エピソード 3ー2 ペットトリマーの仕事
寝息を立て始めたアリシアをみて、恭弥は深いため息をついた。
こんな状況になっても、アリシアは自分の病のことを話さない。このまま、自分が動けなくなるまで、無茶な狩りを続けるつもりであることを理解してしまったからだ。
アリシアが、どうして親切にしてくれるのかは分からない。けれど、恭弥にとってアリシアは恩人で……絶対にモフモフにしてモフりたい相手である。
このままアリシアが死んでいくのを、なにもせずに見ているなんて出来ない。
ブランカのときに抱いた悲しみを、もう一度抱くなんて絶対にごめんだと、恭弥は自分になにが出来るのか、必死に考えを巡らせた。
そして思いついたのは、ペットトリマーのスキル。恭弥はステータスウィンドウを開き、ペットトリマーのスキルレベルを確認する。そこにはレベル2と表示されている。
――もしかしたら、病気を治すようなスキルが増えているかもしれない! そんな期待を抱いて、ウィンドウを開く。
そこには既存の、消耗品を取り寄せる能力の他にもう一つ、診察というスキルが増えていた。
恭弥は震える手を動かして、アリシアに向かって診察のスキルを使う。
すると――
『対象は重度の病気です。ただちに、対処できる人のもとへ連れて行きましょう』
そんな一文が表示された。
最初は理解できなかった。だけど……すぐに理解する。
ペットトリマーの仕事は、グルーミングと――病気の早期発見。病気を発見して、獣医に行くように飼い主に伝えるのが仕事であり、自分が病気を治すことではない。
恭弥はくずおれ、床の上にへたり込んでしまう。そうして、ペットトリマーではなく、獣医を目指すべきだったかと唇を噛む。
もっとも、あの日購入したのがペットトリマー入門書ではなく医学書だったら、スキルを得ていたかは分からないし、得ていたとしてもランクは上がっていなかっただろう。
どうやっても、恭弥にはなにも出来ない。
だけど、自分でなんとか出来ないのなら、なんとか出来る人を探すべきだと考えた。
「そもそも、ペットの病を見つけて治せる相手に託すのは、ペットトリマーの仕事だしな」
ポーションでは症状を抑えることしか出来ないとのことだが、カエデならなにか他の案を知っているかも知れない。
そうじゃなくても、スキルで制作できるポーションなんてものが存在する世界だ。
アリシアの病に効くような珍しいポーションが在るかもしれない。絶対に、アリシアを助けてみせる――と、恭弥は密かに誓いを立てた。
そんな訳で、恭弥はアリシアを助けるための手始めに、まずはフィーネの家を訪ねた。
「恭弥お兄ちゃん、いらっしゃい」
「夜遅くにごめんな。フィーネに少し相談があるんだ」
「……もしかして、アリシアお姉ちゃんのこと?」
「ああ。その関係だ」
「分かった。ちょっと待っててね」
フィーネが一度家の中に戻り、恭弥お兄ちゃんと少しお話してくるとの声が聞こえてくる。それからほどなく、フィーネがパタパタと戻ってきた。
「お待たせ、恭弥お兄ちゃん。それで、相談って?」
「まず……フィーネはアリシアの現状を知ってるのか?」
病気を患っていること――という含みを持たせて問いかける。
それに対して、フィーネはわずかに目を伏せた。
「……恭弥お兄ちゃんも、知っちゃったんだね」
「さっき、ポーションを手配してもらいに行ったときにな。でも、俺もってことは、フィーネもアリシアが病気だって知ってるんだな?」
「……うん、知ってるよ。一年ほど前に、もう長くないって知らされたの。小さな村だから、みんな知ってると思う」
「知らないのは、俺だけだったってことか……」
恭弥はぎゅっと拳を握りしめた。
「どうして、俺には教えてくれなかったんだ?」
