転校生


◇嫁入 朔-ヨメイリ サク-

  …中学生


◆卯花腐 春時雨-ウノハナクタシ ハルシグレ-

  …中学生


×××


☆マジカルカメリア

  …白の魔法少女


★マジカルエボニー

  …黒の魔法少女

camellia[意味:椿]



「ハルっち!」


「…やられた、ね」


ハルっちがボールをぶつけられてコートから退場する。


現在体育の自習時間。


球技大会に向けてドッジボールの練習中だ。


…球技大会にドッジボールないけどね!


「やるね未恋(みれん)ちゃん」


「それほどでも」


あります、って言いたそうだな。


そもそも未恋ちゃんトロい印象があるけど、運動神経はメチャクチャいい。


「セイッ!」


ハルっちに当たって落ちたボールを拾って未恋ちゃんに向けて投げる。


「甘いです」


直撃コースだったが未恋ちゃんの身体がありえない方向によじれかわされた。


軟体動物かっ。


でも、かわされるのは想定内。


「ハルっち!」


「オーケー」


未恋ちゃんの背後にスタンバイしていたハルっちがボールをキャッチし、即投げる。


「だから、甘いです、って!」


が、未恋ちゃんは即座に身体を反転してそれをキャッチ。


そのままあたしの横にいた女子にヒットさせた。


「これでタイマンか…」


「ふふん」


どや顔未恋ちゃん可愛い。


因みに嫁入(よめいり)は早々に退場して外野で野次を飛ばしながらサボっている。


ボールを掴む。


「ハルっち」


「オーライ」


外野のハルっちと運動神経いい系の女子三人でパスを回す。


「………」


全然撹乱出来てないな。

(完全に目で追われてる。)


しかも、そのうちパスカットされそうだ。


…だったら。


「ハルっち!」


ハルっちからパスを受けそのままダイレクトで投げる……、


-未恋ちゃんが回避モーションに入った。


と見せかけて一度リリースしたボールを再度空中で掴んで軌道を変える。


「……っ!?」


足元狙いのボールをそれでも未恋ちゃんはかわした、が。


「きゃっ」


脚がもつれて転倒した。


外野にこぼれたボールを近くにいた嫁入が掴んだ。


「これでゲームセットだぜっ!」


サボってた癖に最後だけ持って行きやがるつもりだ。


嫁入が倒れた未恋ちゃんに向けて全力投球し(最低だ)ゲームセッ…、


-バシッ


ボールがキャッチされた。


「…倒れている女の子に向かってボールを投げるものではないよ」


「何やっとんじゃハルっち!!」


ハルっちが外野から敵陣に入り、未恋ちゃんを守った。


これでゲームセットだ。


…うちのチームの反則負けだよ、チクショウ!



「…大丈夫? レンちゃん」


「ええ、ありがとうございます」


ハルっちが未恋ちゃんを抱き起こす。


…普通に起こせや。


「ええと、一緒に戦ってくださったみなさんには申し訳ないんですけど。最後の一投は普通にかわせなかったのでアウトにして頂けないでしょうか?」


未恋ちゃんストイック。


「うちら早々に退場しちゃってほとんど倒したの黒檀(こくたん)さんだし、その黒檀さんが言うならそれでいいよ」


「勝ちは譲ってやろう」


「黒檀さんナイスファイト」


…なんやかんやでうちのチームの逆転勝ちになった。

(そして、何もしてないのになんで落藤(おちふじ)さん偉そうなんだ。)


逆転勝ちはおかしいか。


「レンちゃん保健室行く?」


「いえ、大丈…」


「足首捻ってるでしょ? 着いてくよ」


「じゃあ、お言葉に甘えて。…(もも)ちゃん、嫁入さんまた後で」


授業終了の鐘と共にハルっちは未恋ちゃんを支えて保健室に行ってしまった。


イケメンだなぁ。


「あー、もうふーんだ! バーカ!」


嫁入が荒れているので二人が帰ってくるまでに宥めておかなくては。



「〝ホワイトマジカルプリンセス・キューティクルカッター!!!〟」


衝撃波で雑魚異界獣(いかいじゅう)を一掃する。


「っていう感じで嫁入がいじいじウザくてさ。まあそんなところも可愛いんだけど……〝エクサバルディッシュ!!〟」


「喋るか戦うかどっちかにして欲しいニャン」


「同時に二つのことをマルチタスクで行うと能率が落ちるから個別にやったほうが実は効率的って話?」


「そんな難しい話はしてないニャン」


リンクスと会話しつつ雑魚異界獣を蹴散らす。


…そろそろかな?


