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第1話 転校しました

 私立野々村高校。

 県内屈指の進学校だ。東雲学園には負けるけど。

 クラスは特進のA組と、一般のB~D組の1学年4クラス。高校だけなので、校舎もわりと小さい。

 俺たちが入るのは、1年A組。もちろん特進だ。

 10月2日、初めて登校した俺たちを迎えたのは、ぽっちゃりコロコロちんまりした、メガネをかけたタヌキ、もとい、女性教師だった。

「やあやあ、君たちが転校生か。担任の手島葉奈子てしま はなこだ。25歳独身、担当は現国。よろしくな」

「山田一郎です」

「右田楪です」

「ほう。優秀な転校生が来ると聞いていたが、右田楪は名前を見たことがあるな。君がそうか。この学校の生徒たちも優秀だぞ。山田君も頑張って、切磋琢磨するようにな。はっはっは」


 ちっこい女の人だけど、豪快な先生のようだ。そして俺も優秀なんですけど?


 ……はっ?もしや苗字が変わったから、気付かれていないとか?!

 俺は念入りに自己紹介をしようと、一歩前へ出たが、すかさずゆずに袖を引っ張られる。

 おいおい、急に引っぱったら倒れるじゃん。

 危ないよ?


「いいから。それでは手島先生、半年間よろしくお願いいたします。ほら、いっちーも」

「よろしくお願いします」

「うん。礼儀正しくてよろしい。じゃあクラスに行こうか」


 そのまま、旧姓のことを話すチャンスもなく、クラスで名前を紹介されて、教室の一番後ろの真ん中に用意された席に着いた。


 左隣はゆず。右隣の席は、短髪がツンツンに立ってる、いかにもスポーツしてますという感じの男子。ゆずの隣は真面目そうなメガネ女子だ。

 クラスの女子の半分くらいが、後ろ向いてゆずを見てる。ゆずの目的は早々に達成するかもしれないな。

 俺は……地道に頑張るさ!

 見た目の派手さはないけれど、名前の派手さもなくなったけれど、努力するのは得意だ。

 さて、休み時間になったら、ガツガツ皆に話しかけてやるぜ!




 1時間目は数学。教科書が違うが、半年なので借りる事ができた。進度は中高一貫の東雲学園のほうが先に進んでいるが、こっちは生徒の学力レベルのばらつきが小さいから難易度の高い問題を積極的に解いていくようだ。

 俺やゆずにとっては、ちょうど良い復習になる。同時に、東雲学園に帰ったときに授業について行けるよう、向こうで使ってる教科書も進めておかないといけないから、気が抜けないな。


 今までよりもいっそう集中して、先生の話を聞く。



 周りの雑音は一切入ってこない。

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