「言えないよ」
「……どうして?」
「だって、恭弥お兄ちゃんが現れてからのアリシアお姉ちゃん、楽しそうだったから」
「……楽しそう?」
恭弥は小首をかしげた。
嫌われているとは思っていないが、そんなに楽しい会話をした記憶もない。けれどフィーネは、いまのアリシアと少し前のアリシアは別人のようだと付け加えた。
「……少し前のアリシアは、どんな感じだったんだ?」
「あの頃のアリシアお姉ちゃんは仇討ちしか考えていなかったと思う。朝から晩まで狩りをして、毎日返り血で真っ赤になってたもん」
いまのアリシアも狩りに必死な感じではあるが、夕食前にはちゃんと帰ってきているし、そこまで血塗れという訳ではない。
「……荒れてたのか?」
「荒れてたっていうか……焦ってたんだと思う。フィーネ、アリシアお姉ちゃんに聞いたことがあるの。どうして、そんなに仇討ちにこだわるの? って」
「……アリシアはなんて答えたんだ?」
「このまま死んだらなにも残らない。そんなのは嫌だ――って」
「そっか……」
どうせ死んでしまうのなら、せめて生きた証を残したい。そういった思いは、未来ある若者には分かりにくい感情である。
けれど……ブランカを失ったとき、恭弥も形見の品を処分できないでいた。そのときの気持ちが鮮明に残っている恭弥には、アリシアの気持ちがなんとなく分かった。
「ねぇ、恭弥お兄ちゃん。アリシアお姉ちゃんの仇討ち、やめさせられないかな?」
「そうしたいのはやまやまだけど……動けなくならない限り、諦めない気がする」
「そんなっ、どうして! 病気で死ぬ前に、魔獣に殺されちゃうかも知れないんだよ?」
「……それは、アリシアが誰より分かってるんじゃないかな」
いまのアリシアは、自分の安全を考慮しているとは思えない。
仇討ちを果たして死ぬか、最後まで仇討ちを目指して死ぬか。死を覚悟しているアリシアにとって、諦めて死ぬことこそが、一番ダメな結末なのだろう。
恭弥としては、残された時間をフィーネのような幼馴染みと過ごすべきだと思うのだが……それは、アリシアが決めることなので、口出しをするつもりはない。
けれど――
「どっちにしても、アリシアの病をなんとかすれば解決だと思うんだよな」
「……え? 解決……出来るの? ポーションでも治らないんじゃなかったの?」
「症状を抑えるだけみたいだな。でも、それでも延命は出来るんだろ? なら、そのあいだになにか考えてみるよ」
少なくとも、技術提供をした時点でまとまったお金をもらえる予定なので、そのお金を使えば、アリシアの延命は問題ない。
ポーションの効きが徐々に悪くなっているそうなので、それもいつまで保つかは分からないが、少なくともすぐに死ぬことはない。
それに、仇討ちだってそうだ。
恭弥はとてもじゃないが戦えないが、人を雇うような選択肢だってある。アリシアがそれを望むかは分からないが、いくつかの選択肢は残されているのだ。
という訳で――
「フィーネに頼みがあるんだ」
「良いよ、フィーネは恭弥お兄ちゃんのお願いなら、なんだってするよ」
じゃあ、今すぐモフらせてくれ――というストレートな欲求は辛うじて呑み込んだ。アリシアのことがなければ、そのまま手が伸びていただろう。
「こーら、女の子がなんでもするなんて言ったら、ホントになにをされるか分からないぞ?」
「フィーネ、恭弥お兄ちゃんになら、なにをされたって……ぃぃょ」
「うぐっ」
フィーネのいじらしい発言に、恭弥は意識を持って行かれそうになった。このままモフモフしても良いんじゃないかという思いが首をもたげる。
だけど、それでも、いまはモフモフよりもアリシアのことが重要だと誘惑を振り切った。
