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第10話 部活とクラス、そして放課後

 井上先生に相談して、変身コンテストの時には、先生が作ったレプリカを貸してもらうことになった。

 先生は俺たちの計画については何も言わないが、質問すればいろいろと教えてくれるし、困ったらそっと手助けしてくれるタイプ。

 そして何もない時は黙々と土器を組み立てているのだ。




 考古部の準備は着々と進み、転入生の俺とゆずだけでなく、他のみんなも打ち解けて仲良くなった。これまではさほど話をしない顔見知り程度の関係だったのが、部活をきっかけに関係を深められたようだ。

 ゆずも二木さんだけでなく、トリオ女子とも嫌がらずに普通に喋るようになったし、トリオ女子も煩くゆずに付きまとうこともなくなった。佐藤さんが高野さんと話が合うことが分かったらしく、そのふたりにいつも陽気な桂さんを加えて、3人でキャッキャといつも何かしら盛り上がっている。

 二木さんは大人しい三浦さんと話が合うようだ。

 俺たち男子も、元々気易かったハルカだけじゃなくて、真面目な藤久保が時には面白くないギャグを披露するほどの仲になった。




 一方、クラスでの関係はちょっと微妙だ。

 考古部の9人が全員が同じ、1年A組というのもあるのかもしれない。

 自然と教室でも固まって話すことが多くなり、それ以外のクラスメイトとの交流はまだあまりない。

 クラスの展示もみんなで選んだ5種類の錯覚絵を、5つのグループに分かれて作ることになった。そのグループも自然と考古部でまとまってしまう。


 遠巻きに俺たちを見てクスクス笑う数人の男女に、少しは不安になる。

 けれど、俺だってここ数年の経験がある。遠巻きにされるのなんて、慣れっこだ。

 それに今は、8人も友達がいるんだから。




 学校帰りに、今日は考古部のみんなと一緒に、喫茶羅馬(ローマ)へとなだれ込んだ。

「おおう、今日は多いな!」

 そう言いながらも、いつものように動じず席を勧めてくれるマスターは、やっぱり今日も最高にカッコいい男だった。それにしても、今日も客がいない……

「昼は居るんだぞ、ランチの時間は!この時間が暇なだけだ!」

 俺が空席を見ていると、すかさずマスターが言い訳してきた。

 ランチね。

 そういえばカレー、美味しかったな。


「ここ、お店があったのは知ってたけど、入ったのは初めてだわ」

「私も!」


 各自好きな飲み物を注文して、物珍し気に店内を見回していると、飲み物と一緒にドンっと大きな皿をひとつ、テーブルの上に置いた。

 皿の中には大盛りのフライドポテト。

 揚げたてだ!


「高校生には、ポテトだろう。ゆずりはの友達だからな。今日だけサービスだ」

「やったー」

「ありがとうございます」

 口々にお礼を言いながら、全員手はすでに、ホカホカのポテトへ伸びている。


「みんなは、部活の友達か?」

「はい、そうです」

「文化祭の準備、進んでる?」

「そりゃあ、もう!ばっちりですよ」

 佐藤さんが、ポテトを食べながらも、にこやかに応答している。

 その横で、うん、うんとうなづく高野さん。

 こういう時、女子って偉いな。


 男子?


 食べるのに必死だよ。


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