第8話 予選開票
11月4日、文化祭2日目。
昨日と同じように、登校してすぐに教室で出席をとる。
「あ、山田ー、今日も女装するのか?」
教室にいた、今まで話したことがないクラスメイトが聞いてきた。
「いや、今日は本番に出る奴だけだから、分からないよ」
「へー。俺も投票しといたから。本番も頑張れよな!」
「おう!サンキュ!」
思わずニヤニヤしそうになって、慌てて手を振って、教室を出た。
今のヤツの名前、後で聞いてちゃんと覚えないとな。
2-Bの教室に行き、開票は皆が揃うのを待つことになった。
展示してある土器をきれいに置きなおしたり、顔出し看板の紙が破れた所をテープで補修したりしているうちに、全員が揃う。
「よし。じゃあ、開けてみるか」
藤久保が投票箱を開けて、みんなで票を数えた。
3階にある、地味な文化部の展示だけれど、なんと200以上の投票用紙があった。
展示についてのアンケートの兼ねていて、感想欄は空白のものも多いが「頑張ってね」「面白そうだから応援しています」などのメッセージも多い。保護者と思われる「明日は見に行けないけど結果は娘に聞くね。がんばれ!」は、バザーで会ったあのおばさんだろうか。
「ああ、やっぱり女装が面白かったのか、男子の方に多く票が入ってるな」
1枚の紙に2人も3人もの番号を書いている人もいるが、全部入れて集計してみると……
「俺か……」
ガックリと肩を落とす、ゆず。
結果は、1位、ゆず。2位、ハルカ。これはサッカー部の先輩たちの組織票らしい。
そして3位がゆずと一緒に歩いていた二木さんだった。
「仕方がない。最初の約束だ。女子も居ないと寂しいから、俺とハルカと二木さんで出よう」
「ふうっ」
思わず安心のため息が出る藤久保。
藤久保は4位なのでした。
俺?残りの女子と、どんぐりの背比べだった。
解せぬー!
まだ貼っている仮装写真の下にそれぞれの得票数を書いておく。時々教室に入ってくる生徒は皆、結果が気になるみたいなので。
それからハルカのサッカー部の当番の時間までは、そのまま2-Bの教室で、ステージでのパフォーマンスをみんなで一緒に考えた。
衣装は分かりやすく、ゆずが赤、二木さんが青。
ハルカは白い貫頭衣で、後ろで土器のレプリカを頭の上に掲げて踊ることにした。
「でも……急にダンスとか無理……」
「あ、じゃあラジオ体操とか踊ってみたら?」
「いっちー、それは酷い……」
「フォークダンスはどう?」
と、佐藤さん。
聞いてみると、ゆずも二木さんも、オクラホマミキサーなら踊ったことがあるらしい。
男女パートが逆になるから少し練習が必要だ。
スマホで動画を探し、その音楽を使って練習してみた。
俺たちの後ろには、展示を見に来た生徒たちもだんだん増えてきて、笑ったり拍手したり。狭い教室は暖かく賑わっている。
音楽がスタートすると、この教室にいる観客の拍手とともに、端からフォークダンスを踊りながら登場。中央まで来たら踊りをやめ、音楽も止めて顔出し看板と同じポーズを決める。ハルカは土器を持って2人の後ろで好きに動くことにした。
「よっしゃあ。こうなったら、俺が笑いをとってやるぜ!」
がんばれ、ハルカ!
やけくそ気味だなあ。