「トリマーの予約、ずらすことは出来ないかな?」
「予約って……いつの?」
「明日か、明後日、出来るだけ早いうちに、アリシアの件でカエデに相談しに行きたいんだ」
「あぁ、そっか。トリマーのお仕事をしてたら、街まで行く時間がないもんね」
「そうなんだ。それで、なんとか出来ないかなって思って」
「ん~っと……そうだね。明日の予約してる人達はみんなフィーネが良く知ってる人だから、事情を話したら日を変えてくれると思うよ。フィーネが伝えていくね」
「ありがとう、助かるよ」
一日に三人しか予約を入れていないのが幸いし、予定を空けることは思いのほかあっさり出来た。という訳で、恭弥は明日の朝一番で、隣にある街へ向かうことになった。
翌朝。恭弥はアリシアのお見舞いをすませ、街に向かうために乗合馬車が来るであろう村の外れへと向かう。そこには、何故かフィーネが待っていた。
「昨日の予約の件だけど、日をずらすようにお願いしておいたよ」
「ありがとう、助かるよ。これで安心して街まで行ける。……それを言いに来てくれたのか?」
「それもだけど……実は、フィーネもついて行きたいなって思って」
「フィーネも? 別にかまわないけど……親御さんの許可はあるのか?」
「うん。アリシアお姉ちゃんのためだって言ったら、気を付けて行ってこいって」
そういうことなら問題ないと、恭弥はフィーネを連れて行くことにした。
そんな訳で、他の村経由でやって来た乗合馬車にお金を払って便乗。恭弥達はガタゴトと揺れる馬車に座って、おしゃべりに興じていた。
「恭弥お兄ちゃんは、街には良く行くの?」
「いや、実は行ったことがないんだ」
「え、そうなの? じゃあ、どうやってカエデ商会を訪ねるつもりだったの?」
「それは……人に聞いて回ったりとか?」
「恭弥お兄ちゃん、以外と思いつきで行動してるよね」
「……がふ」
愛らしいフィーネの無邪気なセリフに大ダメージを受けた。乗合馬車の椅子に座っていなかったら、その場にくずおれていたかも知れない。
「そ、そんなことより、フィーネは街に行ったことはあるのか?」
「うんうん。お父さんに連れて行ってもらったことがあるよ~」
「へぇ……いまから行く街はどんなところなんだ?」
「ん~、基本はそんなに変わらないけど、大きな建物がたくさんあるよ。あと、商人とかが凄く集まってて、露店とかもたぁくさんあるよ」
「ふむふむ」
恭弥は相づちを打ちつつ、街の規模を質問していく。
それらの情報を元に推測するに、どうやら大きな街道の集まる場所にあるため、交易の拠点のようになっている街のようだ。
フィーネはカエデ商会の場所を知っているようだが、恭弥一人だとわりと苦労しただろう。
「…………かな?」
フィーネとの会話が切れた瞬間、向かいの席に座っていた女性の声が聞こえた。何気に顔を向けると、二人組の少女がこちらを見てひそひそと話をしている。
なんだろう、もしかして、俺が人間だから警戒されてるのか? なんてことを恭弥は考えるが、その予想は大外れだった。
なぜなら、少女は「貴方の毛並みって凄く綺麗ね」と、フィーネに声を掛けたからである。
「えへへ、ありがとう」
ピンク色の毛並みに覆われたイヌミミを揺らし、フィーネが満面の笑みを浮かべる。
「はぁ……私の毛並みは艶がないから羨ましいわ」
「ホントホント。私も綺麗な毛並みに生まれたかったなぁ」
片方の少女がため息をつき、もう一人の少女もそれに同調する。
それを聞いた恭弥は、やっぱりイヌミミ族にとって、毛並みの質は生まれついて決まっているって認識なんだと理解。もったいないなぁと思う。
「フィーネ、最近まで不細工っていじめられてたんだよ」
不意打ちで放たれたセリフに皆がぎょっとした。
