終結
元の世界に戻ってきてからこっち、俺は熱心に過去の歴史を調べている。
遊んでばかりいた俺が、急に国立図書館にこもるようになったものだから、親父もおふくろも赤い雪でも降るんじゃないかと言っている。
雪じゃなくて、あれは確かに巨大な何かの塊だった。
とても「石」なんて言えないものだ。
記録では、スペインやポルトガルがあるイベリア半島ぐらいの大きさの隕石が、アトランティス大陸を海に沈めたらしい。
イベリア半島大でも充分大きいのだろうが、俺にはもっと大きく見えたな。
暗い宇宙の向こうから、周りの星々を飲み込みながら、物凄いスピードで迫ってくる黒い影は、月ぐらいの大きさの不気味なモンスターに見えた。
そばをすれ違った時にはゾッとしたものだ。
アトランティス大陸を沈めた巨大隕石のディープな振動は、地球の裏側にまで伝わって、日本の琵琶湖付近の大地を根こそぎ空に飛ばしたらしい。
それでその土が落ちたところが、瀬戸内海に浮かぶ淡路島というのだから、驚きだ。
そのため琵琶湖は世界で3番目に古い湖となった。
あの怪物を見ていない時にこんなことを聞いたら、俺は面白いジョークだと思って、腹の底から笑っていただろう。
しかし今ならそれが真実だと思える。
2万年前に確かにあそこに生きていた人たち。
俺の中にもあの人たちのDNAが流れているんだろうか?
底抜けに明るくお気楽なスワヒーリ。
そして生き残ることを真剣に模索していたアトランティス大陸の人々。
地球上に続いて行く命の不思議さを考えながら図書館を出た俺は、澄み渡った初夏の青空を見上げた。
la fin
★後書きに変えて★
この作品を読んで「これって、ホントかよ~」と思ったあなた、「短いスワヒリ語を覚えちゃった」というあなたに、作者が読んだ本を紹介します。
《参考文献》
「臨死体験で明かされる 宇宙の「遺言」」
著 木内鶴彦 出版社 扶桑社 1600円+税
この本の作者はアマチュア天文家で、三つのすい星に自分の名前がついているという世界的に有名な人だそうです。
彼が死後の世界で見てきた歴史の真実を読んだ時に、興味深くは思いましたが、壮大なジョークのようにも思えました。
その時ふと、秋月忍さん主催の「お気楽コメディ」企画のことが頭に浮かんできました。
この本の作者には失礼なことなんですが、木内さんが真実だと言われているこの歴史の大枠は、SFコメディになるんじゃないかと思ったのです。
軽い気持ちで書き始めましたが、書いていくにしたがって「あれ? これはシリアスに本当のことなのかもしれない」と思えてきました。
そのため、作品がコメディになり切らなかったのです。
主催者様、誠に申し訳ない。<(_ _)>
読んでくださった皆さんは、果たしてどんな感想を持たれたでしょうか。
「スワヒリ語のしくみ」新版
著 竹村景子 出版社 白水社 1700円+税
帯に「新書みたいに スラスラ読める」と書いてあります。
拙作「じだらく魔女の孫育て」でも紹介した本です。
うちの孫のリハビリの先生が、青年海外協力隊でタンザニアに行っていた人で、それをきっかけとして買ったきた本です。
パズルや推理小説の暗号を解いていくようにスワヒリ語が学べます。
今はこれにハマっていて、毎朝2ページずつ勉強しています。あ、読むのは一度もう全部読んでしまいましたから、お勧めですよ。
英語が嫌いでため息をついている人、外国語を学ぶ楽しみを思い出してみませんか?