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第41話「実妹」

「この子はですね、俺の実の妹なんですよ」

「えっ……?」

「血が繋がってるんです」


 先輩は何を言ってるの、とでも言いたげな目で俺の顔を見つめてくる。

 当然の反応だ。

 俺が一般家庭の人間なら別に歳がかなり離れた兄妹がいてもそこまで疑問には思わないだろう。


 だけど、俺が孤児院出身だと先輩は知っている。

 幼い頃から孤児院で育ったはずの俺にどうして四歳の実妹が存在するのか、それを疑問に思わないはずがない。

 もちろん、これにも理由があった。


「去年の話になるのですが、ある日この施設の前に段ボールが置かれていたそうです。そしてその中には、毛布にくるまれたこの子と手紙が入っていたと聞きました」

「聞きました?」

「その頃にはもう俺はこの施設を出ていましたからね。ですからこれは、当時まなを見つけてくれた職員さんから聞いた話です」


 職員さんがまなの存在に気付いたのは、おそらくまなが置いて行かれてすぐだったと思われる。

 というのも、まなが置かれた時間は早朝だったのだけど、施設のインターホンが鳴らされたのだ。

 そして職員さんが外に出ると、慌てて立ち去る人影が見えたらしい。

 怪訝に思って人影がいたところに職員さんが行くと、そこに置かれていたのは段ボールに入ったまなだったというわけだ。


 人影が男か女かすらわからなかったらしいけど、多分まなの――そして、俺の親だったんだろう。

 正直俺たちの親が何を考えているのかは一切わからない。

 だけど変わった親だったんだと思う。

 わざわざ段ボールの中に手紙を入れるくらいだからね。


 その手紙に書かれていたのは、段ボールに入ってる幼女の名前と生年月日だった。

 それともう一つ、十年以上前にこの施設に預けた、優弥の実妹であるとも書かれていた。


 その時知った事なのだけど、俺もまなと同じようにこの施設の前に段ボールに入れて置かれていたらしい。

 この優弥という名前も俺を捨てた親が手紙に書いていたらしく、誕生日も書かれていたとの事。

 一つ違うのは、俺が捨てられたのは一歳にもならない赤ちゃんの頃だったって事くらいだ。


 名前や誕生日を書いた手紙を一緒に入れておくなんて普通に考えてありえない。

 子供を捨てるなんて愛情がないから捨てるのであり、名前や誕生日なんて残さないのが普通だ。


 特に、名前や誕生日がわかるならそれを元にどこの家の子かを調べる事だってできるだろうし。


 ……まぁただ、今回まなの件で調べてもらったけど突き止める事は出来なかった。

 もしかしたら出生届が出されていないのかもしれない。

 そんな事が可能なのかどうかは知らないし、俺たちがちゃんと調べきれてないだけかもしれないから断言はできないけど。


 しかし当然俺の名前が出てくれば孤児院から俺に連絡が来る。

 まなが実妹って事は正直半信半疑だったけど、当時美優さんがお金まで出してくれてDNA鑑定を勧めてきたので調べたところ、本当に血が繋がっている兄妹だという事がわかったのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] これは確かに重い… 冬月君が先輩に話すのをためらうのも無理もないですね ケーキを先輩の分まで用意したり、今後の事を見据えて彼女に話したほうがいいと助言したり、DNA鑑定の料金も出してくれたり…
[一言] お、重い重すぎるよ。今回の話と思ってしまった。 捨てた親はどんな思いだったんだろうか。
[一言] えぇ…親は何を考えてるんだ。 懲りずにまた子供作って捨てるとかどんな事情があっても同情できない。
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