「フィーネ、そんなこと話して大丈夫なのか?」
自分のトラウマを初対面の相手に打ち明けるようなものだと思った恭弥が心配する。けれど、フィーネはその問いに対して、愛らしい微笑みを返した。
「恭弥お兄ちゃんのおかげで綺麗になれた証拠だもん」
「ふむ……まあ、フィーネが嫌なことを思い出さないなら、好きにすれば良いけど」
恭弥が引き下がって視線を戻すと、自然と向かいの少女二人が視界に入る。二人は、信じられないと言いたげな面持ちをしていた。
「いまの話……本当なの?」
「うん、ぜぇんぶ、本当だよ」
「貴方が、その……不細工と言われてたの?」
「うん、フィーネの毛は長くて、絡まって、ゴワゴワだったんだよ」
「とてもそんな風には見えないけど……」
少女の目に疑念の色が宿る。
超絶美少女が、自分達を揶揄しているのではと思い始めているのだろう。しかし、その誤解が確信に変わるよりも早く、フィーネがその先を続けた。
「フィーネが綺麗になれたのは、恭弥お兄ちゃんのおかげなんだよっ」
「恭弥お兄ちゃんというのは……隣にいる人間、よね?」
「うん。恭弥お兄ちゃんは凄いんだよっ! いじめられて、泣いて帰ってきたフィーネに、毛並みを綺麗にしてあげようかって、言ってくれたの。それでね――」
なにやら、フィーネの熱弁が始まる。
それによると、恭弥は不細工だと馬鹿にされていたフィーネに、性格も外見も可愛いと優しく声を掛け、更には毛並みを物凄く綺麗にしてくれた最高のお兄ちゃんらしい。
横で聞かされた恭弥は、誰だそのイケメンはと恥ずかしくなる。
しかし、恭弥をもてはやしているようで、イヌミミ族トリマーの宣伝にもなっている。
アリシアを助けるためには、先立つもののがどれだけあっても困らない状況。宣伝の大半が口コミしかなさそうなこの世界において、フィーネの宣伝は重要かも知れない。
止めない方が良いのかどうか……恭弥は迷った末に、フィーネのシッポをモフった。
「――ひゃんっ」
フィーネがびっくりしたようにその身をはねさせる。
恭弥お兄ちゃん、なにするの! と言いたげに、恭弥を睨みつける。
けれど、恭弥はフィーネがなにも言ってこないのを良いことに、正面にいる二人からは見えないようにフィーネのシッポををモフモフと堪能する。
「……んぅっ」
「えっと、どうかしたの?」
「ふぇっ!? えっと……な、なんでもない……ょ」
「そうなの? なんだか、顔が赤くなったような気がするけど」
「ひゃう。~~~っ。き、気のせいじゃないかなっ」
見えないところでシッポを好き勝手にモフモフされているフィーネは、明らかに言葉数が減ってくる。それを良いことに、恭弥は話の主導権を奪いる。
そうして、自分の口でイヌミミ族トリマーの宣伝を始めた。
「恭弥お兄ちゃんのばかばかばかっ」
「ごめんごめん」
「もうっもうもうっ、すっごく恥ずかしかったんだからねっ」
馬車から降りた恭弥は、フィーネにぽかぽかと殴られていた。
「俺も恥ずかしかったからおあいこだな」
「意味が分からないよっ」
ぷくぅと膨れるフィーネは可愛らしい。人間視点ではもちろん、イヌミミ族視点でも超絶美少女になっているので、フィーネの言動は凄まじく目立っていた。
それに気付いたフィーネが真っ赤になって「お兄ちゃん早くいこ」と恭弥の手を引いてくる。
そうして早足で歩くこと十分くらい、立派な建物の前にたどり着いた。
「ここがカエデ商会だよ」
「はぁ……なかなか立派な建物だな」
周囲にも同じくらいの大きさの建物がいくつかあり、それ以上の建物も存在している。けれど、カエデは親から独立して商会を立ち上げたと言っていた。
二十代くらいのカエデが築き上げたと考えると、かなり立派な商会だろう。