「今日もやってくれましたね。やってくれましたね。まじかるかめりあさん」


今日は来ないかとも思ったけど、やっぱ来たか。


向かいの建物の屋上に黒い魔法少女が現れた。


「黒の魔法少女〝まじかるえぼにー〟!」


「おお~」


ちゃんとリクエスト通り名乗り上げとポーズを決めてくれた。


パチパチと拍手する。


「どうも」


「もうちょい発音良くなれば完璧かな?」


「駄目だしもどうも」


これくらいじゃへこたれなくなってきたか。


エボニーちゃんが強く育ってくれて嬉しい。


「降りてこないの?」


「今日は足を痛めていまして。高いところからこのまま失礼します。現れよ〝異界獣〟!」


そういってエボニーちゃんは懐から黒い石といつものカンペを取り出した。


「〝てうぃりいとぞね! びるど!〟」


よくも毎回めちゃくちゃな発音で堂々と出来るな……。


「〝異界鳥(いかいちょう)〟!」


巨大な鳥のような黒い靄が現れ、エボニーちゃんはそれに飛び乗った。


「…痛っ。今日はこのまま上からいかせてもらいます」


「今〝痛っ〟って言ったよね?」


怪我してんだから気をつけなよ。


黒い鳥がエボニーちゃんを乗せたまま高度を上げた。


「〝ホワイトマジカルプリンセス・キューティクルカッター!!!〟」


上に向けて衝撃波を放つ……、


が、衝撃波の発生を見てから黒い鳥は悠々とかわした。


「チッ」


「マジカルカメリア! ビーム攻撃ニャン!」


「ビーム攻撃じゃなくて〝ヨタカメリアレイ〟な」


外したらガス欠だし、最悪エボニーちゃんごと仕留めちゃう虞があるから使えないんだよ今は。


「ふふふ、上空からなら手出しが出来ないでしょう」


「でも、攻撃手段がないのはそっちも一緒じゃない?」


近づいてきたら叩き落してやる。


「お気遣いどうも。でも、心配には及びません。……こうします。〝卵撃(らんげき)!〟」


黒い鳥が白い卵のような塊を吐き出した。


「〝フェムトシード!!〟」


左手を(かざ)しシールドを張る。


白い卵はシールドに当たって霧散した。


「…盾まで出せるんですか」


「エボニーちゃんは…」


「出せません」


喰い気味に言われた。


「悪いけど今程度の攻撃だったら何発撃っても無駄だよ」


「それはどうでしょうね? 〝卵撃〟!」


シールドで受ける。


正直百発撃たれようともノーダメージだがエボニーちゃんは余裕の笑みを崩さない。

(仮面つけてるから口元しか見えないけど。)


「〝卵撃〟〝卵撃〟〝卵撃〟…」


シールドで受け続ける。


…そろそろか?


「〝卵撃〟〝卵撃〟…〝黒卵撃(くろらんげき)!!!〟」


「〝アトラック!〟」


突如鳥が吐き出した黒い卵を加速して避ける。


「…っ!?」


「エボニーちゃんフェイントが下手くそだね」


あたしがもといた地面に小さなクレーターが出来ている。


これくらいならちょうどいいか。


「〝黒卵撃!!!〟」


再び鳥が黒い卵を吐き出す。


もう威力は見切った。


「〝ゼプトミラー!〟」


左手を掲げ鏡を作り出す。


黒い卵は鏡に反射して黒い鳥の顔面に命中した。


「きゃっ!?」


黒い鳥が霧散し、エボニーちゃんが空中に放り出された。


「…っと!」


「あうっ」


落下地点まで走りエボニーちゃんをキャッチする。


「怪我はない?」


「あ、はい。…ありがとうございます」


エボニーちゃんお礼が言えるいい子。


「よいしょ」


エボニーちゃんを地面にそっと降ろす。


「よし! 今回は横槍なく完全勝利だ」


「かめりあさんが完全勝利でない時なんてありましたっけ?」


「いや、こっちの話」


気分の問題だ。



「じゃあ、今日の罰ゲーム行こうか」


「あ、やっぱやるんですね」


当然。

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