「ここまで大きいと、もしかして面会予約とか入れなきゃダメだったか?」
商人への商談ならともかく、カエデ商会のトップへの取り次ぎだ。いくらイヌミミ族トリマーの件で商談相手になっているとはいえ、すぐには会えないかも知れない。
そんな風に心配する恭弥の前に、フィーネが手紙を差し出してきた。
「……これは?」
「ルチアに一筆書いてもらって来たよ」
フィーネがお手紙を手荷物から取り出した。
「おぉ……さすがフィーネだ。むちゃくちゃ助かる」
「えへへ、だってフィーネは、恭弥お兄ちゃんの助手だもん」
トリマーの助手とはまったく関係ない気がするが、フィーネの行動によって助けられたのは事実なので「ありがとう」と恭弥は感謝の言葉を投げかけた。
そうして、二人で一緒に商会に入って、受付で手紙を渡して面会を依頼する。さすがに突然の訪問ですぐにとは行かなかったけれど、三十分ほどして部屋に通される。
応接間のソファに座り、恭弥達はカエデと向き合っていた。
「恭弥はんに……そっちはフィーネはんやったね。なんや、ルチアはんから恭弥はんの頼みを聞いて欲しいちゅう話やけど……なにがあったん?」
「実は、二つほどお願いがあるんだ」
「恭弥はんには世話になってるからね。もちろん、話は聞かせてもらうよ」
話はと前置きをしている辺り、商人らしく予防線を張っている。恭弥はそれに気付いていたが、同時にわりと好意的な物腰であることも感じ取っていた。
「そういってくれると助かる。実は、俺がお世話になってる娘が、病で弱ってるんだ」
「アリシアはんのことやね。ルチアはんからポーションの件は聞いてるよ」
「あ、ルチア、もう連絡してくれてたんだ」
恭弥も朝一で乗合馬車に乗ってきたので、ルチアは相当急いで連絡してくれたのだろう。
「それで、頼みの一つ目はポーションの件で良いんかいな」
「そうなんだけど……その代金なんだけどさ。技術料から支払う形に出来るか?」
「なんや、そんなことかいな。それなら、なんの問題もないよ」
不安げな恭弥に対して、カエデがあっさりと答える。
「……良いのか? ポーションはわりと高価だって聞いてるんだけど」
「高いか高くないかいうたら高いけどね。恭弥はんに支払う技術料と比べたら、大した金額やあらへんよ」
「そっか。なら、申し訳ないんだけど、ポーションの代金はそこから引いておいてくれるか?」
「もちろんやよ。ポーションも手配済みやから、残りの技術料と一緒に持って帰るといいわ」
「……技術料もか?」
ポーションの代金分だけ、前払いでもらうつもりだった恭弥は目をしばたたかせる。
「技術提供は既に果たされてるからね。近いうちに約束のお金を支払うつもりやったんよ」
「ということは、シャンプーやリンスは作れそうなのか?」
「さっそく色々研究して、手答えはあったって報告を受けてるわ。それに、小麦粉シャンプーのレシピも教えてくれたやろ? ひとまず、あれとブラシを売り出そう思てるんよ」
「なるほど」
小麦粉シャンプーとブラシでシッポのお手入れの有用性を広く知らしめつつ、本格シャンプー&リンスやイヌミミ族トリマーを富裕層向けに売り出すという、恭弥の提案を採用したらしい。
「そういうことなら、ありがたくもらって帰るよ」
これでアリシアの延命が出来ると、恭弥はひとまずホッとした。だが、本当に重要なのはこれからだと、恭弥はきゅっと口を結ぶ。
「それで……その、もう一つ頼みがあるんだ。いまのポーションはだんだん効かなくなってるそうなんだ。だから、他に、病を完治させるポーションがないか、探してもらえないか?」
それが、今回の恭弥にとって一番の目的――だけど、カエデは首を横に振った。




